会社で物品購入や移動費等、様々な経費を精算するのに使用する領収書。
そんな領収書に、印鑑を押し忘れたり、そもそも印鑑が必要なのか疑問に思ったことはありませんか?
本記事では、領収書に印鑑が必要なのかどうかを中心として、領収書のよくある疑問点について解説していきます。
領収書は経費精算を行うだけでなく、税法上もとても重要な書類です。
是非本記事を参考に、領収書と印鑑の関係についてチェックしてみてください。
領収書に印鑑は必要?結論としては不要
まずは領収書に印鑑が必要かどうかについて解説します。
結論としては「不要」ですが、いくつか注意事項や留意しておいた方が良い点があります。
具体的な内容としては下記の通りです。
- 領収書に印鑑がなくても経費にできる
- 領収書に印鑑は不要だが収入印紙への割り印は必須
- 領収書に必要な記載事項
- 領収書に印鑑を押した方が良い理由
上記の内容を押さえておくことで、処理する上での混乱を防げます。
ひとつずつ解説していくので、確認してみてください。
領収書に印鑑がなくても経費にできる
前述の通り、領収書に印鑑がなかったとしても有効で、経費として計上できます。
ただし、当然のことながら必要事項が記載されている必要があるため、あくまで印鑑の有無の話だという点に留意しておきましょう。
そもそも領収書とは、会社で経費精算が行われたことを証明するために必要な書類です。
不正防止の観点や、税法上の観点から正しい領収書の作り方を押さえておくようにしましょう。
次項以降では、領収書の必要記載事項等について解説していきます。
領収書に印鑑は不要だが収入印紙への割り印は必須
領収書に印鑑が不要なのは前述の通りですが、収入印紙に押される割り印については必要です。
以下のような場合において収入印紙の貼り付けが必要となりますが、印紙税法上、台紙と収入印紙を跨いで捺印する「割り印」が義務付けられています。
- 5万円以上の領収書
- 10万円以上の約束手形
- 不動産譲渡等に関する契約書
- 工事の請負契約書 等
これ以外にもありますが、電子契約の場合は不要とされています。
ちなみに、割り印は収入印紙の再利用防止を目的としており、あまり知られていませんが手書きの署名でもOKです。
領収書に必要な記載事項
領収書の必須記載事項として、消費税法では下記のように記載されています。
- 書類の交付を受ける事業者名(宛名)
- 課税資産の譲渡等の年月日(作成日)
- 課税資産の譲渡等の内容(但書)
- 課税資産の譲渡等の対価額(金額)
- 書類の作成者名(作成者)
ややわかりにくい表現で記載されていますが、要は()内の事項が書かれていれば領収書として経費精算が可能です。
必要事項には捺印の有無はないため、上記内容が記載された領収書を用意するようにしましょう。
領収書に印鑑を押した方が良い理由
では、何故一般的に印鑑の押された領収書が多いのでしょうか。
それにはいくつかの理由があります。
内容は下記の通りです。
- 偽造防止
- 押印文化がある
必須ではなくても「押しておいた方が良い理由」があるため、今日でも印鑑が押された領収書が一般的になっています。
その理由について、ひとつずつ詳しく解説していきます。
偽造防止
まず第一の理由として、「偽造防止」という目的のためです。
領収書には大抵の場合はその会社の角印が押してあります。
もし仮に会社の印鑑がなく、誰もが会社名を手書きするだけだったらどうでしょう。
必要事項が記載されていれば領収書と認められるだけに、簡単に不正ができてしまいます。
不正に経費を精算した社員にお金が返金されることになるので、偽造の防止は重要なポイントです。
会社の印鑑は簡単には偽造できないので、「正式に会社が発行した領収書」であると証明するために、印鑑を押す会社が多くなっています。
押印文化がある
第二の理由として、日本には押印文化が根付いており、慣例的に印鑑を押す文化があるためです。
上記のように発行者を明確にし、偽造を防ぐという目的だけでなく、そもそも「印鑑を押すのが当たり前だからそうなっている」という側面も多分にあります。
そのため、いくら法律上は印鑑がないことが問題なしとされていても、印鑑がないことを非常識だと考える人も少なからずいます。
電子化を行わない場合は、印鑑をできる限り押しておいた方が、周囲との摩擦も少なくて済むかもしれません。
逆に、印鑑を押す手間を省きたい場合は、そもそも押さなくて済む電子領収書に切り替えるとスムーズにいくはずです。
領収書への印鑑の押し方
領収書への印鑑の押し方を解説します。
主なポイントは下記の通りです。
- 形状は角印が一般的
- 押印箇所は規定なし
- インクの色は赤が一般的
- シャチハタでも問題なし
- 印影の印刷でもOK
- 個人事業主の場合は個人名の印鑑でもOK
税法上は捺印の必要はないとはいえ、領収書に印鑑を押している企業はまだまだ多いです。
印鑑の押し方を覚えておくと、いざという時に混乱しなくて済みます。
綺麗に印鑑を押すことを心がけましょう。
形状は角印が一般的
印鑑には様々な形状のものがありますが、領収書に捺印するのは角印が一般的です。
角印とは正方形の形をした印鑑のことです。
丸印は実印として利用されることが多く、必然的に口座開設や法務局への印鑑登録等、重要な場面で使用されがちです。
実印は法的効力を持つため、あまり他社の目に触れるところでは使用しないことをオススメします。
領収書に丸印を教えてはいけないということはありませんが、偽造防止の観点からも丸印とは分け、角印を使用するようにしましょう。
押印箇所は規定なし
印鑑を押印する場所ですが、基本的にルールはありません。
そもそも印鑑自体が不要なので、当然といえば当然です。
ただし、一般的には書面の下部、発行元の企業名や住所等の上から被せて押すことが多くなります。
使用する領収書のフォーマットによっても微妙に異なる部分なので、あまり不自然ではない部分に押すのがよいでしょう。
インクの色は赤が一般的
領収書に押す印鑑の朱肉の色は、赤がオススメです。
こちらも明確なルールがある訳ではないので、黒でも特に問題はありません。
とは言え、黒いインクだと下に書いてある文字と色が同じなので見にくくなってしまう可能性があります。
一般的にも赤色が使われることが多いため、黒だともらった側が違和感を覚える可能性もあります。
特に理由がなければ赤色の朱肉を利用するようにしましょう。
シャチハタでも問題なし
領収書に押す印鑑の場合は、実は印鑑ではなくシャチハタでも全く問題ありません。
こちらも印鑑自体がそもそも不要であるという点に起因します。
ただし、注意点もあります。
前述の通り、印鑑を押す目的は偽造防止のためです。
市販で量産されるシャチハタの場合は、印鑑に比べると偽造しやすいため、本来の目的からは逸れてしまうことになります。
見栄えや慣例的に捺印している場合はシャチハタを利用してもOKですが、偽造を防止したいということであればやはり印鑑を使ったほうがよいでしょう。
印影の印刷でもOK
最近は領収書も電子化されたデータでやり取りすることも多く、印鑑自体を押さない場合も増えています。
印鑑の印影を領収書に印刷する形式でも特に問題はありません。
印刷であっても、印鑑の偽造防止という目的には添えるため、作業効率化の観点からも印刷は問題なく利用していきましょう。
特に、電子化された領収書の場合は印鑑を押したくても押せないので、印影を印刷することも多いはず。
ただし、印影を電子化すると、流出した際に簡単に複製できてしまうので取り扱いには気を付けてください。
個人事業主の場合は個人名の印鑑でもOK
法人の場合は会社の屋号が記載された角印が一般的ですが、個人事業主で屋号を持たない場合は個人名の印鑑でもOKです。
個人事業主であろうが、捺印の義務はないため極論何を使っても良いです。
あくまで印鑑を押すのは、偽造防止と過去の慣例・文化的側面からです。
印鑑の有無よりも、必要事項が記載されているかどうかに注意を払いましょう。
データの領収書・印鑑について
最近ではよく見かける、領収書や印鑑の電子化について簡単に解説します。
内容は下記の通りです。
- 領収書は電子印鑑でもOK
- 電子印鑑の法的効力
- 電子印鑑は電子証明書を申請する必要がある
うまく利用することで、業務効率化やコスト削減に繋がります。
法的効力やメリット・デメリットが気になる場合は是非チェックしてみてください。
領収書は電子印鑑でもOK
データで領収書や見積書等、様々な書類をやりとりすることになった結果、会社印を電子化した「電子印鑑」も多く見られるようになっています。
電子印鑑を使えば、データ上の書類に直接押印ができるため、わざわざ書類に印刷して捺印の上、再度スキャンするという手間を省くことが可能です。
後述の、法的効力を持たせた電子印鑑を使えば、領収書だけでなく様々な書類にデータ上で押印ができるようになります。
電子領収書・印鑑の法的効力
電子化された領収書には法的効力があり、一般的な領収書と同様に認められています。
平成17年4月1日に施工された「e-文書法」により、領収書だけでなく会計帳簿をはじめとする様々な書類の電子化が認められました。
電子化が可能な書類は下記のようなものです。
- 会計帳簿
- 証憑書類(相手方から受け取った見積書、注文書、契約の申込書、送り状、納品書、検収書、請求書、契約書・領収書の一部等。自己の作成したこれらの書類の写し)
- 振替伝票
- 営業報告書
- 財産目録
- 事業(業務・事務)報告書
また、公的機関によって証明された電子印鑑であれば、法的に効力を持つことが可能です。
電子印鑑は電子証明書を申請する必要がある
電子印鑑に実印と同様の法的効力を持たせるには、電子証明書の発行が必要となります。
領収書に押印する場合は、印鑑は本来不要なものなので電子証明書の発行も不要ですが、実印として利用するなら発行手続きを行いましょう。
電子証明書の申請は法務局や法務省のホームページより行えます。
個人でも法人でもどちらからも申請可能ですが、有効期限があるので、更新手続きが必要です。
領収書・印鑑の電子化におけるメリット・デメリット
領収書や印鑑を電子化することによるメリット・デメリットをまとめると下記のようになります。
- 【メリット】経費精算が用意
- 【メリット】管理の効率化
- 【メリット】コスト削減
- 【デメリット】導入の手間
- 【デメリット】システムエラーのリスク
大きなメリットとしては印鑑を押す手間が省けたり、汚損・破損を避けつつ保管場所の削減にも繋がる業務効率化が挙げられます。
また、収入印紙を貼らなくてよくなるため、印紙税の節約によるコスト削減効果も。
逆にデメリットとして、領収書を電子化して発行するにはシステム対応が必要なので、導入のためのコストや手間は必要です。
加えて、システムで行う以上システムエラーのリスクは付きまといます。
ネット環境やサーバーダウンの影響をもろに受けるので、日ごろからのリスク管理は必須です。
領収書についてのよくある質問
領収書についてのよくある質問を解説します。
場合によっては領収書として無効になることがあるため、留意しておくようにしましょう。
- レシートは領収書の代わりになるのか?
- 宛名が空欄の領収書はOK?
- 収入印紙が未貼付の場合は?
いずれも領収書を作成する上ではありがちな疑問なので、チェックしてみてください。
レシートは領収書の代わりになるのか?
領収書の代わりにレシートでも認められるのかという疑問について、回答としては「基本的には認められる」ということになります。
レシートに「領収書」と記載されている場合もあるため、大抵の場合は問題なく経費精算が可能です。
ただし、注意点もあります。
レシートには宛名書きがないため、本当に自社の経費として使用されたモノなのかが判別できません。
少額であれば問題とならないパターンが大半ですが、高額だと自社の経費だと証明できないため問題になる可能性があります。
どこからが高額かは明確な線引きができませんが、基本的には会社の経費なら領収書をもらうようにしましょう。
宛名が空欄の領収書はOK?
宛名なしのレシートが有効かどうかという点では、「経理上は認められるが税法上は不可」です。
経費精算を行う上では、領収書に宛名書きがなくてもよほど高額でもない限り問題なく手続きが進むはず。
一方で、消費税法上は領収書の宛名書きは必須項目です。
こちらも後々税務調査が入った際に宛名のない領収書が問題に発展する可能性があります。
「基本的にはあった方がいい」という認識でいるのがよいでしょう。
ただし、下記の不特定多数に領主書を発行する事業者は、宛名のない領収書の発行が例外的に認められています。
- 小売業(スーパー、コンビニ等)
- 飲食店業
- 旅行・旅客運送業(タクシー、バス、鉄道、航空会社等)
- 駐車場業
これらの業者から領収書貰う際、宛名がなかったとしても改めて書き直してもらう必要はありません。
収入印紙が未貼付の場合は?
領収書に収入印紙を貼り忘れた場合は、領収書は無効になるかどうかですが、領収書自体が無効になるわけではありません。
ただし、収入印紙は印紙税法で、領収書を含む課税書類に対する印紙税の支払のために貼ると決められています。
よって、収入印紙の貼り忘れや割り印の押し忘れは印紙税を納めていないとみなされ、ペナルティとして本来の印紙税納付額の3倍が過怠税として課されることになるのです。
収入印紙を貼る必要のある領収書に関しては忘れないように注意しましょう。
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主なメリットを下記に記載します。
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- 請求書の内容は承認済み納品書と完全一致するので、突合作業が不要になる
- 納品書・請求書の紙の保管コストが削減できる
- 会計システムや販売管理システム等への入力工数が削減できる
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