近年、いたるところで耳にする言葉にDX(デジタルトランスフォーメーション)があります。しかし「いまいちその意味にピンときていない」という方も多いのではないでしょうか。本記事ではDXの意味や内容から、導入のためのポイントをお伝えします。
DXとは
そもそもDXとはいったい何を指しているのでしょうか。まずはその用語の意味と必要性・ほかの似た用語との違いについて説明していきます。
意味と語源
DX(デジタルトランスフォーメーション)はDigital Transformationの略語です。
意味は、「デジタル技術を活用し、企業がビジネスモデルや業務プロセス等に変革を起こし、競争の優位性を保つこと」です。英語ではTransをXと略すことがあるため、DXと表記されるようになりました。
昨今DX推進が求められる理由
今なぜDX推進が求められるのでしょうか。
その理由の一つに「世の中のビジネス環境の変化」が挙げられます。テクノロジーの変化や新型ウイルスの蔓延等、日々変化する環境に対し、これまでと同じやり方では通用しないことがわかりました。そのため、競合サービスの増加や多様化する消費者ニーズ等を前に、企業は自社ビジネスモデルの抜本的な変革が求められています。
IT化との違い
デジタルによる変革を進めるDXですが、IT化とはどのように違うのでしょうか。IT化では単にデジタルツールを用いた業務やプロセスの効率化を指します。
一方で、DXはデジタル技術を用いたビジネスモデルやサービスの抜本的な変革のことを指し、IT化とはそのインパクトもスケールも異なります。
DX推進に立ちはだかる課題とは
現代では日々急速な技術やテクノロジーの変化が起こっています。また新型ウイルスの世界的な流行等、予測不能なアクシデントにより企業やビジネスを取り巻く環境は一気に変化しました。
このように年々急速に変化する環境に対し、DX推進は不可欠なものです。しかしDX推進とはそれほど簡単に行えるものではありません。適切な方法で計画的に進めていくことが重要です。
DXの進め方とは
DXを進めるにあたって避けたいのは、DX推進を掲げたにもかからず表面的に唱えているだけで「実は中身は何も変わっていない」という状況です。
しっかりと結果に繋げるためには、効果的な進め方を適切な段取りで行うことが大事です。
ここからは、適切なDXの導入を6つの段階に分けて解説します。
1.現状ビジネスに導入されている実践内容を分析する
まずは自社の現状のビジネスプロセスにおいて導入されている方法を分析します。つまり現状分析ということになります。現在の状況を適切に把握することにより、どのような課題があるかを洗い出し、自社がより競争力を保つためにどのような変革が必要かの理想像や目標を導きだすことができます。
2.デジタルツールを調査する
自社の現状分析によって見えてきた課題や、イメージを確立させたあとは、それらを実現できるデジタルツールについて調査しましょう。このとき、単なるデジタル化や業務効率化という枠を超えて「自社が今後ビジネスモデルを変革できる可能性を秘めているか」広い視野を持って精査することが重要です。
3.従業員にDXの有用性を啓蒙する
DXの推進にあたっては、従業員の理解や同意・マインドセットの変化等が求められます。どれほど有用なデジタルツールを用いても、社員一人ひとりがそれらを活用していく意欲がなければ意味がありません。DXを掲げる前に従業員へしっかりと説明・啓蒙し、全体の認識を統一しておきましょう。
4.社外業務にDXツールの機能を反映させる
自社でDXツールを導入した場合は、その影響は当然取引先等社外にもおよびます。取引先もDXツールの利用に協力してくれ、初めてそのメリットが活きてきます。
しかし、新規のツールを利用することで取引先に対応の変更を求めるケースもあるため、使い方の説明や落とし込みまで進める必要があります。
取引先に周知しきれなかったり協力してもらえない場合は、かえって業務効率が悪くなる場合があるので注意しましょう。
5.社内外の従業員にツールの手順を説明する
DXツール導入の際には、社内外の従業員にツールの使い方やメリット等を十分に説明し協力的に使用してもらうことが重要です。
場合によっては社内研修や勉強会等の機会を段階的に行う必要性もあるでしょう。十分な落とし込みができていないまま進めると、社内外業務で混乱をきたし、従業員が困惑することに繋がります。
6.DX導入の効果を測定する
DX関連のツール等を導入した場合は、必ず効果測定を行いましょう。ツールを導入しただけで、以前と大して変化がないようであればIT化と同じだからです。
DXツールを導入したことにより、当初予定していた「ビジネスの変革を起こすことができているか」の効果検証を定期的に行いフィードバックをしましょう。
DX推進時の注意点とは
DX推進とは、思い立ってすぐ簡単に行えるものではありません。実際に、DXを掲げているもののほとんど実行できていない企業も多いです。成功させるためには入念な計画を立て、多くの想定外の障壁等を乗り越える必要があるからです。
ここではDX推進時の注意点を6つ見ていきます。
1.経営戦略・ビジョンの提示
まずはDXを踏まえた経営戦略やビジョンを明確に策定することが重要です。なぜなら企業においてすべての計画や目標は、この経営戦略とビジョンのために行うからです。
まずは根幹となるビジョンを提示し、そこから経営戦略そしてDX化へと展開していきましょう。
2.経営陣のコミットメント
全社でDXを推進していくからには、まずは経営陣を含めたトップから強いコミットメントが重要です。ボトムアップでDXを進めようとすると、上層部の同意を得られない等、上手くいかないことが多いです。しかし、トップダウンで変化を起こすと、スピーディーに全社へ浸透させていくことが可能です。
3.DX推進のための体制強化
DXを成功に導くためには、社内の体制強化が必須です。企業のカルチャーによっては変化を嫌う可能性もあります。そのため、DX推進のチームを作る等、絶えず仮説検証・フィードバックのサイクルを回していく環境を整備することが必要です。同時に、データやデジタル技術への知見を持ったDX人材の育成・獲得も課題となります。
4.意思決定のあり方
意思決定のあり方もDX成功の可否を左右する重要な項目です。
DXを推進するには、ツールの導入や人材育成等多くのコストが発生します。自社のビジネスへ与えるインパクトの多い項目から、費用対効果を踏まえてスピーディーかつ的確に意思決定を行いましょう。
5.ITシステムの構築
DXを成功に導くためには、その基盤となるITシステムの構築が必要です。ITシステムは企業のビジネスの中枢に位置する重要な項目です。どんなに最先端のDXシステムを活用しても、自社のITシステムが進化していなければメリットを活かしきれません。
システム開発の際は、自社のビジネスモデルを踏まえた上で企画・要件定義を入念に行いましょう。
6.実行プロセス
ITシステムの構築もDXツールの活用も、すべてはDX推進を行うための手段です。環境やツールを整備したあと、それらをどのように活用し実行するかがポイントです。具体的な実行プロセスを事前に明確に定めておきましょう。手段と目的を混同しないように具体的な目標や指標を作成しておくことで、常に進捗を確認できるようになります。
まとめ:経営陣や従業員を巻き込んで推進しよう
今回は、DX化についてその意味と進め方・進める際の注意点についてご紹介しました。
全社のビジネスプロセスを抜本的に変革するDX化は、一部の従業員だけで達成することはできません。
経営陣含めたトップが中心となって、全従業員を巻き込んで一体感を持って推進していくことが大切です。
スピーディーに変化していくビジネス環境に対応するために、企業のDX化は必須と言えます。DX化に乗り遅れていると感じている方は、是非具体的な推進計画を立ててみましょう。