経費削減は、経営者にとって重要な課題です。適切な方法でコストを削減することにより、利益の増大が見込まれるからです。
しかし、経費を削減する方法は多く、何から手をつけるか・どのような方法が自社に適しているのか、悩むことも多いでしょう。
そこでこの記事では、経費削減を行う時のポイントを解説し、具体的なアイデアを7つご紹介しています。是非、参考にしてください。
経費とは企業が事業を遂行するための費用のこと
会社を経営する以上、「利益」を出す必要があります。
利益とは、売上から原価・経費を除いた金額です。
利益 = 売上高 - 売上原価 - 経費 |
計算式を見てわかるように、利益を上げる方法は、以下の3通りあります。
- 売上高を増やす
- 売上原価を減らす
- 経費を減らす
経費削減は、会社における経費、すなわち出張旅費・飲食代等の費用を減らす取り組みのことです。
正しく行えば、業務の無駄を省くことができ、生産性や働きやすさが向上します。また、浮いた費用を企業が成長できることに使用すれば、さらなる業績アップが期待できるでしょう。
企業で経費削減が必要な理由2つ
企業が経費削減に力を入れる理由は、利益の増大に繋がること・業務の効率化が図れることの2つです。
企業規模に関わらず、多くの会社で経費削減は検討されているでしょう。社員からアイデアを募集し、評価の対象としている企業もあるほどです。
理由1.小さな経費削減で利益を大幅に増大する
売上を増やすよりも、経費削減の方が利益が大幅に増大する場合があります。
例えば、現在売上100万円・経費80万円の会社は、利益20万円・利益率20%です。
売上はそのままに経費を10%削減すると、利益は28万円・利益率は28%です。(パターン①)
利益率20%はそのままで、28万円の利益を出したいと考えると、売上が140万円も必要になります。(パターン②)
現在 | パターン① | パターン② | |
売上 | 100万円 | 100万円 | 140万円(40%増) |
経費 | 80万円 | 72万円(10%減) | 112万円 |
利益 | 20万円 | 28万円 | 28万円 |
利益率 | 20% | 28% | 20% |
経費削減の方が売上アップより、小さな努力で利益を増やせることがイメージできるでしょう。
理由2.適切な経費削減への取り組みは業務の効率化にも繋がる
経費削減のメリットは、利益アップだけではありません。適切な取り組みは、業務の効率化にも繋がります。
経費削減のためペーパーレス化を目的に、新たなシステムを導入したとしましょう。
システム導入コストは発生しますが、印刷代や用紙代・保管場所の費用が減らせます。また、業務が効率化でき担当者の負担を減らすことが可能です。さらに、削減できた費用を新たな設備投資に回せば会社の成長に繋がり、社員へ還元できればやる気が向上するでしょう。
担当者の浮いた工数は、スキルアップや新たな事業の企画に活かせます。
経費削減において分けて考えたい「固定費と変動費」
経費削減の削減は、固定費と変動費に分けて行いましょう。
固定費とは、事業活動や売上に関わらず、毎月決まって発生する費用のことです。具体的には次の費用が固定費として挙げられます。
- 事務所等の家賃
- 固定資産税や自動車税
- 保険料
- 人件費
- 水道光熱費
変動費とは、生産量や受注状況に応じて変動する費用のことです。変動費には次のような費用があります。
- 原材料費
- 広告費
- 接待交際費
- 外注費
- 運送費
経費削減を行うには、固定費の削減から着手するのが効果を確認しやすく有効な方法です。固定費の削減は売上に影響を与えません。
一方、変動費を削減しようとすると、売上も下がってしまう可能性があります。企業としては売上を下げずに経費を落としたいですよね。
そのため、コストを落としたい企業は、固定費の削減から取り組むのです。
注意! 誤った経費削減は経営を悪化させる恐れがある
経費削減で大切なことは、「無駄な費用」を見極めることでしょう。
思い付きで本来必要な出費を削減してしまうと、社員のモチベーション低下・パフォーマンス悪化・生産性の低下を招きかねません。利益を上げるために減らしたはずなのに、経営を悪化させては本末転倒です。
例えば、ITツールを削減してしまえば、生産性を落としてしまうでしょう。また、交際費の削減は、取引先との関係に影響が出るかもしれません。さらに、不用意な人件費の削減は、会社の危機だと捉えられる可能性があります。
ポイントを押さえ、本当に必要な費用を削減してしまわないよう慎重に進めることが大切です。
企業で経費削減に取り組む際のポイント5つ
経費削減に正しく取り組めば、大きな成果が期待できます。大切なのは、現状を分析し計画を立てて取り組むことです。
企業が経費削減に失敗しないためにも、確認しておきたいポイントを5つご紹介しましょう。
ポイント1.経営側と社員でモチベーションが異なる場合がある
経営側にとって利益に繋がる経費削減は、意欲的に取り組もうとします。
一方社員側は、給与に直結するわけではないので、モチベーションは高くありません。
例えば、福利厚生が手厚いことが魅力的な会社が、福利厚生費を減らすようになれば社員はやる気をなくしてしまうこともあるでしょう。また、人件費を減らすために社員一人当たりの作業量が増えてしまっては、不満が増えるだけです。
経費削減が社員に与える影響を考えて実行するようにしましょう。
ポイント2.効果が出るまで長期的に分析や改善を行う
経費削減は、すぐに結果が出るものばかりではありません。時間がかかるものと考えておいた方が良いでしょう。長期的な目線を持ち、分析・改善を繰り返していくことが大切です。
まずは、企業が抱える問題点を洗い出し、分析する必要があります。削減するべき無駄な費用を検討します。多角的な視点で捉えることで見えてくることもあるので、他部署からも意見をもらうと良いでしょう。
複数の案が出てきたら、優先順位を付け実行していきます。取り組んだ削減案についても、時間をおいて見直し効果を検証するようにしましょう。すぐに結果が出なくても焦らずに、分析・改善を行うことが重要です。
ポイント3.各費目の内容を精査し削減する経費を決める
削除する費用を決めるために、各費目の内容を確認します。
前述した固定費・変動費の区別に加え、水道光熱費・人件費・交際費等それぞれの費目について詳細な精査が必要です。月によって大きく異なる変動費であれば、変動の要因を探ってください。
また、業務プロセスを可視化し、現在行っている業務が本当に必要かを確認しましょう。
業務マニュアルを作ることで、工数削減ポイントが見つかる可能性があります。担当部署・関係部署へのヒアリングも忘れずに行いましょう。
ポイント4.具体的な経費削減の数値目標等を社員に丁寧に説明する
削減する費目が決まったら、具体的な方法や数値目標を全社に周知し足並みを揃えましょう。内容は可能な限り具体的に数値を提示することで、理解しやすくします。
例えば、「半年後に消耗品費を10%削減する」と目標を設定し、そのための行動指針を丁寧に説明していきます。社内資料は白黒で両面印刷とする等、誰にでもわかりやすいルールを決めておくと、行動しやすいです。
定期的に目標達成のラインに乗っているかどうかをチェックし、軌道修正を行いましょう。
ポイント5.経費削減は目的ではなく手段であることを理解する
経費削減を何のために行うのか、意識しておく必要があります。経費を減らすことを目的にしてしまうと、失敗する可能性が高いからです。
経費削減は、手段であって目的ではありません。履き違えると次のような問題が起こることもあります。
- 必要な業務の費用を減らし事業が縮小
- 外注費を減らしたために社内スタッフの負荷が高くなり残業代も増える
- 業務効率化できるシステムの導入ができない
経営者は長い目で見て、経費削減はあくまでも手段だと理解してください。
一般的な企業で取り組みやすい経費削減アイデアを6つ紹介
ここでは、一般的な企業が取り組みやすいアイデアをご紹介します。自社に合うかどうかを検討し、効果の有無を検証した上で、取り組んでみてください。
アイデア1.水道光熱費・賃料・通信費を削減
固定費の中でも水道光熱費やオフィスの賃料、携帯料金等の通信費はコスト削減の余地があります。
いわゆる白物家電と呼ばれるエアコン・冷蔵庫・電子レンジ等をオフィスで使用している場合は、省エネタイプに買い替えを検討するのもひとつのアイデアです。
思い切って家賃の安いオフィスに引っ越せば年間の家賃の大幅な削減が期待できます。
携帯電話のキャリア見直しや、格安SIMに変更する方法もあります。回線とプロバイダを揃えることでセット割が適用されるプランには検討する価値があるでしょう。
インフラに関わる費用を一度見直せば、未来に渡って経費削減ができるので大きな効果が期待できます。
アイデア2.紙媒体を電子化し印刷費を削減
日々の業務で作成した資料や帳票類を電子化することで、印刷費の削減が可能です。
ペーパーレス化は、自部署だけでできることではありません。関連部署または取引相手とも相談する必要がありますが、双方にメリットがあるので、丁寧に説明すれば受け入れてもらえる可能性は大きいです。
書類の受け取り側にとっては、保管に掛かる費用の削減が大きなメリットでしょう。帳票発行から、受け取りまでのタイムラグがなくなることで業務効率化に繋がります。紛失や情報漏洩の心配が少なくなるのも、電子化を推奨する理由のひとつです。
紙媒体の電子化は発行者・受領者双方にとって、担当者の負担を減らせる経費削減方法と言えます。
アイデア3.在庫が多い文房具等の発注を減らし消耗品費を削減
単価が安いので見落としがちですが、月単位や年単位で計算するとかなりのボリュームになるのがオフィスの文房具です。
業務に欠かせないアイテムですが、使用しないものまで揃えておく必要はありません。ボールペンや付箋・のり等、どのくらいの在庫を抱えていて総額どのくらい掛かっているのかを確認してみると良いでしょう。
使用ルールや在庫過多なアイテムを見直すことで、消耗品費の削減が見込めます。
アイデア4.電子契約を導入し契約書郵送にかかる費用を削減
テレワークが進み、電子契約を導入する企業が増えてきました。経済産業省がテレワークを促進するため、押印に関する考え方を発表したことで、より一層導入企業が増えています。
経済産業省のHPには、「押印に関するQ&A」として以下の記載があります。
“特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。”
出典元:https://www.meti.go.jp/covid-19/ouin_qa.html
電子契約の導入で、印刷代・インク代・印紙税だけでなく郵送費の削減が図れます。
電子契約は取引相手との調整が必要になりますが、契約を電子書面で行えるようになれば、双方にメリットがあるため検討の余地があるでしょう。契約書の保管の手間も減り、紛失の心配もなくなります。
アイデア5.不要な定期購読を廃止し新聞・図書費を削減
企業活動を進める上で、情報収集は欠かせない時代ですが、不要な雑誌や新聞の定期購読は削減できる可能性があります。
定期購読している雑誌・新聞や本等があれば、一覧にしてどのくらいのスタッフが購読しているのか確認してみると良いでしょう。慣習で継続しているだけで、ほとんど読まれていない無駄な経費があるかもしれません。
電子書籍にすれば、読み放題サービス等のお得なプランも利用できます。
アイデア6.クラウド会計システム等の導入で経理業務を効率化
紙の資料が多くテレワークが難しいと言われている経理業務も、クラウド会計システムの導入で、効率化やコストの削減が期待できます。
会計システムは、銀行口座やクレジットカードの情報と連携させることで、データを自動で抽出し仕訳まで行ってくれるため、手入力によるミスを減らすことが可能です。金銭の移動を自動でソフトに入力してくれるため、経理担当者の負担が減らせます。
クラウドタイプなら、自宅のパソコンやスマートフォンからも操作できるのでテレワークも可能です。また、クラウド会計システムの導入は、ペーパーレス化の後押しにもなるでしょう。
会計システムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
アイデア7.「oneplat」で請求書や納品書周りの経費を削減
企業間の取引情報を一元管理できる「oneplat」は、請求書・納品書周りの経費削減に役立ちます。これまで紙で受け取っていた請求書や納品書を、システム上で受け取り管理することで業務コストの削減・業務時間の削減も可能です。
すべての納品書・請求書をペーパーレスにとりまとめることで、業務コストの削減が可能
「oneplat」は金融機関との共同開発により高度なセキュリティと運用度の高い機能を備えたクラウドサービスです。
仕入先に「oneplat」のIDを発行し、納品書・請求書の発行をシステム上で行ってもらうことができます。紙の納品書・請求書がなくなるので、管理コストの削減が可能です。
転記の必要もありません。
また、「oneplat」は請求データから振込データを自動で作成します。振込後の消込も自動で行い、業務コストの削減が見込めます。
会計システムや販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要なため、業務時間の削減も可能
「oneplat」は様々な既存の会計システムや販売管理システムとの連携が可能です。「oneplat」に取り込まれたデータは、各システムに自動で取り込まれるため、仕訳入力の手間がありません。業務にかかる時間を大幅に削減することができるでしょう。
金融機関と開発されたシステムでもあり、セキュリティが高いことも特徴のひとつです。リモートでも経理作業がスムーズに行えます。
請求処理や入金手続き・会計仕訳等、自宅のパソコンやスマホからも完結する業務が多く、経理業務を行う場所を選びません。通勤時間の削減も可能です。
【まとめ】経費削減のため、自社に適したツールを導入しよう
この記事では、経費削減のポイントや実現しやすいアイデアをご紹介してきました。自社に合いそうな方法は見つかったでしょうか。
コストを落とすだけでなく、業務効率化・生産性向上・社員のモチベーションアップと気にしたいことは沢山あるでしょう。ポイントを押さえ、長い目で見て会社が成長できる取り組みを行い、分析・改善を検討していくことが求められます。
業務コスト・業務時間を削減するには、自社に適したツールの導入が近道です。現状分析を行い、本当に必要な業務は何かを考え、必要な業務を補えるツールを選択してください。