社員のモチベーションを上げる5つの方法|事例や重要な考え方も紹介

社員のモチベーションをどのように上げればよいかご存じでしょうか?
この記事では、モチベーションをアップさせる方法がわからないという方のために、以下の内容について詳しく解説していますので参考にしてください。

  • モチベーションが低下することにより生じる社員への影響
  • モチベーションが低下する理由
  • モチベーションアップの方法

社員のモチベーションが低下するとどうなる?

生産性の低下

社員のモチベーションが低い会社は、生産性が低下します。
生産性とは、その社員の持ち合わせた能力とモチベーションの相乗効果によって生み出されます。いくら社員の能力が高くても、モチベーションが低下してしまうと高い生産性を発揮できません。モチベーションが低下した社員は、やる気にあふれている状態の社員に比べ30%以下の生産性しか発揮できないと言われています。

離職率の増加

社員のモチベーションが低い会社は、離職率が増加する傾向があります。モチベーションが低い社員は仕事や職場が楽しいと感じず、退職という選択肢を選ぶ可能性が高くなってしまうからです。退職者が増えることで起こる貴重な人材の流出は、労働者の確保が難しくなった現代では会社にとって死活問題です。

加えて、人員が少なくなることにより採用コストが増大します。採用担当者がかけた時間と労力が無駄になり、新たな採用活動にかかる費用が会社にとってマイナスとなってしまいます。

周囲の社員への悪影響

モチベーションの低い社員のいる会社は、周囲の社員に悪影響をもたらします。モチベーションの低い社員の仕事を割り振られることで仕事量が増加し、自分の仕事の進捗が悪くなるからです。
さらに、仕事量が増加した社員がストレスを抱え、会社に不満を募らせ職場の雰囲気が悪くなります。

対外的な評価の低下

社員のモチベーションが低い会社は、対外的な評価が低下します。仕事に対する意欲低下は、より良い製品を生み出そうとする意欲も低下させ、生産される製品の品質低下を招き、会社のブランド力低下に繋がるからです。

製造業の場合は、突発的な不良品はどうしても発生するものですが、再発防止等の改善活動を行う意欲が低下した会社が信頼を取り戻すことは難しいでしょう。
社員のモチベーションは製品品質に影響を与え、対外的な評価を左右する重要な要素です。

社員のモチベーションが下がってしまう3つの理由

人間関係にストレスを感じている

人間関係の良し悪しは、社員のモチベーションに影響を与えることのひとつです。
社内での人間関係に問題があると、メンバー同士の報連相に悪影響を与え仕事がしづらくなります。
そうすると、職場の風通しが悪くなり、新たな考え方や解決方法の共有がしづらくなるため、仕事が行き詰まることになりかねません。

業務への不満が溜まっている

日々の業務に不満を抱えてしまうと、社員のモチベーションは低下してしまいます。

具体的な例を挙げると、日々の定型業務をある程度こなすことができるようになると、代わり映えのしない仕事に新鮮味を感じなくなり、モチベーションの低下に繋がる、等です。

また、改善提案が採用されづらい硬直的な職場であったり、重要と思えない理不尽な決まりごとがあったりといった場合は、社員の不満が溜まりやすくモチベーションの低下に直結します。

会社からの評価が低いと感じている

自分の想定通りに昇進や昇格が実現しないと、「成果を正当に評価されない」「会社に必要とされていない」と考え、モチベーションが低下することがあります。

そのように承認欲求が満たされない状態が続くと、より良い成果をあげようと努力することがなくなり、就業意欲の低下を招きます。就業意欲の低下は社員の離職を招くことが多く、貴重な人員の流出で経営が立ちいかなくなるリスクが生まれるのです。

社員のモチベーションアップのための考え方

「内的動機づけ」と「外的動機づけ」

ここからは、社員のモチベーションを下げないために、モチベーションの2つの動機づけについて確認しておきましょう。

外的要因をきっかけとして意欲の上昇が起こることを外的動機づけと呼びます。例としては、ボーナスや給料の上昇、会社内でのポストの獲得等が挙げられます。
しかし、外的動機づけによるモチベーションアップは一時的に留まるのが特徴です。

一方、内的要因がきっかけで意欲の向上が起こることを内的動機づけと呼びます。例としては、仕事の楽しさや興味から仕事に取り組むことが挙げられます。
自分の内部から意欲が生まれ続けるため、外的動機づけと比較して長期的なモチベーションアップが期待できるのが特徴です。

内的動機づけ、外的動機づけのどちらもモチベーションアップに繋がりますが、持続的な社員のモチベーションアップを狙う際には内的動機づけとなる手法を検討すべきでしょう。

マズローの「自己実現論」

社員の内的動機づけを狙う際、マズローの「自己実現論」を知っておくと役に立ちます。

マズローの「自己実現論」とは、人間には5段階の欲求があり、低次の欲求から確実に充足させることでモチベーションアップに繋がるという理論です。
これによると、会社に所属することで日々の生活の保証が叶うという「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」を確実に充足させることが何より重要になります。

その後、褒められたい、認められたい、理想を実現したい、高い成果を成し遂げたい等の「承認の欲求」「自己実現の欲求」を満たすことで社員のモチベーションは飛躍的に上昇します。

社員のモチベーションはどこから生まれる?

社員のモチベーションは、「企業の魅力」「上司の魅力」「職場の魅力」を発生源とするという考え方があります。それぞれ解説していきましょう。

企業の魅力

企業規模や企業理念、仕事内容や社風、待遇等が「企業の魅力」です。当該企業に所属することでその魅力を享受できることはモチベーションアップに繋がります。

上司の魅力

上司により的確な情報共有を行うこと、適正な評価を行うこと、動機づけを行うことでモチベーションに良い影響を与えるのが「上司の魅力」です。上司自身の言葉で語ることや部下の個性を見出すことができる、等も含まれます。

職場の魅力

メンバーの高い意欲や、業務効率の良い職場であることが社員のモチベーションアップに貢献するというのが「職場の魅力」です。メンバー同士が連携しひとつの目標に向かって全力で向き合っている状態が理想です。

社員のモチベーションアップのポイントである「企業」「上司」「職場」を点検し、モチベーションがアップする環境であるか確認してみましょう。

社員のモチベーションを上げる方法5つ

①労働条件の見直し

労働条件は、社員のモチベーションに影響を与える重要なものです。

満足に生活できないような待遇では社員の最低限の欲求である「生理的欲求」「安全欲求」を充足することができず、離職に繋がるでしょう。
したがって、会社の待遇や福利厚生を充実させ、「企業の魅力」を向上させることはモチベーションアップのための必須事項と言えます。

加えて近年は「ワークライフバランス」を重視する考えも普及しているため、過度な残業の抑制や有給休暇の取得を推奨する等、仕事一辺倒ではない考え方にも配慮することが求められています。

②透明性の高い評価制度への改善

何をすれば評価が上がるのか明確である評価制度は、目標が明確になるため社員にとって嬉しいものです。日々の業務における目標が明確になることで「承認欲求」を満たせる道筋を見通すことができ、モチベーションアップに繋がります。

また、ポストや昇格、昇給条件を明確にすることも、モチベーションアップに繋がる要因のひとつです。これらが明確になることで、社員はライフステージに応じた必要ポストを計画することができるようになり、企業に長期的に所属しようとする考えが生まれます。

③「社員自身が考える機会」を与える

社員が自分で考えて行動することで責任感が生まれ、モチベーションアップが期待できます。ここで重要なポイントは、「自分で考えて行動したこと」であることです。

具体的には目標設定や仕事のスケジュール化、部下に解決策の提案を行わせる等があります。最初のうちは、上司が選択肢を用意したり、上司からの問いかけをしたりといったサポートが必要かもしれませんが、徐々に自発的に行動する習慣がついていくでしょう。これは、長期的なモチベーションアップに繋がる「内的動機づけ」となります。

④成功体験を積ませる

成功体験を積ませることで「これで良いんだ」という自己肯定感が生まれ、モチベーションが高まります。
「自己実現の欲求」を満たすことができ「さらにできるようになりたい」という欲求も生まれまるでしょう。

経験させる成功体験は小さなものでも構いません。例えばスケジュール通りに資料を作成できた程度でも、繰り返すことでモチベーションアップが期待できます。
高い成果を目指した場合は、成功体験は少なくなり、失敗する可能性も高くなるため、まずは小さな成功体験を多く経験させることを心がけましょう。

⑤現場の意見を尊重する

部下の意見を吸い上げることは組織にとって重要であり、モチベーションをアップさせる手段のひとつです。

会社という組織は複数の人間で目標達成を目指すチームプレイの要素があり、誰の力も借りないことは優秀な人であっても不可能です。
上司も例外ではなく、すべての事柄に精通しているということは稀で、専門性のある部下の意見を取り入れるということは目標達成に不可欠なものと言えるでしょう。

部下の意見を取り入れることで、「自分のことをよく見てくれている」という「上司の魅力」に繋がり、社員のモチベーションがアップすることになるのです。

⑥社内のコミュニケーションを活性化させる

社員同士が綿密なコミュニケーションを取ることで、社員は必要にされていると感じ、モチベーションアップが期待できます。
いくら高い給料やポストを与えられていても、ほかの社員から軽視されたり、仕事のための情報が不足していたりする場合は、全力で会社に貢献しようと思わないでしょう。

このような事態を防ぐためには、社員同士で悩みごとや仕事のコツ等を気軽に相談・共有できる環境の整備が必要になります。そのためのツールとして、社内SNSやチャットツール等を活用し、情報共有を図ることが重要です。

これらの環境の整備は、時に問題解決の新たな方法の発見やイノベーションに繋がり、生産性向上や業績拡大の効果もある優れた施策です。

社員のモチベーションを向上させた事例3つ

某アパレル系小売業①

社員が希望する部署へ異動できる人事制度を整備し、モチベーションアップを図っている企業があります。
社内の選考を通過した社員は自分が異動したい部署への異動が実現できるというものです。

異動先を自分で決定することで「自分で希望したのだから」という高い意欲を持って仕事に取り組むことができます。

加えて、キャリアをある程度自分で決められることから、将来の展望も描くことができるようになる等、モチベーションアップに寄与する施策であると言えるでしょう。

某情報・通信業

某情報・通信企業では、社員同士の気軽なコミュニケーションの場を提供するために、飲み会の費用に対し補助金を出すというユニークな施策を行っています。
この補助金の支給は一緒に飲んだことのない社員同士に限られています。

世代間ギャップの解消や、違う感性の人間と交流することでこれまで考えつかなかった問題解決方法の発見やイノベーションが発生するきっかけにもなり、モチベーションアップが期待できる非常に面白い施策です。

某アパレル系小売業②

殆どの会社は1日8時間勤務ですが、6時間労働とすることで余暇を大事にする施策を行っている企業もあります。

日本はどうしても日常生活が仕事に偏り、家族やプライベートがおろそかになりがちですが、この企業では1日の労働時間を減らすことで仕事以外の充実にも臨めます。これが「企業の魅力」となり、社員のモチベーションアップに繋がっているのです。

仕事の時間を減らすことで、余暇時間での新たな発想や、仕事中の生産性向上が期待できるでしょう。

社員のモチベーションを上げるには言葉による声かけも大切

感謝の言葉

急な仕事を引き受けてくれた部下に対し、感謝の言葉を伝えることはとても重要です。
感謝されると部下は成功体験を積み重ねることができ、「自己実現の欲求」を満たすことができます。
部下は命令に従って当然という考えは捨てて、積極的に声掛けを行いましょう。

信頼して任せることを伝える言葉

仕事を任せることで、部下は信頼されていると感じ、自信を持って仕事に望むことができるようになります。
まずは、リカバリーが容易な仕事は部下に積極的に割り振りましょう。その後、徐々に難易度を上げていくことで、部下の成長にも繋がります。
これにより、上司の負担が減り、部下のモチベーションアップにも繋がるため一石二鳥です。

ねぎらう言葉

仕事をやり終えた部下に対しねぎらいの言葉をかけることで、部下は「また頑張ろう」と内的動機づけが刺激されます。
加えて、上司が働きを見て評価してくれているという「上司の魅力」を感じ、さらにチームに貢献しようと意欲が増すのです。

感謝の言葉を受けて嬉しくない人はいません。
積極的に感謝の言葉を伝えて部下のモチベーションアップを図りましょう。

まとめ

社員のモチベーションを管理することは、経営者や人事担当者にとって必須とも言える重要なものです。モチベーション低下による悪影響を避けるために、マズローの自己実現論を理解した上で、企業、上司、職場の魅力を高める施策を積極的に行うと良いでしょう。

また、モチベーションを高める施策を行うとともに、部下への声掛けも積極的に行う必要があります。
各社が行っている施策等も参考にして、社員のモチベーションをアップさせていきましょう。

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oneplus編集部

この記事の執筆者

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