目視検査とは?その限界や効率的に行うためのポイントも徹底解説!

製造業において、効率化やコストの削減だけではなく品質も大切な要素となっています。品質向上のためにも不良品を見つける目視検査は欠かせません。本記事では、目視検査の種類や問題点、検査をスムーズに行うためのポイント等について解説していきます。

目視検査とは?外観検査との違いも解説

製品や部品の品質を人間の目で確認して不良品を検出する方法です。人間の五感を使って検査する官能検査の一つでもあります。

製品表面の傷や付着した異物等のチェックや印字ミスや形状不良等のチェックを目視で行います。似たような検査で外観検査というものがあります。ここではそちらとの違いについて紹介していきます。

外観検査との違い

関係性を先に説明すると、目視検査は外観検査の一部です。どちらも不良品を検出する方法であることには変わりありません。外観検査は、品質を維持・保証するために製品や部品の外観をチェックする検査を総称して呼びます。

表面の付着した傷や欠け、汚れ、異物、変形等の外観上の問題点を発見することが目的です。食品や機器等、業界を問わず様々な分野や製品で実施されています。

目視検査の種類

分類がわかったところで、さらに細かい検査の種類について見ていきましょう。各検査の目的やメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

インライン検査

製造ラインに検査手順を取り入れる方法です。大量生産を行う多くの製造工場ではライン生産方式を取り入れているため、製造過程で検査の設備や人員を配置して流れを止めずに行うことができます。主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:
・素早く検査が行える
・全数検査に利用しやすい
・自動化しやすく人件費を削減できる

デメリット:
・自動化しない場合は人件費がかかる
・自動化する場合は設備の設計が必要
・自動化する場合は設備費がかかる

オフライン検査

製造ラインとは分離した工程で検査を行う方法です。流れ作業にならないため、より精密な検査がしやすいと言えるでしょう。例えば、拡大鏡や顕微鏡を用いて細かい箇所まで確認できます。主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:
・精密な検査ができる
・設備費が抑えられる
・抜取検査に利用しやすい

デメリット:
・全数検査には向いていない
・検査員のスキルによりばらつきが出やすい
・精密な検査を行うため人件費がかかる

全数検査

対象の製品や部品をすべて検査する方法です。そのため、すべての製品や部品の品質を維持・保証できます。基準は自社のルールに則って設定し、判断していきます。主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:
・対象物すべての品質を保証できる
・市場へ不良品が流れるリスクが低い

デメリット:
・検査スピードに限界がある
・人員と時間が多く必要となる
・耐久検査や破壊検査には向いていない

抜取検査

各ロットからそれぞれサンプルを抜き取って検査する方法です。検査結果はロットごとに判定していきます。全数検査に比べて検査数が少なくなるため、費用や時間を削減することが可能です。主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:
・耐久検査や破壊検査に向いている
・費用や時間の削減に繋がる
・複数項目の検査が行える

デメリット:
・すべての製品、部品の品質を保証できるわけではない
・不具合の発生が起こり得る
・品質改善効果が小さくなってしまうこともある

目視検査における限界

人間の目を通してのチェックには多くのメリットがある反面、作業効率や精度には限界があります。ここでは目視検査の限界について、人間の能力や労働環境に注目してみていきましょう。

属人的で精度にムラがある

作業員個人のスキルや経験により精度の差が出てしまいます。また同じ作業員であっても、その日の体調やメンタルによって左右されることもあるでしょう。例えば、寝不足により集中力が欠けている状態では精度が低くなってしまうことも考えられます。

たとえ、同じルールや方法で確認していても個人で見え方に違いがあるため精度にムラが出やすいです。そのため、現場では検査項目を絞ったり、ルーペを利用して漏れを防いだりと対策が取られています。

多くの時間を要する

初心者とベテランでは精度が大きく変わってきてしまいます。未経験者が経験者と同じように取り組むのは難しいでしょう。なぜなら、細かい検査項目のチェックは経験を重ねて慣れていく必要があるからです。そのため、人材育成には多くの時間を要します。

機械に比べて効率が悪い

機械では素早く検査できますが、人間の目ではスピードに限界があります。ほかにも経験の差により判断に時間がかかってしまうこともあるでしょう。

だからといって、スピードを重視しようとすると精度が落ちてしまう危険もあります。そのため、目視検査は効率を求めるのではなく、高い精度を維持することを目的として行う方が良いでしょう。

検査員に負担がかかる

長時間、目を使い続け細かくチェックするため、集中力が必要です。そして、小さい製品であるほど目への負担が大きくなります。企業が効率を求めるあまり、休憩が不十分な環境もあることでしょう。これは、検査員の負担軽減やミスを防止するためにも労働環境の整備が必要な問題です。

効率的に目視検査するためのポイント

限界のある目視検査ですが、作業内容や環境を見直すことで無理なく効率的に作業が行えます。ここでは検査時のポイントについて見ていきましょう。

作業しやすい環境を整える

作業しにくい環境でのチェック漏れのリスクを減らすために、照明や音等の環境に気を配りましょう。照明が暗くて見にくい、騒音がひどい、作業場の臭いがきつい、といったことがないよう、集中力が落ちにくい環境を整備することが大切です。特に目を使った検査のため、照明の調整は重要です。

暗すぎたり、明るすぎたりすると目に負担がかかりやすくなります。目の疲れにより視界がぼやけたり、かすんだり、首や肩が凝ったりといった様々な症状を引き起こしてしまうでしょう。酷いときはめまいや吐き気等、全身に症状が出ることも。このように検査員の健康状態にも悪影響を及ぼすため、環境を整える必要があります。

スピードを求めすぎない

企業が効率化を求めるあまりスピードの向上を要求することもあります。しかし、人の目でのチェックはスピードに限界があります。限界を超えてスピードを求めることは検査員にとってプレッシャーになるでしょう。

それによりミスや漏れが多発してしまうことも。経験を積むことによりある程度のスピードアップは可能ですが、過度な効率を求めることはしないほうが良いでしょう。

検査時間を長くしすぎない

休憩をはさみ、短時間で検査することが重要です。集中力には限界があり、長時間作業は集中力が切れてミスや漏れが発生しやすくなります。同じ工程を繰り返し行うほど見逃しが増えてしまうでしょう。

時間が長くならないようにするためには、人員の配置も大切です。検査量に合った人員を確保しておくことで、急な欠員が発生して休憩時間が減ってしまうといった負担がないような体制を作りましょう。

基準書の内容を再考する

基準書の見直しにより精度の向上が図れます。経験が浅い新人は、基準書の内容が頼りです。品質を維持するためには誰が読んでも理解できるような基準書が必要となるでしょう。

また、作業内容や検査項目に変更があったときに追記や更新を忘れないことも重要です。先ほど述べたように新人にとっては基準書が頼りのため、基準書の内容と実際の手順が異なっているということが無いようにしましょう。

ノウハウを伝授する機会を設ける

経験を積んだベテラン検査員から新人へノウハウを伝授することも、全体の精度を上げるために欠かせません。

社内研修で実技を見せたり、認定制度を設けたりする方法が挙げられます。検査のテストを行い資格を与えることでモチベーションアップに繋がることも期待できます。

まとめ:目視検査には限界がある。ポイントを押さえて効率的に行うことが重要!

目視検査は品質向上のために欠かせない作業ですが、効率化を求めていくには限界があります。効率化を求めすぎると品質低下を招いてしまうこともありますので注意が必要です。目的や作業のポイントを押さえて、上手く取り入れていきましょう。

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