法人番号とは?メリットや対象となる団体・調べ方を解説

法人毎に13桁の数字を指定付与される、法人番号というものがありますが、どのようなメリットや制度があるのでしょうか。

本記事では、法人番号について詳しく説明すると共に、利用のメリットについてご紹介します。

法人番号とは?導入された目的も解説

法人番号は「マイナンバーの企業版」13桁の数字

法人番号とは、ひとつの法人に対して指定される13桁の数字です。企業毎に付与されるマイナンバーと考えると理解し易いでしょう。

国税庁より番号の指定が行われ、商号や名称、本店の所在地が法人番号と共に公表されます。

法人番号の目的は行政手続きや法人情報の管理と効率化

法人番号の目的は、行政手続きや法人情報管理の効率化と利便性の改善のためです。

法人番号に基づき、企業情報を一元管理できれば、行政側の事務コストの削減が可能です。また、法人番号に紐づく情報管理を行うことで、各行政機関の連携が可能になるため、各種手続きの簡略化にも繋がります。

また、法人番号を用いた企業の情報共有により、行政側も法人の状況を把握し易くなります。これにより、行政はより公平公正に法人の現状を分析し、税負担や給付制度についても検討することが可能です。

「マイナンバー(個人番号)」との違い

法人番号とマイナンバー(個人番号)は似ていますが、4つ違いがあります。以下にて詳しく違いを説明していきます。

  1. 番号の桁数が法人番号は13桁ですが、マイナンバーは12桁の数字ということ。
  2. 法人を管理する番号か、個人を管理する番号かということ。
  3. マイナンバーは原則公表されることはなく、本人以外利用はできません。しかし、法人番号は公表され、誰でも自由に利用可能です。
  4. マイナンバーはマイナンバーカードとして持つことが可能ですが、法人番号はカードとして持つことはできません。

一番大きな違いは、番号の公表があるかないかという点です。法人番号は、国税庁の法人番号公表サイトで誰でも自由に閲覧可能な状態となっています。

12桁の「会社法人等番号」との違い

会社法人等番号とは、各法人を見分けるための12桁の番号です。使用用途は様々で、登記事項証明書の取得時であったり、登記申請時に添付書類の省略を行う際に使用したりします。

法人番号は、法人毎に国税庁が指定する13桁の番号で、主に税金や社会保険等に関する手続きで利用します。

法人番号の導入には様々なメリットがある

行政手続きをスムーズに行える

法人番号を導入するメリットとして、行政手続きの効率化があげられます。

法人番号を活用し、各行政が情報連携を図ることで、ワンストップで処理を進められるようになります。

情報連携により、今まで各手続き毎に、何度も必要だった提出物、照合作業を省略できるようになれば、利用者側も行政側もスムーズに行政手続きを行うことが可能です。

社内の情報管理が円滑化される

法人番号の活用により、情報管理が円滑になることもメリットとなります。

例えば、社内で各部署毎に各取引先に対して、独自の取引先コードを設定しデータ集計を行っているとしましょう。

この場合は、他部署のデータを活用する際、自部署の取引先コードに合わせる必要があるため、企業名毎に名寄せし直す必要があり、データ活用に手間を要します。

しかし、各取引先コードに法人番号という共通の番号を紐づけることで、手間なく部署間で、効率的に取引先のデータを利用することが可能です。

このように、各データの共通番号として法人番号を利用することで、データの連携や紐付けが容易になり、情報管理を円滑に行えるようになります。

法人情報が容易に確認できる

法人番号は、法人番号公表サイトで誰でも簡単に知ることができます。サイト上で法人番号や法人名、所在地の確認が可能です。

従来であれば、取引先の法人情報リストを作成する場合は、各取引先のHPや情報をあちこち検索し情報をまとめていました。しかし、法人番号があれば、法人番号公表サイトに各企業の情報があるため、情報検索の手間を省くことができます。

新規営業先の開拓に利用できる

法人番号は、新規営業先の開拓にも利用できます。

法人番号公表サイトには、最新の法人情報が掲載されています。サイトでは、法人番号が指定された期間を絞り検索することができるため、新たな法人の登録があれば、すぐに確認が可能です。

このように、法人番号を活用し企業側は、新規の法人登録があれば、新規営業先として開拓すべき取引先か把握することができます。

法人番号は税金や社会保険手続きに必要

法人番号は、主に税金や社会保険関係の手続きで必要です。それぞれどのような書類で使用するのか説明します。

税金関係は、主に以下の通りです。税金の申告書や届出、源泉関係で使用します。

◆法人税、消費税関係

  • 法人税および地方法人税の申告書、法人設立届等
  • 消費税および地方消費税の確定申告書、消費税課税事業者届出書等

◆給与関係

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書等

◆支払調書関係

  • 源泉徴収票、支払調書等

社会保険関係では、以下の通りです。

◆社会保険関係(厚生年金、健康保険、労働保険)

  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

それぞれ、所定の場所に法人番号に記載が必要な書類です。

源泉徴収票に関しては、従業員交付用と税務署提出用がありますが、税務署交付用には法人番号だけでなく従業員のマイナンバーの記載も必要です。番号記載のある源泉徴収票を誤って従業員に渡さないよう、取り扱いには注意しましょう。

法人番号の対象になる団体・ならない団体は?

法人番号の対象になる団体の要件

法人番号の対象になるためには、以下の要件が必要です。

  • 設立登記を行っている法人:株式会社、有限会社、合同会社、一般社団法人等
  • 国の機関:省庁といった行政機関、立法機関、裁判所等
  • 地方公共団体:都道府県や市町村等
  • 人格のない社団等や設立登記のない法人で給与支払事務所等の開設届出書を提出している:税務署に一定の届出を行う企業や団体

外国に本店のある法人は、以下のいずれかに該当する場合は、法人番号の指定を受けます。

  • 税務署に給与支払事務所等の開設届出書、法人設立届出書、外国普通法人となった旨の届出書、収益事業開始届出書、消費税課税事業者届出書、消費税の新設法人に該当する旨の届出書または消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書を提出している場合
  • 上記以外で、一定の要件に該当し、国税庁長官に届出書を提出している場合

法人番号の対象にならない団体

個人事業主や有限責任事業組合、民法上の組合等は法人番号の対象外です。また法人には本社以外に、各支店、事業所等が存在しますが、これらにも番号の付与は行われません。これは、法人番号は法人毎にひとつのみであるため、本社以外には番号は付与されない運用となっているからです。

加えて、基本的に人格のない社団等も対象になりません。一般的にはPTAや協議会、同好会等があたります。

人格のない社団等は、法人格を備えていないことに加え、具体的には以下にあてはまる組織をいいます。

  • 団体組織として機能している
  • 多数決の原則が行われている
  • 団体のメンバーが変わっても、団体はなくならないこと
  • 組織の代表者の決定や、総会運営、会計管理ほか、団体として主要な点が決まっていること

人格のない社団等については、給与支払事務所等の開設届出書を提出している場合は、対象となります。

法人番号は誰でも閲覧可能

法人番号は、個人のマイナンバーと違い一般に公表されています。

国税庁の法人番号公表サイトで、誰でも自由に検索し確認が可能です。

法人番号の調べ方

国税庁の法人番号公表サイトを使う

法人番号は、国税庁の法人番号公表サイトで確認できます。

調べ方として、法人名や所在地から法人番号の検索が可能です。また、検索時には法人種別や変更年月等細かい条件を設定することができます。

逆に、法人番号から法人名や所在地等を調べることもできます。法人番号から検索する場合は、まとめて検索することが可能で、最大10件まで一括で法人情報を検索することができます。

自社の法人番号は法人番号指定通知書でも確認可能

法人番号が付与された時に、国税庁から送付される通知書が法人番号指定通知書です。この通知書を確認することで、自社の番号確認ができます。

ちなみに、紛失しても法人番号通知書は再発行されません。

法人番号に関する手続きの流れを詳しく解説

新たに法人を設立し登記したときの手続き

新たに法人を設立した場合は、登記を行う必要があります。登記手続では商号や名称、所在地、代表者情報や事業目的等必要な項目を法務局に登録し、情報を一般開示することになります。

登記完了後に国税庁から法人番号が付与され、後日法人税番号指定通知書が届きます。

ちなみに自社の法人番号は、原則登記が完了した日の16時か翌営業日11時に法人番号公表サイトで確認可能です。

これまで未指定の団体が法人番号の指定を受けるときの手続き

これまで未指定の団体や人格のない社団等が、法人番号の付与を受ける場合は、「法人番号の指定を受けるための届出書兼法人番号等の公表同意書」の書類提出が必要です。

提出書類には、番号指定を受けるために必要な以下要件に該当する旨、所定事項を記載します。

  • 国内に本店を有する法人に該当するか
  • 税務署長等に申告書・届出書等の書類を提出する団体に該当する等

そして、代表者等が氏名を記載した上で、国税庁長官宛に提出を行います。この時、併せて当該届出事項を証明する定款等の書類添付も必要です。

上記の手続きを行えば、これまで未指定だった団体も番号指定を受けることができます。

法人番号について気になる疑問を解消

法人番号指定通知書をなくしてしまった場合は?

法人番号指定通知書を紛失した場合は、自社の法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで確認しましょう。

番号は基本的に国税庁のサイトで確認ができるため、原則通知書の再発行はされません。どうしても証憑が必要な際は、サイト上の該当ページを印刷添付することで対応しましょう。

法人番号指定通知書が届かない場合は?

法人番号指定通知書は、法人の設立登記後、一週間程度で登記上の所在地に届くはずです。

しかし、新しく設立された法人の場合は、郵便局員は登記上の所在地に法人が居住していることに気付かず、誤った郵便物として差し戻してしまうことがあります。そのため、法人側は法人名記載の看板を設置する等、通知書が届くまでは、郵便局員が来た時にわかるように準備をしておくことがお勧めです。

その他、登記上の所在地に未入居だった、建物が建築中だった等で法人番号指定通知書が届かないケースがあります。

通知書が何らかの理由で届かなくても、法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで確認が可能です。必要な場合は、こちらのサイトで確認するようにしましょう。

また法人番号指定通知書は、法人番号を知らせるだけの通知書であり、原則通知書の再送付は行っていません。何かしらの理由で、通知書が届かない場合は、法人番号公表サイトで自社の法人番号を確認しましょう。

法人番号公表サイト検索しても出てこない場合は?

登記完了後、法人番号が指定され法人番号公表サイトで検索すれば出てくるはずです。検索しても、出てこない場合は検索方法を誤っている可能性もあるため、以下の点に注意し検索するようにしましょう。

◆「商号または名称欄」には法人種別は入力しない
法人の商号や名称で検索をかける場合は、株式会社や有限会社等の法人種別は省略して入力しましょう。法人種別を入れてしまうと、うまく検索ができません。

◆所在地から検索する場合は、丁目番地等は全角数字で入力
丁目番地等を入力する場合は、漢数字ではなく全角数字を使用します。

例えば「一丁目」は「1丁目」と入力しないと上手く検索されません。また、その後に番地が続く際、例えば「1番地1号」は「1-1」と置き換えて入力しましょう。

◆公表に同意していない人格のない社団等
人格のない社団等の場合は、「法人番号の指定を受けるための届出書兼法人番号等の公表同意書」が国税庁に提出されていなければ、検索しても表示されません。

◆法人番号の指定がない団体
以下に該当する場合は、法人番号の指定がそもそもないため、サイト上に掲載がありません。

  • 設立登記を行っていない法人
  • 人格のない社団等で、給与支払事務所等の開設届出書等の届出書や、法人番号の指定を受けるための届出書兼法人番号等の公表同意書の提出がない団体
  • 法人の本店ではなく、支店
  • 個人事業主や、民法上の組合、有限責任事業組合等

◆検索対象除外法人の場合
デフォルトのままだと検索対象除外法人は、除外され検索されます。

サイト上の検索条件の設定から「検索対象除外法人を検索対象に含める」のチェックボックスにチェックを入れて検索することで、検索可能になります。

まとめ

今回は法人番号について、その目的やメリットから活用方法について説明しました。

法人番号をうまく活用することで、行政手続きの効率化に加え、社内の情報管理の円滑化、新規取引先開拓へも繋がります。

法人番号が掲載されている、法人番号公表サイトを上手く活用し、今後の業務に役立てていただけますと幸いです。

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