製造業や小売業のみならず、バックオフィスにおいても必要な棚卸は煩雑な業務のため「少しでも効率化したい」と考える企業が多くあるでしょう。
本記事では、棚卸を効率化する方法や、ミスを削減する方法を紹介します。業務フローの見直しだけでなく、システムの導入も検討して業務効率化を図りましょう。
面倒な棚卸を楽にする方法とは?
棚卸は企業規模を問わず、面倒と感じる作業です。しかし、正確に棚卸を実施しない場合には企業の経営状態に支障を来す可能性があるため、ないがしろにできない作業と言えるでしょう。
ここでは、棚卸の内容や目的について理解を深めましょう。
棚卸とは?
棚卸は企業が持っている資産(商品在庫や備品等)の正しい数や金額を把握するために、保持している資産を数える作業を指します。
例えば、スーパーの場合は店頭に並んでいる商品や、バックヤードに抱える在庫を数えることを指します。また、バックオフィスでは在庫として抱える事務用品等、消耗品を数えることを指します。
上記のように、企業の資産をカウントする行為を「棚卸」と呼びます。
棚卸の目的
棚卸の目的は「資産を正確に把握するため」です。どの企業も常に商品や消耗品の在庫状を把握していますが正確な数まで把握することは難しいでしょう。
資産は日々増減します。そのため、自分では正確に把握していると思っていても「帳簿上と合わない」というケースが多くあります。帳簿上の数と現在庫の数が合わない場合は、企業の状態を正確に把握できません。最悪のケースでは、資金繰りにまで影響をおよぼす可能性もあります。
そのため、企業にとって棚卸はなくてはならない業務と言えるでしょう。
棚卸で面倒な作業は…
多くの企業において、棚卸が面倒と感じる理由は「作業内容が単調かつわずらわしい」という点にあります。棚卸は「商品や消耗品を数える」という単調な作業ですが、いくつもの商品を数えるため、だんだんと「これくらいでいいか」と雑な作業になる従業員も発生するでしょう。
製品を見つけるのにも時間がかかる
特に商品品目が多い小売店の場合は、製品を把握するまでに時間がかかる点も面倒と感じる要因です。
季節や売れ行きによって、取扱商品が変更になると商品を把握したり、棚卸リストに加えるだけでも手間がかかります。さらに、倉庫で商品を管理している場合は「どこにあったかな」と探すところから始まるためより煩雑な作業に感じるでしょう。
棚卸を効率化する方法
ここからは、棚卸を効率化する方法を6つ紹介します。自社に導入できるものからじょじょに取り入れることで、無理なく効率化を図れます。
シールで目印をつける
棚卸の問題として「どの商品を数えたかわからなくなった」というものが挙げられます。倉庫内の商品と数量を記入するリストが対応していない場合は商品探しからスタートします。
しかし、棚卸を進める中で「数えた商品はシールで目印を付ける」という行動をとることで、どの商品を数えたかを瞬時に判断できます。そのため、数え終わった商品のバーコード部分に、赤いシールや蛍光シール等、目立つシールをつけておくと良いでしょう。
管理ラベルにチェック欄を設ける
商品の管理ラベル部分にチェック欄を設ける方法も有効です。シールの場合は、シールを貼る作業が大変と感じる場合もあるでしょう。しかし、チェック欄を設けておけば、数を記入したその流れでチェックをつけられます。
また、在庫を長期間保有する企業の場合は、チェック欄を多めに設けておき、毎年確認した証拠が残る仕様にする方法もおすすめです。
棚卸リストに画像をつける
棚卸する商品を可視化する方法も有効です。文字の羅列ばかりでは、作業者によっては見にくいと感じることもあります。
しかし、商品の画像をリストに組み込んでおけば、探す時間を大幅に短縮できます。
作業手順の見直し
棚卸の手順を定期的に見直し、改善することも大切です。リスト化やカウント、集計や入力等様々な作業がありますが、それぞれの段階で担当者の声を聞き入れましょう。「この作業方法はやりにくい」「管理バーコードがついている商品とついていない商品があるから担当者以外に対応できない」等、現場の担当者ならではの改善点に気付けます。
重量で棚卸をする
棚卸は在庫数を「ひとつ、ふたつ」とカウントする方法がほとんどです。しかし、重量の観点で棚卸を実施するとスピード精度を格段にアップ可能です。
例えば、製造業でネジ等の部品をカウントする場合には1本ずつ数えると膨大な時間を要します。しかし、ネジの総量を計測すると正確かつ簡単に数えることができます。
上記のように、重量で計測できる商品に関してはスケール(はかり)を使う方法も有効です。
棚卸アプリ・管理システムを利用する
近年、多くの企業で導入が進む棚卸アプリや在庫管理システムも効率化におすすめです。アプリやシステムの場合は、煩雑な作業を削減するだけでなく、正確性も高くなります。
在庫をリアルタイムで把握できたり、過去のデータをすぐに確認できるため、棚卸の作業だけでなく在庫の適正管理にまで有効活用できます。
ミスの多い棚卸作業を効率化する方法
最後に、ここでは今日からできる棚卸作業の効率化方法を3つ紹介します。どれも業種関係なく、すぐに実践できるものばかりです。是非自社の棚卸に役立ててくださいね。
ミスを減らす方法①:二人一組で行う
一人ですべての商品を数えて入力するまでを行うと、疲労からミスが頻発します。そのため、棚卸作業は最低でも二人一組で行いましょう。
具体的には「数える人」「記入や入力担当」と分かれます。さらに効率化する場合は、一人が数を数えている間に次の商品を探す方法も良いでしょう。
ミスを減らす方法②:状態のチェックも忘れずに
棚卸は在庫数のカウントに集中してしまいがちですが、同時に品質チェックを行うと不良品の回収もできるためおすすめです。
在庫として数えても、商品にならない場合はロスとして計上されます。そのため、棚卸の際は商品の状態を確認する作業も同時に行いましょう。
ミスを減らす方法③:棚卸の実施者と台帳記入者を分ける
企業によっては、棚卸の実施者と記入者が同じ場合もあります。しかし、これらの作業を同一人物が行うとミスに気付きにくくなるデメリットがあります。
そのため、できるかぎり実施者と記入者は分けるように努めましょう。二人一組で作業を行うことと同じように、疲労から発生するミスや思い込みでミスを見逃してしまう可能性を低くできます。
まとめ:棚卸を楽にして、かつミスを減らしていこう
今回は多くの企業が頭を悩ませる棚卸について、問題点や解決法を紹介しました。棚卸は「在庫を数えるだけだから大したことがない」と思われることが多い作業です。しかし、ミスがあったり、非効率的な方法をとっていると費用ばかりかさみ、経営に問題を起こす可能性があります。
そのため、棚卸は工夫して正確かつ効率的に行わなければなりません。シールやチェックリストで工夫することや、システム導入など、自社にできる最善の方法を採用して棚卸の最適化に努めましょう。