営業外収益とは?含まれる勘定科目と営業外収益を評価するヒント

営業利益から経常利益を計算する際、必要となるものに「営業外収益」があります。利益のメインとなるものではないため、聞き慣れない方も多いかもしれません。しかし、経営状態を細かく分析していくときに、営業外収益についての知識は不可欠となります。

この記事では、営業外収益にはどんな勘定科目があるのか、ほかの収益項目と何が違うのかを解説します。金額が大きい場合の注意点や正しく計上するためのポイント等も知っておきましょう。

目次

営業外収益とは?含まれる代表的な勘定科目

営業外収益とは、メインの事業活動以外で生じる経常的な収益

会社の主な事業活動以外から、経常的に得られる収益のことを営業外収益と呼びます。会社の余剰金や資産を運用して継続的に得ることのできる収益のことで、財務活動から生じるものが多くあります。

なお、保有していた土地を売却して得た収益等、会社の本業以外で得ていても臨時的なものは「特別利益」とされ、営業外収益には含みません。

営業外収益には例えばこんなものが含まれる|勘定科目とその仕訳の例

具体的にイメージしにくい営業外収益ですが、様々な勘定科目が含まれます。本業以外によるものであるため、普段あまり意識することのないものかもしれません。しかし必要に応じて多少は発生するものです。詳しく見ていきましょう。

1.受取利息|預金や貸し付けで得られる利息

受取利息は、金融機関へお金を預けたり、外部へお金を貸し付けたりすることで受け取れる利息のことです。ただし受取利息には税金がかかり、受取利息が口座に振り込まれる際にはあらかじめ源泉徴収が行われていることが一般的です。仕訳の際は、実際の入金のほかに、源泉徴収分を計上することが必要です。

【例】預金の利息20,000円から源泉徴収が行われたのち、普通預金口座に入金された。(法人の場合。税率15.315%)
普通預金  16,937  / 受取利息 20,000
仮払法人税 3,063

2.受取配当金|所有する株式の分配金等

受取配当金は、株式や投資信託等を保有することで受け取ることのできる配当金のことです。ただし、自己株式からの配当金は計上しません。受取配当金にも税金がかかり、入金の際には源泉徴収が行われます。

【例】保有する株式の配当金100,000円から源泉徴収が行われ、普通預金口座に入金された。(法人の場合。税率15.315%)
普通預金  84,685 / 受取配当金 100,000
仮払法人税 15,315

3.有価証券売却益|有価証券の売却で出た利益

有価証券売却益は、売買を目的とした有価証券を売却したことによる利益です。株式のほか、国債・地方債、社債等も含まれます。

なお、この時に得た利益も法人税の対象となりますが、源泉徴収を行ってくれる株式売買用の特定口座を開設していない限りは源泉徴収は行われず、売却益もすべて口座に入金されます。したがって、有価証券売却益については確定申告を行う必要があります。

【例】100,000円で取得した株式を120,000円で売却し、売却金額は普通預金に入金された。
普通預金 120,000 / 売買目的有価証券 100,000
            有価証券売却益  20,000

4.有価証券評価益|所有中の有価証券の価値が上がった際の差益

有価証券評価益とは、期末に所有している売買目的有価証券の価額を評価し、前期末または購入時の簿価との差額を計上するものです。売買目的の有価証券は、1期ごとに期末時点の簿価を評価し、その価値を把握しておく必要があります。

【例】期末につき、今期首に500,000円で取得した売買目的有価証券の評価を行ったところ、530,000円であることが分かったため、評価替えを行う。
売買目的有価証券 30,000 / 有価証券評価益 30,000

この場合は、元々500,000円であったこの有価証券に30,000円分プラスする仕訳を行うことで、資産に計上されているこの有価証券の時価は530,000円となりました。

5.有価証券利息|有価証券を所有することで受け取れる利息

有価証券利息は有価証券を所有することで得られる利息です。社債等の満期保有目的債券を保有している場合は、配当金ではなく有価証券利息が支払われます。また、満期保有目的債券の評価にも使われます。時価で評価することはありませんが、満期日に額面総額に到達するよう決算ごとに評価しておく処理を行います。

【例】所有しているA社の社債について、社債利札30,000円の期限が到来し、普通預金に振り込まれた。
普通預金 30,000 / 有価証券利息 30,000

6.仕入割引|仕入れ代を早く支払ったことで受けた割引分

仕入割引とは、仕入代金を期日より早く支払うことで、一定の割引を受けることができるものです。

例えば、お金を借りているときには金利が付き、借りている期間が長くなるほど利息も膨らんでいくものです。仕入割引はこの逆のようなもので、払わずにいる期間を短くすることで仕入額を割引してもらう仕組みです。ただし、仕入割引が適用されるかは取引条件によって異なるため、取引開始時に確認しておくといいでしょう。

【例】買掛金1,000,000円について、期日より1か月早く支払うことを申し出たところ5%の割引を受け、普通預金から支払った。
買掛金 1,000,000 / 普通預金 950,000
            仕入割引 50,000

7.為替差益|為替相場が変動することで生じた差益

為替差益とは、外国為替の変動によって生じた損益を処理する科目です。例えば、外国の企業とドルで取引を行う場合は、売掛金が発生したときはその時点の為替で一旦仕訳を行います。しかし決済は決済日の為替で行われます。売掛金発生日と決済日の為替に変動があると、その差額を調整しなければなりません。

【例1】米国の企業A社に、商品3,000ドルを売り上げた。この日の為替は1ドル120円である。
売掛金 360,000 / 売上 360,000
【例2】例1の売掛金が普通預金に入金された。決済日の為替は1ドル130円である。
普通預金 390,000 / 売掛金  360,000
            為替差益 30,000

8.雑収入|営業外収益にあたるがほかの勘定科目に該当しないものを計上

雑収入は、上記のどれにも当てはまらない営業外収益について使う勘定科目です。独立した科目として計上するまでもない、少額で重要性の低いものに使われるのも特徴です。具体的には、税金の還付加算金、自動販売機の設置料、現金過不足の期末処理等、様々な場合に使われます。

【例】実際の現金有高より100円多かったものを現金過不足で仕訳していたが、期末になっても解消されないため、営業外利益に計上する。
現金過不足 100 / 雑収入 100

営業外収益と共に損益計算書に並ぶ科目との違い

営業外収益は損益計算書に記載される項目の一つです。比較的イメージしにくい営業外収益ですが、損益計算書に並ぶほかの収益項目と比較することで、より理解が深まります。

売上高との違い|得た収入の出元が本業か否か

売上高との違いは「本業によって得た収入かどうか」です。本業かどうかは、定款の「主たる目的」に記載されているかどうかで判断します。

また、運営の状況や人員の配置から見て、継続的・反復的に行われている事業としての実態があるかどうかも判断基準となります。実態がない場合は、定款に記載されていても本業であるとは言い難いでしょう。

特別利益との違い|収益が得られるのが経常的か一時的か

特別利益との違いは「一時的・臨時的に生じた収入かどうか」です。本業以外で得られるという点は、営業外収益も特別利益も共通しています。

営業外収益は、継続して預金を続けることで得られる利息や、土地等を賃貸することで経常的に得られる収入等があります。

一方の特別利益は、固定資産の売却益や、災害や事故等からの保険金の受け取りによって得られる保険差益等、その期のみの特別な要因から一時的に発生するものです。

営業外収益をどう評価するか?数値を見るヒント

営業外収益の業種別目安を見てみよう

経済産業省の2019年度の統計データ「企業活動基本調査」によると、売上高に対する営業外収益の割合は、業種・資本金規模別で以下のようになっています。

50億円未満50億円以上100億円未満100億円以上
製造業1.4%2.1%5.0%
電気・ガス業0.9%0.4%2.2%
情報通信業0.9%2.3%2.8%
卸売業0.7%1.2%4.4%
小売業0.6%1.3%0.6%

引用:経済産業省 企業活動基本調査

資本金の額が大きい会社ほど、売上高に対する営業外収益の割合が高い傾向にあることがわかります。製造業は生産過程で発生するスクラップや副産物等を売却できることから、割合が高めになっていると考えられます。

また、この中では比較的製造業と卸売業の営業外収益割合が高く、売上高が高いほど営業外収益を得るための資産運用もしやすいと言えそうです。

電気・ガス業や小売業では、営業外収益の割合が資本金の額に比例しているわけでもなく、会社ごとの方針によっても異なると考えられます。

営業外収益は多すぎると金融機関からの印象が悪い

売上高よりも営業外収益が多い場合は、金融機関からの評価に影響することがあります。本業以外の収入の方が多い状態は、ビジネスモデルとして適切でないとされるからです。

投資による営業外収益が多い場合は、投資先の経営状態に左右されるため、投資先に依存しているとも言えます。あくまでも「本業以外」の収益であるため、本業を土台としたビジネスモデルに改善していく必要があるでしょう。

営業外収益を計上するときに気をつけたいポイント

営業外収益が多すぎるとリスクとなるため、誤って計上しすぎないように気を付けたいものです。ここでは、計上するときのポイントをご紹介します。

計上する内容が売上高にできるものではないか検討する

取引先から受け取る手数料やロイヤリティ等は、営業外収益として計上しがちです。しかし本業からの収入である場合は、名目は関係なく「売上高」とすることができます。本業なのかそうでないかを本質的に見極め、仕訳を行う必要があります。

計上する内容が販売管理費と相殺可能ではないか検討する

借り上げ社宅の家賃や光熱費等、立替えて支払った費用分の金額を受け取った際に、営業外収益として仕訳を行う場合があります。

しかし、この場合は経費と相殺すれば営業外収益を抑えられ、さらに経費も減ることになるので営業利益の確保にも役立ちます。営業外収益が多い場合は、販売管理費等の費用と相殺できないか検討してみましょう。

営業外収益は税法上どのように扱うのか?

法人税|益金算入の対象

税務上すべて益金となるため、課税対象となります。過剰な営業外収益への計上を減らすことで、金融機関からの評価や営業利益確保のほかに、節税にも繋がります。収益であることには変わりありませんが、誤って多く計上しすぎることのないようにしましょう。

ただし、出資者の立場で受け取った配当金については、二重課税を防ぐために益金算入が限られています。また、固定資産取得のための補助金等は、取得価格の圧縮記帳が行えるため、圧縮損との実質相殺ができます。

消費税|勘定科目によって扱いが異なる

消費税の扱いは、どのようにして得た収益かによって異なります。まず課税売上となるのは、作業くず等の副産物の売却や、不動産賃貸による収入等があります。非課税売上には、受取利息や有価証券利息、有価証券の売却益等があてはまります。

仕入割引は特殊で、「課税仕入額のマイナス」として扱われるため、仕訳の際には税区分に注意しましょう。配当金や補助金、為替差益等については、消費税の課税対象に当てはまらないとされ、非課税となります。

まとめ

自社の営業外収益を知ることで、本業とそうでないものとの適切なバランスを理解できるでしょう。また、課題も見えてくるかもしれません。

金額の割合は低い場合が多いですが、企業によって差が出る部分でもあり、金融機関等からの評価や法人税額にも関わります。しっかりと理解し、必要であればビジネスモデルを改善することも検討しましょう。

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oneplus編集部

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