働き方改革が始まったきっかけとは?改革内容やメリットについても解説

現在、多くの企業において働き方改革の推進による労働環境の改善が取り組まれています。では、この働き方改革とはどのような問題がきっかけで始まったのでしょうか。本記事では、働き方改革が始まったきっかけや、内容、企業や労働者が受けるメリット等について紹介します。

働き方改革が始まったきっかけとは

働き方改革とは、働く人々が多様な働き方を自分で選択できる環境を整備するための取り組みです。では、この取り組みは何がきっかけで始まったのでしょうか。ここでは、現在日本で問題になっている労働環境や社会状況をふまえた上できっかけを解説していきます。

①出生率の低下

まず一つ目の理由として、「出生率の低下」があります。現在、日本の人口は減少傾向にあり、少子高齢化社会に変化してきています。そして、このまま出生率が低下していけば労働人口の減少の原因にもなるでしょう。

出生率の低下に歯止めをかけるためには、ワークライフバランスの改善が必要です。現在、日本では共働き世帯が増えていく中で、育児と仕事の両立が難しいという問題があります。特に女性は、結婚・出産・子育てによりキャリアアップの機会が失われることが多くあります。このような環境を改善するためにも、働き方改革による産休・育休制度や復帰支援等が必要です。

②労働人口の減少

働き方改革が始まる大きなきっかけが、この「労働人口の減少」です。労働人口の減少は日本社会の様々な場面で悪影響を及ぼします。もっとも直接的な影響は、各企業の人手不足の深刻化です。この問題を解決するためにも働き方改革を推進し、女性や高齢者等、労働人口の範囲を広げていくことが必要でしょう。

また、労働人口の減少は日本の社会保障システムにも重大な影響を及ぼします。健康保険制度は受給者が増加する一方で支え手が減少するため、予算がひっ迫するでしょう。このように将来の生活にも影響があるため、一刻も早い改善が求められています。

③労働生産性の低迷

労働生産性とは、働き手1人当たりが1時間で生産できる成果のことです。少ない時間で多くの成果を上げられる場合は、労働生産性が高くなります。

日本はアメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア等の主要先進国と比較すると、この労働生産性が最下位です。この状況を変革していくためにも、働き方改革による生産性向上が重要と言えるでしょう。

働き方改革が始まる前の労働環境

働き方改革の開始後、少しずつではありますが様々な企業で労働環境の変化が見られてきているようです。では、この改革が始まる前の労働環境とはいったいどのようなものだったのでしょうか。ここでは「長時間労働」という問題点に焦点を当てて紹介していきます。

①長時間労働が当たり前

先述したように、改革のきっかけには労働生産性の低さがあります。この原因が長時間労働の浸透でした。これはバブル期の働き方がきっかけとも言われています。バブル期は多くの職種が好景気で、労働者の賃金は上昇していました。

そのため、朝から夜遅くまで働くことを嫌がる人が少なかったと考えられます。賃金が高く、働いた分だけ上昇していく時代では、長時間労働が当たり前になっていました。

②長時間労働による過労死

しかし、この時代から「過労死」という言葉も度々耳にするようになりました。そして、長時間労働の問題点があらわになった大きなきっかけが、1991年のバブルの崩壊です。企業は経済的に苦しい状況に追い込まれ、リストラや新規雇用の停止等により人員を削減する必要がありました。

その結果、1人当たりの労働量が増加したと考えられます。この人員不足による過重労働は過労死に繋がり、さらには過重労働をきっかけに起きた自殺により問題が表面化しました。このような長時間労働による問題が、多くの人の働き方に対する考えを改めるきっかけになったと考えられます。

きっかけを踏まえた働き方改革の内容

過去の問題点や、現在の日本の状況をきっかけに始まった働き方改革。では、労働環境の改善のために、具体的にどのような取り組みを推進しているのでしょうか。ここでは、改革の内容を3つに分けて解説します。

①多様な人材や働き方の採用を推進

労働人口の減少を解消するために、労働者の範囲を広げる取り組みが推進されています。特に、女性と高齢者の雇用については重要な課題です。高齢者の多くは就労意欲が高いと言われています。年齢による制限をなくし、高齢者でも働き続けられるような取り組みを行えば、人手不足の解消にも繋がるのではないでしょうか。

また、女性は結婚・出産・育児により働きたくても両立が難しく、仕事をやめざるを得ない状況に陥ることも多いでしょう。テレワークの推進や、時短勤務、育休制度等の支援により働き続けられる環境を整備することも、人手不足の解消に繋がると考えられます。

②労働時間や環境の改善

劣悪な労働環境や長時間労働は健康リスクも高めてしまいます。そのため、多くの労働者が働きやすい環境を整備し、健康に長く続けられることも大切です。日本における労働環境の問題点には、長時間労働や有給消化率の低さ等があります。

これらを解決するために、勤務間インターバル制度や時間外労働の上限規制、長時間労働者への健康措置等の対策が図られています。有給休暇については労働基準法の改正により、年10日以上の有給を支給されている労働者は、年5日の取得が義務付けられました。

③雇用形態による不合理な格差の改善

現在、雇用形態は正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト等、様々あります。この雇用形態の違いによる格差は、多くの企業で存在しているのではないでしょうか。同じ業務内容でも、非正規というだけで賃金が安かったり、利用できる福利厚生の範囲が異なっていたり、といったこともあるでしょう。

このような格差をなくす取り組みとして、働き方改革があります。特に賃金格差については、「パートタイム・有期雇用労働法」や「労働者派遣法」等が改正されて、格差をなくす取り組みが行われています。

働き方改革により企業と従業員が受けるメリット

働きやすい社会を目指すためにも欠かせない働き方改革ですが、企業や従業員にとっては具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、それぞれが受けるメリットについて紹介します。

①企業に対するメリット

企業に対する主なメリットは以下の3つです。

・人材の確保と定着:働きやすい環境が整えば、自然に働きたいと思う人は増えていくでしょう。そして、多様な働き方が選択できる環境であれば女性や高齢者まで、より幅広い人材を確保できます。また、育児や介護による離職も防ぐことも可能です。

・生産性の向上:多様な働き方を選択できることで、それぞれの能力が発揮されやすくなると考えられます。それは業務の効率化にも繋がり、結果的に長時間労働の解消や生産性の向上に繋がっていくことでしょう。

・経費削減:労働環境の整備は時間外労働の削減に繋がります。また、多様な働き方を実現することでテレワークが普及すれば、オフィスの賃料を抑えることも可能です。

②従業員に対するメリット

従業員に対する主なメリットは以下の3つです。

・適切な評価を受けられる:雇用形態による格差がなくなることで、正規社員・非正規社員に関係なく、業務内容に応じた評価を受けることができます。

・ワークライフバランスが整う:長時間労働の解消やテレワークの推進により、生活や趣味に時間をかけることが可能になります。また副業にも取り組みやすくなることでしょう。休息をしっかりとることは、労働意欲や生産性にも良い影響を与えると考えられます。

・ライフスタイルの選択肢が増える:出産や育児、介護等によりライフスタイルが変化しても、仕事をやめることなく働き続けることが可能になります。

まとめ:働き方改革によりすべての人が働きやすい環境へ

働き方改革の推進による労働環境の改善は、労働者個人から社会全体にまで良い影響を及ぼします。今後の日本の課題である、少子高齢化問題を解決するためにもこの取り組みは欠かせません。

本記事では、働き方改革のきっかけとなった問題点や改革の内容、メリットについて紹介しました。多くの企業が、現在の労働環境を見直し、変革していくためのきっかけになればと思います。

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oneplus編集部

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