働き方の自由度が高い個人事業主に興味を持つ方は多いのではないでしょうか?しかし、自由度が高い分、自分の手でやらなければいけないこともたくさんあります。その一つが経理業務です。本記事では個人事業主に必要な経理業務の内容から作業方法まで基本を解説していきます。
個人事業主に必要な経理業務
会社員から個人事業主に働き方を変えたとき、働く時間や場所が自由になることが多いです。一方で、今までは会社がやってくれていた業務も、自分で対応しなければいけません。個人事業主に必要な業務の内容や方法を知らないと損をしてしまうこともあります。
会社員であれば会社がまとめて行ってくれていた経理。個人事業主に必要な経理業務は具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
経理とは?
そもそも経理とは、日々のお金の流れや取引について記録することです。活動していくうえで発生する経費を管理し、経営状態を適切に示す役割があります。
企業であれば、経理部門がこの業務を担いますが、個人事業主は自分の手で記録・管理が必要です。さらに、個人事業主の場合は税金の納付も自分でする必要があるため、日々の管理がより重要となります。
財務状況を把握する
個人事業主は、生活を営むために自分で事業を行い、稼ぐ必要があります。そのため、財務状況の把握がとても重要です。毎日の現金管理から、毎月の売上額や支出額の管理、毎年の確定申告まで、すべて自分でスムーズに対応できるよう、お金の動きを理解する必要があります。
納税額を計算する
個人事業主は確定申告を行い、1年分の所得額から納税額を計算し、毎年3月に税務署へ納税する必要があります。個人事業主が収める主な税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税等です。こちらの具体的な内容については、後ほど説明いたします。
開業に伴う業務
個人事業主として、事業を始める場合は、様々な書類の提出が必要となります。
個人事業の開業・廃業等届出書の提出: 事業を始めてから1か月以内に税務署へ提出しましょう。
青色申告承認申請書の提出:確定申告の際に、青色申告を受けるための承認手続きです。青色申告をする年の3月15日までに税務署へ提出しましょう。
事業開始等申告書の提出:事業を始めたことを都道府県に知らせるための書類です。都道府県税事務所へ提出しましょう。
個人事業主の期間に応じた経理業務は主に3種類
個人事業主は事業活動そのもの以外にも、日々経理業務をこなす必要があります。経理業務も内容によって、日々対応が必要なものから、月に1回、年に1回と頻度は様々です。ここでは、期間別の経理業務の内容を紹介していきます。
1.日次業務
個人事業主の日々の業務には、毎日の現金管理や記帳等があります。
・事業で使った経費の支払い
・現金やそれ以外の金銭取引の入出金と記帳
・領収書や請求書、納品書等書類の発行と整理
この日次業務で特に重要なのが入出金管理です。会社員のころはあまり通帳記帳しなかったという人も、必ず記帳して記録として残す癖を付けましょう。
2.月次業務
毎月の業務には、賃借対照表と損益計算書の作成等があります。
・外注先への支払い
・取引先への請求や回収
・予算と実績の管理
・月ごとの決算書の作成
個人事業主には、月ごとの決算書の作成や予算と実績を管理していない人も多くいます。しかし、青色申告を行う際に必要となるため、必ず行うようにしましょう。
3.年次業務
年ごとの業務には、毎年3月に行う確定申告があります。賃借対照表や損益計算書をもとに青色申告書を作成し、税務署へ提出しましょう。従業員を雇っている場合は、年末調整の対応も必要です。手続きを行い、所得税の差額分を従業員へ還付もしくは徴収します。
個人事業主が納める種類別の税金
個人事業主になった時に意識しなければいけないことの一つに、税金対策があります。個人事業主が納めなければいけない税金には、所得税、住民税、個人事業税、消費税等があります。税金対策は、個人事業主が事業を継続していくためにも、非常に重要なことです。
所得税
所得税とは、個人が毎年1月1日から12月31日までの一年間に、事業を通じて得た所得に対してかかる税金です。個人事業主は、次の年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、税務署へ税金を納めます。
所得税の支払いは主に二つの方法があります。一つ目は、納付書に金額を記入して管轄の税務署または金融機関で支払う方法です。二つ目は、口座振替や電子納税等で支払う方法です。
住民税
住民税とは、所得にかかる市町村民税と都道府県民税のことです。住民税の支払いは、各自治体から送付される納付書に従って納税の手続きをします。
こちらの納付書は確定申告を済ますと、その情報をもとに各自治体が住民税を計算して送ってくれるため、自分で計算する必要はありません。
個人事業税
個人事業税とは、事業内容に対してかかる税金のことです。所得税を確定申告していれば、その年の8月頃に都道府県税事務所から納付通知書が送付されます。納付通知書に記載されている期限までに納付を行いましょう。
こちらも住民税と同様に、確定申告を済ましていると、その情報をもとに個人事業税を計算してくれるため、自分で計算する必要はありません。
消費税
消費税とは、サービスを販売した際や商品の購入時に、購入者が負担する税金のことです。原則として、前々年度の売上が1,000万円を超えた場合にかかる税金です。
また、開業してから2年間は免除されるため、この期間の納税義務はありません。しかし、開業してから2年以内であっても、特定期間(前年1月1日~6月30日)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、納税の義務が発生します。
その他
上記の4つ以外にも個人事業主が納める税金には、
・固定資産税
・自動車税種別割
・軽自動車税種別割
・不動産取得税
・印紙税
等があります。
個人事業主が行う経理作業の手段
個人事業主に必要な経理業務は幅が広いです。しかし多くの人は、事務作業に時間をとられることなく事業活動自体に時間を注ぎたいと思っているのではないでしょうか。かといって、経理業務をおろそかにして後々泣きを見るのは自分自身です。ここでは経理業務を効率よくこなすための手段を紹介していきます。
エクセルを利用する
エクセルは会社員時代でも利用していて、使い慣れている方が多いのではないでしょうか。表計算ソフトですので、関数を入力すれば簡単に集計業務を行えますが、エクセルには連動性がありません。1つの帳簿に複数の項目を入力したい場合は、複数のファイルを作成する必要があります。
アウトソーシングを利用する
経理は専門知識が必要で、正確な作業が求められるため、慣れていないと時間をとられてしまう業務です。効率を高めるためには、専門的な知識を持っているアウトソーシングを利用する方法もあります。
正確さと早さを兼ね備えた経理のプロが対応してくれるため、自分自身は事業活動自体に専念できます。効率を求めるならアウトソーシングの利用がおすすめです。
会計ソフトを利用する
会計ソフトは、日々の仕訳から決算書の作成等、個人事業主の経理に関わる業務をサポートしてくれるソフトです。アウトソーシングはプロに経理業務を代行してもらいますが、会計ソフトは自分で経理業務を行うことになるので、効率を高めつつ経理についての知識も身に付きます。
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個人事業主の方もまとめ:基本的な経理業務を覚えて効率よく対応できるようにしよう!
本記事では、個人事業主に必要な経理業務の内容から効率を高める方法まで紹介してきました。個人事業主の経理業務は幅広く専門知識も必要なため、慣れていないとかなりの時間を費やしてしまいます。
事業を継続させていくためにも、アウトソーシングや会計ソフト等を利用して作業の効率化をはかりましょう。