人ができない仕事や人の仕事を手助けしてくれるAI。私たちの生活を豊かにするために欠かせない存在となっています。近年、急速に成長しているAI技術ですが、今後もさらに発展していくと考えられるでしょう。本記事では、そんなAIの技術やできること、できないこと、今後どのように活躍していくか等について紹介していきます。
AIとは何か?主に2つに分類される
「Artificial Intelligence」の略で日本語では「人工知能」といいます。この言葉の意味は、明確には定義されていません。しかし、広い意味では人のような知能を持ち、特に知的なコンピュータープログラムを作る科学や技術を指しています。
AIは経験から学び、学習を繰り返していきます。そして、学習した内容を応用して柔軟にタスクをこなすことが可能です。これは大きく分けて「特化型」「汎用型」の2種類があります。現在、一般的に開発が進められているのは特化型です。ここでは、それぞれの特徴について見ていきましょう。
特化型人工知能(限定された領域で活用)
「弱いAI」とも呼ばれています。なぜなら人間としての感性や思考回路が存在しないからです。課題に関係するデータから自動的に学習や処理を行い、限られた範囲の中で特定の課題に対してのみ対応していきます。
例えば、チェスのAIは、囲碁を打つことはできません。また、天気を予測するAIは、自動運転はできません。現在は、このような個別の分野や領域に特化したAIの開発が進められています。
汎用型人工知能(自ら考えて行動する)
「強いAI」とも呼ばれています。なぜなら人間のように自己の意識を持ち、自ら考えて行動できるからです。このAIは範囲が限定されておらず、人間と同じように様々な課題に対して柔軟に対応できます。2010年代に登場したディープラーニングの技術によって研究が活発になっていますが、未だ開発は実現できていません。
AIはどのように学習しているか
AIと一口にいってもその種類は様々で、現在は特化型の開発が進んでいることがお分かりいただけたかと思います。そして、そのAIの学習方法は主に「機械学習」「深層学習」の2つです。ここではそれぞれの違いや特徴について見ていきましょう。
機械学習(反復的に学習して法則を見つける)
人間がデータの範囲を指定して指示を送ります。機械はそれに従ってデータから反復的に学習し、法則性を理解していく方法です。これにより多くのデータから学習した結果を、新しく取り込んだデータに当てはめて将来を予測できます。この方法は、需要予測、生産量予測、チャットによる問い合わせ対応、コールセンターの自動化等、様々な分野で活用されています。
深層学習(膨大な量の学習データが必要)
ニュートラルネットワークを用いた機械学習の一部ですが、特徴には大きな違いがあります。高度な技術により機械が特徴を自動的に定義し、自ら幅広い分野を学習していくことが可能です。例えば、顔認証システムや自動運転システム等に活用されています。
この方法には膨大な量のデータが必要です。現在、インターネットが普及してデータの用意が可能となったことや、学習に必要な膨大な計算もコンピューターの発展によって可能となったことにより、この学習方法が進んできています。
今のAIにできること
現在、普及しているほとんどが弱いAIと呼ばれる特化型人工知能です。しかし、日常生活からビジネスまで様々な分野で活用しています。ここでは、今のAIができる分野や領域について見ていきましょう。
音声理解(音の波形を解析)
人間が話した声を音の波形として解析して、一音ごとに分析して抽出していきます。そして抽出した音を文字に変換し、さらに組み合わせて文章にしていくことが可能です。
主な事例は、家電の音声操作や録音の文字起こし、音声での文字入力、多言語の音声翻訳等です。また、スマートフォンに搭載されているSiriやGoogle音声アシスタントにも活用されています。
文章理解(翻訳や要約に活用)
人間が日常的に使う文章を分析して理解し、翻訳や要約が可能です。AIの利用により今までは判断が難しかったあいまいな表現等も理解できるようになってきており、より精度の高い文章作成が可能になっていくでしょう。現在では、Web検索エンジンや機械翻訳、ビッグデータ解析等に活用されています。
推論・予測(データをもとに最適解を算出)
過去に収集したデータから今後起こり得る事態を予測し、推論を立てることが可能です。この仕組みは深層学習の発展により大きく精度が上昇しました。囲碁や将棋、チェスのようなゲームや、株価予測等に活用されています。
機械制御(産業用ロボットに応用)
ビッグデータ等の自動データ処理技術を利用し、収集したデータを学習し理解することで、制御の最適解を算出して実行できます。それにより生産工程の異常を検知・分析して制御系にフィードバックすることで自動制御を可能にします。これらは、自動運転システムや産業用ロボット等に活用されています。
異常検知(人では認識できないものを検知)
通常時のデータを収集しておくことで、異常が起こったときに検知することが可能です。これにより人間では気づくことのできない異常にも対応できます。例えば、製品の小さな傷や食品への異物混入、診断が困難な病気の発見等に応用されています。
今のAIにできないこと
デジタル技術の発展とともに様々な分野に活躍を広げているAIですが、苦手なことも存在します。それは、感情を読み取ることや新しいアイディアを生み出すことです。ここでは、それらについて詳しく見ていきましょう。
感情を汲んだコミュニケーション
相手の考えや気持ちを予測して行動を起こすことは、ビジネスを円滑に進めるために欠かせません。しかし、AIは感情を持っていないため、このような人間の心理を読み取ることは向いていないでしょう。
現代において個々の性格や体調、その日の気分に合わせたコミュニケーションは、人間だからこそできるものといえます。
0から1を生み出すこと
AIは過去の膨大なデータから学習して、それらをもとに作業を行います。そのため、新たなアイディアを創出する分野には不向きといえるでしょう。例えば作曲や小説の創作等、過去のデータから応用することはできても、今までにないものを生み出すということは難しいと考えられます。
これからのAIに期待できること
近年、目覚ましい発展を見せているAIですが、将来どのような役割を担っていくのでしょうか。今後もさらなる活躍の場を広げていくことが考えられます。ここではこれからのAIに期待できることについて紹介していきます。
様々な分野への進出
同じく発展を続けているロボット技術と組み合わせることで、より幅広い分野で活躍していくことが考えられます。例えば、警備ロボットや無人のコンビニ等が挙げられます。
警備ロボットは自動でパトロールを行い、AIによりセキュリティの危機を検知することが可能です。無人のコンビニは複数のカメラを利用して商品を読み取り決済を行うというものです。このようにAIが活用できる場は今後とも増えていくことでしょう。
単純作業の効率化
音声認識や画像認識の仕組みにより、作業の効率化が期待できます。例えば、カスタマーサポートでの問い合わせ対応では、AIのチャットボットが利用されています。これにより、365日24時間いつでも問い合わせが可能となりました。
ほかにも、クレジットカードの不正利用等の異常検知にもAIが活用されています。このように人の目で行っていた作業をAI化することで、効率化や人員の削減等が期待できるでしょう。
まとめ:AIにできることを理解して組み込んでいきましょう
本記事では、AIの技術や活躍の場について紹介しました。深層学習によってさらに飛躍的な成長を遂げていることが分かっていただけたかと思います。様々な分野で活躍するAIは、今後も日常生活やビジネスにおいて利用が進み、私たちの暮らしに欠かせない技術になっていくことでしょう。