近年はバックオフィスの効率化や人件費削減を積極的に行う企業が増加しています。しかし、適切な対処法がわからず「従業員の負担が増えるだけ」という企業も見られます。
本記事では、これからバックオフィスの効率化でスタンダードになると予想されるSaaSについて解説します。SaaSの基本的な役割から導入の注意点まで網羅して解説するため、自社の導入に役立ちます。
そもそもSaaSとは?
ここでは、SaaSについて概要を確認します。まだまだ聞き慣れない方が多いシステムですが、知らないうちに身近な存在となっています。
クラウド型のソフトウェアを指す用語
SaaS(Software as a Service)は商標名を指すのではなく、クラウド型のソフトウェアを指す用語です。
これまでソフトウェアと言えば、パソコンにインストールして利用するものがメインでした。しかし、近年ではベンダーがクラウド上で提供するサービスをネット上でユーザーが活用するタイプが増加しています。
そのため、ネット環境さえ整っていればスマホやタブレットからでもアクセスできるシステムです。私たちの身近な例としては「Microsoft Office 365等オフィスソフト」「WEBメール(Gmail)」等がSaaSに該当します。
バックオフィスに最適!SaaSの特徴を解説
ここでは、SaaSが持つ特徴を解説します。SaaSでは「場所や時間に囚われない作業」「クラウド上で企業のデータ管理」が実現できます。
特徴①場所と時間を限定されない作業が可能
SaaSはクラウド上で活用するシステムのため、ネット環境さえあれば自宅やカフェ等、様々な場所で作業できます。また、24時間活用できるため、スキマ時間を使ってメールの返信がスマートにできるという特徴もあります。
特徴②クラウド上でのデータ管理
SaaSはすべてのデータをオンラインで保管します。そのため、これまで何冊ものファイルで保管してきた書類を減らしたり、最終的には無くすことが可能です。
また、オンラインで情報が共有されているため、部署外のメンバーが情報を求める際にも提供しやすい特徴があります。
SaaSと似ている「Iaas」と「PaaS」とは?
SaaSと似ているシステムに「IaaS」「PaaS」があります。これらは混同されることが多いため、事前に違いを確認しておきましょう。
IaaSはインフラ提供を行う
IaaS(Infrastructure as a Service)は、仮想サーバやネットワーク等の情報システムの稼働に必要なサービスを指します。
SaaSがソフトウェアの代わりを担う存在であるならば、IaaShaITインフラの提供を行う存在と言えます。
PaaSはプラットフォームを扱える
PaaS(Platform as a Service)は、クラウド上のプラットフォームを利用できるサービスを指します。
データセンター上にサーバーシステムやネットワークが構築されているため、ユーザーはそれらのサービスを利用して、最終的にアプリの開発等を行います。具体的には、Microsoftが提供する「Microsoft Azure」が有名です。
バックオフィス業務にSaaSを導入するメリットは3つ
バックオフィス業務にSaaSを導入すると、3つのメリットが得られます。近年注目される「効率化」「人件費削減」「働き方の多様性」に対応できるメリットがあります。
①コスト削減
もっとも大きなメリットとして、コストの削減が挙げられます。
バックオフィスの場合は、誰にでもできるルーティン業務に時間をかけることが多く、生産性に見合わない人件費がかかっている企業が多くあります。
しかし、SaaSを導入することで、これまで人力で行っていた業務を効率化できます。その結果、人件費の削減に成功します。
SaaSを利用する際の費用も、企業の規模にあわせて金額が設定されています。また、必要な機能だけを的確に活用できるタイプもあるため、余計なコストをかけずに業務の効率化が図れます。
②働き方の多様性に対応
SaaSは近年求められている「多様な働き方」にも対応しています。新型コロナウイルスの流行や、介護・育児によってリモートワークや時差出勤が求められる時代に「どこからでもアクセスできるSaaS」は効果的です。
ネット環境さえあれば、自宅でも会社でも作業ができるため、これからの働き方に欠かせない存在となるでしょう。
③ペーパーレス化
バックオフィス業務の問題点として「紙の資料が多い」という点が挙げられます。特に経理部門では様々なデータが紙媒体で整理されているため、書類を探すにも一苦労です。
しかし、SaaSのようにクラウド型のシステムを活用するとペーパーレスでデータ管理が可能になります。また、データも検索するだけですぐに紹介できるため非常にスピーディーな業務遂行が実現できます。
バックオフィスにSaaSを導入する際の注意点
最後に、ここではバックオフィスにSaaSを導入する際に知っておきたい注意点を紹介します。便利かつ効率的なSaaSですが、導入目的や従業員への教育を怠ると導入失敗に繋がる可能性があります。
事前に懸念事項を確認することで、見通しを持ってシステムを活用できます。
導入の目的を明確にして共有する
SaaSだけでなく、システムを導入する際は「導入の目的」を明確に設定しましょう。「大手企業や競合他社が導入しているから」という曖昧な理由では、SaaS導入は必ず失敗に終わります。
自社に「どんな業務」があって「どのように効率化」したいのか。また「SaaSを導入することでどんな課題を解決できるのか」を社内で明確にした上で、導入に踏み切りましょう。
誰もが使いこなせるような機能の選定や研修機会の充実
SaaSは直感的に利用できるものが多く、デジタル機器に慣れている方の場合は基本知識を身につければ難しいものではありません。
しかし、年配の従業員やITリテラシーが低い従業員の場合は、システムを使うことに抵抗を感じる可能性もあります。そのため、SaaSの導入前に研修を実施したり従業員の不安を取り除く試みが必要です。
せっかく費用を投じて導入しても、社内で普及しなければ宝の持ち腐れとなります。事前準備を万全にしてシステムを迎え入れましょう。
セキュリティ面の確認
SaaSはバックオフィス業務の効率化に最適ですが、セキュリティ面での不安がつきまといます。インストール型の場合は、パソコン内で作業が完結します。一方でSaaSはネットに接続した状態が続くため、不正アクセス等の事態に備える必要があります。
セキュリティ面はベンダーや専門家のアドバイスを受けながら、安心して利用できるシステム選びが大切です。
まとめ:バックオフィス業務はSaaSを導入して効率化を図れる
今回はクラウド上でサービスを利用できるSaaSについて解説しました。
バックオフィス業務の効率化は、これまでもインストール型のソフトウェアを導入する企業が多くありました。しかし、近年ではクラウド型のサービスが発展しているため、導入する企業が増加しています。
SaaSは煩雑な業務が多いバックオフィスにおすすめのツールです。是非、自社に導入するために検討してみましょう。