【収入印紙の割り印はなぜ必要?】領収書に貼る収入印紙のルールについて徹底解説!

領収書を作成したり受け取ったりする際に、『収入印紙』が貼られているのを見かけたことがある人は多いはずです。

しかし、この収入印紙について

  • 「そもそも、なぜ収入印紙が必要なのか」
  • 「貼り付けが必要になる金額はいくらからなのか?」
  • 「消印(割り印)の押し方に決まりはあるのか」

等、詳しい内容が把握できている人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、領収書や収入印紙についての基礎知識から消印(割り印)の詳しい押し方まで詳しく解説していきます。後半には印紙代を節約するためのコツや、経理業務を効率化するヒントについて紹介しているので最後まで是非チェックしてみてください。

領収書とは

領収書とは、『商品やサービスを提供する側』が、『商品やサービスを提供される側』に対して商品やサービスを提供し、そしてそれに関する代金を受け取ったということを証明するための書類です。

領収書の記載項目について明確な決まりはありませんが、消費税法では仕入の控除を受ける要件として以下の5点についての記載を挙げています。

  1. 書類の作成者名:領収書の発行者・社名
  2. 課税資産の譲渡等の年月日:受領日
  3. 課税資産の譲渡等の内容:提供した商品・サービスの内容
  4. 課税資産の譲渡等の対価額:金額
  5. 書類の交付を受ける事業者名:あて名

これらの項目が記載されていれば、スーパーマーケットやレストラン等で受け取るレシートも領収書として正式に有効となります。

また、領収書に記載された金額が5万円以上の場合は、収入印紙の貼り付けが必要になる点も必ず覚えておかなければならないポイントです。

続いて、収入印紙についてより詳しく解説していきましょう。

収入印紙とは

契約書や領収書等、経済的な取引に伴って作成された書類に課せられる税金を『印紙税』と言い、この印紙税を支払うために発行される切手のような証票が『収入印紙』です。

この印紙税が課せられる文書を「課税文書」と言います。

本記事では課税文書の中でも『領収書』に必要な収入印紙について詳しく解説していますが、課税文書として分類されているものは20種類もあります。

代表的な課税文書は以下の通りです。

  • 不動産売買契約書
  • 約束手形・為替手形
  • 株券・出資証券
  • 預金証書
  • 保険証書
  • 預金通帳・貯金通帳
  • 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書

なぜ収入印紙が必要なの?

それでは、なぜ課税文書に収入印紙を貼らなくてはいけないのでしょうか。

それは、印紙税法によって課税文書の発行には印紙税がかかることが定められているためです。ある一定以上の金額で取引が行われているということは、経済的利益が発生していると考えられるため、その取引に税金が課せられているのです。

収入印紙を貼り、消印(割り印)を行うことで印紙税を確実に支払ったことの証明となるため、忘れずに貼り付けと消印(割り印)を行いましょう。

印紙代一覧

収入印紙の貼り付けが必要となるのは、受領金額が5万円以上の場合です。5万円未満は印紙税が非課税となり、収入印紙の貼り付けは不要です。

収入印紙の金額は、受領金額によって異なります。詳細は以下の表の通りです。

金額収入印紙の金額
5万円未満非課税
5万円以上~100万円以下200円
100万円超~200万円以下400円
200万円超~300万円以下600円 
300万円超~500万円以下1,000円
500万円超~1千万円以下2,000円
1千万円超~2千万円以下4,000円
2千万円超~3千万円以下6,000円
受取金額の記載のないもの200円

収入印紙を貼らなければどうなるの?

もし課税文書に収入印紙が貼られていない場合は、本来納付しなければならなかった印紙税の3倍の過怠税が徴収されることになります。

ただし、税務署から指摘がある前に収入印紙の貼り付け漏れに気づき、申告を行った場合は本来納付しなければならなかった印紙税の1.1倍の過怠税に軽減されます。ミスに気が付いた際には、早めに所轄税務署に申告を行いましょう。

収入印紙はどこで購入すればいいの?

見た目が郵便切手によく似ているものの、一般的にはあまり購入する機会の少ない「収入印紙」。一体どこで購入することができるのでしょうか。

収入印紙が購入できるのは、主に以下の3カ所です。

  • 郵便局
  • 法務局
  • コンビニエンスストア

ただ、郵便局と法務局が全31種類のすべての収入印紙を購入することができるのに対し、コンビニエンスストアでは在庫状況が不安定であり、取り扱いの額面も最も安い200円のみとなっているようです。基本的には、収入印紙を確実に購入できる郵便局か法務局を利用することをおすすめします。

また、ほかにも金券ショップや、宅配集荷の請負があるタバコ屋や酒屋等でも収入印紙が購入できる可能性があります。

いざ必要になった際に慌てないよう、まずは会社周辺で収入印紙が購入できる場所はどこにあるのか等、チェックしておきましょう。

収入印紙の消印(割り印)とは?

領収書に貼る収入印紙には、領収書と収入印紙両方にまたがるように押印を行う必要があります。これを消印(けしいん)もしくは割り印(わりいん)と呼びます。

(ただし、国税局においては「消印」と表現されているため、正しい表記は消印ですが、一般的に割り印と呼ばれる機会も多いため本記事では「消印(割り印)」と表記させていただきます。)

なぜ消印(割り印)が必要なの?

消印(割り印)は、その印紙が使用済みであることを証明し、再使用を防止するためのものです。

もし、収入印紙を貼り付けたものの、消印(割り印)しなかった場合は、消印されていない印紙代に相当する金額の過怠税が追加で徴収されることになります。

消印(割り印)の正しい押し方と誤った押し方を紹介

収入印紙は貼り付けるだけでなく、消印(割り印)を必ず押す必要があります。そして、消印(割り印)にはいくつかの守るべきルールが存在しています。

ここでは、収入印紙に押す消印(割り印)について、正しい押し方と誤った押し方について紹介していきます。

消印(割り印)の正しい押し方解説

ここではまず、消印(割り印)の正しい押し方について解説していきます。

領収書と収入印紙にまたがった形でハッキリと押す

消印(割り印)を押す際は、領収書と収入印紙がまたがる位置にハッキリと押す必要があります。

うっかりミスで領収書と収入印紙がまたがらない形で押してしまわないように、消印(割り印)には少し大きめのハンコを使用するのもおすすめです。

また、印鑑がくっきりと出るように、下には印鑑用のマットを準備しておく方が良いでしょう。

シャチハタ印もOK

一般的には契約関係の書類で無効となりがちなシャチハタ印ですが、消印(割り印)に使用するハンコは、スタンプ台を使用しないシャチハタ印のようなハンコでも問題ありません。

よく消印(割り印)を行う場合は、シャチハタ印のようなハンコを利用した方が便利です。

日付印もOK

ほかに収入印紙の消印(割り印)に使用できるハンコとして、「日付印」があります。

日付印は、『受領』等の文字と一緒に日付をスタンプすることのできるハンコで、日付部分は変更可能なものが一般的です。

氏名や社名が入らないハンコでも有効である、という点を覚えておきましょう。

角印もOK

丸い形が一般的なハンコですが、消印(割り印)には角印でも有効です。

ほかにも楕円形等ももちろんOKで印鑑の形に規定はありませんが、消印(割り印)として押されていることがわかりやすく、見やすい形のハンコを選びましょう。

ボールペンで署名もOK

領収書と収入印紙をまたがるように署名することで消印(割り印)とすることもできます。

署名は、担当者の苗字や屋号を書き、丸で囲んだものが一般的ですが、丸で囲まないものでも問題はありません。

また、署名の際は、必ずボールペン(インクペン)を利用しましょう。

消印(割り印)のNG例を紹介

収入印紙は、消印(割り印)を押すことではじめて印紙税を納付したことになります。

この際に、誤った消印(割り印)を行ってしまわないよう、消印(割り印)の誤った押し方の具体例についても詳しく紹介していきます。

印鑑が割られていないとNG

消印(割り印)は、領収書と収入印紙にまたがった位置に押す必要があります。

領収書と収入印紙にまたがらず、収入印紙の上にのみスタンプしてしまった場合や、領収書上にのみスタンプしてしまった場合は消印(割り印)として無効です。

ほかにも、インクが薄い場合や擦れ等によって綺麗に消印(割り印)が押せなかった場合は、消印(割り印)として認められない可能性があります。

その際は、失敗した消印(割り印)に重ならない位置を見つけて、再度消印(割り印)を押し直しましょう。

鉛筆やシャープペンシルによる署名はNG

上のOK例で紹介した通り、消印(割り印)はハンコ以外に手書きでの署名でも有効です。しかしこの際、署名に鉛筆やシャープペンシルは使用できない点に注意が必要です。

消印(割り印)は、印紙税を納付したことの証明であり、再利用を防ぐ意味があります。そのため、簡単に消せてしまう鉛筆やシャープペンシルは消印(割り印)として相応しくない、ということが理由です。

また、ボールペンの中でも、消せるフリクションボールペンは簡単に署名が消せてしまうため、使用を避けましょう。

丸印記号はNG

丸印とは、『印』という漢字を書いて丸で囲んだマークで、押印位置を示すための記号としてよく用いられます。

そして、この丸印記号を印鑑や署名の代用としてそのまま記入してしまう人がいるのですが、こちらは消印(割り印)として無効になってしまうため使用を避けましょう。

斜線や二重線はNG

消印(割り印)は、収入印紙の再利用を防ぐ意味合いがあるため、使用済みであることを示す意味で斜線や二重線等を書いておけば良いのではないか?と考える人もいるかもしれません。

しかし、消印(割り印)については文書の作成者又は代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名によると規定されており、斜線や二重線では改ざんや悪用される可能性が高く消印(割り印)として認められない点に注意しましょう。

収入印紙代を節約するには?

高額の領収書を頻繁に発行しているような企業の場合は、収入印紙を節約することができればかなりの節税となります。

ここでは、収入印紙代を節約するいくつかのテクニックを紹介していきます。

領収書に税抜き価格を記入する

領収書に金額を記入する際に、税込み価格だけでなく消費税額や税抜き価格を合わせて記入することで印紙代を節約できる可能性があります。

実は、印紙税の課税は消費税を除いた金額に対して行われることになっています。ただし、それには消費税額が明確に記載されていることが条件となります。

例えば、下記のような商品の領収書を作成する場合は、

商品価格:48,000円消費税等:4,800円(10%)合計(税込価格):52,800円

金額の表記として考えられるのが以下の(A)~(D)のようなパターンです。

(A)商品代金:52,800円(税込)

(B)商品代金:52,800円(税抜き価格48,000円)

(C)商品代金:52,800円(うち消費税等4,800円)

(D)本体価格:48,000円 消費税等:4,800円 合計:52,800円

この(A)~(D)のうち、消費税額がわかる表記として認められるのが(B)~(D)です。そのため、(A)は印紙税が200円かかるのに対して、(B)~(D)は非課税となります。

これまでで紹介した通り、印紙代は領収書の金額に応じて高くなります。例えば金額が1,000万円であれば印紙税は2,000円ですが、1000万を1円でも超えると印紙税は4,000円と2倍になります。

もちろん、税込表示でも税抜表示でも印紙代に違いがない場合も多いかと思いますが、こうした簡単なテクニックで節税できる可能性は少なくないため、領収書に金額を記入する際は消費税額がわかる表記を行う、といった運用を普段から徹底しておくことを是非おすすめします。

領収書を電子化する

領収書は金額が一定以上になると収入印紙を貼り付けて印紙税を納める必要があることはこれまで説明してきた通りですが、実は電子領収書であれば金額に関わらず収入印紙の貼り付けが不要となります。

印紙税の課税は印紙税法で定められており、課税文書を「作成」して「交付」することに対して課税が行われます。しかし、電子領収書はデータでやりとりするため、「作成」や「交付」に該当せず、したがって印紙税についても課税されないのです。

つまり、電子領収書を導入すれば、それに伴う印紙税はゼロ。さらに印刷費や郵送費も節約できるため、領収書の電子化はコスト削減に非常に役立つおすすめのテクニックです。

コストを削減するなら伝票の電子化がおすすめ

経理担当者は、領収書をはじめとした様々な伝票を日々大量に取り扱っています。

中でも、納品書や請求書は取引業者によってフォーマットが違うことが多く、さらに請求内容との突合作業等、管理や運用作業に多くのコストや作業工数がかかっているのではないでしょうか。

そうした経理業務を、より効率的にコストダウンしたいと考えている企業におすすめなのが納品書や請求書をクラウド管理する『oneplat(ワンプラット)』というサービスです。

oneplatを導入するメリットとは?

oneplatを導入すると、取引業者ごとに異なる納品書や請求書をクラウド上で一元管理することができます。

クラウド上で管理することで紙の管理コストが削減できるだけでなく、納品書の内容を自動で請求書に変換できるため請求ミスも防ぐことができます。

また、取りまとめたデータは様々な会計システムや販売管理システムとも連携可能で作業工数は大幅に削減されます。

改正電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応済みで、無料で導入サポートが受けられるのも嬉しいポイント。初期導入費用も0円で最短翌営業日から利用可能なため、手軽に伝票の電子化をスタートできます。

まとめ

ここまで、領収書や収入印紙についての基礎知識から消印(割り印)の正しい押し方等詳しく解説してきました。

一定金額以上の領収書を発行する際には収入印紙が必要であり、収入印紙には消印(割り印)が必ず必要となります。貼り付け漏れや、消印(割り印)漏れには罰則もあるため、経理担当者は正しい押し方を含めて必ずルールを把握しておきましょう。

そして、領収書の収入印紙を節約するためには領収書の電子化がおすすめです!

また、領収書だけでなく、納品書や請求書等、財務・経理に関わる伝票の電子化には多くのメリットがあります。

帳票の電子化を検討する際には、納品書・請求書のクラウドサービスoneplatを是非チェックしてみてください。

この記事を読んだ方で「受け取る」納品書や請求書を「電子化」することに興味がある方はいませんか?

oneplatは、納品書や請求書をデータで受け取れるサービスです。

会社組織の財務・経理部門や、支店・店舗・工場などの、 管理業務における下記の課題解決にoneplatは大きく貢献できます。

  • 会計/販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要に
  • 取りまとめたデータを自動で取り込み
  • 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力

導入後は複雑なデータ入力業務に時間を奪われることなく、本来の業務へ時間とコストを割くことが可能です。

このウェブサイトでは、他にもコスト削減・業務効率化に役立つ資料を無料で配布しておりますので、 是非、この機会に一度資料ダウンロードしてみてください。

oneplus編集部

この記事の執筆者

最短5分

財務・経理部門における
DXのお問い合わせやご相談についてはこちら

お役立ち資料はこちら