納品書や請求書を発行する際、意外と頭を悩ませるのが消費税の「端数処理」です。
小数点以下の端数を正しく処理しないと、販売先との間で金額の誤差が生じ、問い合わせ対応や再発行が必要になることも少なくありません。
また、インボイス制度が始まったことで、これまで以上にルールを知っておく必要が出てきました。
本記事では、消費税の端数処理に関する基本的な知識からインボイス制度における注意点、さらにトラブルを回避するための解決策を解説します。
請求書における消費税の端数処理の方法
商品やサービスの代金を請求する際は、税抜価格に10%または8%の消費税率を掛けて消費税額を計算し、その金額を加えた税込価格を記載するのが一般的です。
この計算の過程で、小数点以下の端数が発生する場合があります。
端数を処理する方法として「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」の3種類が挙げられますが、どれを採用するかは企業ごとに決めてよいことになっています。財務省ホームページでは以下のように記載されています。
”「税抜価格」に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合がありますが、その端数をどのように処理 (切捨て、切上げ、四捨五入など)して「税込価格」を設定するかは、それぞれの事業者のご判断によることとなります。”
しかし、処理方法によって金額に差が生じてしまうケースもあるため、ご注意ください。例えば、税抜価格が1,818円で税率10%の場合は消費税が181.8円となりますが、それぞれの方法で税込価格を計算してみました。
- 切り捨て:消費税181円、税込価格1,999円
- 切り上げ:消費税182円、税込価格2,000円
- 四捨五入:消費税182円、税込価格2,000円
販売先と処理方法が異なるとトラブルに発展してしまうため、ルールを共有しておくことが重要です。
納品書や請求書で端数処理する際の注意点
納品書や請求書を作成する際、消費税の端数処理を正確に行うことは、販売先との信頼関係を保つ上で重要なポイントです。以下の注意点をしっかり押さえておきましょう。
処理方法を社内で統一する
先述の通り、消費税の端数処理には「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」の3つの方法が存在し、処理方法によって金額に差が生じる場合があります。
担当者ごとに処理方法が異なると、請求書の金額にばらつきが出てしまい、販売先から「金額が違う」と指摘される可能性があります。
例え1円単位の差であっても、大きなトラブルに発展することもあるため、消費税の端数処理方法は社内で明確なルールを設定し、共有しておくことが重要です。
必ず販売先に確認しておく
消費税の端数処理は事業者ごとに自由に決められるため、自社と販売先で処理方法が異なる場合もあります。
自社が「切り捨て」を採用しており、一般的に「切り捨て」が多いからといって、販売先も同じ処理方法を使っているだろうと判断するのは危険です。
仮に販売先が「四捨五入」で計算していた場合は、納品書や請求書の金額に差が生じることになり、問い合わせや修正依頼といった無駄な作業が発生してしまいます。
また、「自社では端数処理について問い合わせをもらっていないから大丈夫」と考えるのも危険です。実際に問い合わせがなくても、販売先の経理担当者が毎月消費税の差額の会計処理を行っている可能性があります。その場合は、過去の明細ひとつひとつと突合して、ズレた原因となる仕入れ商品とその税率を特定する必要があり、これにはかなりの工数がかかるため、販売先の経理担当者に多大な業務負担がかかっているかもしれません。
このようなズレが頻発してしまうと、販売先との信頼関係にも影響を及ぼす可能性があるため、トラブルを避け、業務をスムーズに進めるためにも、端数処理のルールについては事前に販売先と認識を合わせておくことが大切です。
納税税額の端数処理と間違えない
消費税の端数処理は、納品書や請求書の発行時だけでなく、消費税の申告・納税時にも発生します。しかし、納税額の端数処理は納品書や請求書作成時の処理方法とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。
納税額の端数処理には以下の3通りがあります。
- 課税仕入れに係る消費税額で生じた1円未満は切り捨て
- 消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額などを控除した際、100円未満は切り捨て
- 課税標準額に1,000円未満の端数が発生した場合は切り捨て
インボイス制度では端数処理をどうすべきか
令和5年(2023年)10月1日からインボイス制度が導入されました。
インボイス(適格請求書等保存方式)は、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額を明示するために設けられたものです。
そのため、「従来と端数処理のルールが変わるのでは?」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。以下に、インボイス発行時に知っておきたい端数処理のポイントを解説します。
税率ごとに1回ずつ端数処理する
インボイス制度では、商品ごとに消費税額を計算し、端数処理を行ったうえで合計額を消費税額として記載することは認められていません。
適格請求書に標準税率10%の商品と軽減税率8%の商品が含まれている場合は、それぞれの税率で1回ずつ端数処理を行い、その後に合計する必要があります。
現在、システムで明細行ごとに端数処理をしている場合は、インボイス制度の要件に合わせたシステム変更を早めに検討しましょう。
割り戻し計算または積上げ計算に統一する
インボイス制度でも端数処理の方法が法的に定められていないため、「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」の中から自由に選ぶことができます。
ただし、注意が必要なのは、消費税の計算方法にも2つの方法があるという点です。以前使われていたのは「割戻し計算」ですが、インボイス制度が導入されたことで「積上げ計算」も選択可能になりました。
国税庁では、それぞれの計算方法を以下のように定義しています(売上税額の場合)。
「割戻し計算」は、税率ごとに区分した税込価額の合計額に、110分の100または108分の100を掛けて税率ごとの課税標準額を算出します。さらに、それぞれの税率(7.8%または6.24%)を掛けて売上税額を算出します。
「積上げ計算」は、適格請求書に記載した消費税額の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とします。
どちらの方法を採用しても構いませんが、売上税額を「積上げ計算」で算出する場合には仕入税額についても同じ「積上げ計算」を採用する必要があります。
そのため、社内で計算方法を統一し、販売 取引先と処理方法を共有しておくようにしましょう。
参照:国税庁「適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-」
「oneplat(ワンプラット)」なら端数処理のトラブルを回避可能
納品書や請求書の端数処理によるトラブルを避けるためには、正確な計算が欠かせません。
しかし、請求業務は月末や月初に集中しやすく、業務の負担が増えることでミスが発生するリスクも高まります。
さらに、経理担当者が販売取引先と直接やり取りする機会が少ない場合や、営業担当とのコミュニケーションが不足している場合には、端数処理の方法を誤ってしまうかもしれません。
こうした課題を解決するために、納品書や請求書の電子化サービスを導入することが効果的です。
【関連記事】請求書を電子発行するメリットは大きい!効率的な運用方法と電子発行時の注意点
なかでも、多くの企業から支持されているのが「oneplat(ワンプラット)」です。

oneplatを導入することで、端数処理のトラブルを防ぐだけでなく、業務効率を大幅に向上させることができます。以下に「oneplat」が選ばれる理由をご紹介します。
ワンクリックで請求書を発行
oneplatを使えば、販売先ごとの納品書や請求書をワンクリックで一括発行できます。
事前に端数処理方法(「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」)を設定しておくことも可能です。担当者ごとに処理方法が変わってしまうことがないため、誤差を心配する必要がありません。
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応
oneplatはインボイス制度や電子帳簿保存法に完全対応しています。簡単な操作で、請求書の発行から保存まで完了できます。
もし運用中に疑問や質問が生じた場合でも、自社だけでなく販売先もサポートを受けられるため、ご安心ください。
特に、電子化を初めて導入する企業にとっては「何をどう進めればよいのか」といった不安がつきものですが、oneplatであれば法令を遵守しつつ、業務効率化を進めることができます。
月額22,000円、初期費用は0円
oneplatは月額22,000円(税込)で請求書を電子化することができ、初期費用やサポート費用は一切かかりません。販売先や発行枚数が増えても追加料金は発生しないため、コストを気にせず請求書を電子的に発行することができます。
また、納品書の発行も希望される場合は、月額33,000円(税込)でご利用いただけます。
使いやすい操作感で、販売先様も利用しやすい
oneplatはシンプルな画面デザインと直感的な操作性により、PCやシステムに不慣れな方でも使いやすく、すぐ操作に慣れていただくことができます。また、販売先様は届いたデータを受け取るだけ(登録作業も一切不要)のため、お手軽にご利用いただくことが可能です。
さらに、サポート体制も充実しており、万が一操作方法に迷ってしまったということがあっても、いつでもカスタマーサポートにご連絡いただくことができます。
【関連記事】【紙ベース/アナログ管理企業向け】納品書・請求書電子発行サービスの選び方を基礎から解説
まとめ
今回は、納品書・請求書の発行時における消費税の端数処理について解説しました。
端数処理には「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」の3つの方法があり、事業者ごとに自由に選べる仕組みです。そのためルールが統一されていないと、社内や販売先との間で誤差が生じ、トラブルの原因となることがあります。
さらに、インボイス制度が始まったことで、より正確な処理が求められるようになりました。
oneplatは、簡単な操作で納品書や請求書を発行できるだけでなく、端数処理のルールを事前に設定可能。インボイス制度や電子帳簿保存法にも完全対応しているため、安心してお使いいただけます。
是非、業務効率化とトラブル予防を同時に実現できるoneplatをご検討ください。