FinTech(フィンテック)とは? 経理の仕事へ与える影響を解説

最近ではあらゆる仕事にIT化の波が押し寄せています。
特に金融の分野では、FinTech(フィンテック)という言葉が近年よく聞かれるようになりました。
ただ、よく聞く言葉ではあるものの、具体的にどういうものかと聞かれると、すぐに答えられないという人も多いのではないでしょうか?

この記事では、FinTech(フィンテック)という言葉の意味や、そのメリットあるいはデメリット、経理の仕事へ与える影響等を解説していきます。

目次

FinTech(フィンテック)とは金融のITテクノロジー

FinTech(フィンテック)を簡単に解説

FinTech(フィンテック)という言葉は造語です。
金融という意味の「Finance」と、技術という意味の「Technology」を掛け合わせた言葉になります。
その名の通り、IT技術を用いることで、金融に関するサービスを従来のレベルから革新していこうとする動き全般のことです。
AIを含めIT化の動きは金融以外の分野にも大きな影響を与えていますが、特に金融サービスにおけるITテクノロジーの飛躍的進歩のことを意味します。

FinTech(フィンテック)の市場規模の拡大や今後の展望

FinTech(フィンテック)の市場規模は世界的に拡大を続けています。
日々発展していくITテクノロジーを背景に、スマートフォンの普及やベンチャー企業の参入が追い風になっていることも要因のひとつです。
今後は、個人向けの金融サービスだけでなく、法人向けの金融サービス(資産運用や資金調達等)にも市場は広がっていくと考えられています。

その他、FinTech(フィンテック)の広まりとともに、実際の店舗やATMの縮小、インターネット専業銀行の増加等が予測されています。
それに伴い、金融機関では人手が必要なくなり、大規模な人員削減や配置換え等が起こるかもしれません。

経理業務に関連するFinTech(フィンテック)サービス

【クラウド会計ソフトや経費精算システム】煩雑な入力業務を補佐する

FinTech(フィンテック)は経理の仕事にも影響があります。
特にクラウド会計ソフトや経費精算システムといったものがその代表例として挙げられるでしょう。

例えばクラウド会計ソフトでは、まずその名前の通り、会計データがクラウド上に保存されますので、データの保全がはかられたり、複数のデバイスで使用できるようになったりします。
その他、請求書データや入出金データをシステムに取り込んで自動的に会計処理を行ったり、人間の代わりにAIが最適な仕訳を判断してくれたりすることも可能です。

また経費精算システムにおいても、社員による精算の申請からはじまり、上長の承認、銀行振込、会計処理までの一連の手続きを自動化できます。

【決済サービス】クレジットカードやモバイル決済等

決済サービスも日々新しいものが次々と生まれています。
特に個人にとっては電子マネーやモバイル決済等がその例としてなじみ深いでしょう。
また会社においてもコーポレートカード等の普及が進んでいます。
それに伴って経理業務においてもキャッシュレスを実現しやすくなっており、現金の保管に関わる手間やコスト、リスク等が削減できます。

【送金サービス】海外への送金も便利になる

送金業務は以前であれば、送金申請書類を作成した上で経理担当者が銀行の窓口まで持参していました。
しかし、インターネットバンキングによって書類作成から送金までをPCだけで行うことができるようになり、銀行へわざわざ行く必要がなくなりました。
その他、送金処理を代行してくれる送金サービスというのもあり、それを使えば送金業務をさらに効率化することもできるようになります。

経理の仕事はどのように変化する? FinTech(フィンテック)のメリット4つ

メリット①経費精算や入力業務の業務効率化ができる

経理の仕事は大量のデータを扱いますので、その入力業務等も大変煩雑でした。
またお金を直接扱う仕事でもありますので、その分慎重に入力したり、入力後のチェック業務も入念に行ったりする必要がありました。経費精算がその代表例です。
それがFinTech(フィンテック)の導入により、入力から振込みまで自動化することができるようになり、業務効率が大きく改善されます。

その他、効率向上だけでなく、ヒューマンエラーが起こりにくくなったために正確性の面でもメリットが生まれます。

メリット②便利な決済サービスの導入で取引先や顧客の満足度が上がる

決済サービスを導入すると、自社だけではなく取引先や顧客にとってもメリットがあります。
言うまでもなく決済手段というのは双方に共通するものなので、便利な決済サービスを導入すると相手側もそのメリットを享受できるためです。

例えば決済自体が迅速化されたり、決済後の管理もしやすくなったりします。
また、顧客にとっては自分が使っている決済サービスが使えるかどうかが重要ですので、決済サービスの導入は売上にも影響してきます。

メリット③経営判断に必要なデータを効率よく抽出できる

従来の経理業務では、入力等のインプット作業が膨大だったために、例えば決算業務では決算書を作るだけで精一杯という場合が多かったでしょう。また手入力がほとんどだったため、最低限の項目だけしかインプットできなかったかもしれません。

しかし、FinTech(フィンテック)を導入すると、インプット作業が大幅に省力化できるために、アウトプットである分析データ等の作成に注力できるようになります。
分析自体もある程度自動化できるほか、自動で入力可能な項目数も従来より多いため、より精緻な分析も可能です。

メリット④グローバルな送金やり取りがスムーズになる

国際送金のオンライン化が進むと、各手続きが迅速化されます。
例えば銀行窓口に行く必要がなくなるだけでなく、窓口で送金手続きを行っていた時よりも送金自体が早く実行されます。
その他、オンライン化によって銀行側の効率化も進むため、送金にかかる手数料も安くなるでしょう。

為替レートの面から考えても、即時処理が可能になると自分にとって有利なタイミングでの送金もできるようになり、コスト削減に役立ちます。

経理業務においてのFinTech(フィンテック)のデメリット3つ

デメリット①導入コストや人材育成が必要になる

ただし、FinTech(フィンテック)の導入にはデメリットもあります。
まず、そうしたIT技術を活用するためには、言うまでもなく設備投資が必要になります。
そのため、アナログ的な環境の会社では特に多くの初期投資費用がかかるでしょう。

その他、設備を導入するだけでなく、当然その設備を使うための人材も必要です。
そうしたIT技術の知識に長けた人材を育成あるいは採用するコストが発生することも考えられます。

デメリット②インターネット環境に左右される

FinTech(フィンテック)と称される分野はIT技術の世界であり、インターネット環境が整っていることが大前提です。
したがって、何らかの問題が起きてインターネットに繋がらない状態になってしまうと、便利さから一転し、逆に何もできない状態になる可能性があります。
その他、ハッキング等のリスクと常に隣り合わせであり、セキュリティ面でも一歩間違えれば大きな問題に発展してしまうかもしれません。

デメリット③運営企業の安定性を見極める必要がある

FinTech(フィンテック)の分野には次々に新しい企業が参入し、様々なサービスが新たに生まれています。
裏を返せば、新しい会社やサービスというのは実績が未知数とも言えるでしょう。
そうした中から何らかのサービス等を選ぶ場合は、やはり運営企業の安定性を同時に見極めなければなりません。

FinTech(フィンテック)の基礎知識|どんな技術が使われているのか

①取引内容を連結して記録する【ブロックチェーン】

FinTech(フィンテック)の分野で使われる代表的なテクノロジーを挙げてみます。
まず、ブロックチェーンという技術があります。
ブロックチェーンは自律分散システムとも呼ばれ、従来の中央集中型システムと全く異なる仕組みです。
全体を一元管理する責任者が存在せず、ネットワーク上に繋がった端末同士が情報を共有することで強固かつ自律的なシステムを構築しています。

ブロックチェーンの主な特徴は以下の通りです。

  • データ改ざんがほぼ不可能
  • 一部の端末がダウンしても全体のシステムはダウンしない
  • 取引記録が消去できない

②セキュリティーを強固にする【生体認証】

生体認証という技術も今後さらなる普及が予測されます。
既に使われはじめている顔認証や指紋認証等も生体認証です。
従来のような暗証番号やパスワードの場合は、情報漏洩やスキミング等のリスクがありました。
一方、生体認証はそういったリスクがないほか、本人確認がより厳密に行えるというメリットもあります。

③モノのインターネット【loT】

従来インターネットに接続されていなかったようなモノとインターネットを新たに結びつけるテクノロジーをIoT(Internet of  Things)と呼びます。
インターネットを通じてモノから情報を吸い上げ、さらにフィードバックするような仕組みです。

例えば冷蔵庫等の家電では既に使われはじめています。その他、今後は自動車や医療機器を含め様々なモノに活用範囲を広げていくと予測されます。

④知的行為を人工的に再現する【AI】

人工知能とも呼ばれるAIの分野も世界的に開発が進んでいます。
これは人間の脳機能の一部をコンピューターで再現することで、従来より複雑な判断等を機械でできるようにする技術です。
この技術により、これまで人間しかできなかったことが機械で代替できるようになります。例えば、自動で質問に答えるチャットボットや、最適な資産運用方法を提案してくれるロボアドバイザーもAIの活用例です。

⑤外部アプリとの連携をする仕組み【API】

外部アプリと連携することで利便性を高めるAPI(Application Programming Interface)という技術も活用が進んでいます。
その名前の通り、アプリケーションとプログラムを連携するという意味です。
例えば、Googleアカウントを持っていればほかのサービスにもログイン可能になるのはAPIの技術です。
その他、金融機関のデータを連携して使う家計簿アプリもAPIの活用例になります。

金融機関とFinTech(フィンテック)企業の連携は今後拡大していく

金融機関にとって、FinTech(フィンテック)の導入は今後も不可避であることは間違いありません。
新しいテクノロジーによってビジネスモデルの見直しまで迫られることも考えられます。
そうした中で、金融機関の変化は経理の仕事へも影響が及ぶでしょう。
決済手段の多様化をはじめ、手続きのさらなる自動化、銀行と自社とのデータ連携、資金調達におけるAIの導入等、様々な可能性があります。

まとめ

FinTech(フィンテック)の分野は今後一層広がりを見せていくでしょう。
テクノロジーの進歩はとどまるところを知らないため、それに引っ張られるような形で金融の世界も変化せざるを得ません。
そして経理の仕事も、その影響を直接あるいは間接的に受けることは間違いなく、変化にどう対応していけるかが今後重要になってくると考えられます。

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oneplus編集部

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