近年は働き方改革の影響もあって「業務の効率化」が多くの場面で求められます。そのため、各企業は様々なシステムツールを活用して業務の効率化を進めています。
本記事では、業務効率化の中でも企業全体で効率化を進めていくために必要なERP導入について解説します。導入で得られるメリットや導入の際に知っておきたい注意点等を網羅して解説するため、自社にERP導入する際の参考になります。
ERPを導入するとどうなる?
ここではまず、ERPの概要について理解を深めましょう。
ERPは導入する企業が増加傾向にありますが、まだまだ「何を指しているかよくわからない」という方も多いですよね。
ERPの概要や開発の背景を知って、必要性を確認しましょう。
そもそもERPとは?
ERPは「Enterprise Resources Planning」の略語で、日本語では「資源統合管理計画」と解釈できます。しかし、実際の現場では「基幹システム」「業務統合パッケージ」等、様々な呼び方があります。
このERPは、企業における様々な業務を一元化して企業全体で効率化・透明化を図るために使われています。具体的には、企業の基幹をなしている「会計」「人事・総務」「生産」「販売」等、企業内のすべての業務をひとまとめにシステムで管理することを指します。
多岐にわたる業務を一元化することで、各部門ごとの連携をとりやすくし、企業全体で効率化を目指せる効果があります。
ERPが開発された背景
ERPが必要となった背景には「ビジネスにスピード感が求められる時代になった」という点が挙げられます。
ネットが普及し、情報が早く豊富に入手できる時代になったことで、ビジネスでもスピード感が求められるようになりました。また、ネットの普及によりグローバルにビジネスを展開するチャンスが増えたことも、スピードを求められる要因のひとつです。
ERPはドイツで開発されましたが、ビジネススタイルの違いから日本国内ではなかなか浸透しませんでした。しかし、これから諸外国の企業と対等にビジネスチャンスを獲得するためには、ビジネススタイルの進化とERPの活用が欠かせないと判断し、普及が急速に進んでいます。
ERP導入のメリット
ここでは、ERP導入で得られるメリットを5つ紹介します。ERPの導入は業務の自動化だけでなく、ガバナンスの強化や様々な情報の可視化にも繋がります。
業務プロセスが自動化できる
もっとも大きなメリットは、企業内の基幹業務を自動化できる点です。これまで部分的にシステムを導入してある程度、自動化していた企業もERPの導入によって格段に業務効率がアップします。
特に顕著になるタイミングは、決算時です。決算時は各部署のデータを集めたり整理する必要があります。しかし、ERPを導入している企業はすべてのデータを一元管理しているため、整理する必要がありません。
システム連携によって業務効率が向上する
ERPで各部署のデータを一元化することで、業務の効率化に繋がります。例えば、製造業の場合で考えてみましょう。
製品の受注をして生産計画を練る際に、データが一元化されていると生産スケジュールを全部署で把握できます。その結果、営業から製造現場までこまめにコンタクトを取らずともスピーディーかつ正確な生産体制で作業が可能になります。
データを一元化できる
自動化と効率化のベースともなっている「データの一元化」もメリットのひとつです。ERPを活用することで、全部署のデータを簡単に共有できます。
様々なデータを従業員全体が「自分事」と捉えることで、企業活動がスムーズかつ活発になるでしょう。
ガバナンスを強化できる
ERPの導入は様々な部署のデータを一括管理するため、透明性が高くガバナンス強化にも繋がります。企業が成長を続けるためにはガバナンスの強化が必要不可欠です。
経営データの見える化ができる
経営陣側が得られるメリットとして「経営データの見える化」があります。経営陣は現場から離れているケースが多く、現場の売上や人件費、人事情報等を確認する機会が少ない傾向にあります。
しかし、ERPでデータの一元化を行うと、現場のデータをすぐに確認することが可能です。現場の状態を知ることは、的確な意思決定にも繋がります。
ERP導入のデメリット
次にERP導入のデメリットを確認しておきましょう。デメリットを把握することで、課題に対処できるようになります。
導入や保守・運用で費用が発生する
もっとも大きなデメリットはコストの発生です。これまで人力で行っていた業務をERPに委ねることは大きなメリットをもたらしますが、一方で膨大なコストがかかるデメリットにもなります。
導入コストはもちろん、ランニングコストも事前に把握しなければなりません。導入効果が大きい分、費用は非常に莫大に見えるでしょう。しかし「ERP導入で人件費をどれだけ削減できたか」という観点で導入を見ていくと、費用対効果は十分に期待できるでしょう。
一元化の前にデータを整理する必要がある
企業内のシステムを一元化するためには、各部署ごとにデータを整理する必要があります。これまでは部門ごとに行っていた業務のやり方を見直して、全体としてのやり方を作り出していく必要があります。
そのため、一元化の前には各部署のデータやルールを整理する手間がかかります。
社員教育が必要になる
ERPは年々システムが進化して使いやすい仕様になっています。しかし、ITリテラシーが低い従業員の場合は、事前に研修や教育活動が求められます。そのため、ERPを導入する際には業務の合間をぬって「ERPに関する勉強会」を実施する必要があります。
ERP導入の進め方
ERP導入の手順としては、下記の順に進めていきます。
①全部署(該当部署)の業務やデータの洗い出し
②業者の選定
③必要な機能の選定
④使い方の周知(社内研修)
⑤導入
導入後も常にPDCAサイクルを回し、常に最適化を図ることも重要です。
ERP導入の注意点
最後にERP導入における注意点を確認しましょう。目的を明確にしつつERPの導入は「ゴールではない」という点に注意が必要です。
ERP導入の目的を明確にする
「周りがはじめたから導入しよう」という考えでERPを導入すると失敗に終わります。「なぜ導入するか」「何のために導入するか」を明確にした上で、導入を検討しましょう。
ERPはあくまでも手段であることを理解する
ERPは「企業の業務効率化を図る手段のひとつ」です。企業のスタイルや規模によっては導入を見送る方が良いケースもあります。
ERPがすべてではないため、自社にあった効率化の方法を模索してみましょう。
コンサルタントやベンダーに依存しすぎない
ERPに対する知識が少ない場合は、専門家に依存しすぎて失敗するケースがあります。自社内の事情は社内の人間は一番理解しています。
しかし、必要なことをすべて専門家に任せてしまっては、ERPの良さが失われてしまいます。プロの意見を取り入れながらも主体的に導入を行いましょう。
まとめ:ERP導入を成功させて業務効率化を図ろう
今回はERP導入に関するポイントを解説しました。ERPの導入は費用やデータの整理が必要です。しかし、長期的な視点で見ると効果が大きくなります。
専門家のアドバイスを受けながら、是非自社での導入を検討してみましょう。