これからのビジネスモデルを考えるにあたってDX導入は欠かせない取り組みです。では、なぜここまで重要性が高まっているのでしょうか。本記事では、DX×ビジネスモデルがなぜ重要であるか、ビジネスモデルの例や企業の取り組み事例を挙げつつ解説していきます。
DXとビジネスモデルの関係
DXは仕事や生活など身近な場所でも行われている取り組みです。特にビジネスにおいては、現場作業単位の小さな導入から、組織全体、事業にかかわるビジネスモデルの大きな変革など、大小さまざまなDX導入が進められています。
なぜビジネスにおいて急速にDX導入が必要とされているのでしょうか。ここでは、DXとビジネスの関係性について見ていきましょう。
そもそもDXとは?
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を用いて仕事や生活をより良いものに変革する取り組みのことです。企業では業務効率化や生産性向上を目指して、近年急速にDXの導入が推進されています。
ビジネスモデルとは
ビジネスモデルとは商品やサービスの付加価値を顧客へ提供し、収益を得る一連のシステムのことです。持続可能で優れたビジネスモデルを組み立てることは利益を向上させ、企業を成長へ導くことにつながります。
このビジネスモデルの組み立てにおいて大事なポイントは、以下の4つです。
・ターゲットとなる顧客は誰か
・顧客が必要としている価値は何か
・その価値をどのように提供するか
・なぜそれを利益に結び付けられるのか
DX推進によるビジネスモデル変革の重要性
これまでのビジネスモデルでは、低価格で効率的な大量生産を目的としたシステムが多く存在していました。しかし近年では、このような大量消費につながる体制から、適正な生産で持続性を高める体制に変化してきています。
そこで、活躍するのがDXを導入したビジネスモデルです。これらはCXやUXなど顧客体験価値を向上させ、商品やサービスを利用した人の満足度を高めることで、持続性を高めていく仕組みを目指すことができます。また、差別化を図り、利益を向上させ事業の成長につなげるためにも、デジタル技術を利用するDX推進は欠かせません。
DX推進により変革が起こっているビジネスモデル例
近年、DXの導入により従来のビジネスモデルから大きく変化してきています。企業の成長を促すだけでなく環境にも配慮したビジネスモデルが必要です。ここでは、DX導入により変革が起きているビジネスモデル例を紹介していきます。
サブスクリプション
注目する点は買い切りではなく、継続購入・定期購読ということです。そのため、顧客のニーズを分析して、常にサービスの改善やアップデートが行われるメリットがあります。
「モノを買う」から「体験や価値に対価を払う」という価値観に変化してきている今、それを推し進めているものの一つがサブスクリプションです。この仕組みは、Apple Music、Netflix、kindle Unlimited、airCloset、Oisixなどさまざまなジャンルに進出しています。
シェアリングエコノミー
共有経済のことを指しており、例えばインターネットを通じて、住居や乗り物、家具などの個人の資産を貸し出すこと、家事代行や掃除代行など個人のスキルを提供するサービスのことです。
このサービスは、主に次の5つのジャンルで参入が増えています。
・空間のシェア:駐車場、民泊、住居など
・お金のシェア:クラウドファンディング
・移動手段のシェア:自動車、自転車など
・モノのシェア:フリマアプリ、レンタルサービスなど
・スキルのシェア:家事、育児、クラウドソーシングなど
マス・カスタマイゼーション
大量生産(マスプロダクション)かつ受注生産(カスタマイゼーション)で、顧客のニーズに応える商品やサービスを提供することをマスカスタマイゼーションといいます。
企業としては、コストを抑えつつ効率的に生産できるというメリットがあります。また顧客としても、カスタム化することで希望に沿った仕様変更が可能となり、顧客体験価値の向上が期待できるでしょう。
パーソナライゼーション
マーケティング手法の一つで、顧客のニーズに応えるために企業側がデータ分析を行い、一人一人に最適な商品やサービスを提供することを目的としています。
パーソナライゼーションの必要性が高まってきた理由には、
・情報収集の選択肢が増えたこと
・顧客の価値観が多様化したこと
・体験や価値に対価を払う価値観に変化してきたこと
などがあります。
【国内】DX推進によるビジネスモデル変革の成功事例
事業や企業を成長させるために欠かせないDXですが、日本企業ではまだまだ導入の必要性が理解されていないことも多いです。ここでは、既に導入に成功している日本企業の取り組みについて紹介していきます。
株式会社ZOZO
アパレル業界では、直接試着ができないECサイトは向いていないように思われますが、この問題を解決して成功をおさめたのがZOZOTOWNです。ZOZOは身長や体重を入力すると自分に合ったサイズをおすすめしてくれる、マルチサイズプラットフォームというサービスを提供することで、洋服を選ぶ上で欠かせないサイズチェックをネット上でも可能にしました。
https://corp.zozo.com/
日本交通 JapanTaxi
JapanTaxiとは、日本交通が提供するタクシー配車アプリで、アプリで乗車場所を選択し、周辺のタクシーを呼べるサービスです。このサービスでは、日本交通に限らず全国約900社のタクシー会社、約7万台のタクシーが利用できます。
また、アプリにクレジットカード情報を登録しておけば、降車時の支払いの手間を減らせるため、最初から最後までストレスフリーな利用が可能です。
※JapanTaxiは2021年3月31日を以てサービスを終了しています。現在は公式後継アプリとして「GO」を提供しています。
https://www.nihon-kotsu-taxi.jp/
みずほ銀行
みずほは融資の領域でもAI技術を活用し、スマートビジネスローンというサービスを開始しました。決算書は不要で、AIがデータ分析を行い、顧客企業の信用度を審査する特徴があります。
これにより、決算書がなく融資を受けられなかったスタートアップ企業も利用しやすくなり、顧客層を拡大することにつながっていくでしょう。
https://www.mizuhobank.co.jp/index.html
【海外】DX推進によるビジネスモデル変革の成功事例
海外ではすでに多くの企業がDXの導入に取り組んでいます。その中でもビジネスモデルの変革に大きく成功した企業を紹介していきます。
Amazon
Amazonはオンラインショッピングサービスを展開しています。このサービスが大きく伸びた理由は、既存の店舗の延長としてではなく、始めからオンライン販売を前提としたビジネスモデルを組み立てたことによります。
そしてその背景では、AIの機械学習によるデータ分析や需要予測といったさまざまなデジタル技術が利用され、顧客のニーズに応えられるよう常に情報が収集されています。
https://www.amazon.co.jp/ref=nav_logo
Uber
今ではUberと聞くとUber Eatsのイメージが強いですが、事業の根幹は自動車配車サービスでした。これは日本のタクシー配車アプリとは少々異なり、Uberに登録している個人の自動車を利用するというものです。また、料金の支払いはすべてアプリ内で済ますことができます。
https://www.uber.com/jp/ja/
BMW
これまで自動車の購入は、店舗に足を運び、実物を目で見て、実際に試乗して決めることがほとんどでしたが、BMW社が開発したアプリでは、店舗へ足を運ばずとも、拡張現実(AR)で目当ての自動車をさまざまな角度から見て、カスタマイズすることが可能となりました。
このシステムにより、いままでアプローチできなかった顧客層への販売機会を増やすことができる、といったメリットがあると考えられます。
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
まとめ:DX×ビジネスモデルで競争社会を勝ち残ろう
本記事では、ビジネスモデルの変革にDX導入が必要な理由や、海外や日本の事例を紹介しました。こういった取り組みが身近なところでも行われているということがご理解いただけたのではないでしょうか。
今後もデジタル技術を利用した事業の展開が進んでいくと考えられます。今回紹介した事例を参考に、新しいビジネスモデルの創造に取り組んでみてはいかがでしょうか。