経理業務のDXを検討する中で、「どこから手を付ければよいのか」「経理特有の課題はどのようなものがあるのか」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
経理業務のDX推進には、まず紙ベースのアナログ業務をデジタル化したうえで、業務プロセスを改善することが重要です。特に、請求書や納品書を電子化することで、業務の自動化による効率化、可視化によるリアルタイムで精度の高いデータの把握、ミスの削減といった効果に期待できます。
本記事では、経理DXを実現するために知っておきたい課題や、役立つツールを解説します。さらに、納品書と請求書の電子化システムを導入し、作業工数を大幅に削減した事例もご紹介します。
経理DXとは?
経理DXとは、デジタル技術を活用して経理業務のプロセスを変革することにより、自動化や効率化を目指す取り組みです。
従来、紙ベースや手作業で行われていた経理作業をデジタル化し、それに伴って業務フローを見直すことで、より生産性の高い環境が整います。
また、デジタル化により多様なデータが収集でき、組織全体がデータに基づいた意思決定を行いやすくなるため、企業の競争力向上にもつながります。
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経理業務の課題
経理DXを進めるためには、経理業務が抱える現状の課題を正確に把握し、改善点を明確にすることが不可欠です。経理部門が直面している主な課題として、以下の4つが挙げられます。
紙ベースで管理しているアナログ業務が多い
多くの企業では、納品書や請求書、領収書を紙ベースで管理しているのが現状です。
紙の書類は、発行や郵送、ファイリングといった手作業が多く、業務に多大な時間と手間を要します。例えば請求書を紙で発行する際には、印刷・封入・投函などの作業を手作業で行わなくてはなりません。そのうえ請求内容の差異やミスが発生した場合は、目視で該当する箇所を確認、再度作成・送付する必要があります。
また、紙の使用には印刷や郵送、保管のコストも発生します。特に、2024年10月には
郵便料金の引き上げもあり、大量の請求書を送付する企業にとっては郵送コストだけでも大きな負担となっているでしょう。
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業務が属人化している
経理業務は企業の経済活動に関わる金銭のやり取りを記録・管理する役割を担っているため、専門性が高く属人化しやすい職種です。また近年では人手不足の影響もあり、人材をすぐに確保するのが難しい状況にあります。
そのため一人の担当者が多くの経理業務を行っていることも多く、長期の休暇や退職があると業務が滞ってしまい、経営活動に大きな支障が出る可能性も考えられます。
法改正への対応による業務効率低下
経理部門では、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法改正への対応が頻繁に生じ、担当者の業務負担が増加しています。
例えば、インボイス(適格請求書)には記載事項が定められており、制度を導入する際に従来の請求書フォーマットを変更した、というご担当者様も多いのではないでしょうか。また、発行側・受領側の双方において、適格請求書を一定期間保存する義務があるため、ファイリング作業も追加されます。
このような法改正への対応は、通常業務に加えて行う必要があるため、コア業務に専念できる時間が減少し、経理業務全体の効率低下を招いてしまうことでしょう。。
システム導入・運用コストの増加
経理DXを推進する際には、新たなシステムやツールを導入することも有効な手段となりえます。例えば、経理業務の自動化やペーパーレス化を実現するためには専用のシステムが欠かせません。しかし、これらは高額な導入費用がかかるケースもあり、運用やメンテナンスにも継続的なコストが発生します。
経理DXに役立つシステムやツール
ここでは、経理DXに役立つ主なシステムやツールをご紹介します。
種類 | メリット | デメリット |
クラウド会計システム | 場所を選ばず会計処理が可能。リアルタイムでのデータ共有が可能 | 基本的にカスタマイズできない |
クラウドストレージ | 書類の電子保存でペーパーレス化。アクセス権限の柔軟な設定が可能 | セキュリティリスク管理が必要 |
RPAツール | 繰り返し作業の自動化でミスを削減。担当者の負担軽減 | 単純作業に限定されるケースが多い |
電子契約サービス | オンラインで契約締結。郵送費の削減 | 電子化できない契約書もある |
納品書・請求書の電子化サービス | 帳票書類の電子化で大幅に業務効率化とコスト削減 | インターネット環境が必須 |
納品書・請求書の電子化で経理DXを推進した事例
上記で挙げたシステムやツールの中でも、納品書や請求書を大量に受け取る企業が手早く業務効率化とコスト削減を図れる手法として最適なのが、帳票の電子化です。
ここからは、帳票を電子化した43つの事例をご紹介します。
いずれの事例も、納品書・請求書クラウド受取サービス「oneplat(ワンプラット)」を活用しています。
oneplatは、電子帳簿保存法やインボイス制度に完全対応しており、低コスト、かつ充実したサポート体制で納品書・請求書の電子化を実現するサービスです。
入力作業の自動化で支払いの業務工数を50%以上削減|卸売業
グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社様は、紙の製造やパッケージングソリューションを手がける企業です。同社では、会計システム「勘定奉行」を使用していたものの、支払い業務については他のシステムと連携されておらず、すべて手作業で行われていました。
勘定奉行で支払い用にデータをExcelで集計し、その後インターネットバンキングに1件ずつ入力していたのです。
oneplat導入後は、勘定奉行から支払いデータを抽出し、oneplatで自動的に集計が可能となり、インターネットバンキングと連携してデータを取り込むだけで支払業務が完了できるようになりました。
以前は支払いデータの作成に2日以上かかることもありましたが、oneplatを導入したことで支払い工数が50%以上削減され、業務の迅速化と作業負担の軽減が実現しています。
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ペーパーワークの効率化と内部統制の強化を実現|化粧品販売業
株式会社マッシュビューティーラボ様は、ナチュラル&オーガニックにこだわった化粧品・セルフケアアイテムなどの小売店舗事業やオリジナルブランド事業を展開されている企業です。
同社では、仕入先や店舗から毎月段ボール3箱分にもなる納品書や請求書が届いており、手作業による帳票管理や照合作業に多くの業務時間と労力を要していました。また、紙ベースの管理では、書類の増加に伴い保管場所が常に不足し、物理的なスペース確保だけでなく、必要な書類をすぐに取り出せるようにするための整理にも大変な手間がかかっていたのです。
そこで、業務効率の見直しを機に、ペーパーレス化による書類管理の効率化に向けた取り組みを実施。電子インボイス制度が導入されるにあたり、従来のシステムでは対応が難しいことから、新たなシステム導入が必要であると判断し、oneplatの導入をご決断いただきました。
oneplatの導入後は、これまで週に2日費やしていた納品書の照合作業を大幅に短縮し、業務時間を約4割削減することに成功。さらに、納品書や請求書のフォーマットが統一されたことで業務ミスも減少しました。
これにより、業務のスピードと正確性が各段に上がり、経理部門全体の業務効率向上とスムーズなデジタル管理運用を実現しています。
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経理部門全体における業務フローの改善と業務効率の向上を実現|自動車小売業
株式会社ケーユーホールディングス様は、国産車販売や輸入車ディーラー事業を展開されている企業です。同社では、外注業者からの納品書が紙で届くと、各拠点の担当者が基幹システムへ手作業で入力していました。しかし、手間と時間がかかる上に請求書との突合時にミスが生じやすく、請求書と基幹システムの債務残高の不一致が発生する原因にもなっていました。
そこで、納品書と請求書の突合作業を自動化できるツールを模索し、oneplatを採用しました。取引先にも新しいシステムの説明やフォローが必要なことを懸念していましたが、手厚いサポート体制により安心して導入に踏み切って頂くことが出来ました。
oneplatと基幹システムを連携したことで、納品書と請求書のデータを自動で突合するようになり、手作業での入力や確認がほぼ不要になり、結果として担当者1人当たり30分〜1時間の業務削減が実現。特に月末月初の繁忙期にはさらに多くの時間を節約できるようになりました。
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複雑な支払い業務と大量の納品書管理を効率化|飲食業
株式会社Ea-quesT様は、全国に150店舗以上のフランチャイズ店を展開されている企業です。
同社では、数多くの新店を抱えるなか、売上の管理やロイヤリティ計算、そしてそれらをまとめた請求書の作成が複雑な業務フローになっており、非常に大変な業務となっていました。また、各店舗に届く納品書の管理も煩雑になっていたため、多くの時間と労力がかかっていました。
oneplatの活用により、フランチャイズ店の請求書管理に関わる課題を解決。毎月10~15店舗ほど加盟店様が増えていくなかで、納品書や請求書に関わる業務を仕組みから変えていくことで、スムーズなビジネス拡大を実現しています。
▶株式会社Ea-quesT様の事例詳細はこちら
納品書や請求書の電子化サービスを選ぶ際のポイント
近年では多くの企業から、特徴や料金体系が異なる様々な納品書・請求書の電子化サービスが提供されています。そのため、導入する電子化サービスによっては、「自社の業務に合わない」「コストに対して効果が見合っていない」などの問題が発生する場合もあるでしょう。ここでは、納品書・請求書を発行する側、受け取る側に分けて、電子化サービスを検討する際のポイントをご紹介します。
納品書や請求書を発行する側のポイント
発行する納品書・請求書の電子化を検討する際は、以下のポイントを押さえることで、自社の業務や予算などの要件に適した電子化サービスを見つけやすくなります。
- 自社の課題を解決できるか
- 法改正に対応済みか
- 既存システムと連携可能か
- サポートは充実しているか
- 操作性はシンプルか
- 料金は予算に合っているか
- セキュリティ対策は万全か
納品書や請求書を発行する側の各ポイントの詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】【紙ベース/アナログ管理企業向け】納品書・請求書電子発行サービスの選び方を基礎から解説
納品書や請求書を受け取る側のポイント
受け取る納品書・請求書の電子化を検討する際は、以下のポイントを押さえることで、自社の業務や予算などの要件に適した電子化サービスを見つけやすくなります。
- 電子化の業務負荷をどこまで減らしたいか
- 自社の会計システムに適合できる仕訳データを出力できるか
- 会計システムとの連携の精度が高いか
- 請求書・見積書等の国税関係書類にも法対応できているか
- コスト負担が最適か
納品書や請求書を受け取る側の各ポイント詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】納品書の電子化とは?電子化のメリットと注意点、システムの選び方も解説
まとめ
経理業務のDXを進めるためには、紙で管理されている業務のデジタル化を図り、業務プロセス全体を見直すことが重要です。特に、納品書や請求書の電子化によって担当者の負担が軽減され、業務の標準化やコスト削減にもつながります。
oneplatは豊富な種類のシステムと連携できる上、手厚いサポートも提供されているため、幅広い業種の企業様に導入されています。経理DXの実現に向けて、oneplatの導入を是非ご検討ください。