領収書の但し書きとは?記載項目、備品ごとのポイント、収入印紙などを解説

領収書の但し書きとは、取引の際に何の代金を支払ったかを明確にするため、記載する項目を指します。

但し書きがきちんとされていないと、経理担当者は経費に入れていいものなのか、どの品目で経費処理すればいいのかわからないという事態に陥ってしまいます。

例えば、会社の備品としてボールペンを購入した場合は「ボールペン代として」、社外のセミナーに参加した場合は「セミナー参加費として」と書く等、具体的な品目を記載するようにしましょう。

印紙税が必要か判断するため、金種や税額を記載する場合もありますし、飲食では人数を記載する場合もあります。

この記事では、領収書の但し書きについて解説します。

領収書の記載事項

領収書の形式においては、法律上で決められたものはありません。手書き、エクセル等どんな形式でも良いのです。

また、領収書を必ず発行しなければならないわけではないのですが、代金の支払者が領収書を希望した際には発行をしなければならない義務があります。

領収書が法的な効力を持つために、記載しなければならない項目は次の5点に決まっています。

  1. 宛名
  2. 発行者
  3. 日付(年月日)
  4. 金額
  5. 但し書き(内容)

宛名は領収書を受領する側のことで、通常は自社の名前が入ります。発行者は領収書を発行する側であり、品物を購入したりサービスを受けたりした店名が入ります。

日付は金銭授受があった日、必ず年月日まで正確に記載します。そして但し書きは、「セミナー参加費として」等、具体的な内容を記載します。

領収書の但し書きの例

領収書の但し書きでよくあるのは「お品代」ではないでしょうか。

しかし、それでは何を購入したのかわかりませんよね。できるだけ、購入したものが一目でわかるような記載方法をするのがおすすめです。

但し書きを「お品代」としてしまうと、項目が不明なので「そのほか雑費」として振り分けられます。雑費とはほかの勘定科目に当てはまらない支出を指し、雑費の金額があまりに多いと税務調査の対象になる可能性があります。

中には、内容がわからないため「お品代」を認めていない会社もあります。適切に経費として計上できるよう、但し書きは正確に書いてもらうようにするのがポイントです。

但し書きは、次のように記載すると良いでしょう。

但し書き勘定科目
文房具、日用品等消耗品費
交通費、出張の際の宿泊費等旅費交通費
書籍、新聞等(タイトルも記載)新聞図書費
飲食代(人数・メニューも記載)接待交際費
ダイレクトメール、求人広告費広告宣伝費
切手、ハガキ代通信費
お中元、お歳暮等ギフト代

但し書きには具体的に正確な記載をしましょう。飲食代や飲み物代は私用と疑われやすい項目ですが、参加人数やメニュー等の記入をすると良いでしょう。書籍等も、タイトルまで記入します。

そして、第三者によって改ざんされることを防ぐため、語尾に必ず「◯◯として」と記入し、あとから書き足せないようにしておきます。

領収書の但し書きの注意点

領収書の但し書きに関しての注意点ですが、最も重要な点は金銭のやり取りを証明するためのものであること、改ざんされないための措置を取ることの2点です。

そのほかにもいくつか注意点がありますので、ひとつずつ解説します。

具体的な品目や使用用途を簡潔に記入する

領収書の但し書きでよくあるのが、但し書きに何を記載すべきか迷い「お品代」や「備品代」で済ませてしまうケースです。空欄にしてしまうのは取引があった事実を証明できないので、望ましくありません。

消費税法においても、領収書の必須事項として取引内容を含んでいるので、但し書きなしのものは正式な領収書として認められません

少額なら問題ありませんが、領収書の金額が大きい場合は、確定申告の際にチェックが入り、経費計上が認められないリスクがあります。

領収書の但し書きは、可能な限り勘定科目を分け、判断に迷った場合でもなるべく具体的に記載するのが大切です。

受け取りのその場で勘定科目の判断ができない場合は、購入した商品名やサービス名を記載しましょう。

事実と異なるような内容を記入してはいけない

事実と異なる内容の領収書を発行・利用すると、私文書偽造の罪に該当する可能性があります。

領収書の但し書きがされていない領収書を受け取るケースもあるかもしれませんが、自分で加筆修正をすると同様の罪になりかねません。

脱税行為として見なされる可能性も出てきます。最悪は会社をクビになるどころか逮捕されることも。

偽造した本人だけではなく、店側が罪に問われてしまう場合もあるため、事実と異なる内容を記入するのは絶対にやめましょう。

品目や使用用途が複数ある場合は代表的なものを記載する

領収書の但し書き欄は小さいものが多く、購入した品目をすべて記載することは難しいでしょう。

その場合は、一度に複数のものを購入した場合は、代表となる商品のみ記載すれば問題ありません。10万円未満かつ耐用年数が1年未満の品物は「消耗品費」でまとめることができます。商品の値札やイベント参加のフライヤー、チケット等、物的証拠を併せて保管しておくと良いでしょう。

また、商品名をすべて記載すれば、領収書の発行に時間がかかってしまいますね。

「代表となる商品」として望ましいのは、購入した商品のうちもっとも購入価格が大きいものです。レシートがもらえるのであれば、一緒に保管しておくと信憑性を高めることができます。

手書きの領収書と違い、機械が印字するレシートは経費精算において証拠能力に優れています。また、レシートの代わりに納品書やクレジットカードの請求明細を添えても良いでしょう。

購入価格が高額なもの(◯◯)を代表として「〇〇ほか△点」と品目もあわせて但し書きに記載します。

購入した商品が多い場合はレシートを代用する方法もある

領収書とレシートはどちらも同じです。内容によっては、感熱紙のレシートの方が領収書よりも証拠能力に優れていると判断されることもあります。

領収書というタイトルでなくても、請求書や納品書、見積書が領収書として認識されることもあります。

購入時のレシートの様式によっては、領収書の代わりとして経費精算に使用できる場合があります。また、購入した商品が多い場合は、手書きの領収書の発行ではなく、レシートを証憑書類として活用する方法もあります。

レシートには購入した品目や点数が記載されているため証明力が高く、手書きの領収書よりもお金の流れを明確化できるからです。

手書きの領収書は、相手先名や日付、金額等の改ざんがレシートに比べてしやすくなるという一面があります。

商習慣上は手書きの領収書とレシートを同時発行しない事業者が一般的ですが、申し出ると対応してくれるところも少なくありません。レシートを利用する場合は証憑書類の二重発行を防止するため、手書きの領収書の発行を断りましょう。

領収書を発行する側のポイント

領収書を発行する側にも気をつけなければならないポイントがいくつかあります。

領収書の発行は拒否できるのか

領収書を発行しなければならないという法律はありません。しかし民法486条の「弁済をしたものは、弁済を受領した者に対して受領証書の交付を請求することができる」という規定に応じる形式で発行しているのが通例です。

実際に金銭の授受をした事実を証明するための証憑書類となるため、架空の取引に対する領収書の発行は拒否することができます。

収入印紙の節約

収入印紙は、受取金額が5万円以上であった際に領収書へ貼付します。そして、収入印紙の再利用の防止に印紙を貼付した用紙と、印紙の柄の部分をまたいで押印や自署をします。

「割印」という言葉がよく使われますが、印紙税法では「消印」と呼ばれます。

領収書の発行者名の欄の印鑑と同じでなくても問題はなく、日付印や屋号入の角印等も使用できます。自署の場合は、文字が消せないようボールペン等を使用するようにしましょう。

また、クレジットカード払いでの取引は、金額が5万円以上であっても収入印紙の貼付は必要ありません。

領収書に貼り付ける収入印紙は、記載金額が5万円未満であれば非課税となるため、収入印紙を貼り付ける必要がなくなります。合算して5万円以上になってしまうのであれば、分割して領収書を発行することで節税になります。

印紙税は消費税抜きの金額で必要かを判断します。

しかし、領収書の受領額だけでは消費税がいくら含まれているのかわかりません。そのため、但し書きに「内消費税等◯◯円」等と記載し、税抜き額を確認できるようにします。

例えば53,000円の領収書の但し書きが「コピー用品ほか」であれば200円の印紙が必要になります。「コピー用紙ほか 消費税5,300円含む」と記載することによって、税抜き代金は47,700円となり、印紙は不要と判断できます。

これが「総額53,000円、消費税10%を含む」という記載になると、消費税額が明らかになっていないので課税文書の取り扱いになります。

また、国や地方公共団体は非課税法人となるため、領収書に収入印紙を貼付する必要はなくなります。さらに営業に関わりのない個人間取引等で発行される領収書も非課税扱いとなります。

領収書を再発行する際の但し書きの注意点」

領収書の不備や紛失、但し書きがない場合は、再発行を検討する場面も出てくることがあります。

但し書きがないということは、正式な領収書として認められないことになります。

また、再発行をするには二重請求のリスクが伴うため、あらかじめマニュアルを決めておき、それに沿って対応するのが望ましいです。

ここでは、領収書の再発行についての解説をします。

領収書は基本的に再発行が難しい

結論からいうと、基本的に領収書の再発行は難しいです。店舗やサービスを提供した側には、支払った側から領収書を請求された場合に発行義務がありますが、再発行の義務まではありません。

また前述したとおり、二重発行となり不正使用されるケースもあります。その場合は、発行者までもが共犯の疑いをかけられる可能性があるので、簡単に再発行には応じられません。

最終的に再発行に応じるかどうかは事業所の判断となりますが、ほとんどの場合は、拒否されると思って間違いないでしょう。

事業所によっては「購入証明書」や「支払証明書」の発行に対応しているので、これらの書類を領収書の代わりとして利用することができます。ただし、発行には費用が発生する場合が多いです。

また、レシートを領収書の代わりに使用するという方法もあります。

証憑書類としての信頼性は領収書ほどではありませんが、多くの場合はレシートでも代用がききます。

そのほか、出金伝票に記録をし、領収書の代用としたり、支払にクレジットカードを利用していた場合は、利用明細の記録を領収書として代用できます。

破損や汚損による再発行を希望する場合は、元の領収書を持参することで再発行が認められるケースもあります。ただし、発行側に義務はないため必ずしも再発行してもらえるとは限らないのでご注意ください。

領収書の但し書きは空欄にしない

領収書の但し書きが空欄だった場合はどうなるのでしょうか。

「日付」や「金額」が記載されており、発行者住所氏名(店名等)がわかる場合はそこから品目を推定できます。

また、領収書の受領者が品目について「これは文房具代です」等と補足説明をすれば、経費として処理することは可能でしょう。

しかし、金額が大きい場合は使途不明金として、税務調査の際に調査官から不正を疑われる場合もあるので注意が必要です。悪用されてしまう可能性も否定できません。

誰が見ても何の代金を支払ったかがわかるようにしておき、正確に経費として支払ったことを証明できるかが重要となります。

但し書きがなければ、本当に経費かどうかを証明するのが難しくなるため、領収書に但し書きが記載されているかは必ず確認するようにしましょう。

もし但し書きが空欄の場合は、発行先に領収書の不備について説明と返却をして、再発行してもらうのが良いでしょう。

日付等の軽微な間違いなら、双方納得した上での訂正は可能です。また、金額の訂正は法的に認められておらず、再発行してもらう形になります。

ただし、安易に再発行できるものでもないですし、店舗によってはあらかじめ再発行ができないという告知がされている場合もあります。二重発行のリスクがある以上、そうやすやすと再発行するわけにはいかないのです。あくまで最終手段として考えてください。

支払いが現金ではなくクレジットカードだった場合は、原則として領収書の発行の必要はありません。

クレジットカードを利用した際に発行されるクレジット売上票が、領収書の代わりとなります。

領収書を発行するのは構いませんが、金銭のやり取りが直接行われたわけではないので「クレジットカード利用」等と記載する必要があります。

領収書の但し書きを自分で書くのはNG

原則として、領収書の但し書きは発行者が記載するものです。

発行者とは金銭の受領側のことで、領収書の修正も発行者側が行うのが基本です。

受領者が日付や金額等を加筆修正したり、但し書きを自分で記入したりした場合は、領収書の改ざんを行ったと判断されてしまうリスクがあります。

税務調査の際に領収書改ざんの有無もチェックが入るため、調査官の心象を損ねる可能性があります。最悪、不備の金額分が経費として認めてもらえず、修正申告が必要になってくる場合もあります。原則として、加筆修正はしないものと考えてください。

領収書管理作業の短縮化とミス軽減には電子化がおすすめ

領収書の作成や管理には、エクセルやアナログでの方法もありますが、作業に時間がかかったりミスがあったりしますし、訂正や再発行の手続きも、不可能ではありませんが簡単にはいかないことがわかりました。

科目の間違いや不正、経費にならないものを申請してこられる等、経費申請ミスに対応するのに手間と時間がかかってしまいます。

そういったリスクに対応するため、領収書の電子化も検討してみてはいかがでしょうか。

電子化をすれば、紛失や汚損することもありませんし、領収書の場合は7年間の保管期間がありますが、保管場所に困ることもありません。

初期費用やシステム構築には手間がかかりますが、長い目で見れば最終的には管理コストの削減にも繋がります。ペーパーレス化により、環境への配慮をしているというアピールにもなりますね。

もちろん、すべての帳票が電子化できるとは限りませんので、事前に導入・運用にかかるコストやマニュアル作成等も含めて、検討してみましょう。

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oneplus編集部

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