財務分析とは?分析の種類と方法から活用法、注意点などを分かりやすく解説

財務分析は、決算書等を活用して「自社の経営状態はどうなっているか」を調べることを指します。しかし、具体的にどのような方法で進めていけばいいかわからないと悩む担当者もいるでしょう。
本記事では、財務分析について、その方法や注意すべきポイントを解説します。
正しいデータの見方を知り、企業の継続的な成長に繋げていきましょう。

財務分析とは?

まず財務分析について概要を把握しましょう。

財務分析を端的に表すと「決算書の情報を元に、自社の経営状況を分析すること」です。
企業はその規模に関わらず、定期的に経営状態を確認し、成長し続けることを求められます。しかし、経営状態は感覚だけでは正確に把握できません。

そのため、財務諸表や決算書と呼ばれる資料を元に、様々な利益率を算出します。そして、利益率を元に「成長性」「収益性」など、いくつかの視点から数値を分析していきます。

次からは、財務分析の活用シーンや手法を解説します。

財務分析の活用法

「そもそも財務分析はどんなシーンで役立つのか」と、疑問を感じる方もいるでしょう。
ここでは、財務分析の活用法を2つにわけて解説します。

財務分析は「他社との比較」「自社の過去との比較」に活用できます。

同業他社との比較

財務分析は、競合他社との比較に活用できます。
「業界内で、自社の利益率はどれくらいか」と立ち位置を客観的に判断すると、強みと弱みに気付けます。

他社に比べて数値が低い項目は「課題」として、企業で取り組んでいくことができます。また、他社よりも数値が高い項目は「強み」として、アピールポイントに繋がります。

自社の過去の分析結果との比較

財務分析は、自社の推移に関しても活用できます。
財務諸表で今季の状態だけを確認することも大切ですが、過去のデータと比較し、分析をすると様々な情報が見えてきます。

例えば「去年に比べて利益率が向上している」と気付いた場合は、なぜ利益率が上がったかを分析します。すると「IT化で人件費が削減できた」「オフィスの規模縮小で固定費を削減できた」と様々な要因が見えてきます。
このように、過去の自社データと比較分析することで、多くの情報を入手できます。

財務分析の4つの指標と方法

財務分析が企業成長のために欠かせない要素と解説しました。ここからは具体的な分析方法について解説します。

財務分析は「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」の4つに分類でき、さらにそれぞれ把握できる数値が異なります。

収益性分析

収益性は「効率的に利益がでているか」を判断する材料です。
どの企業も、人や機械など様々な資産を投入して利益を出しています。しかし、必要以上に人件費がかかっていたり、不必要なものに費用を割いていては利益率が低下します。

そのため、収益性を分析するためには「売上総利益率」「売上高営業利益率」を算出し、効率的に利益を出せているかを判断します。

収益性の分析には以下2つの数値を用います。

売上高総利益率(租利率)

「売上高-売上原価」を「粗利」と言い、数値で表したものが売上総利益率(粗利率)です。そして売上総利益率は「売上高総利益÷売上高×100」で算出できます。

売上高営業利益率

売上高営業利益率は「売上高に対し、どれだけ営業利益が残っているか」を表します。営業の効率性を把握でき、比率が高いほど良いと判断できます。

算出方法は「営業利益÷売上高×100」で求められます。

安全性分析

安全性分析は「企業にある支払い能力」を表します。
支払い能力が高い企業は経営が安定していると判断でき、銀行や顧客からの信用に繋がります。
安全性の分析には、以下2つの数値を用います。

流動比率

流動比率は、企業が得た現預金の額である流動資産と、支払予定である現預金の額を表す流動負債を比較したものを指します。
流動比率が小さい場合は「安全性が低い」と判断できます。

算出方法は「流動資産÷流動負債×100」で求められます。

自己資本比率

自己資本比率は、総資本の中で自己資本の比率を表す指標です。
自己資本比率が低い場合は、経営が不安定だと判断できます。

算出方法は「自己資本÷(自己資本+負債等)×100」で求められます。

生産性分析

生産性分析は、人員や設備等を企業がうまく活用できているかを判断できる指標です。
企業活動における「ムダ」を見つけることに活用できます。

生産性の分析には以下2つの数値を用います。

労働分配率

労働分配率は、付加価値に対する人件費の割合を表す指標です。数値が高い方が、人件費を押さえて多くの付加価値を上げていると判断できます。

算出方法は「売上総利益÷人件費×100%」で求められます。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性は、従業員1人あたりが生み出す付加価値を表した指標です。
数値が高ければ、それだけ効率の良い生産性と判断できます。

算出方法は「付加価値額÷平均従業員数」で求められます。

成長性分析

成長性分析は「これまでの成長や将来企業が成長できる可能性」を判断できる指標です。
成長性の分析には、以下2つの数値を用います。

売上高成長率

企業内において、1年間で増加した売上高を表します。昨年度と比較して数値が上昇していれば、1年間で売上高が増加したと判断できます。

算出方法は「(当期売上高-前期売上高)÷ 前期売上高×100」で求められます。

総資本成長率

総資本成長率は、該当年度の前期と比べ、年間で増加した総資本を表します。数値が上昇していれば、1年間で総資本が増加したと判断できます。

算出方法は「(当期の総資本の金額-前期の総資本の金額)÷前期の総資本の金額×100」で求められます。

財務分析をする際に注意すべきポイント

最後に、ここからは財務分析の注意点を3つ紹介します。
評価の方法や、数値だけにこだわると正確な判断ができません。また、行き詰まった場合は、専門家の力を借りることも検討しましょう。

数値は「絶対評価」ではなく「相対評価」

数値の判断には2種類の方法があります。
1つ目は「絶対評価」で、既に定められた基準への到達度や達成度を評価する方法です。

2つ目は「相対評価」で、集団内での相対的な位置づけにより評価する方法を指します。財務分析における評価は、後者である相対評価を用います。

あくまで財務・会計のみの指標であるということ

財務分析は、目に見える数値のみを分析します。そのため、従業員の企業に対する満足度や、モチベーション等は判断できません。

しかし目に見えないモチベーションは営業成績等に影響します。財務分析は重要な要素ですが、可視化できない分野の分析もあわせて実施が必要です。

よく分からない場合は税理士に相談すること

これまで紹介した手法を用いて数値を算出しても、うまく分析が進まないこともあります。
その場合は、自社のみで悩まず専門知識を持つ税理士に相談しましょう。

わからないまま間違った分析をすると、企業の課題に気付かず、成長の妨げになる場合があります。専門家に相談して、適切な戦略を立てましょう。

まとめ:財務分析を活用して経営戦略を立てよう

今回は企業成長に欠かせない財務分析について解説しました。
財務分析には多くの項目があり、適切な分析を行うためにはある程度の経験が必要です。

しかし、分析ができるようになると、自社の課題点や強みを見つけられ、企業成長のヒントを得られます。そのため、分析する習慣をつけましょう。

しかし「うまく分析ができない」という場合は、専門家やシステムの活用がおすすめです。自社内で解決できない財務分析は、システム活用をして確実に進めましょう。

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