テレワークやペーパーレス化が進むにつれ、請求書をデータで送りたいとお考えの経理担当者も多いのではないでしょうか。 電子化は業務効率化や保管スペース削減等のメリットがありますが、一方でデータの取り扱いや保管の方法に注意が必要です。
本記事では電子化に関する法律や保存時に気をつけるべきポイントについてご説明します。
請求書は電子化して送付・保管することが可能
請求書の電子化とは
請求書の電子化とは、これまで紙で作成・印刷・郵送・保管していた請求書を、データでやり取りするようプロセスを変更していくことです。
具体的な発行方法としては次の方法が挙げられます。
- エクセルやPDFの形で作成し、メールに添付する形で送付
- 自社の基幹システムを使って作成し、URLで共有
- クラウド上で作成し、クラウド上で送付
デジタル技術の発達に伴い、上記以外にも様々な方法が日々開発されています。
請求書を電子化するメリット
電子化のメリットは次のとおりです。
- 紙の印刷、ファイリング、郵送にかかる手間を削減し業務効率を向上
- 作業効率向上による人件費の削減、紙の印刷や郵送にかかるコストの削減
- オンラインやファイル上での検索が可能
また、2024年10月には郵便料金の値上げが実施されており、コスト削減のメリットがより一層大きいものとなります。
【関連記事】【2024年10月実施】郵便料金の値上げ内容を解説|納品書・請求書郵送への影響とコスト削減方法をご紹介
請求書を電子化するデメリット
一方で電子化のデメリットは次のとおりです。
- 初期にシステムへの投資や人員のアサインが必要
- セキュリティへの注意が必要
- 取引先への説明や説得が必要
請求書の電子化は業務効率化やミスの削減に
紙からデータに切り替えることで、業務効率の向上が見込まれるでしょう。
具体的にはパソコンを使うことで、紙の印刷や郵送ファイリングにかかる時間を削減でき、修正があった場合にも一から作り直すことなく一部だけを修正できます。
システムによっては入力を自動で行えるため、 手作業も減らせます。またシステム上で自動でエラーをチェックする機能を使えば、ミスの削減にも繋がります。
【関連記事】請求書を電子発行するメリットは大きい!効率的な運用方法と電子発行時の注意点
請求書の電子化は違法?関係する法律は?
電子化した請求書のやり取りは違法ではない
電子上でやり取りすることは法律上も認められており、世界的なデジタルの流れに取り残されないよう国としても推進しています。 請求書についても、契約書や領収書といったほかの書類と同様に電子上での発行が認められており、電子上の取引については特に印刷も必要ありません。
電子の導入にあたって法律上の問題がないのか疑問に思っている取引先があれば、問題ないことを丁寧に説明すると良いでしょう。
ただし電子帳簿保存法の要件を押さえておく必要がある
電子化自体は法律上認められていますが、 作成・保存の方法については法律と照らし合わせて違法とならないように気を付ける必要があります。請求書はほかの見積書や決算書と並んで国税関連書類に定められており、電子帳簿保存法に則っているかを確認する必要があります。
元々は1998年に定められた法律ですがその後も何度か改正があり、2022年1月にも大きく改正されているため、最新の法律に対応する必要があります。電子化を進める前に確認しましょう。
請求書データをやり取りする際は電子帳簿保存法の要件をチェック
請求書には保存義務期間が定められている
請求書は税務調査でも調査対象となる重要な書類のため、長期にわたって取っておくよう定められています。
法人の場合は一般的には7年、欠損金の繰越控除を利用する場合は10年の保管が必要で、個人事業主の場合は基本的には5年の保管が定められています。
年数の数え方は書類の発行日からではなく、年度の確定申告の提出期限翌日から数えます。
膨大な量の請求書保存には電子化が便利
上述のように請求書の保存期間は5〜10年と長く、日々の取引から発生する書類のため膨大な量となります。紙の場合は、印刷やファイリングの手間がかかるだけでなく、スペースもとってしまい、中には倉庫を借りたり広いオフィスに借り換える企業もあるようです。
データの形で保存すればスペースを削減でき、長期的に見ればオフィスを縮小することも可能となるでしょう。またデータの方が検索もしやすいため電子化する企業が増えています。
請求書の電子化に必要な電子帳簿保存法の要件
2024年1月から施行された電子帳簿保存法により、電子的に発行・送付した請求書は、電子データのまま保存することが義務化されました。
適切に保管されていない場合は電子帳簿保存法違反となり、青色申告の承認が取り消される可能性があります。
請求書を電子化する要件としては、主に以下の三つが定められています。
- 見読性…読みやすい形で残しておくこと。スキャンでは特に注意が必要
- 完全性… 書類の改ざんが行われない仕組みがあること
- 検索性… 該当データを後から検索で探せること
読みやすい形であること
書類は取引の当事者だけでなく、税務調査官や別の担当者が見てもわかりやすい形になるよう心がけます。特に紙のデータをスキャンする場合や初めてのフォーマットを使用する際には、読みやすい形の書類となっているか確認すると良いでしょう。
また、必要に応じてパソコンだけでなくプリンターやディスプレイを用意し、調査官の求めがあった場合は迅速に資料が提示できるように予め用意しておく必要があります。
改ざんが行えないように対策されていること
取引の根拠を示す重要な書類なため、税務調査やトラブルの際等に不正が起きないよう、改ざんが行えない体制作りをします。また税務調査だけでなく、 ビジネスをスムーズに行う上でも、改ざんできないプロセスは重要です。
訂正や削除が行えないシステムを利用するか、訂正や削除を行った履歴として残るシステムの利用が法律上では提案されています。システム導入の際には自社でのプロセスを整理し、使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
検索できるようにされていること
税務調査があった際に速やかに必要な書類を提示できるよう、検索機能の確保が求められています。また、税務調査だけでなく日々の取引の上でも簡単に検索ができると便利でしょう。
法律上、 データへの取引年月日・金額・取引先の設定が求められています。
合わせて下記の要件が定められていますが、調査官のダウンロードの求めに応じられる際には要件は不要です。
- 日付または金額について、範囲を設定して検索できる
- 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できる
電子帳簿保存法についての詳細は以下の記事で解説しています。
【関連記事】電子化した請求書と納品書の保存期間は?電子帳簿保存法の概要
請求書をデータで送る際に注意すべきポイント
取引先が電子化した請求書を受け付けているか確認する
法律上は電子請求書が認められていますが、企業によっては受付ていない場合もあります。その相手先と初めてデータでの取引をする際には、電子書類を送って問題ないかを事前に確認し、メールで送るかクラウド上で送るか等、詳細まで擦り合わせておくと安心でしょう。
【関連記事】請求書の電子化における案内状のポイントは? テンプレートも紹介
WordやExcel等編集可能なデータで送らない
資料をワードやエクセルのような「編集できてしまう形式」で送ると、万が一取引先の方でデータを書き換えられた場合にトラブルとなってしまいます。悪意がなくても相手先の方で誤って書き換えてしまうリスクや、自社で保管する際に誤って書き換えてしまうリスクもあります。こういったリスクを避けるため、 PDF やクラウドを使用して編集ができない状態でデータを送ると安心でしょう。
また、データをメールで送付する際には、 件名や本文にデータを添付している旨を記載し、見落としが起きにくいように工夫すると親切です。
【関連記事】請求書をメールで送って良い?関連する法律や送る際のポイントを解説
押印方法を事前に確認しておく
印鑑を押すことは法律上義務ではありませんが、マナーや信頼性を高めるため慣習として押している企業が多いです。電子化を行う際には、印鑑についてもどのように対応するか自社だけでなく取引先とも話しておくと安心です。
印鑑も請求書本体と同様に電子化が認められており、電子印鑑にすることで請求書に関わるすべてのやり取りをデータのみで終えることができます。紙に押した印鑑をスキャンする方法やシステム上で自分で印鑑を作成する方法もありますが、システムやクラウドの中には印鑑を押す機能が予め付いているものもあります。
【関連記事】請求書への押印は電子印鑑で対応可能?有効性や作り方を解説
パスワードをかけ、メールを2通に分けて送付する
請求書には取引内容や金額・振込先等、機密性の高い情報が記載されているため、セキュリティ対策には入念な注意を払う必要があります。万が一第三者がパソコンにサインインしてしまった場合にも開かないよう配慮しなくてはなりません。
機密情報をメールで送る際にはパスワードをかけること、そしてそのパスワードを記載したメールは別メールとして、2通のメールを送付するのが一般的です。パスワードも推測されやすいものや同じものを使い回すのではなく、都度新しい推測されにくい英語・数字・記号等を組み合わせたパスワードを作成するとより安全です。
請求書の中身や送付先のアドレスは入念にチェックする
最後に請求書を送付する前に中身や送付先のアドレスを一通りチェックします。
重要な書類に記載ミスや不備があると信頼を大きく損なってしまうため、内容・金額・支払期日・支払先を送付する前に再度確認し、 なるべくほかの担当者との間でダブルチェックを行えるようにするとよいでしょう。
また、もし違う宛先に送ってしまうと情報が流出してしまう恐れがあるため、メールを送付する前には送付先のアドレスが正しいかも再度確認します。 普段電話でやり取りしている場合は、アドレスが定かでないことも考えられますが、ほかの担当者と連携しながら最終確認をして送付すると良いでしょう。
請求書をデータで保存する際に気をつけるポイント
ここからはデータ保存する際に注意すべきポイントを解説していきます。基本的な事ばかりですが、うっかりミスをしやすい項目です。しっかり抑えておきましょう。
データ名は分かりやすいものにする
データ名を分かりやすいものにすることで、トラブルや過去データを参照したい場合にスムーズに該当の書類を探せるでしょう。
また、電子帳簿保存法においてもデータの要件が定められているため、その要件に沿ってデータ名を定めておく必要があります。
同法律上では、取引年月日・取引先・金額の記載が求められているため、こちらの項目は入れるようにします。ほかにも自社で必要な情報があれば、管理番号や部署名を記入しておくと良いでしょう。
取り扱いに関する規定をしっかりと整える
今まで紙を前提に作成や保管の規定を定めていた企業は、電子化にあたり再度規定の見直しが必要です。作成にあたり社内で閲覧する担当者の設定や、取引先への送付方法をあらかじめ規定しておくことで、電子化に切り替えた際の混乱を防ぐことができ、取引先への案内もスムーズに行えます。
トラブルに対処できる体制・マニュアルを整備する
電子化導入の初期には担当者が不慣れなことや設定が不十分であることも多く、トラブルが発生しやすいです。導入の際にはトラブルが起きることを前提として、責任者や問い合わせ先を置くのが重要です。 トラブルが起きた際にスムーズに対応することで、取引先からの信頼をより高めることができるでしょう。
業務を進める中で新たな知見が得られた際にはマニュアルも随時更新し、その更新された最新のマニュアルを従業員が常に確認できるような体制を作っておくことでスムーズに社内で知見を共有していくことができます。
請求書をデータで送るなら「oneplat(ワンプラット)」
請求書をデータで送付・保管したいとお考えの方には「oneplat(ワンプラット)」がおすすめです。
oneplatを利用すれば、これまで紙で発行していた請求書や納品書をワンクリックで簡単に作成でき、印刷や三つ折り、封入といった手間のかかる作業が不要になります。
また、電子帳簿保存法・インボイス制度にも対応しているため、法令を遵守しながら業務効率を大幅に向上させることが可能です。
以下に、oneplatの主な特徴をご紹介します。
電子帳簿保存法の要件をクリアしている
oneplatは電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しており、要件を満たしつつ請求書データの発行・保存ができます。
容量制限もないため、請求書や納品書を半永久的に保存でき、データの消失を心配する必要がありません。
初期費用・サポート費用0円、月額22,000円
oneplatは請求書の電子発行を月額費用22,000円(税込)で導入することができます。納品書からの電子発行を希望される場合でも、オプション料金と合わせて月額33,000円(税込)でご利用いただけます。販売先様や発行枚数が増えても追加料金は一切発生しません。
月額費用にはサポートも含まれており、お電話やメールでいつでもサポートを受けることができます。さらに、お取引先様へのご案内も無料で代行するため、請求書の電子化に伴う負担を最小限に抑えられるのも魅力です。
手動でのセキュリティ対策が不要
請求書をデータで送付する方法として、多くの方が思い浮かべるのは、メールにPDFを添付して送る方法ではないでしょうか。
導入費用がかからず、すぐに運用を開始できるという点は魅力的です。しかし、その都度「送付先アドレスを確認する」「パスワードを別のメールで送る」といった手間が発生します。
oneplatを利用すれば、請求書データを発行すると同時に自動で取引先へ送付されます。さらに取引先が受け取ったかどうかを確認できる機能も備わっており、開封した際に通知メールを送ることも可能です。
つまり、手間を省きながらも誤送信や情報漏えいといったトラブルを回避できるのです。
まとめ
請求書の電子化には業務の効率化だけでなく、コストの削減や検索にかかる手間を減らすといったメリットがあります。導入の際には、電子帳簿保存法に則った保管を行うことや取引先に丁寧な説明を行うことを心がけるのが重要です。
また、システムの導入だけでなく規定やマニュアルも整備していくとスムーズに導入できるでしょう。