「課税文書ってなに?」
「どの文書が課税文書になるかがわからない」
こういったお悩みを抱えていませんか?
ビジネス上欠かせないのが、取引先や顧客との文書のやり取りです。法律上、印紙税の課税対象となる文書のことを課税文書といいます。原則として、課税文書作成者が印紙税を納付することになっています。
しかし、どの文書が「課税文書」にあたるのかよくわかりませんよね。また、「課税」とは税金がかかるということなので、納付方法についても知っておく必要があります。
今回は、課税文書の基礎知識と代表的な課税文書について解説します。加えて、印紙税の納付方法についてもご紹介します。是非参考にしてみてください。
課税文書とは
課税文書とは、印紙税が課税される対象となる文書のことです。第1号~第20号まで番号がふられ、印紙税額がそれぞれに定められています。詳しい印紙税額については、以下の表を参照してください。課税文書の作成者には、文書に必要な額面の収入印紙を貼り付ける義務があります。
印紙税額一覧表:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran_r0204.pdf
課税文書に該当するかどうかの判断は?
国税庁のHPによると、何が課税文書に該当するかは、文書に記載されている内容に基づいて判断するとされています。
課税文書に該当するかどうかの判断は、文書に記載されている内容に基づいて判断します。また、文書の内容判断は、その文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言等の実質的な意味を汲み取って行います。
引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm
また、課税文書を何号文書に所属させるかどうかの最終判断をする際には、複雑なルールが設定されているため、以下PDF内の「2 文書の所属の決定」を参照してください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/tebiki/pdf/03.pdf
非課税文書とは
非課税文書とは、課税物件表に掲げられている20種類の文書のうち、次のいずれかに該当する文書をいいます。
- 課税物件表の「主な非課税文書」の欄に掲げられている文書
- 国、地方公共団体または印紙税法別表第二に掲げる者が作成した文書
- 印紙税法別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成した文書
- 特別の法律により非課税とされる文書
非課税文書の代表的な例として、5万円未満の領収書があります。また、営業に関しない受取書も非課税文書となります。
参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/tebiki/pdf/03.pdf
代表的な課税文書
代表的な課税文書は以下の通りです。
- 第1号文書
- 第2号文書
- 第7号文書
- 第17号文書
ひとつずつ、解説します。
第1号文書
第1号文書は以下の4種です。
- 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書
(例)不動産売買契約書、不動産交換契約書
- 地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
(例)土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書
- 消費貸借に関する契約書
(例)金借用証書、金銭消費貸借契約書
- 運送に関する契約書
(例)運送契約書、貨物運送引受書
記載された契約金額に応じて、200円~60万円の印紙税が定められています。記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。
第2号文書
第2号文書とは請負に関する契約書をさします。請負契約は、「成果物の完成」を約束し、期限までに仕事の成果物を納めることで報酬が発生するのが特徴です。プロ野球選手や、俳優、音楽家等が役目を果たすことを約す内容の契約も含まれます。
(例)工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書
記載された契約金額に応じて、200円~60万円の印紙税が定められています。記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。
第7号文書
第7号文書とは継続的取引の基本となる契約書をさします。契約期間が3か月以内かつ更新予定のないものは除きます。
(例)売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書
印紙税額は、1通につき4千円と定められています。
第17号文書
第17号文書は以下の2種です。
- 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書
(例)商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書
- 売上代金以外の金銭または有価証券の受取書
(例)借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書
記載された受取金額に応じて、200円~20万円までの印紙税が定められています。以下の受取書は非課税となります。
- 受取金額が5万円未満のもの
- 営業に関しないもの
- 有価証券、預貯金証書等、特定の文書に追記した受取書
領収書に関しては、クレジットカード決済の場合は、実際に金銭の授受がないため課税対象外となります。つまり金額に関わらず印紙は不要です。
国税庁のHPによると、請求書や納品書等を領収書の代わりに金銭授受の証明文書として発行している場合は、領収書と同様に17号文書に該当するため注意が必要です。
例えば、文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号等により、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とし、また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は、売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになります。
引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm
課税文書について印紙税を納付する方法
印紙税は原則として、課税文書作成者が納付します。文書に記載された金額に応じた印紙税額が定められているため、必要な額面の収入印紙を文書に貼り付ける義務があります。
収入印紙は、郵便局やコンビニで取扱があります。必要な時にすぐに使えるように、前もって準備しておきましょう。
印紙を貼る場所は、設けられていれば定位置に、設けられていなければ空きスペースに貼り付けます。収入印紙が複数枚ある時には、縦もしくは横に並べて貼りましょう。確実に貼ってあれば良いため、文書の裏への貼り付けでも問題はありません。
そして、印紙を貼ったら必ず消印をしましょう。消印があれば、印紙が使用済みであることがわかります。消印がない場合は、税金の仮払い状態となり過怠税がかかってしまいます。消印をする際には、作成した文書と印紙のどちらにも印影が残るように押印しましょう。
過怠税では印紙税額の3倍が徴収されますが、税務調査で納付洩れが明らかになる前に自主的に申し出た場合は、本来納めるべきだった印紙税額の1.1倍に軽減されます。
電子契約では非課税になる?
法的に、作成文書(データ)をメールやFAX等で送信してやり取りをすることは、課税文書の作成に「該当」せず、印紙税の課税対象とならないという解釈があります。
つまり、文書を電子化することで印紙が不要となり、送付に必要な封筒や切手等のコストも削減可能となります。また、作成文書がどの課税文書にあたるのかを判断し、印紙税の課税額を確認する手間も減らせるため、電子化のメリットは大きいですね。
課税文書と印紙税納付方法のまとめ
今回の記事では、代表的な課税文書と印紙税の納付方法について解説しました。課税文書とは、印紙税が課される20種類の文書のことをいいます。何が課税文書に該当するかは、文書に記載されている内容に基づいて判断します。
原則として、課税文書の作成者が記載金額に応じた印紙税を納付します。5万円以下の領収書や営業に関しない受取書等、非課税文書もありますが、基本的には記載金額に応じて200円~60万円までの印紙税額が定められています。
しかし電子契約では、印紙税は非課税となるため印紙が不要となり、コスト削減が可能となります。もし、納品書や請求書を「領収書の代わり」として利用している場合は、手間やコスト削減のためにも、電子化を検討してみてはいかがでしょうか。