話題の日次決算のメリットとは? デメリットややり方も解説

スピーディーな経営判断に欠かせないと、大企業を中心に注目されている日次決算。
売上は毎日チェックしているという企業でも、日次決算の導入には踏み切れていないという企業も多いです。
つまり今、日次決算を導入すれば意思決定のスピードを上げ、同業他社との差別化を図ることができます。

この記事では日次決算の必要性やメリット・デメリットを解説し、日次決算のやり方や対応可能なシステムをご紹介していますので、是非参考にしてください。

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大企業が取り入れたことで話題の「日次決算」とは? 意味や読み方、ルーツも解説

日次決算(にちじけっさん)とは日々毎日行う決算のこと

日次決算とは、文字通り日々行う決算のことです。
決算と聞くと、年に1回会計年度末に行うものという印象がまだまだ強くありますが、ITを用いた経理業務の効率化が進み、月次決算や日次決算を行う優良企業が増えています。

事実、ソフトバンクやユニクロでも日次決算を採用し、経営状況をリアルタイムで把握しているとのこと。ソフトバンクが創成期から日次決算を取り入れていたことは有名です。
今後も日次決算企業は増えることが予想されます。

ひと月のなかでも売上は変動するものです。
平日か休日か・天気や気温はどうか・セールやキャンペーンがあるか等によって売上は異なります。
スピードが要求される経営においては、今日の決算結果で明日の意思決定を行うこともあるでしょう。全国展開しているユニクロの店舗では、日次決算のデータをもとにアルバイトやパートの勤務を調整し利益に繋げていると言います。

\ 現役 税理士監修 /

ルーツは鎌倉時代までさかのぼるという一説も

日次決算の考え方は、近年はじまったものではありません。
そのルーツは鎌倉時代までさかのぼり、近江商人が取り入れていたという説もあります。

近江商人の経営哲学として広く知られている「三方よし」という言葉を聞いたことがありますか?
簡単に言えば、「良い商売は、売り手と買い手の満足だけでなく、社会に貢献できることだ」という考え方で、伊藤忠グループが行動指針として掲げていることでも有名です。

近江商人の商売繁盛の知恵は、「三方よし」に見られる商売の基本を根底に、日々の経営状況をリアルタイムで把握し、商売に真剣に向き合うところにあったのでしょう。

現代における日次決算の必要性|スピーディな経営判断が必要な時代へ

日次決算が重視される理由は、スピーディな経営判断が行えることにあります。
リアルタイムで経営状況を把握し、日単位で重要な意思決定ができることは日次決算の大きなメリットです。

従来の年次決算・月次決算資料は、税務署への提出資料としての役割が大きく、パッと見ただけでは経営判断に役立てるのが難しいところがありました。

また、税務署に提出するからには「正確であること」が重要です。
すべての売上や費用を正確に把握して決算書を作るためには、どうしても時間がかかります。
例えば請求書が届いてからでないと、正確な仕入れ情報がわからない場合もあるでしょう。

このように正確性が求められる年次・月次決算は、スピード判断には向きません。
毎日の集計は大変ですが、判断のタイミングを間違うと大きな損失に繋がりやすい企業ほど日次決算の必要性が高くなるのです。

日次決算を取り入れるメリットは主に5つある

1.1日単位で経営状況が把握できるので問題点の把握が早い

日次決算では、1日単位で経営状況の把握ができます。
そのため、直近の施策が立てやすいことが大きなメリットです。

利益が上がっていることがすぐに確認できれば、スタッフのモチベーションアップに繋がります。
何か問題が発生すれば、すぐに対策を立てることが可能です。
問題点を早く把握できれば、トラブル時にも大きな損失を出さずに済むでしょう。

平日や祝祭日・猛暑日や雷雨の日・給料日前後等、同じ店舗でも日によって売上は異なります。
繁忙期にはスタッフを補充し、閑散期には勤務を調整する等きめ細やかな対応も可能です。
日次決算にすることで、日単位の目標設定ができ、キャンペーンの成功率も上がるでしょう。

2.問題への対策が早く立てられる

経営者は、順調に企業活動ができているときよりも、問題が発生した時の方が早く状況を知りたいと考えています。
問題の状況を早く確認できるほど、対策が取りやすくリカバリーが可能だからです。

日次決算を導入すると、経営者や管理者がいつもと違うことに気が付きやすいことがメリットです。
問題把握が早ければ、もちろん対策も早く行えるでしょう。

一方で、スタッフは問題点ほど報告しにくいものです。
ところが、日頃から経営者が日次決算の情報を見ていると知っていれば、問題点があった場合に報告がしやすくなるというメリットがあります。

3.利益の予測が立てやすくなる

日ごとの売上の傾向を把握しやすいのが日次決算の特徴です。
売上や費用等、経営に関わる日々の数値を毎日確認していることで、利益の予測が立てやすくなるのも日次決算のメリットと言えます。

利益予測は、目標とは異なりデータに基づいた根拠のある情報です。
利益予測が立てられるようになると、数字の根拠に基づいた積極的な経営戦略が立てられ、企業の成長に役立ちます。

また、利益予測の精度を上げるには、システムの利用が近道です。

4.掛け取引等の管理が行き届きやすい

企業間取引の多くは、掛け取引です。
掛け取引の支払期日は、取引相手によって異なる場合があります。

日次決算を行うことで、掛け取引の管理がしやすくなることがメリットです。

例えば、債権の回収が遅れている場合は、期日から経過するほど返済してもらえる可能性が低くなります。
回収漏れを防ぐために大切なのは、債権遅れに気が付いたらすぐに対策をとることです。
日次決算を行っていれば、返済予定日当日または翌日には遅れに気が付くため、早期対応が可能になるでしょう。

5.社内の経営への意識が高まる

日次決算は、社員の経営意識を高める効果もあります。

日次決算の情報を見て、経営判断を行うのは経営者や管理者です。
しかし、毎日の売上や利益・現預金残高をチェックし、掛け取引の管理をしていれば、社内のお金の流れがわかるようになります。
お金の流れがわかるようになると、経営に興味を持つようになります。

教科書で学ぶような会計・経営には遠くとも、門前の小僧が習わぬ経を読むかのように、数字を見て経営意識が高まる可能性は高いです。

経営者は、社員に対して「経営者目線で考えて欲しい」と考えるのなら、日次決算を導入することが近道と言えます。

日次決算を行う上で生じるデメリット

1.時間と労力を日次決算にとられるため、コストが生じる

日次決算のメリットを感じながらも導入に踏み切れないのは、その時間と労力にかかるコストが大きいからでしょう。

年次決算や月次決算と異なり、毎日決算を行うのは、担当者の負担も大きくなります。
また、生産管理・販売管理・購買管理といった規模の大きなシステムを利用している場合は、各システムとの連携が難しいという問題もあるでしょう。

もちろん、前述したソフトバンクやユニクロのように、社長自らがトップダウンで日次決算を選択すればスピーディーに導入できます。

一方で、現状大きな問題がなければ、日次決算導入のためのシステム投資は難しいと考えるのが一般的です。
日次決算を行うことで得られるメリットや利益を明確にし、稟議をあげる必要があります。

2.社内全体の協力とフローの見直しが必要

日次決算を導入すると決めた場合でも、日々の決算情報を正しく収集するためには関係部署の協力が不可欠です。

毎日の伝票入力業務は、優先順位が下がりがちです。
しかし、毎日正しく入力してもらわなければ、日次決算を行う意味がありません。
日次決算の重要性を説明し、社内全体が同じ意識をもって対応していくことが求められます。

正しい数値を把握するためには、システムの変更だけでなく、社内全体の業務フローの見直しも必要になるでしょう。

日次決算で行うことは基本的に年次決算や月次決算と同じ

日次決算で行うことは、年次決算や月次決算と大きな違いはありません。

日次決算では、次の処理を基本的に毎日行います。

  • 前日の現金・預金の残高を確認する
  • 発生ベースの損益を計上する
  • 商品の棚卸を行う
  • 適切な勘定科目への振替え(仮払金・借受金)
  • 経過勘定科目の計上(未払費用・前払費用)

確認した値は、経営者や管理者が経営判断の材料にできるよう、システム上に登録し閲覧可能にすることが重要です。

会社の規模に関わらず、これまで行っていなかった業務を追加することや業務フローを変更することは負担が大きくなります。
現状、年次決算のみを行っている企業であれば、いきなり日次決算を導入するのではなく月次決算を行ってから日次決算に移行するという方法もあるでしょう。

また、残高確認や損益計上は日次で行い、棚卸は週次・その他は月次からスタートする等、業務に合った方法を選択するのもひとつの方法です。

日次決算のやり方は大きく2通りある

1.チェックしたい項目だけをエクセルに入力し概算値で把握する方法

システムを導入しなくても、日次決算を行うことができます。
管理したい項目がそれほど多くなければ、エクセルの表を用いた日次決算シートの作成が便利です。

売上高・売上原価・販売管理費等チェックしたい項目の月間予定を立て、稼働日ごとの概算数値を入力していきます。
予定と実績を並べて比較できるようにしておくと、問題点が把握しやすく日次決算のメリットであるスピーディーな経営判断に役立つでしょう。

エクセルの値は、関係者がいつでも見られるように共有しておくと、経営への意識も高まります。

エクセルの管理だけでは、チェックしたい項目が網羅できない場合や、概算ではなくより正確な数字を確認したい場合はシステム化を視野に入れると良いでしょう。

2.システム化を行い、正確な値を効率よく取得する方法

市販の会計システムには、様々な視点で分析を行う機能が備わっています。

日次決算が行えるシステムを利用することで、エクセルに比べより詳しい分析が可能です。
また、他システムとの連携が行えれば、正確な値を効率よく取得できます。

導入時は教育や業務フローの見直し等、面倒に思うこともあるでしょう。
しかし、経理だけでなく関係部署が行う業務をシステム化し、収集したデータから自動的に試算が行える状況を作ることで、時間に余裕が出てきます。

空いた時間をさらに効率的に利用し、会社の成長に繋げることが可能です。
また、結果として、働き方や働く場所を自由に選べる可能性もあります。

日次決算機能のある会計システム導入のすすめ

日次決算機能のある会計システムには、経営判断を助ける様々な機能がついている場合が多いです。
効率的かつ正確な日次決算を行うためには、会計システムの導入が望ましいでしょう。

利用するシステムに依りますが、例えばシステム化には次のようなメリットがあります。

  • 多角的な分析が可能
  • 日々の経営状況を正確に把握
  • 会計以外の他システムとの連携が得意
  • 入力方法がわかりやすい
  • レポートや帳票が簡単に出力できる
  • サポートが受けられる

システムの利用に抵抗がある人でも、操作性が良ければ受け入れやすくなります。
また、手厚いサポートが受けられるシステムを選ぶと、導入時のハードルも下がるでしょう。

oneplatで経理業務の更なるスピード化を図ろう

oneplatは、納品書や請求書の受け取り業務を自動化できるシステムです。
既存の販売管理システムや会計システムとの連携が可能で、経理業務のスピード化が図れます。
また、担当者の入力時間を減らし業務コストを削減、日次決算を行う一助にもなります。

oneplatは、請求データを会計システムに自動入力するため、日々の仕訳が不要です。
ほぼリアルタイムで売上や経費情報を確認できます。
社内の各システムに散らばっている情報を一元管理・可視化することで、様々な分析が可能です。

oneplatの導入で意思決定のスピードを上げ、合理的で素早い経営判断を行っていきましょう。
oneplatの詳しい資料はこちらからダウンロードが可能です。

まとめ

大企業が取り入れていることで注目されている日次決算について、その必要性やメリット・デメリット、やり方をご紹介しました。

決算期に仕事量の増える経理担当者としては、「毎日決算を行うのは無理」と感じてしまうかもしれませんが、日次決算を行うメリットは意外に大きいです。
システムを上手に利用することで、むしろ負担が減ることもあるでしょう。

これからの経営において、日々の重要な判断をスピーディーに行うためには、日次決算が行える環境を整えておくことも大切です。

\ 現役 税理士監修 /

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oneplus編集部

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