補助金と助成金の違いとは?両者の探し方と一般的な申請方法を解説

「補助金と助成金の違いはなに?」
「どうやって申請すればいいのかよくわからない」
「給付金って、補助金と同じじゃないの?」

このように考えたことはありませんか? 補助金も助成金も、「返す必要がない、ただでもらえるお金」のような意味だと思われている方もいるかと思いますが、厳密には違いがあります。

この記事では、混同されがちな補助金と助成金の違いや、申請方法、受給までの流れ、今後活用したい補助金・助成金等についてわかりやすく解説していきます。

是非、最後まで読んでいただき、企業経営にとってプラスとなる補助金と助成金について理解を深めましょう。

目次

補助金と助成金の違いとは? 給付金との区別は?

補助金助成金給付金
目的新規事業・新規サービスの導入、新規の政策の促進やサポート雇用関係、研究開発の支援補助金・助成金以外の幅広い目的(お金に困っている人への救済措置等)
審査の有無有り無し無し
対象法人、個人事業主法人、個人事業主法人、個人事業主、一般人
財源税金主に雇用保険料国債(税金)
受給時期後払い後払い随時
返済の義務無し無し無し
具体例・事業再構築補助金
・IT導入補助金
・ものづくり補助金
・雇用調整助成金
・働き方改革推進支援助成金
・労働移動支援助成金
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
・給付金
・持続化給付金
・すまい給付金

補助金とは行政上の目的等を達成するために給付されるお金

補助金とは、「国や公共団体が、企業の新しい事業や様々な国策を促進することを目的に給付するお金」のことです。

注目していただきたいのが、受給条件を満たしていたとしても、審査に通らないことがあるという点です。応募のための書類や事業計画書等、様々な材料を基に審査され、他社とのコンペによってその合否が判定されることになっています。

また予算枠が決められているため、応募する企業が多い場合は、期限前に応募が終了してしまう場合もあるので注意しましょう。

助成金とは雇用関係や研究開発のために給付されるお金

助成金とは、「国や自治体が、雇用関係や研究開発の支援をすることを目的に給付するお金」のことです。

補助金とは違って、助成金は審査が無く、一定の条件を満たせばほぼ支給されるものとなっています。

また、助成金は大きく分類すると以下の2つに分類されます。

  • 厚生労働省が中心となる雇用関係の助成金
  • 経済産業省から受給される研究開発系の助成金

給付金とは広義的な目的で給付されるお金

給付金とは、「国や自治体が、補助金・助成金以外で広く企業や個人を支援することを目的に給付するお金」のことです。

助成金と同様に審査が無く、受給条件を満たせばほぼ支給されるものとなっています。

事業主を対象とした「持続化給付金」や、個人を対象とした「育児休業給付金」等、多岐に渡ります。

共通点は返済の必要がないこと|違いは給付の目的

補助金・助成金・給付金の3つに共通する点は、大きく以下の3点となります。

  • お金が国や自治体から交付されること
  • 返済する必要がないこと
  • 申請期限があること

3つの違いは、先ほど見たようにそれぞれ給付の目的が異なるという点です。非常に混同しやすい言葉ですが、それぞれの言葉の意味から以下のように連想するとわかりやすくなるかもしれません。

用語言葉の意味解釈
補助(金)足りないところを助けること新しい事業をはじめられるよう、補ってくれる(お金)
助成(金)他人の事業や研究を援助すること雇用や研究を助けて成功させてくれる(お金)
給付物を与えること個人にも広く支給してくれる(お金)

補助金や助成金の探し方3つ

何かと便利な補助金や助成金ですが、どうやって見つけたらよいのでしょうか。ここではその探し方を3つご紹介します。

探し方①経済産業省中小企業庁の「ミラサポplus」等ポータルサイトを活用する

まずひとつ目は、「ミラサポplus」を使って探す方法です。

「ミラサポplus」は国が運営するウェブサイトなので、安心して利用することができます。中小企業や小規模事業者を対象としており、主に以下の3点について検索が可能です。

  • 支援制度について
  • 支援者や支援機関について
  • 経営事例について

探し方②行政機関や自治体のウェブサイトを確認する

2つ目の方法は、行政機関や自治体のウェブサイトを使って探す方法です。

自分の住む都道府県や市町村名と、「補助金」や「助成金」の文字を入力して検索してみてください。様々なホームページが見つかるはずです。参考までに、いくつかの自治体のサイトを載せておきます。

探し方③商工会議所や産業振興センターから情報を得る

最後の3つ目は、商工会議所や産業振興センターからの情報を使って検索する方法です。

商工会議所や産業振興センターとは、地域の企業や地元を活性化することを目的とした非営利団体です。両者ともに地域の企業や事業主に向けて、補助金や助成金をはじめ様々な情報を提供してくれています。

インターネットを使って検索するとすぐ見つかるので、自分の住む地域の商工会議所や産業振興センターを検索してみましょう。電話で相談することもできます。

補助金申請から受給の一般的な流れとスケジュール

狙う補助金の大まかなスケジュール感を把握しよう

ここでは「補助金」の一般的なスケジュールについて確認していきます。人気のある補助金は、応募期間中でも早めに応募枠がなくなってしまうこともあるので、スケジュール感を事前に把握して備えておきましょう。

①公募から審査へ

まずは利用したい補助金を探して、応募するところからはじめます。応募したい補助金の内容や目的、必要な要件、受給額、応募期間等をしっかりと確認しましょう。

先述したように、補助金は応募しても全員が受け取れるわけではありません。受給するためには、審査を通過する必要があります。公募要領のフォーマットに従って、漏れのないように補助金の申請を行いましょう。申請方法は、書面の郵送や電子申請による方法があります。

申請書を提出したら、国や公共団体の所管官庁や事務局が審査を行う流れとなります。

②採択から交付決定まで

審査が終わると、採択事業者が決定され、事務局から結果が通知されます。

ここで押さえておいて欲しいことは、申請した額が満額支給されるわけではないという点です。人気があったり、競争率が高かったりする補助金の場合は、減額される可能性もあることを覚えておきましょう。

通知を受け取ったら、補助金を受け取るための手続きの開始となります。通知に記載されている補助金額の範囲内に収まるよう事業計画を作成し、必要書類をそろえて交付申請を行ってください。

交付申請後は、所管官庁や事務局が審査を行い、問題がなければ交付決定となります。

③事業開始から終了まで

交付決定となった事業計画に従って、実際に事業が開始となります。万が一、事業計画が変更せざるを得ない状況の場合は、事前に所定の手続きが必要となるので所管官庁や事務局に問い合わせましょう。

また、補助金の対象となる経費についてですが、すべての経費が対象となるわけではありません。「交付決定の前」に発注していたものについては、経費にはなりませんのでご注意ください。「交付決定の日以降」に発注したものについてのみ、経費とすることができます。

領収書や証拠書類は、補助事業の終了後も5年間保管しておく必要があるので、くれぐれも紛失しないよう気を付けましょう。

事業が無事終了したら、事業完了報告書を所管官庁や事務局に提出します。

④確定検査から振込まで

事業完了報告書を提出すると、所管官庁や事務局が報告書を確認します。報告書の内容に不備はないか、正しく実施されたのか等の確定検査が行われ、補助金額が確定となります。

金額確定後には事業者へ補助金額の確定通知が送られてくるので、所定の様式にしたがって請求書を提出しましょう。その後、所管官庁や事務局が補助金を事業者へ振込みます。

助成金申請から受給の一般的な4ステップ

先ほどは、「補助金」のスケジュールについてでしたが、今度は「助成金」のスケジュールについて4つのステップに分けて見ていきましょう。

狙う助成金の事業実施期間や締め切りに注意しよう

助成金は補助金とは違い、審査が無く、条件を満たせばほぼ支給されるものとなっています。

通年で制度利用できる助成金もありますが、必ずしもそうとは限りません。事業の実施期間が定められていたり、公募の締め切りが決まっていたりするものもあるので、公募要件をよく確認して早めに応募するようにしましょう。

①実施計画の申請

応募要件を確認したら、1ステップ目となる「実施計画の申請」を行います。

受給要件を確認しながら実施計画を作成し、国や公共団体の所管官庁や事務局へ書類を提出します。添付書類が必要になることが多いので、そちらも忘れないようにしましょう。

また、多くの助成金申請に関しては、「実施計画の申請」と「支給申請」の2段階の申請があるということも押さえておきましょう。

②実施

2ステップ目は、実施計画に基づいた事業の「実施」です。計画の内容と、実際の事業内容にズレが生じないように注意しましょう。

③支給申請

事業の実施後は速やかに、3ステップ目となる「支給申請」を行いましょう。所定のフォーマットに必要とされる情報を記載し、郵送またはオンラインで助成金の支給を申請する流れとなります。

④支給

最後に4ステップ目となる「支給」です。支給要件を満たしていれば、所管官庁や事務局から助成金が支給されることとなります。

雇用関係の助成金は、下記の条件をひとつでも満たしていない場合は、助成金を受給することができなくなってしまうのでご注意ください。

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • 支給のための審査に協力できる
  • 適正な労務管理を行っている

2022年実施済み|今後の動向に注目したい中小企業向け補助金・助成金

①ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金は​​、中小企業や小規模事業者等が新しい商品やサービスを開発するための設備投資をサポートする補助金です。

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言い、3つの事業類型があります。

  • 一般型
  • グローバル展開型
  • ビジネスモデル構築型

事業類型によって、受給できる補助金の額や補助率が変わってきます。詳しくは以下のHPをご参照ください。

>>「ものづくり補助金総合サイト」

②事業再構築補助金:企業の思い切った事業再構築を支援

事業再構築補助金は、中小企業や小規模事業者等が「新たな分野への事業展開」や「事業の転換」、「業種の転換」等、企業の思い切った事業再構築を支援するための補助金です。

事業再構築補助金には、以下のような様々な枠が用意されています。

  • 通常枠
  • 卒業枠
  • グローバルV字回復枠
  • 緊急事態宣言特別枠
  • グリーン成長枠等

枠によって、もらえる補助金の額や補助率が変わってきます。詳しくは以下のHPをご覧ください。

>>「事業再構築補助金のサイト」

③雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

雇用調整助成金は、企業が従業員の雇用を守れるよう支援するための助成金です。

具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響によって、通常の企業活動が行えず売上が減ってしまった場合に、「使用者と従業員の協定」に基づいた上で「雇用調整(休業)」を実施する企業に対して、休業手当等の一部を補助する助成金です。

新型コロナウイルスの影響が現在も続いているため、制度の見直し等によってその都度助成金の上限額や支給率、支給申請様式等も変わっています。インターネット等で常に最新の情報をチェックするようにしましょう。詳しくは以下のHPをご参照ください。

>>令和4年4月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

準備や手続きが煩雑なため申請代行を依頼するのもひとつの手

ここまで読むと、「うちの会社でも助成金や補助金を是非活用してみたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。

しかし、いざ実際に自分で申請するとなると、以下のようなストレスが出てくるはずです。

  • 募集要項の内容がわかりづらく、読むだけで疲れてしまう。
  • 自分の会社が応募要件を満たしているのか、よくわからない。
  • 書面の記載方法がよくわからない上に、添付書類を用意するだけでも時間がとられる。
  • 事業計画の作成や申請の手続きに、予想以上に手間を取られてしまう。

もちろん自分で申請することもできますが、申請を専門家に代行依頼するのもひとつの手です。専門家に依頼することで以下の3つのメリットを感じられるでしょう。

  • 募集要項を読む煩わしさから解放され、書類作成にかかる時間や手間を省ける。
  • 提出する書類の精度と提出するスピードが上がり、採択される確率も高められる。
  • 専門家に経営面でも相談にのってもらえる。

代行依頼することのデメリットは、お金がかかるということです。自社で対応するのか、代行依頼するのか、自社の状況を踏まえた上で判断すると良いでしょう。

まとめ

最後に助成金と補助金について再確認しておきましょう。助成金、補助金、そして給付金には以下の違いと共通点があります。

【違い】

  • 目的
  • 審査の有無
  • 受給時期

【共通点】

  • 返済の必要がないお金であること

補助金や助成金を探す3つのコツや申請から受給するまでの一連の流れ、知っておいて欲しい補助金と助成金、申請を代行することのメリット等についても解説してきました。

補助金や助成金は、リスクがほとんどない資金調達の手段と言えます。是非賢く活用して、自社の成長に役立ててください。

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oneplus編集部

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