脱ハンコのニュースはよく見るけど「結局いつからなんだろう?」「会社にはどのタイミングで導入しよう」と考える担当者の方へ。記事では、脱ハンコの現状を解説をしています。脱ハンコのタイミングや、脱ハンコが不可能な書類についても紹介するため、是非脱ハンコ導入の参考にしてくださいね。
脱ハンコはいつから?
脱ハンコという言葉を最近よく聞くという方は多いと思います。
ニュースでも、行政手続きの押印の99.4%が廃止されると発表があり、定期的に話題となる脱ハンコですが「実際いつから脱ハンコが行われるのか」という、脱ハンコの詳細を理解している方はまだまだ少ないです。
そのため、この章では脱ハンコの現状について詳しく解説していきます。
行政手続きの押印廃止
まずはじめに、行政手続きの押印廃止は一体いつからなのかを見ていきます。
これまでは、税務署に提出する確定申告書等の税務関係書類は、国税に関する法令に基づいて、提出者の押印をしなければならないとされていました。
しかし、令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降は税務関係書類の押印廃止が本格的に始まり、一定の書類を除き押印を必要としないこととなりました。つまり、既に行政手続きの脱ハンコは始まっていると言えます。
脱ハンコの現状
では、次に脱ハンコがどのくらい進んでいるかを見ていきます。
令和2年12月時点で、行政手続きの14,992手続きのうち、14,909手続き(99.4%)が押印廃止の決定、または廃止の方向で検討されています。また、内部手続307手続のうち、248手続(80.8%)が押印廃止の決定、押印を廃止する予定または廃止する方向で検討中です。
そして押印見直し対象となったものは、原則として年内に政省令や告示の改正を行い、さらに押印の廃止を進めていく予定のようです。
(内閣府、https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html)
このように行政の多くは、既に脱ハンコが行われています。
企業の脱ハンコの動き
では、企業の脱ハンコの動きはどうなのでしょうか。
行政における脱ハンコの流れは、民間企業の取引においても多大な影響を与えています。
さらに社会のデジタル化の流れや、コロナによるリモートワークという働き方が相乗効果を生み、多くの企業が脱ハンコを検討し、電子印鑑への転換を目指しています。
既に日本を代表する大企業をはじめとして、業界を問わず脱ハンコの動きが活発化しており、既に脱ハンコを取り入れている企業ではその成果を実感していると言います。
日本のハンコ文化
ここからはハンコ文化の現状と必要性について解説します。
日本がスムーズに脱ハンコに移行できない理由には、国内に深く根付いたハンコ文化が関連しています。
ハンコ文化の現状
日本に深く根付いているハンコ文化。必要性が低い企業でも脱ハンコができていない理由がこのハンコ文化そのものです。
前述したように、コロナ禍においてリモートワークが増えましたが、押印をするためだけに出勤しなければならない「ハンコ出社」があると問題になっています。
脱ハンコを行うことでそういった手間は省けます。しかし、日本人特有の日本特有の組織改革のしにくさや、深く根付いた慣習を変えなければならないという文化的要因が、脱ハンコの推進を阻んでいます。
ハンコの必要性
では、そもそもハンコはなぜ必要なのでしょうか。
まず契約を行う際は、証拠を残すために文書にします。その上で、偽造等の問題を防ぐために、証拠保全を行うために相手方からハンコがある書面をもらうのです。
契約をするときは良好でも、その後関係が悪くなることがあります。そういった時のために契約書を作成し合意した内容を記録しておいたり、経理上でも別の会社からお金が振り込まれた際に、それが借りたものか、売上なのか、契約書を見てすぐわかるようにしておきます。
このように、事実を客観的に確認できるように残すために契約書を作成し、ハンコをもらうことで保険を作っておくためのものです。
しかし、今の時代それをアナログで行うのは効率が悪いですし、近年厳しくなってきたセキュリティ的な問題も発生します。
それなら、脱ハンコができそうなものはしてしまった方が効率が良いですよね。
次の章では、すぐに脱ハンコができそうなものをご紹介します。
すぐに脱ハンコができそうなもの
ここでは、すぐに脱ハンコができそうなものをご紹介していきます。
・受領印
・議事録等
・請求書・見積書
・発注書・注文書
・領収書
脱ハンコの代わりになるものはサインです。
上記の5つは、前述したような慣習的に押印を行っているものなので、基本的にサインで代用しても問題のないことが多いです。
しかし、請求書・見積書や発注書・注文書に関しては、取引先に押印してくれと言われた場合は対応した方が良いでしょう。
脱ハンコがしにくいもの
ここまでは、押印がなくても大丈夫なものをご紹介しましたが、ここからは押印したほうが良いものをご紹介します。
・割印
・雇用契約書等の契約書類
・署名されていない書類
・割印
割り印は契約書の偽造を防止するために押されています。
これを無くしてしまうと、複数ページある契約書の途中をすり替えられてしまい不利益を被る可能性があります。
・雇用契約書等の契約書類
雇用契約書や業務委託契約書等の契約書類はトラブルになった歳、裁判沙汰になることがあります。
その際に、印鑑を押していないとその契約が有効であると、判断してもらえないためこれも押印しておきましょう。
・署名されていない書類
「署名捺印」と「記名押印」の違いはご存知でしょうか。
署名捺印は、自筆で書いた名前と押印
記名押印は、自筆以外の記名、(印刷含む)名前と押印
と分けられています。
上記のうち裁判になった際に、署名捺印は押印がなくとも法的な効力が発生しますが、記名押印は押印がなければ記名のみの書類となってしまうため、法的な効力を果たさないので注意が必要です。
このように裁判になった際に、法的な効力が求められる書類には押印が必要であることが多いです。
しかし、このような書類でも押印ではなく電子印鑑が認められているものも多くあります。
次の章では、押印の代わりになる電子印鑑をご紹介します。
注目される「電子印鑑」
電子印鑑とは、PDFファイル等の電子文書へ捺印できる印鑑データのことをいいます。紙文書への捺印とは異なり、オンライン上でも契約書を確認して捺印することができるため、リモートワークでも契約が結べます。
法的効力が求められる書類も、この電子印鑑を利用することで脱ハンコを行うことができ、仕事を効率化させることができます。
まとめ:脱ハンコは既に始まっている!
今回は脱ハンコやハンコ文化の現状や、脱ハンコを始められる書類、そして脱ハンコしにくい書類とその解決手段をご紹介しました。
本文中でも記載したように、脱ハンコはもう既に始まっています。しかし、日本に深く根付いているハンコ文化から抜けきれていない企業もまだたくさんあります。
しかし、脱ハンコはデジタル化が進む社会で生き残るために避けては通れない道です。
今すぐに、すべてを脱ハンコさせるのは大変ですが、身近なところから少しずつ脱ハンコを進めてみましょう。