振込や振替では、取引先ごとに振込データを作成し申請、承認の手続きをしなければなりません。
この場合は、取引先が増えると振込に必要な事務処理量も多くなります。
そのような煩雑さを避けるには「総合振込」を利用すると効率の良い振込が可能です。
ここでは振込振替と「総合振込」がどのように違うのか、またその特徴等をご紹介します。
総合振込とは?仕組みや振込振替との違いもチェック
仕入先に代金を振込むとき、仕入先が増えると振込の件数も増え事務処理はとても煩雑です。
そこで振込処理を効率よく進めるため「総合振込」を利用します。
ここではその仕組みや振込振替との違いをご紹介します。
総合振込とは複数の振込を電子化しまとめて申請・承認すること
「総合振込」とは、複数の振込処理をひとつにまとめて電子化し申請・承認することをいいます。
ITの進んでいない会社では仕入先への振込のとき振込依頼書を手書きで作成し事務量が多く煩雑で間違いも発生しがちです。
「総合振込」では複数の振込処理がひとつにまとめられ電子化しているため、振込依頼書を作成する際の転記ミスがなく送金ミスも起きません。
また複数の振込先をまとめることで振込手数料の負担も少なくて済みます。
総合振込の仕組み・具体的な利用の流れ
通常の振込処理では、仕入先毎に担当者が振込データを作成し、振込責任者がそれらの振込データを1件ずつ承認し振込みます。
「総合振込」では複数の仕入先の振込データがひとつのファイルに作成されるため、その承認は1回で可能です。
承認済の振込データはインターネットによりメインバンクに送信され、
メインバンクは振込データを自動で取り込み仕入先ごとに振込をします。
振込が終了するとWEB上で連絡が届き、担当者が内容を確認し振込処理は完了です。
総合振込の振込振替との違いは4つ
「総合振込」は支払先への振込がまとめて一度に行えます。
振込振替をする際は、ひとつの取引先単位で振込データを作成、申請、送金するため事務量は多いのが特徴です。
ここでは振込振替との違いを4つご紹介します。
1回に作成・申請・承認する振込データの数
振込振替では送金先からの請求書をもとに、振込データを取引先単位でそれぞれ作成します。
振込をする際は、作成した振込データの申請をしなければなりません。
振込データが増えるにつれ申請量も多くなり、その承認に多くの労力が必要です。
「総合振込」では振込データがひとつにまとまっているため申請作業は一度で済み、その承認も一度で済むことが特徴です。
このように1回に作成・申請・承認する振込データの数に違いがあります。
口座名義の自動修正機能の有無
振込振替では口座名義に誤りがあった場合でも自動修正機能が働き修正が可能です。
例えば5社の振込データを作成し、その中の1社に口座名義の誤りがあるとすると、その1社に対し自動修正機能が働き全5社に振込がなされます。
なお「総合振込」では自動修正機能が働きません。先ほどの例では、口座名義の誤りが5社中1社あるだけでも自動修正機能が働かず、全社に振込ができなくなります。
このように、口座名義の自動修正機能の有無が違いです。
承認時限の違いによる当日送金の可否
振込振替では、金融機関や口座の種類にもよりますが、原則として当日に取引先への入金が可能です。
「総合振込」では振込日の前日までに振込データを作成、申請、承認をする必要があります。
1回に作成する振込データの数は振込や振替に比べ少ないものの、承認時限が短めに設定されているため、余裕を持ったスケジュールで振込データの作成が必要です。
このように振込振替と「総合振込」では承認までの期限の相違による当日送金の可否が違いになります。
入出金明細や通帳に記載される項目
振込振替では取引先単位で振込をするため、振込日と振込先単位で通帳にはその金額が記載されます。
通帳を記帳すると出金の把握が容易なため、通帳を用いた振込の確認が可能です。
一方「総合振込」では通帳には複数の取引先をまとめて支払処理したデータの合計額しか記載されません。
そのため通帳で振込の確認をする際は、入出金明細を出力する必要があります。
このように「総合振込」では通帳に記載される項目が振込振替より少ないことが違いです。
総合振込の給与・賞与振込との違いは3つ
従業員の多い会社で給与・賞与の振込をする際、従業員1人ずつ振込処理をすると膨大な事務量が発生します。
そのため給与・賞与では従業員の振込データをひとつにし処理することが一般的です。
ここでは給与・賞与振込との3つの違いをお伝えします。
振込手数料
給与・賞与振込では振込手数料を通常の送金より低く抑えているのが特徴です。
例えば、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行等の給与・賞与振込の手数料は、概ね3分の1〜2分の1に設定してあります。
ただし銀行との振込契約では、給与・賞与振込は基本料金に入っていないため、追加契約が必要となりその分の料金が必要です。
なお規模が大きく従業員の多い会社では給与・賞与を振込む契約を別途締結しコストを抑えることも可能です。このように振込手数料に違いがあります。
承認時限
給与・賞与振込は金融機関が振込の際の資金源を第1に確保することが特徴です。
給与・賞与の振込は労働基準法等の規制を受けるため振込遅れが許されず、金融機関は給与・賞与の振込のための資金を優先します。
そのため会社の振込データの承認時限が通常の振込の場合は1日〜2日前までであることに対し、給与・賞与振込のデータ承認時限は2日〜3日前に設定してあることが一般的です。
承認時限についてこのような違いがあります。
入出金明細や通帳に記載される項目
「総合振込」で振込されると受け取った従業員の通帳には、会社名が記載されます。
そのため「総合振込」により給与・賞与を振込んだ際は通帳の記載を見ても、それが給与・賞与の金額かは判別できません。
そのときは振込明細を会社から入手し、給与・賞与に該当するのかを調べる必要があります。
振込を給与・賞与の機能により行ったときは通帳にその旨が記載され、その金額の判別は容易です。
このように入出金明細や通帳に記載される項目に違いがあります。
総合振込のサービス利用料金・手数料を比較
ここでは代表的な4つの銀行について、総合振込のサービス利用料金・手数料をご紹介します。
なお振込手数料は3万円以上の送金をする場合の金額です。
銀行名 | 契約料金 | 月額料金 | 本支店あて | 他行あて |
ゆうちょ | 5,500円 | 2,200円 | 66円 | 165円 |
楽天 | 0円 | 0円 | 105円 | 229円 |
三菱UFJ | 27,500円 | 3,300円 | 330円 | 660円 |
住信SBI | 0円 | 0円 | 0円 | 145円 |
総合振込を利用するメリット
総合振込ではインターネットを利用し、金融機関にデータを送信するとき大量のデータを処理します。
ユーザーは総合振込データを作成するだけで振込が可能です。
ここでは総合振込を利用するメリットをお伝えします。
複数の銀行に一気にまとめて送金することができる
総合振込のメリットは複数の銀行口座に一気にまとめて送金できることです。
通常の振込や口座振替は件数が少ないときは、その都度振込に作成するデータも少なく労力もあまりかかりません。
しかし仕入先や経費の支払先が多くなると、その都度振込処理をしていてはデータの作成や金融機関との取引に大きな労力がかかります。
総合振込では金融機関にもよりますが1度に数千件の振込を行うことが可能なため、振込に必要なデータ作成の事務量を大幅に減らせます。
電子化することで事務作業の効率化を図れる
通常の振込では金融機関の窓口で振込依頼書に手書きで必要事項の記載が必要です。
このとき金融機関への行き来や振込手続きに多くの時間を費やし事務員の人件費もかかってしまいます。
総合振込ではパソコンで振込に必要な情報を電子化し金融機関に送信することで振込が可能です。
そのため振込依頼書を手書きで作成する時間もかからず事務作業の効率化を図れます。
さらに金融機関の窓口に行く必要もないため、事務員の人件費を削減することが可能です。
電子化するソフトの購入やシステムの開発が不要
総合振込では金融機関ごとに独自の振込データを作成する必要がありません。
そのため振込の情報を電子化するソフトの購入やシステムの開発が不要です。
総合振込を利用するには全銀ファイルフォーマットにより作成したデータを金融機関に送信すれば可能になります。
このファイルフォーマットのデータはテキスト形式なので、メモ帳やワードパッド等のテキストエディタでの編集や、ほかのテキスト加工ツール等でのデータ整形が可能です。
総合振込にはデメリットもある
総合振込での注意点は、会社で利用する会計システムがネットバンキングと入出金履歴を連携している場合は、買掛金や未払金等の消込処理ができなくなることが多いことです。
この場合のデメリットとして、仕入伝票単位で金額を指定した一部支払いや支払期日の変更ができないことがあります。
さらに相殺処理の追加等に柔軟な対応もできません。また相手負担の振込手数料の仕訳も反映ができないことが多いため、その仕訳に伴う事務処理も発生します。
このように支払処理には複雑な事務処理を伴うことが多く、独自の自社のルールにより運用している場合は、総合振込では対応できない側面のあることを認識しておきましょう。
総合振込サービスの利用にはデータ連携が必須
総合振込サービスを利用する際はデータ連携が必須となります。
それを解決するツールとして「oneplat」をご紹介します。
「oneplat」では総合振込に必要な全銀データへの変換と、金融機関にデータ連携する機能があり、金融機関との効率良いやりとりが可能です。
このサービスは納品書から請求書までをデータで受け取り、それらに伴う事務処理の一元管理を可能にするソリューションサービスです。
「oneplat」はシステムの操作方法が簡単なうえ、現在利用しているサービスやツール、フローとの併用ができるメリットがあります。
まとめ
通常の振込では金融機関の窓口で振込依頼書を作成し振込の手続きが必要です。
総合振込は1度のデータ作成で複数の振込処理が可能となり、インターネットを介して支払処理をするため金融機関の窓口に行く必要がありません。
ここでは総合振込の仕組みや振込振替との違い、さらにメリット等をご紹介しました。
総合振込をする際は、業務コストの削減を可能にする「oneplat」の利用を検討することをおすすめします。