限りある経営資源を有効活用するために、業務効率化を目指す経営者の方は多いものです。その方法の一つに「アウトソーシング」がありますが、その概要がよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、アウトソーシングの意味とその種類、メリットやデメリット等について解説します。業務効率化に正解はなく、自社の状況に合わせて柔軟に考え、必要なものを取捨選択していく必要があります。是非とも最後までお読みいただき、どのような方法があるのか知った上で、最適な方法を探ってみてください。
アウトソーシングとはどういう意味?わかりやすく紹介
和製英語で「業務委託」の意味
アウトソーシングとは、「アウト(外部)」と「ソーシング(調達する)」を組み合わせた和製英語で、日本語での「業務委託」を意味します。業務委託とは、企業が業務の一部または全部を外部に委託することで、委託側と受託側は対等な立場となります。雇用主からの命令や指示による拘束力が発生する雇用関係とは大きく異なります。
増えているアウトソーシングの需要・その背景とは?
近年のグローバル化や技術の進歩により、企業間の競争が激化しているため、自社の付加価値を高めて他社との差別化を図る必要が高まってきました。そのような中で、自社の人材を本業に集中させるために、管理部門等の本業以外の業務を外部に委託するアウトソーシングの需要が増えています。事務コスト削減や人材不足への対策となり、限りある経営資源を有効活用していくことにも役立ちます。
アウトソーシングは3種類に分けられる
1.BPOは日常的な業務プロセスにおける業務委託を指す
BPOとは、「Buisiness Process Outsourcing」の略で、一部の業務プロセスを外部に委託することです。総務・経理・人事等のバックオフィス業務が主なものでしたが、最近ではマーケティング、物流・購買、人材育成等、その対象となる業務は多岐にわたっています。
本業ではないけれども日常的に派生する業務を外部に委託することで、人材やコストを本業に集中させ、自社で行う場合に比べてコストを削減することも期待できます。
2.KPOは専門性の高い業務委託を指す
KPOとは「Knowledge Process Outsourcing」の略で、専門性の高い業務を外部に委託することです。情報の収集・分析や医療に関する開発、航空機設計等、判断領域が多くマニュアル化できないような専門性の高い業務が対象となります。主にインドや中国に拠点を置いており、低賃金でなおかつ高い教育を受けている人材を揃える企業に委託することが多く見られます。
3.ITOは情報システムにおける業務委託を指す
ITOとは、「Information Technology Outsourcing」の略で、情報システムや情報技術に関する業務を外部に委託することです。自社の保有するパソコンやスマートフォン等のデバイスの管理、サーバーやネットワークの運用管理、セキュリティ運用等、対象は多岐にわたり、それぞれの会社の必要に応じて委託します。情報システムの管理には専門的な知識が必要であり、自社で賄おうとすると人件費もかかります。外部に委託することでコスト削減に繋がり、知識の豊富な専門家のサポートを受けられます。
アウトソーシングに向いている業務内容は?
アウトソーシングは、単純なものから専門的なものまで、幅広い業務を任せることができます。しかし、本業に関わるものについては、自社で行いノウハウを蓄積することで自社の強みとなる場合もあります。そのため、本業に直接関わらない、それでいて必要不可欠な業務がアウトソーシングに向いていると言えます。
- 経理・総務
経理・総務はどんな会社にも必要不可欠です。両者ともに専門知識が必要な一方で、単純な作業や規則的な繰り返しの多い業務です。とくに経理は、支払や給与計算等、定期的に発生する業務が多くあります。方法が決まっている、マニュアル化しやすい業務であるため、アウトソーシングしやすいと言えます。人員の少ない中小企業では、経理と総務を兼任している場合も多く、担当者の知識が少ない場合もありますが、経理・総務に特化した業者に任せることでより精度の高い仕事が期待できます。
- コールセンター
自社でコールセンターを整備する場合は、人材や設備・場所等に多くの費用が必要です。また、日によって問い合わせ数に変動があることが多く、繁忙期とそうでない時期との差が激しいものです。アウトソーシングを利用することで大幅に経費を削減でき、より重要度の高い仕事に人材を回すことができます。
- IT
IT分野は急速な発展を遂げており、専門知識の必要な業務です。社内に人材がいない場合は、企画から運用までを一括して任せる「フルアウトソーシング」を行うことが一般的です。また、人材がいる場合にも、その人の能力や専門性によって業務の一部を委託することも可能です。
アウトソーシングとほかの人材関連サービスとの違い
派遣業者と派遣先が労働派遣契約を結ぶ「人材派遣」
アウトソーシングと人材派遣の違いは、その契約の形です。人材派遣の場合は、派遣業者と派遣先企業が「労働派遣契約」を締結します。派遣社員と派遣先企業には労使関係はありませんが、派遣先企業は派遣社員に対して指揮命令を行うことができます。一方でアウトソーシングは、委託側と受託側が対等な立場であるため、委託側は受託側に指揮命令を行うことはできません。
アウトソーシングは、業務全般を委託して「業務や成果物」に対価を支払います。それに対し、人材派遣は「業務を依頼する人」、つまり人材を手配してくれることに対して対価を払う点が異なります。
有能な専門開発チームに仕事を指示できる「アウトスタッフィング」
アウトスタッフィングは、WEB開発に関するものであり、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。
アウトソーシングは、業務を外部に丸ごと依頼するようなイメージであり、直接の指示や管理ができないものです。一方でアウトスタッフィングでは、スタッフはアウトスタッフィング会社に雇用されており、クライアント会社との直接的な雇用ではありません。それにもかかわらず、クライアント会社はスタッフに割り当てた業務の指示や管理ができ、自社の延長のように緊密に連携することができます。
主にリモートでの稼働であることも特徴の一つです。有能なITエンジニア等、国内ではなかなか確保の難しい専門的な知識・技術を持つ優秀なスタッフを、自社の指揮管理のもとで使用することができるのです。
アウトソーシングの一種「シェアードサービス」
シェアードサービスとは、複数のグループ会社を持つ企業が、管理部門等の全社に共通して必要な業務を1か所に集約させることです。本社の一部門に集約する方法と、子会社化して本社から切り離す方法の2つが主なものです。
アウトソーシングは、業務を外部に委託することでしたが、シェアードサービスでは業務は実質的に社内で完結するため、経営手法の一つとして活用されることもあります。
アウトソーシングを導入するメリット
メリット1.付加価値の高い業務に人的資源を集中投入できる
競争の激化している現在において、他社との差別化は避けて通れないものであり、独自のノウハウやスキルが必要です。限りある経営資源を有効活用するために、重点を置く業務を取捨選択し、自社の核となり、付加価値の高い業務に力を入れていく必要があります。
そこで、管理部門等の業務を外部に委託することで、付加価値の高い業務に人的資源を集中させることができます。
メリット2.人件費や固定費を抑える分経営資産の活用が可能
自社で管理部門の社員を雇用する場合は、人件費や設備等の固定費がかかります。しかしアウトソーシングを行った場合は、その費用を抑えることができます。その分、重要な部署への人員の確保や、より有用な設備投資等に経営資源を充てることができます。
メリット3.専門性が必要な業務もアウトソーシング可能
専門性の高いIT等の分野では、優秀な人材を確保することは簡単ではありません。人材の雇用後、研修や育成が必要な場合もあります。
しかしアウトソーシングによって、外部から優秀な人材を得ることができます。それによって、自社のノウハウだけではできない業務も可能となります。また、特定の業務を専門とする業者に任せることで、自社で行う場合に比べて業務の精度が上がることもあるでしょう。専門性の高いアウトソーシングだからこそ、利用する価値もあるのです。
メリット4.分社化による経営の再構築が可能になる
シェアードサービスによって分社化し、業務の一部をアウトソーシングする場合は、親会社の肥大化を防ぐことができます。組織をスリム化し、コスト削減や人員配置の最適化を行うことで、経営を見直すきっかけとなります。
また、分社化した子会社は特定の業務に特化した専門家組織として、親会社以外の新たな顧客獲得に向けて営業努力を行う必要があります。こうした流れから、グループ全体の再構築にも繋がります。
アウトソーシングを導入するデメリット
デメリット1.業務内容を把握しにくくなる
業務を外部に任せることで、その内容や進捗が把握しにくくなり、管理が行き届かなくなる場合があります。業務内容を把握できる仕組みを構築する、綿密なコミュニケーションを取る等して、状況を把握しておくことが大切です。
デメリット2.内部情報が漏洩するリスクがある
業務を外部に委託するには、業務に関する情報を提供する必要があります。通常、アウトソーシング会社でも情報漏洩に関するルールが設けられていますが、それでも情報漏洩のリスクは伴います。特に情報セキュリティに関しては、サーバー攻撃が行われる可能性もあるため、アウトソーシングを利用する際はリスクがあることを理解して契約することが大切です。
デメリット3.コスト増に繋がるケースもある
アウトソーシングを行うと、社内で業務を担当する社員にかかる給料等、固定費を削減することができます。一方で、業者や業務内容等によっては、かえってコストが増加する場合もあります。そのため、アウトソーシングを利用する場合と自社で社員を雇用する場合を比較し、合理的な根拠を持って利用する必要があります。
また、料金体系や対象業務によって、追加料金が発生する場合も考えられます。コストに関して不明な点があればしっかりと確認し、納得した上で契約しましょう。
アウトソーシングと社内業務の効率化・どちらが自社に適しているか検討を
アウトソーシングには、主に業務効率化・コスト削減の面でメリットがあります。しかし、導入に伴うデメリットやリスクもあるため、社内で業務効率化を行う場合と比較して、どちらが自社に合っているかを慎重に検討しておく必要があります。
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まとめ
業務効率化を図るには、アウトソーシングをはじめとした様々な方法があります。まずは自社の行っている業務を洗い出して整理し、それぞれの業務をどのように行っていくかを一つ一つ検討していくことが大切です。地道な作業ではありますが、自社をよりよく知ることができ、さらなる発展に役立つ取り組みとなるでしょう。