経理担当者の中にはミスをしてしまい、どのように説明するかや今後の対策について迷われた方も多いのではないでしょうか。 経理でのミスを削減していくことは経理だけでなく経営者にとっても重要な課題です。
今回、経理でミスが起きやすい原因やどのように対策していくかご説明しますので、是非参考にしてください。
経理のミスは命取り? 経理業務が責任重大な理由
経理の仕事内容は範囲が広く、支払いや帳簿記帳から資金繰りや申告・納税まで多くの業務をカバーします。
一方で経理のミスは重大なトラブルに発展しやすいです。
納税の際には決算書を提出しますが、決算書は日常的な仕訳の入力が元になっており、ひとつでも間違えてしまうと納税額が違ったものとなって正しく納税ができません。
また、経理ではお金も管理しますが、もし帳簿違いや支払いミスで残高が足りなくなってしまうと、企業活動が停止してしまい、自社だけでなく他社にも迷惑がかかりイメージダウンに繋がるでしょう。
経理あるある? よくあるミスを解説
ケース1.仕訳時に数字を間違えて入力してしまう
マニュアルで数字を見ながら転記するやり方では、入力時に数字を間違えやすいです。
経理で入力する仕訳の数は非常に多く、高い集中力と慎重さが求められますが、それでも間違えてしまうケースがよくあります。
数字を間違えてしまうと決算の数字が異なってしまうため、最終的に納税する金額や株主に公開する決算数字も違うものになります。また、入出金の金額の入力を間違えると資金繰りを正しく判断できません。
ケース2.決算時に二重に計上・請求してしまう
特にマニュアルで作業をしている場合は、入力し終わった書類がどれなのか分からなくなってしまい、決算時に担当者が間違えて二重に計上・請求してしまうケースもあります。
売上を二重に計上してしまうと税額が多すぎてしまい、逆に費用を二度計上していると納税額が過少になってしまいます。また、もし二重請求してしまうと取引先からの信頼を大きく損ねかねず、経理だけでなく営業部にも迷惑をかけてしまうでしょう。
ケース3.請求書や領収書を紛失してしまう
紙や自社のフォルダで領収書や請求書を管理していると、紛失してしまうリスクが高まります。経理では日々たくさんの請求書や領収書を扱うため、どの書類をどこに置いたか担当者の記憶だけに頼ると分からなくなってしまうリスクが高いです。
また、経理担当者のミスだけでなく、ほかの部署や部外者が誤って捨ててしまったり勝手に持ち帰ったりするリスクもあります。 紙で保存していると、災害や火事も紛失のリスクとなるでしょう。
ケース4.在庫の計上を忘れてしまう
経理では数字の入力だけでなく在庫の管理も求められますが、在庫の計上でもミスが発生しやすいです。在庫は実際に確認しながら入力をしていくケースが多いですが、数え間違いや 確認不足でミスが起きます。
在庫の管理を間違えると、実際に在庫を動かそうと思った際に在庫が無く取引先に迷惑をかけてしまう可能性があり、商売に重大な影響を及ぼします。また、在庫数が違うと資産や利益の決算数字も間違えてしまうでしょう。
ケース5.計算でケアレスミスをしてしまう
日々大量の数字を扱う経理ではケアレスミスも発生しやすく、特に決算や月次締めの近い繁忙期には、担当者が時間に追われ集中力が切れて計算を間違えてしまうことがよくあります。
基本的には電卓やエクセルを使って計算していても、急いでいて頭の中で計算して間違えてしまうこともあるでしょう。
計算のケアレスミスは気づかれにくく、仕訳・決算書のミスや在庫管理で広く起き、ミスの内容によっては取引先や納税額にも影響がでてしまうため注意が必要です。
経理のミスは許されない? クビになる可能性は?
先述したようなミスを起こしてしまうと解雇されてしまうのか? と不安に感じる方もいるでしょう。将来、経理の仕事に就きたいと考えている方や、現在既に経理職に就いている方なら気になりますね。ここからはミスを起こすとどうなるのかを見ていきましょう。
基本的に一度のミスですぐにクビになることはない
ミスをした際に自分がクビにならないか不安になる経理担当者も多いのではないでしょうか。労働法により、社員のミスも会社にも落ち度がある可能性があるとみなされるため、一度のミスですぐクビになることはありません。会社にはミスが減る体制作りや教育をすることが求められています。
また、労働法で社員を解雇する場合には 30日前には伝えることが定められているため、万が一クビになる場合でも猶予が設けられるでしょう。
会社をクビになるのは犯罪や故意に損害を与えた場合
基本的に会社をクビになることはありませんが、犯罪を犯した場合や故意に会社に損害を与えた場合にはクビとなることもあります。
具体的には次のようなケースです。
- 会社から故意にお金を引き出し自分で使った
- 上司や同僚を困らせるために書類を紛失させた
- 自分のミスを隠すために計上する数字を故意に間違えた
もし自分のミスが発覚した場合は、 犯罪や故意での損害には該当しないことをきちんと弁明し、以後ミスをしないよう徹底しましょう。
隠すのはNG。経理業務でミスをした時の対処法
ミスをしてしまうと「怒られたくない」「恥ずかしい」といった気持ちから、つい隠したくなることもあるでしょう。しかし隠さず早急に対処すれば大事にならないこともあります。逆に隠してしまったことで会社に大きな損害を与えてしまう場合もあるのです。隠さず、正しい対処をしていきましょう。
ミスを認め、まずはきちんと謝る
ミスは会社の方でも把握して今後の対策に活かしていく必要があるため、ミスをした場合にはその事実を認め、きちんと謝ることが大事です。ミスが今後の手続きに関わることもあるため、気づいたら直ちに報告します。
謝る際にはなぜミスをしたのかや、今後どのように対応していくかを示します。特に取引先や納税額にも影響がある場合は、社内だけでなく社外に対してもどのように連絡していくか方針を示しましょう。
後悔よりも先に「今」できることを実行する
ミスをすると気持ちが落ち込んでしまい、動きが遅くなってしまう経理担当者も多いのではないでしょうか。しかし、 後悔するよりも先に今できることを実行していくことが重要です。
ミスした場合は、その報告に加え、ミスの修正のために周囲の人と連携しながら対処し、正しい状態に直していく必要があります。ミスをした時こそきちんと業務にあたり誠実に対応することで、周囲の人や取引先の信頼を回復できるでしょう。
周囲の同僚に頼る
ミスが起きた際にまず自分で対処しますが、必要に応じて周囲の同僚に頼っていくことも必要です。自分のミスの結果、ほかの人の作業やほかの部署の人の作業にも影響が出ている場合には速やかに連絡をし、自分で修正すると間違えそうな際には周囲にお願いしましょう。
また業務内容をよく理解できておらずミスが起きた際には、上司や同僚に正しいやり方を確認し、正しいやり方を教えてもらって今後に活かしていくことも大切です。
次にミスをしないよう原因をしっかり把握する
ミスをした際には今回なぜミスを起こしてしまったのかを把握し、次にミスをしないように対応を考えることが大切です。
ケアレスミスを起こした場合でも、集中力が切れていたのかや整理ができていなかったのかを振り返り、同様のミスを起こさないよう対策します。また、業務フローがよくわかっておらず間違えてしまった場合は、これを機に上司や同僚に改めて正しいやり方を聞き、マニュアルに記載しておくことがミスの防止に繋がります。
経理のミスが起こる原因は人的なものが多い
経理の業務には仕訳の入力や請求書の発行を含めマニュアル作業のものが多く、ミスの大半は仕訳・請求数字の手入力や領収書発行・請求書送付の手作業の際に起こります。
マニュアル作業に対してミスを防ぐための方法としては、個人でより一層注意を払ったり集中力が切れないようにするといった個人の努力にゆだねてしまう部分が多く、反復作業が繰り返されたり業務が立て込んでいたりすると、またミスが発生するようになってしまいます。
特に経理では月初や月末に業務が集中しやすいため、 繁忙期に個人の努力でミスを防ぐのには限界があるのも事実です。
経理業務でミスばかり起こしてしまう場合の防止策
もしあなたが「集中しているつもりなのに、ミスばかり起こしてしまう」と悩んでいる場合は、是非以下の対処法を試してみてください。
経理のミスを個人で防止する方法
経理のミスはまずは個人単位で注意を払って防止していくことが重要です。ミスの起きやすい場面やミスを防止する方法を定期的に共有し、部署で一体となってミスを減らしていくよう心がけると良いでしょう。
①自分がミスしやすい箇所を把握する
まずは数字の入力や転記、 二重計上や二重支払い、在庫の管理漏れを含め、自分が間違えやすい部分やそのミスが起きる原因を追求します。可能であればミスしてしまいやすい作業は自動で入力できるよう工夫をしたりメモをとるといった習慣をつけると良いでしょう。
自分がミスしやすい箇所をあらかじめ把握しておくことで、その作業を行った時には後から見直すといった対策を取れます。繁忙期に入る前に確認事項をまとめておくとより安心でしょう。
②机や書類棚を常に綺麗にしておく
机や棚を常に綺麗にしておくことで必要な書類がすぐ見つけられるようになり、メモもとりやすくなります。またファイリングも丁寧に行っておくことで、もし後から書類を見返して確認したくなった時にもすぐに取り出すことができ、税務調査が入った時にも安心して書類を提出できるでしょう。
身の回りをきれいにしておくことで集中力が高まるという効果もあります。 経理では繁忙期になると扱う書類が増えるため、日頃から整理しておくことが重要です。
③休憩をうまく利用して業務中は集中力を保つ
休憩をうまく利用して集中力を保つことも重要です。忙しい時期になればなるほど、休憩をとることも忘れて夢中で業務に取り組んでしまうこともありますが、ミスを起こしてしまうと逆に遠回りとなってしまいます。意識的に休憩の時間を取って集中力が切れないように気をつけましょう。
最適な休憩の取り方は個人によって異なりますが、1時間に一回休む・10枚書類を処理したら休むといったルールを自身で決め休憩を取ると良いでしょう。
経理のミスを会社単位で防止する方法
経理のミスを減らすには、個人の努力だけでなく会社としてもミスが減らせるよう体制やルールを整えることが重要です。体制やルールを作った後はそれを定期的に説明し普及させていくことで、徐々にミスを削減できます。
①マニュアルやルールを定期的に見直す
過去に作ったマニュアルやルールは、システムや取引先が変わって現状にそぐわなくなっていることもあるので、定期的にマニュアルやルールを見直すようスケジュールを組みます。
見直しの際には経営層だけでなく現場の社員も話し合いに参加し、ミスが起きそうな箇所があれば積極的に意見を述べます。
マニュアルやルールを見直した後はそれが現場に普及するよう説明し、日常の業務でも随時見直しをかけていきましょう。
②どんな業務でもダブルチェックを行う
一人の力でミスを防ぐには限界があるため、どんな業務でもダブルチェックができるよう体制を作ります。簡単に見える作業でもミスが積み重なれば大きな数字となるため、なるべくダブルチェックを行えるようプロセスを整えると良いでしょう。
ダブルチェックの方法としては、担当者・上司の間でのチェックが一般的ですが、インパクトの大きい取引や作業については、それ以外にも複数人の目を通すようにするとより安心です。
③クラウドサービスを導入して人的ミスを減らす
手作業での確認も重要ですが、ミスを大きく削減するためにはクラウドサービスの導入も有効です。システムは人間のように集中力が低下する心配はないため、システムを使えば業務が忙しい時でも安定して業務を進めていくことができます。
また仕訳の入力が自動で行えるクラウドサービスを使えば、手作業での計算や転記といったミスが起きやすい作業を人間が行わず業務を進められます。
oneplatの導入で経理のミスは圧倒的に少なくなる
クラウドサービスの導入で経理のミスを大きく削減できます。そこでおすすめしたいのが「oneplat」です。
oneplatを使えば取りまとめたデータは自動取り込みでき、 現在使用している会計システムや販売管理システムとの連携ができて、仕訳入力も不要となります。また、総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力であるため、仕訳作業が不要となります。つまり先述したような「人的ミス」が圧倒的に少なくなるでしょう。
さらにoneplatではすべてデータ管理のため、請求書や納品書を紛失したり、劣化や改ざんが起きるリスクもありません。
経理のミスを防ぐにあたり個人や会社単位で努力していくことも重要ですが、注意深くなるほど業務時間を圧迫してしまい逆にミスが増えたり人件費が増えかねません。こうしたクラウドサービスの導入も進めながら業務を効率化すると良いでしょう。
まとめ
今回、経理でミスが起きやすい原因や防ぎ方についてご紹介しました。
経理のミスは支払金額の誤りや納税金額の誤りといった会社にとって重大なミスとなりかねないため、ミスの削減に取り組むことが重要です。
ミスの削減には会社単位で取り組み、クラウドサービスの導入を通して業務の安定化・効率化を進めていくとスムーズです。