決算書の種類はどこまで? 決算報告書との違いも簡単に紹介

決算書と呼ばれている書類について知っていても、決算書の種類を正確に知っている、という方は少ないのではないでしょうか。

今回の記事では、決算書の概要や見方、決算書の種類はどこまでなのか、法律によって変わる決算書の種類等について解説します。是非参考にしてください。

そもそも決算書とは? 目的や読み方を簡単に紹介       

企業の成績を示す書類のこと

決算とは、企業における1会計期間(通常は1年間)の損益や資産状況をまとめて計算し、書類を作成することです。作成した書類は「決算書」と呼ばれ、企業の成績を示す書類になります。法人は、会社の規模に関係なく決算書の作成が法律で義務付けられており、それに従って税務申告や決算公告を行わなければなりません。

決算書からは、どれくらい利益が出ているのか、倒産の危険はあるのか、今後も成長が見込めるのか等を読み取れます。つまり、決算書の読み方がわかれば、自社の経営状態を把握できるだけでなく、他社の業績や経営状態も知ることができるのです。

役割や作成の目的・シチュエーション    

決算書には、企業の経営状態を税務署や株主、金融機関、取引先等に報告する目的があります。また、自社において経営分析をする際にも必要な書類です。

決算書は主に次のシチュエーションで必要になります。

  • 税務申告を行う時
  • 株主や取引先が、企業の経営状況から投資や取引が可能かどうか判断する時
  • 金融機関から融資を受ける時
  • 経営者と異なる出資者へ経営状況を説明する時
  • 自社で経営分析する時

決算報告書との違いについて

決算書と決算報告書は、その呼び方が違うだけで、同じ意味を持つ言葉です。

決算書という言葉は俗称であり、作成が義務付けられているそれぞれの法律によって、呼ばれ方が変わります。適用される法律によっては「財務諸表」や「計算書類」と呼ばれます。

決算書の種類には何がある? 主に7つの種類がある

決算書の種類の中でも重要視される「財務三表」

決算書には、主に7つの種類があります。その中でも、一般的に決算書と呼ばれるのは、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」の3つの書類です。これらは、「財務三表」と呼ばれ、決算書の種類の中でも重要視されています。

ここからは、財務三表の概要や見方について解説します。

①貸借対照表        

貸借対照表は、会計期間における決算日時点の企業の財政状況を表す書類です。資産=負債+純資産となる一覧表で表すことから、バランスシート(B/S)とも呼ばれます。つまり、会社がどのような資産を持っていて、その資産がどのように調達(負債・純資産)されたのかが読み取れるのです。

資産の中でも、現預金や売掛金・有価証券等の流動資産は、現金化しやすい資産として重要視されます。現金は経営の要であり、会社の資金繰りが健全かどうかを把握できるからです。例えば、1年以内に返済しなければならない流動負債(買掛金・短期借入金等)とのバランスをみて、流動資産の方が大きい場合は、資金繰りに問題がない会社と判断できます。

また、純資産は資産から負債を引いた、返済する必要がない資産です。純資産がマイナスになる場合は、債務超過となり倒産のリスクがある状態と判断できます。

貸借対照表について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>貸借対照表の作成方法とは? ルール・注意点や簡単な作り方も紹介

②損益計算書 

損益計算書(P/L)は、1会計期間の収益・費用・利益が記載された書類です。収益から費用を差し引いて利益を求めることで、企業の経営成績を把握できます。

利益は、費用の性質ごとに次の5段階で表示されます。

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

上記のように分類することによって、どのような利益がどの段階で出ているのかを読み取ることが可能です。5つに分類された利益を正確に把握することは、経営における分析や判断をする上でも重要と言えます。

損益計算書について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>損益計算書とは? 貸借対照表との違いや見方を簡単にわかりやすく解説

③キャッシュ・フロー計算書  

キャッシュ・フロー計算書は、1会計期間の現金および現金同等物の流れを表す書類です。会計期間において、どのようなお金が入ってきて出ていったのかが「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて表示されます。その結果、企業のお金の流れを把握できるのです。

損益計算書では、現金の増減は把握できません。利益が出ていると安心していても、実際には現金が増えていないという状態も起こり得ます。

例えば、営業活動のキャッシュ・フローがマイナスの場合は、在庫の過剰な抱え込みや、売掛金の未回収が考えられます。このような状況で現金が不足して、資金調達ができない場合は、黒字倒産の可能性もあり得るのです。

そのため、キャッシュ・フロー計算書を正確に把握して、資金を確保するために早急に対応していくことが重要と言えます。

キャッシュ・フロー計算書について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>経営に重要なキャッシュフローとは?意味や考え方・見方・パターン

財務三表以外の決算書

ここからは、財務三表以外の4つの決算書について詳しく解説します。

④株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書は、会計期間における貸借対照表の純資産の部の中で、株主資本の変動を表す書類です。2006年に会社法によって新たに設定された計算書類で、すべての会社が作成しなければなりません。

株主資本は、主に資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式の4つに分類されます。株主資本等変動計算書は、これらが変動した際の金額や理由を把握できます。

⑤個別注記表   

個別注記表とは、重要な会計方針に関する注記事項や、貸借対照表等の各決算書類の注記事項を一覧にした書類です。前述した株主資本等変動計算書と同様に、2006年に会社法によって新たに設定された書類で、すべての会社が作成しなければなりません。

ただし、会社の規模や種類、会計監査人設置会社かどうかによっても、注記が必要な項目が異なりますので、確認しましょう。

⑥計算書類の付属明細書

計算書類の付属明細書とは、決算書の中で、主に財務三表の補足説明のために用いられる書類です。

財務三表の内容だけではわからない詳細事項について記載した付属明細書には、次の書類が挙げられます。

  • 固定資産等明細表
  • 引当金等明細表
  • 有価証券明細表
  • 借入金等明細表
  • 社債明細表

⑦事業報告書        

事業報告書とは、貸借対照表や損益計算書等の計算書類ではわからない情報を記載した書類です。ここでの情報とは、事業内容や役員・従業員に関する情報を指します。

すべての株式会社は、事業報告書の作成が義務付けられています。しかし、公開会社、非公開会社(株式譲渡制限会社)、中小企業によって、事業報告書への記載事項は異なりますので、確認が必要です。

その他、様々な決算書

上記の7つの書類のほかにも、決算書として用いられる書類があります。

まず、製造業においては、損益計算書に添付する書類として、製造原価報告書が必要です。製造原価報告書には、製造にかかるすべての費用が記載されています。

次に、法人税法においては、法人税申告書とその添付書類として勘定科目内訳明細書を作成しなければなりません。これらの作成には専門的な知識を要するため、税理士等の専門家が作成するケースが多いです。

最後に、有価証券発行者の中で、提出を義務付けられている企業は、有価証券報告書を作成しなければなりません。

決算書の種類は法律によって変わる

法人税法等の税法による「決算書」の種類   

法人税法等の税法では、決算において作成する書類は「決算書」と呼ばれており、次の書類の提出が定められています。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 法人税申告書および勘定科目内訳明細書

会社法による「計算書類等」の種類   

会社法では、決算において作成する書類は「計算書類等」と呼ばれており、次の書類の提出が定められています。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表
  • 計算書類の付属明細書
  • 事業報告書

金融商品取引法による「財務諸表」の種類   

金融商品取引法では、決算において作成する書類は「財務諸表」と呼ばれており、次の書類の提出が定められています。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 計算書類の付属明細書

決算書の種類ごとに提出場所・対象法人が異なる   

3種類に分けられる提出場所・対象法人    

法律によって3種類に分けられる決算書の提出場所・対象法人は下記の通りです。

準ずる法律提出場所対象法人
税法(決算書)税務署すべての会社
会社法(計算書類等)株主総会等すべての会社
金融商品取引法(財務諸表)内閣総理大臣(金融庁)上場企業等、提出を義務付けられている会社

決算書の作成・提出期限

法律によって変わる決算書の種類ごとの作成・提出期限は下記の通りです。

  • 税法:決算書
    法人税の確定申告は、会計期間の終了日の翌日から2か月以内とされているので、それまでに作成・提出しなければなりません。ただし、自然災害や株主総会の開催が2か月以内にできない等の特別な事情がある場合は、提出期限の延長が認められます。
  • 会社法:計算書類等
    株主総会までに作成・提出しなければなりません。株主総会は、会計期間の終了日の翌日から3か月以内に開催するとされています。
  • 金融商品取引法:財務諸表
    会計期間の終了日の翌日から3か月以内に作成・提出しなければなりません。

決算書の取りまとめを効率化するには会計システムの利用がおすすめ

決算書の取りまとめを効率化するには、会計システムの利用がおすすめです。

作成する書類の種類が多い上に、正確さを求められる決算書の取りまとめには、時間がかかってしまうので経理担当者の負担が大きくなってしまいます。

しかし、会計システムを利用すれば、仕訳を入力することによって自動で決算書の一部が作成できます。転記作業等による人為的ミスを最小限に抑えることが可能になり、決算書の作成にかかる時間も削減できるので、効率化が見込めるでしょう。

また、入力したデータをすぐに決算書に反映できるので、常に最新の経営状況を把握して経営に活かせます。

納品書・請求書の受け取り業務を自動化できる「oneplat」でさらなる効率化を

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そして、oneplat上にある請求データと会計システムを連携すれば、仕訳が自動入力されます。そのため、決算書の取りまとめがさらにスピードアップできるのです。

【まとめ】決算書の種類について押さえよう

今回の記事では、決算書の概要や見方、種類について解説しました。

法律によって決算書の呼び方や提出する書類の種類が異なることがわかったと思います。決算書の種類を押さえておけば、決算書の作成がよりスムーズに行えるでしょう。

また、決算書の見方がわかれば、正しい経営判断が可能です。経営状況に迅速に対応していくためにも、会計システムや、oneplatのようなクラウドサービスのご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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oneplus編集部

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