新聞図書費とは?課税や電子書籍・10万円以上の場合の仕訳例も解説

新聞図書費とは、新聞や雑誌・書籍等の購入時に使用する勘定科目です。
しかし、購入したものをすべて計上できるわけではありません。
そのため、どのような場合に使用するのか、悩む人は多いです。

この記事では、新聞図書費とは何か、具体的な例を挙げてご紹介しています。
また、課税区分や仕訳の注意点も詳しく解説していますので、参考にしてください。

新聞図書費とは|英語表記・書籍代との違いを紹介

新聞図書費とは、業務で使う新聞や雑誌等の仕訳に用いる勘定科目です。
英語では「Books and subscription」と表記します。

新聞や雑誌だけでなく、地図の購入費用も含まれます。
また、電子書籍等デジタルでも新聞図書費に計上して構いません。

ただし、調査目的で購入した書籍を「調査費」「研究開発費」等で計上することもあり、その線引きは曖昧です。
どこまでの範囲を新聞図書費とするかは、経営者の判断に任されます。

社内で予め定義し、明確な基準を提示しておくと良いでしょう。
仕訳の際に悩むことも少なくなります。

新聞図書費が決算書にない?決算における位置付けとは

新聞図書費は任意の追加項目であるため決算書に記載がない


新聞図書費という勘定科目は一般的に決算書には存在しません。
なぜなら、新聞図書費が任意の追加項目だからです。
日頃から新聞や書籍の購入が多い企業が、勘定科目を追加して使用します。

購入頻度が低い会社では科目を追加せず、「消耗品費」として処理することが多いです。
両方を混在して使うことがないように、ルールを決めておくと良いでしょう。

新聞図書費の財務諸表における区分

損益計算書には、経常損益の部と特別損益の部があります。

この経常損益の部は、営業損益の部と営業外損益の部に区分可能です。

営業損益の部には、売上高・売上原価・販売費および一般管理費があり、新聞図書費は「販売費および一般管理費」に区分されます。

経常損益の部をピックアップしてみると、次の通りです。
▼経常損益の部
 ▽営業損益の部
  ・売上高
  ・売上原価
  ・販売管理および一般管理費(←新聞図書費はここに属します)
 ▽営業外損益の部
  ・営業外収益
  ・営業外費用

新聞図書費の具体例|該当費用・該当しない費用

新聞図書費に分類される費用例

ここでは、具体的にどのような費用が新聞図書費に分類できるかをご紹介します。

まず、重要なのは経営や業務に関わる書籍等の購入だということです。
業務で使用するものの具体例としては、以下の書籍等が挙げられます。
・新聞、メールマガジン、有料サイト購読
・雑誌、書籍、専門書、業界紙
・情報誌、官報
・地図、統計資料
・定期刊行物

例えば同じ経理の本でも業務に関するものは対象ですが、業務とは無関係で私用で購入した本は対象外です。
また、顧客のために購入したものが計上できる場合もあります。

税務調査で内訳を聞かれることもあるので、どのような目的で購入したものかを記録しておくと良いでしょう。

新聞図書費に分類されない費用例

役員や従業員が個人的に使用するために購入した書籍等の費用は、新聞図書費に分類できません。
事業運営に関わらないものは、対象外と考えておくと間違いを防げます。

個人が資格取得のために購入した書籍も対象外です。
会社として該当の資格取得を義務付けている場合等、計上できる場合もありますが、個人に帰属するような国家資格のための参考書は新聞図書費にはなりません。

新聞図書費の課税区分|基本的な考えと軽減税率について

消費税については原則として、新聞図書費は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象になります。
適用税率については、週2回以上発行される定期購読の新聞は、軽減税率の対象です。

しかし、発行頻度が週2回未満の新聞購読料は、10%の消費税率が適用されます。
週2回以上発行している新聞であっても、コンビニ等で購入した場合は10%です。
また、電子板の新聞の定期購読も10%になります。

まとめると次の通りです。

週2回以上発行定期購読紙の新聞軽減税率(8%)
電子版消費税率(10%)
コンビニ等で購入
週2回未満発行

紙の新聞と電子版のセットを定期購読契約している場合は、紙の部分が8%・電子部分が10%の課税対象です。
判断が難しい時は、発行会社に問い合わせると教えてもらうことができます。

新聞図書費の注意点|前払い・10万円超・電子書籍のケース

1年を超える定期購読は「前払費用」の処理が必要

新聞の定期購読は、1年分等をまとめて支払うことがあるでしょう。
この場合は、翌期以降の購読分は「前払費用」として処理を行うことが必要です。

例えば、会計年度は1月~12月の会社で、4月~翌3月の1年間で新聞を定期購読したとします。購読料は、4月に1年分をまとめて支払いました。

この時、4月~12月の9か月分の購読料は新聞図書費です。
1月~3月分の3か月分は翌期に計上するため、当期は「前払費用」の勘定科目を使用します。
後ほど具体的な仕訳例をご紹介しますので参考にしてください。

前払費用についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

>>前払費用とは? 前払金との違いや仕訳例をわかりやすく解説

10万円を超える購入は資産として計上する

書籍の中には、専門書や百科事典等、合計金額が10万円を超えるものがあります。
全巻セットで購入し10万円を超えた書籍は、新聞図書費には計上しません。

セットで10万円を超えた書籍は、減価償却資産となり「工具器具備品」として計上します。

1冊ずつ購入することができ、1冊の金額が10万円を超えなければ新聞図書費にすることも可能です。
また、工具器具備品として計上しても、全額を当期の費用に計上できる税法上の特例もあります。

電子書籍の購入は軽減税率の対象外

スマートフォンの普及に伴い、電子版の新聞を購読する人が増えています。
満員電車の中でも気軽に読むことができ、隙間時間で気になる記事だけをピックアップして読みやすいため、今後も契約数は増えることが予想されています。

ここで、新聞の定期購読は軽減税率の対象になりますが、電子版は対象外であることを覚えておいてください。
新聞が軽減税率の対象になるためには「新聞の譲渡」が必要です。
電子版は、電子通信利用役務の提供という扱いとなり、譲渡されないため10%の消費税率が適用されます。

また、電子版と紙の新聞をセットで購読するサービスの場合は、紙の部分の費用のみ軽減税率の対象です。

新聞図書費の仕訳例|よくある・間違いやすい取引

1.書籍を買った(少額の場合)

業務で使用する3,000円の書籍を購入し現金で支払った場合は、次のように仕訳を行います。

借方貸方摘要
新聞図書費3,000現金3,000書籍

書籍の購入がほとんどなく新聞図書費の勘定科目を使用しないと決めている企業では、一般的に消耗品費で計上します。
また、少額の場合は雑費としても計上可能です。

借方貸方摘要
消耗品費3,000現金3,000書籍

2.業界専門誌の定期購読を開始した

業務に必要な業界の専門誌の購入は、定期購読を利用するケースもあります。
年間購読料24,000円を9月1日に支払い、9月~翌8月の定期購読をはじめた時点での仕訳は次の通りです。普通預金から支払っています。

借方貸方摘要
新聞図書費24,000普通預金24,000年間購読料
9月〜翌8月

12月31日の決算日には、支払済みの新聞図書費のうち翌年度の8か月分16,000円を前払費用に振り替えます。

借方貸方摘要
前払費用16,000新聞図書費16,000翌月分

翌期1月1日になりました。
前払費用に計上しておいた16,000円を、新聞図書費に振り替えると仕訳は次の通りです。

借方貸方摘要
新聞図書費16,000前払費用16,000振替

なお、定期購読料を支払ったタイミングで、決算を見越して前払費用に計上してしまうこともあります。
翌期首1月1日の振替仕訳の方法は変わりません。

借方貸方摘要
新聞図書費8,000普通預金24,000年間購読料
9月〜翌8月
前払費用16,000

3.従業員用の雑誌を買った

業務とは直接関係ないものの、知っておきたい分野の情報や業界知識が掲載された雑誌を購入することはあります。
高額でなく誰でも読める場所に置いてある雑誌であれば、従業員用の雑誌も新聞図書費で計上可能です。
現金で購入した場合の仕訳は次のようになります。

借方貸方摘要
新聞図書費1,000現金1,000雑誌

また、昼休み等に気軽に読める雑誌等の場合は、「福利厚生費」として計上することもあります。
役員等の特定の個人のみが閲覧できる場所にある書籍は「役員報酬」や「給与手当」として処理されるケースもあるので注意してください。

4.調査目的で書籍を買った

調査を目的として購入した書籍は、「調査費」や「研究開発費」として処理を行うことが多いです。
使用する勘定科目は統一し、摘要欄に何の調査で購入した書籍なのかを書いておくと、忘れる心配がありません。

借方貸方摘要
調査費3,000現金3,000調査用書籍

また、書籍にも会社で購入したものだとわかるような印をつけておくと便利です。
購入日時・金額・用途を記載したシールを貼る等、運用を決めておくとわかりやすいでしょう。

5.専門書のセットを10万円で買った

セットで販売している書籍は、セット価格で判断されます。
10万円の専門書セットは、新聞図書費ではなく固定資産として「工具器具備品」で計上してください。

借方貸方摘要
工具器具備品100,000現金100,000専門書セット

10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産勘定でまとめて計上し3年間で均等償却するケースもあります。

6.事業に必要な映画DVDを買った

事業に必要な映画DVDのレンタル・購入費用も新聞図書費に計上できます。

借方貸方摘要
新聞図書費3,000現金3,000映画DVD

ただし、DVDの内容は業務の遂行に必要なものに限られます。
取引先の担当者に贈答品として購入する場合は、「接待交際費」です。

映画に関するライターやコメンテーターの仕事を受けている場合は、該当映画を観る必要があるためDVDの購入が経費として認められる可能性が高いです。

個人の趣味で鑑賞するものではないことを明確にする必要があります。
保管・利用は事務所内で行い、何のために購入したかの記録を残しておきましょう。

7.事業用に図書カードを安く買った

事業用書籍を購入することを前提に、図書カードを購入することがあります。
金券ショップ等で図書カードを安く購入することもあるでしょう。
仕訳を行う時は額面ではなく購入金額で計上します。

例えば、額面5万円分の図書カードを47,000円で購入した場合の仕訳は次の通りです。

借方貸方摘要
新聞図書費47,000現金47,000図書カード

事業用で使用するつもりで購入しておいた図書カードのうち、1万円分を取引先にプレゼントすることになった場合は、「接待交際費」に振り替えが必要です。

借方貸方摘要
接待交際費10,000新聞図書費10,000図書カード

※勘定科目にかかわらず、図書カードの購入は非課税仕入です。図書カードで書籍を購入した場合に課税仕入となります。

新聞図書費の会計処理|勘定科目の統一と明細保管が重要

勘定科目を統一して補助科目も活用しよう

購入した書籍の用途や金額によって、書籍を計上する勘定科目は新聞図書費・接待交際費・消耗品費・工具器具備品・調査費等、複数の科目が考えられます。

どの勘定科目を用いるかは、経営者の判断に任される部分が大きく、明確に定められてはいません。
ただし、一度決めた勘定科目は毎期同じものを使用しなければなりません。
用途ごとに使用する勘定科目を統一することが大切です。

新聞図書費を使用する場合は、「書籍」「新聞」「雑誌」等の補助科目を使用することで、内訳が一目でわかるように工夫すると管理しやすくなるでしょう。

経費計上する際は明細をきちんと記録・保管しよう

新聞図書費に限ったことではありませんが、経費として計上する以上、明細や領収書・レシートはきちんと記録し保管することを忘れてはいけません。
クレジットカードで支払ったケースでは、領収書が発行されない可能性もあるので注意が必要です。
電子メールで送られてくる購入明細やダウンロードできる領収書等、忘れずに保管しておきましょう。

新聞図書費の一覧表を用意し、購入の都度追記していくと便利です。
すぐに記載できない時は、領収書の裏にメモを残しておくと良いでしょう。

まとめ

新聞図書費の具体的な例を挙げ、分類される費用・されない費用や課税区分をご紹介しました。
経費に計上するためには、業務で使用する書籍であることが大切です。
税務調査で質問されても困らないように、一覧表を作って管理しておくと良いでしょう。
また会社で管理する書籍や雑誌・専門書・DVD等には、購入日と用途を書いて貼っておくと管理がしやすくなります。

新聞図書費は任意の追加項目です。
使用すると決めたら、社内でルールを明確にしておくと良いでしょう。

この記事を読んだ方で「受け取る」納品書や請求書を「電子化」することに興味がある方はいませんか?

oneplatは、納品書や請求書をデータで受け取れるサービスです。

会社組織の財務・経理部門や、支店・店舗・工場などの、 管理業務における下記の課題解決にoneplatは大きく貢献できます。

  • 会計/販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要に
  • 取りまとめたデータを自動で取り込み
  • 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力

導入後は複雑なデータ入力業務に時間を奪われることなく、本来の業務へ時間とコストを割くことが可能です。

このウェブサイトでは、他にもコスト削減・業務効率化に役立つ資料を無料で配布しておりますので、 是非、この機会に一度資料ダウンロードしてみてください。

oneplus編集部

この記事の執筆者

最短5分

財務・経理部門における
DXのお問い合わせやご相談についてはこちら

お役立ち資料はこちら