契約を交わすうえで重要になってくるのは、やはりお金に関する部分ではないでしょうか。
「いくら支払うのか」、「いくらで売るのか」こういった金額的な部分はもちろん大切ですが、もう一つ忘れてはならないのが「支払条件」です。
支払条件とは「いくら」を「いつまでに」「どのように支払うか」といった、仕事の報酬として支払われる代金の受け取りに関する条件をあらかじめ定めたものです。
支払条件を定めていなかった場合は、請求書を出したのにいつまでも代金が支払われなかったり、現金振込みのはずが手形で支払われてしまった等、後々のトラブルに繋がりかねません。
受注側・発注側が安全に気持ちよく取引を完了するためにも、事前に適切な支払条件を提示することが大切なのです。
通常「支払条件」は、契約書、請求書、納品書等に記載することになります。
では一体どのような内容を織り込めばよいのか。
実は支払条件に何を書けばよいのか分からないといったケースが多く、また書き方も分からないというのもよくあるお話なのです。
この記事では
- 支払条件とは何ぞや?
- 支払条件はどこに記載するの?
- 支払条件はどうやって書くの?
こういった内容について解説していきます。
支払条件とは?
簡単に言うと、商品・サービスを売り買いする際「いくら」を「いつまでに」「どのように支払うか」これらをあらかじめ定めたものが支払条件です。
雇用関係を結ぶ際にも必要になります。
「支払条件」は何も会社間のやり取りだけで発生するものではなく、個人でも目にする機会はあります。
スーパーやコンビニ等、一括で支払える場合はお目にかかることはありませんが、例えば家や車を買う時、エステの契約をする時等、ローンを組んだりする場合は必ず見ることになるでしょう。
これだけ見ると、ごく当たり前のお話で、大したことない内容に思えるかもしれませんが、ビジネスをする上で「支払条件」は非常に重要な要素となってきます。
というのも、支払条件は企業の資金繰りに大きな影響を及ぼすからです。
特に影響が大きいのが支払期日で、ごく当然のことではありますが、「支払は遅く、回収は早く」の方が資金繰りはラクになります。
では受注側と発注側、どちらが支払条件を定めるものなのかというと、原則的には「契約当事者において合意で決める」ことになっています。
ただし見積書の段階で記載する支払条件は、受注側が希望する条件となっているケースが大多数です。
支払条件はどこに記載するの?どう書けばよいの?
支払条件は、「どこに書かなければならない」という明確な決まりはありません。
法的な決まりがあるわけではないため、記載がなくても実は問題ないのです。
しかし支払条件がないと、代金回収がスムーズに行かなくなる可能性が高まるのはたやすく想像できるかと思います。
例えば支払期日を決めておかないと、いつまで経っても入金されない可能性がありますし、支払方法が記載されていなければ、払う方もどうやって払えば良いか分からず困ってしまうわけです。
また銀行振込の場合は、振込み手数料はどちらが負担するのか。
これも後々のトラブルを回避するためにも事前に決めておく必要があります。
お金に関する事柄については、事前に明確に定め、誰が見ても誤解が生じないような、明瞭明快な記載にする必要があります。
お金のこととなると、つい遠慮してしまい、遠回しな言い方になってしまいがちですが、後々のトラブルを回避するためにも、分かりづらい表現は避けるべきです。
お互いの安心のためにも、支払条件は明確に定め、お金に関する書類にはしっかりと記載しておきましょう。
ではいったいどういった書面に記載すれば良いのか。
以下に一例を示します。
①見積書
②発注書/注文書
③契約書
④納品書
⑤検収書
⑥請求書
以上がお金に絡む書面の代表例です。
それではそれぞれの書類への記載方法について解説していきます。
①見積書への支払条件の書き方
見積書とは、個人または企業間において商取引が行われる際に、その取引に関する商品名や数量、単価、合計金額、支払条件等を明らかにし、発注先へ提示するための書類です。
見積書は、発注側と受注側の認識のズレによって生じがちなトラブルを回避するための、非常に重要な書類となります。
例えば、「想像していた内容と違う」や「想像していたよりも金額が高すぎる」等のトラブルを未然に防ぐ役割を持ちます。
また、見積書は他社との商品やサービス、料金を比較をする場合にも活用されるケースがあります。
つまり見積書は、商品やサービスの内容を確認し、発注するかどうかを検討するための判断材料として活用されるのです。
見積書への支払条件の記載ですが、通常は受注者側が記入し、発注者側は、提示された金額•支払条件に基づいて、発注する流れになることが多いです。
しかしこれは法で定められているわけではなく、お金を受け取る側が条件を提示することが多いという話です。
そのため、お金を払う側が支払条件を定めるパターンもあります。
見積書に記載する内容は、主に以下のものになります。
- 見積発行日
- 見積書番号
- 発注者の名称
- 件名
- 受注者の名称
- 納期・支払条件・有効期限
- 商品・サービスの詳細と合計金額
- 備考
支払条件は、主に支払方法と支払期限の2つを記入します。
支払方法は「現金」もしくは「銀行振込」が一般的ですが、そのほかに手形や小切手で支払う方法もあります。
銀行振込の際の手数料については、支払うのがどちらであるのかをも明示しておきましょう。
支払側が振込手数料を差し引き、振込みを行うケースもよくあります。
支払期限は「請求後〇日以内」というように、会社が設けた支払期限を記入します。
有効期限は、見積書に記載している内容の有効期限のことです。
有効期限をしっかり明記しておかないと、原材料の価格変動やその時の情勢等の影響で、見積書を提示した当時の価格では対応できない場合があるからです。
「本見積提出後〇週間」というように有効期限を忘れずに記載するようにしましょう。
②発注書/注文書への支払条件の書き方
発注書と注文書は、どちらも仕事や商品を依頼する際に発行される文書ですが、使われ方が少しだけ異なります。
まず発注書は「金額が大きい場合」や「加工や制作が必要な場合」に多く使われる傾向があります。
一方注文書は、既に製品ができ上っていて、加工の必要がないものを依頼する際に使われる傾向があります。
ただしこれは傾向があるというだけで、こちらを使わなければならないという明確な決まりはありません。
どちらを使っても大丈夫です。
では発注書/注文書を発行する場合の支払条件の書き方を見ていきましょう。
通常、発注書/注文書には事細かに支払条件を記載するということはありません。
と言うのも、見積書や契約書の段階で支払条件については合意に至っているはずなので、何度も記載する必要がないからです。
ただし「支払期日」はしっかりと記載しておくと良いでしょう。
そのほかにも必要だと感じる部分には、しっかりと記載しておきましょう。
③契約書への支払条件の書き方
2020年4月に新設された民法522条1項によると、「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(申し込み)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」とあります。そして契約書は、その名の通り「契約の内容を記したもの」となります。
しかし同じ民法522条1項によれば「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成そのほかの方式を具備することを要しない」とも書かれています。
これは契約書を書面等で発行せず、口約束のような状況でも契約は成立するということを指しています。
しかしほぼすべての企業において、契約書は発行されているのではないでしょうか。
契約内容を確認できない状況になると、万一の時に事実を裏付けることができず、大きなトラブルとなってしまいかねないからです。
最近では書面での契約書に変わり、電子契約への移行も進められてきていますが、どのような形にせよ、将来に争いの余地を残さないためのリスクマネージメントとしても、契約書を締結することは重要です。
では契約書への支払条件の書き方について見ていきましょう。
契約書はこれから行われる一連の取引内容、条件等すべてを織り込むものですから、支払条件の書き方もほかの書面よりも詳細に記すことになり、また堅苦しい形式にもなってきます。
例を示します。
- 第▲条(代金支払)
1 乙は、甲に対して検収済の本件商品の売買代金を次の条件に従い支払う。
(1) 支払期限 毎月末日締切 翌月〇〇日払い
(2) 支払方法 甲が指定する銀行口座への電信送金
2 乙が代金の支払いを怠ったときは、支払期限最終日の翌日から完済に至るまで年〇%の割合による遅延損害金を甲に支払う。
- 第▲条(代金支払)
1 乙は、毎月末日(以下「締め日」という)を締切として、当月に甲が検収をした商品に関する甲の代金支払総額を集計し、所定の明細票により甲にこれを通知する。甲は、当該代金支払総額を締め日の翌月末日(甲の休業日の場合は翌営業日)限り、別途乙が指定する方法により支払うものとする。
2 甲または乙は、相手方に対して金銭債権を有するときは、相手方への書面による通知をもって、弁済期にあるか否かを問わず、いつでも当該金銭債権と相手方に対する金銭債務とを対当額で相殺することができる。ただし、有償支給品の代金については、当該有償支給品を用いた商品の代金の支払日以降でなければ相殺することができない。
3 甲が代金の支払を怠ったときは、支払期日の翌日から完済に至るまで年〇〇%の割合による遅延損害金を乙に支払う。
④納品書への支払条件の書き方
納品書は「商品を間違いなく納品しました」ということを証明するための書類です。
商品やサービスを受け渡すタイミングで一緒に渡します。
ただし納品書の作成は法的に定められたものではないため、発行しなくても構いません。
しかし受注側が「商品を正しく間違いなく納品した」ことを後々証明するためにも、ほとんどの企業で納品書は発行されています。
納品書への支払条件の記載方法ですが、すべてを詳しく記載する必要はありません。
発注書/注文書と同様の理由になりますが、見積書と契約書で詳細が記載されているはずなので、何度も書く必要はないのです。
ただしここでも「支払期日」は記載しておくと良いでしょう。
⑤検収書への支払条件の書き方
検収書は発注側(お金を払う側)が発行する書面です。
納品された商品やサービスが「適切だった」と認めたことを示すものです。
そのため検収書の発行以降は、商品やサービスに対して、修正等は認められません。
受注側としては、検収書の受領をもって、ようやく一安心できるといったところでしょう。
どのタイミングで商品やサービスの売上を計上するかは企業によって異なりますが、検収書の発行時点をもって売上を計上する企業も多々あります。
この場合は、その時点で入金されていなかったとしても、検収書に書かれた日付が「売上のあった日」となるわけです。
検収をいつ行うかは発注側の自由なのですが、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」では、受領日から支払日までは60日以内と定めています。
ここで言う受領日とは納品日のことで、納品から60日が過ぎれば、検収書の発行の有無にかかわらず代金を支払う必要があります。
「発注側が検収書を発行→受注側が請求書を発行→支払い」という流れになることを考えると、検収作業を長期間放置することは望ましくありません。
では検収書への支払条件の記載方法ですが、こちらも条件のすべてを記載する必要はありませんが、支払期限は入れておきましょう。
「受領日から支払日までは60日以内」というルールで契約がされているならそれを記載すれば良いですし、契約段階で支払期日が定められていたのなら、そちらを記入しましょう。
⑥請求書への支払条件の書き方
請求書は、代金の入金以前に商品やサービスを提供したときに、代金を請求するための書類です。
商取引で広く取り交わされているため、請求書の記載事項については、ある程度習慣として決まったものがあります。
ちなみに契約時に「検収の完了をもって代金を支払う」と取り決めていた場合は、請求書の発行は不要です。
この場合は検収書を発行したら、受注側からのアクションを待たずに代金の支払いを行えます。
請求書への主な支払条件の記載項目は以下になります。
- 請求金額
- 請求内容
- 支払方法
- 振込先口座番号(振込みの場合)
- 支払期限
振込手数料が発注者負担の場合は、その旨も記載しておくと良いでしょう。
oneplatとは?
さて、ここまで支払条件の書き方について解説してきました。
織り込まなければならない内容は大体決まっていますが、書き方に関しては、こうでなければならないという決まりはありません。
インターネットで調べてみても、例文がたくさんあって迷ってしまいますよね。
このような時、oneplatという納品書・請求書クラウドサービスを使ってみる方法があります。
見積書や契約書は自社で作っていただく必要がありますが、ある程度機械的にできる、請求書や納品書の発行といった部分を効率化したいと思いませんか?
oneplatは様々な支払いを一元管理してくれるサービスになっています。
納品書・請求書をクラウドサービスで利用でき、財務・経理部門のペーパーレス化が実現できるのです。
- 納品情報の入力作業が大変
- 請求内容の確認作業が大変
- 財務、経理部門のリモートワーク化が進まない
こういった悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
以下にoneplat利用についての一例を示します。
①購入者の作業:販売者を登録
oneplatに販売者を登録すると、登録された販売者宛にoneplat本登録のご依頼メールが届きます。
販売者は登録情報を入力し、oneplatに本登録を行います。
②販売者の作業:納品データの登録
購入者に納品する、商品・サービスの納品情報をoneplatに登録する
(複数ある場合は、CSVで一括登録することが可能)
③購入者の作業:納品データの承認
納品された商品・サービスの検品後、納品データを承認します。
納品データは、CSVやPDFでダウンロードすることができます。
納品データの承認は、アプリでも行うことができます。
会計仕訳はデータ取り込みで自動入力されます。
④販売者の作業:請求書の発行
承認した納品データを、oneplatで請求書に変換し発行します。
(インボイス制度対応済み)
⑤購入者の作業:請求書の承認
販売者より受け取った請求書をoneplatで承認します。
請求書の承認は、2次承認・3次承認と複数のご担当者で行うことができます。
受け取った請求書は、いつでもダウンロードすることができます。
以上がoneplatの機能の一例でした。
請求書は、承認した納品データと完全一致しているため、請求内容を間違えるといったミスが起こりません。
また請求書の受け取りから承認までクラウドで完結できるため、なかなかリモート化が進まないと言われる財務・経理部門であっても、リモートワークが実現可能になるのです。
是非一度資料請求して、より詳しい内容を調べてみてはいかがでしょうか。