会計や財務業務の一つに明細書発行業務が挙げられますが、そもそも「支払い明細書」とはどのような書類のことを指すのでしょうか。
「支払いについて詳細を示した書類」ということをなんとなく知っていても、定義を知らない方も多いですよね。また請求書や領収書等似たような書類が多くあり、「何が違うんだろう」と経理担当者を悩ませることもあります。
さらに、支払い明細書を作成する際には何を記載するのが正解なのか、ルールや規定がわからず困っている人も多いでしょう。万が一書き方を間違えて支払い明細書を発行すれば、トラブルに繋がる可能性も考えられます。
そのため当記事では「支払い明細書とは何か?」という点をわかりやすく整理しながら、発行する目的や書き方、その他の書類との違いについて詳しく紹介していきます。
支払い明細書とは?
はじめに、概要となるポイントから整理していきましょう。
支払い明細書は、何らかの種類の支払いをするとき、もしくは相手から支払ってもらったときに、その詳細を記載する書類のことを指します。「何に対していくら払ったのか」「控除や値引き等が発生した場合はどういった理由でいくら引かれているのか」等、細かい内訳を主に書くのが特徴です。
一般的にわかりやすい明細書といえば、給与明細やクレジットカードの明細書等がイメージしやすいのではないでしょうか。
これらは、支払った額or支払ってもらった額について内訳をわかりやす0件のコメントが承認待ちですく記載しているのが特徴です。クレジットカード明細なら、どのような買い物にいくら、そしていつ支払いが発生したのか、取引内容を1件ごとに細かく記載しています。また給与明細の場合は、基本給、残業代、その他手当、控除額等の詳細を主に記しています。
このような明細がない場合は、逐一調べない限り合計額しか把握することができず、そうなると様々な不都合が生じる可能性があります。詳細・内訳を知りたいのに合計額しかわからないのでは、間違いがあったときに困ることも考えられます。
支払い明細書を発行する目的
続いてチェックしておきたいのは、「どうして支払い明細書は必要になるのか」という点です。発行が義務付けられているわけではないからこそ、なぜ作成しなければならないのか気になっている人は多いでしょう。
主に目的として挙げられるのは、トラブルやミスがあったときに確認できるようにするためです。上でも触れてきたように、支払い明細書がなければ入出金履歴で合計金額しか把握できません。そうなると、万が一何らかのトラブルがあったときに内訳をチェックすることができません。
もちろん支払い明細書がなくても、逐一会計データ等を確認すれば内訳はわかります。しかし、明細書があったほうがよりスピーディーに支払いトラブルに対処できます。
システムによる自動化が進んだとはいえ、給与支払いやその他ビジネスにおける支払いにおいては、支払いの誤りが起こることはゼロではありません。そんなとき明細書を確認すれば間違いのチェックがよりスピーディーになるため、トラブルの拡大を防止できます。
支払い明細書の種類
世の中で何らかの支払いが発生するシーンで、特に内訳や複雑なものになっているときは、支払い明細書が作成されるのが通常です。したがって、その分だけ明細書には種類があると言えます。ここでは、支払い明細書について種類を簡単に整理します。主な種類としては、次のようなものが挙げられます。
・給与・賞与に関わるもの
・退職金支払いに関わるもの
・業務委託(外注等)に関わるもの
・株の配当金に関わるもの
まず、給与や賞与、退職金に関わる明細書については、個人(従業員)に対して企業が支払いをした際に、その事実と内訳を示すために発行するものです。
また、企業が個人事業主やフリーランスに対して業務委託を行った際に、報酬金の支払いにおいて支払い明細書が発行されることもよくあります。例えば月間で複数の依頼をしている場合は、どのタスクに対していくらの支払いがなされているのかがわかりづらいため、その明細を示しているのが特徴です。
さらに、株の配当金支払いにおいて支払い明細書が発行されるケースも珍しくありません。
明細書と領収書の違いについて
ここまで「明細書」というものの基礎知識については、ある程度理解が深まってきたでしょう。
ここで気になるのは、類似する書類としてよく扱われる明細書と領収書、両者が持つ違いです。支払い明細書は基本的に支払いがあったタイミングやその前後で発行されるものなので、領収書と混同されることも少なくありません。
まず領収書の定義ですが、これは主に、請求金額を支払ってもらった際にその事実を証明するものとして作られます。例えば業務委託に関して領収書が発行される場合は、支払い請求をするのは委託を受けている側です。そのため、実際に支払いを受けたあとは「確かに支払いがありました」という証明の意味で、支払いを受けた側は領収書を発行します。
よって、支払い明細書は支払いの具体的な内訳等を示すものであり、支払いの証明にはなりません。主に間違いやそれに関わるトラブルがないように確認する意味で作られるので、上の業務委託の例でいえば、基本的には業務委託をする側が明細書を作成し発行するようになっています。
明細書と請求書の違いについて
続いてチェックしておきたい違いとしては、明細書と請求書、これらの相違点があります。
はじめに請求書は、支払い明細書に基づいて金額の支払いを依頼する・請求する目的で発行されます。したがって上の業務委託の例でいえば、業務委託する側が支払い明細書を発行し、その金額で間違いがなければ委託を受けた側は明細書に基づいて請求を行います。この請求において発行されるのが請求書です。
請求書はその名の通り請求を証明する書類です。そのため明細書が発行されただけでは、相手に請求する効力を持たないのが特徴です。
支払明細書の書き方
様々なある会計業務のなかで明細書を発行しなければならないときは、書き方や形式に迷うことも多いでしょう。請求や入出金関連の業務を効率的に行うには、支払い明細書の書き方のルールや形式、書くべきこと等の基本を押さえることが重要になります。
主なポイントとして挙げられるのは次のとおりです。
・書類名・管理番号を記載する
・送付する会社名を記載する
・発行者・発行元企業情報を記載する
・残高と取引内容を記載する
なお、実際のところ明細書には法令等で決められた形式やルールはありません。そのため形式や記載すべき項目等は自由なのですが、最低限書くべきことや一般的に多い項目等はチェックしておきたいところです。
では、詳細を見ていきましょう。
書類名・管理番号を記載する
まずは書類名と管理番号を記載しましょう。書類名に決まりはありませんが、支払い明細書だと一目でわかる名前が望ましいです。管理番号は必須ではありませんが、自社で管理しやすいように記載しておくと、あとになって確認するときに楽になります。
送付する会社名を記載する
明細書を誰に対して発行するのか、どこへの支払いの明細なのかすぐにわかるようにする項目になります。個人ならフルネーム、企業なら会社名を省略せずに記載するのが一般的です。
なお、宛先として「様」を用いるのは基本的に個人です。企業等の団体を宛先とするときは「御中」となります。
発行者・発行元企業情報を記載する
その支払い明細書がどこ(誰)から発行されているのかを示す項目です。発行者・発行元の記載がなければ支払い明細書としての意味をなしません。そのため、名前や企業名、その他連絡先等の情報は間違いのないように記載しましょう。
残高と取引内容を記載する
残高や取引内容は、明細書のメインともいえる項目です。内訳を示す項目としても扱われます。「どのような種類の支払いがあり、それがいくらなのか」「支払いが発生したのはいつなのか」また「個数はどれだけか」等、詳細をわかりやすく記載しましょう。
また、残高がある場合は、今回の支払いによって残高がいくらになったのかも記載します。
まとめ:支払明細書は会計・財務システムで発行しよう
支払い明細書について理解を深めたうえで書き方の基礎をチェックしておけば、支払い業務においてトラブルを未然に防ぐことができます。しかし、逐一文書作成ソフト等で支払い明細書を発行し、メールで送る作業は意外に手間のかかる作業です。
そのため明細書発行業務を含めた会計・財務業務の効率化を考えるなら、業務効率化に特化した会計・財務のITシステムの導入がおすすめです。
システムを使えば、普段の業務のなかで登録されていく会計データからスムーズに明細書を発行することができます。
また、テンプレート管理も簡単なので、取引のたびにコピー&ペーストして作成といった手間を取られることもありません。
このようなIT活用は、近年多くの企業の中で進んでいます。積極的に導入を検討し、ビジネスの総合的な高速化を図りましょう。