昨今の電子化の流れによって、指定納品書の廃止と電子化を考えている企業は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、以下のポイントを解説します。
- 電子化・ペーパーレス化と納品書の流れ
- 納品書の電子化によるメリットとデメリット
- 納品書を電子化する時のポイントとおすすめのシステム
指定納品書(指定伝票)とは? その必要性について
指定納品書(指定伝票)は、製造業や卸売業等の企業で使われることが多い書類です。
この章では指定納品書とは何なのか? について、なぜ使用されているのか等も紹介していきます。
指定納品書とは発注元企業が指定した様式の納品書
指定納品書とは、発注元企業が「この決まった様式の納品書で提出をお願いします」と依頼してきた納品書のことです。要はこちら側で準備した納品書ではなく、先方が指定してきた納品書でやり取りを行うことを意味します。
取引先の多い企業にとって指定納品書の必要性は高い
取引先の多い企業にとって、それぞれの取引先から様々な様式の納品書を受け取ると、商品の確認や集計を行うのに膨大な時間を費やすことになってしまいます。
あらかじめ指定した納品書で提出をお願いすることで、効率的に管理を行うことを目指しているのです。
納品を受けた物の確認・集計・保管がしやすい
指定した同じ様式の納品書を利用することで、受け取った商品の確認が行いやすくなります。また納品書の枚数が多くなっても集計しやすいですし、保管もしやすくなるでしょう。
このように取引先が多い企業にとっては、指定納品書は経営に欠かせない重要書類なのです。
伝票の管理がしやすい
指定伝票は取引しているすべての企業に対して、同じ用紙で提出することもお願いしているので、大きさや形も統一されています。よって数が多くても管理しやすいのが利点です。
帳票の一元管理ついて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>納品書の役割や発行側の注意点、受領後の流れをわかりやすく解説
業界ごとの「統一伝票」という形の指定納品書もある
自社の取引先だけではなく、業界全体で統一した伝票を取り扱っているケースもあります。例えばコンビニやファミリーレストラン等の業界で使われている「チェーンストア統一伝票」、百貨店業界の「百貨店統一伝票」がいい例です。
しかし今、未来に向けて日本や世界で納品書の電子化・ペーパーレス化が進む
紙のまま保管しておくことの多い納品書ですが、書類の電子化やSDGsの広まりによって、世界的にペーパーレス化が進んでいます。今後の流れはどのようになっていくのでしょうか。
国連サミットで採択されたSDGsでより良い世界を目指す
ペーパーレス化が進むことによって、企業の紙の使用量と廃棄がともに減るでしょう。
SDGsの目標のひとつに自然環境の保全が掲げられているので、紙の原料となる木材の伐採の減少にも繋がります。
森林保全が進むことは地球温暖化に対して良い影響を及ぼすことになるので、結果的にペーパーレス化はより良い世界を目指すことに役立つのです。
国主導の働き方改革の推進による業務効率化の流れ
国が主導となって働き方改革を推進していますが、業務効率をアップすることで企業の生産性を高めることに繋げたい側面があります。
実際に電子化が進むことで資料保管の手間は減少し、欲しい情報に素早くアクセスすることも可能になっているのではないでしょうか。
電子化やインターネットを活用した業務効率化の流れは、今後も加速していく可能性が高いでしょう。
国主導のDX推進により企業に変革が求められている
現在、国主導でDXの推進が求められています。DXを取り入れることによって、作業時間を短縮した上で業務効率化を目指すこともできるでしょう。また単純作業を任せることで、ヒューマンエラーを減少させることにも繋がります。
このDX推進の流れもあり、最近は指定納品書を廃止して電子化する企業も出てきました。電子化を行うことで印刷や封入の手間が減り、かつ郵送代等の経費削減も可能になるからです。
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この機会に指定納品書を廃止・電子化し、ペーパーレス化・DX化を進めよう
ここまでお伝えしたように世界的な流れとしても、国の考え方としても、ペーパーレス化・DX化は今後も加速していくでしょう。
幸いにも納品書は必ずしもなくてはならない書類ではないので、取り組みやすいはずです。現在の潮流に乗るためにも、このタイミングで指定納品書の廃止や電子化を進めてみてはいかがでしょうか。
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指定納品書の廃止・電子化により得られるメリット
ここからは指定納品書を廃止、電子化することで得られるメリットを紹介していきます。コスト削減だけでなく、様々な面に対して良い影響を及ぼすことになるでしょう。
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1.納品業務の効率化に繋がる
指定納品書の電子化を行うことで「受け渡しにかかる時間の短縮」「納品された商品の確認や集計作業の効率化」が期待できるでしょう。
納品書の受け渡しがスピーディになる
紙の納品書を使用していると、どうしても郵送するという手間が生じてしまいます。どんなに早くても取引先に届くのは翌日になるのではないでしょうか。
一方、電子化することでメールで簡単に送付することが可能になります。メールであれば送信後すぐに届くので、納品書の受け渡しをスピーディーに行うことができるでしょう。
システムの利用で確認・集計作業が効率的になる
電子化するにはシステムが必要になりますが、人の手で1枚ずつ納品書をチェックしていく手間が省けるようになります。システムが電子化された納品書のデータを読み取ってくれるので、納品確認や集計作業を効率的に行えるようになるでしょう。
また人の手によって行うよりも、数え間違い等のミスの削減にも繋がるはずです。
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2.納品業務のコスト削減に繋がる
電子化を進めることで紙等の経費自体が削減されるのはもちろんですが、作業の効率化が進むことで金銭以外のメリットも生み出してくれるでしょう。
作業の効率化で社員が本来の業務に集中でき、人的コストが軽減できる
今まですべて人の手によって行っていた作業を、システムが代わりに行ってくれるようになります。これで納品作業自体が効率化されますし、社員はより重要な本来のコア業務に集中できるようになるでしょう。
こうした積み重ねが「残業時間の減少」や「仕事の質の向上」、さらには「利益の増加」に繋がるかもしれません。
紙や消耗品のコストが削減できる
電子化することによって、それまで使用していた紙が不要になるので紙代の節約になります。また印刷する機会も減少するでしょうから、インク等の付随してくる消耗品のコスト削減にも繋がるでしょう。
不要になる備品類を保管していたスペースが空くので、有効活用できるようになるかもしれません。
【関連記事】会社のコスト削減に取り組む方法とアイデア12選
3.テレワークやサテライトオフィスの導入が可能になる
納品書を電子化することによって、インターネット環境があればどこでも確認することができるようになります。
それまでは会社で保管していた納品書がないとできなかった仕事も行えるようになるので、テレワークの導入やサテライトオフィスの活用がスムーズに行えるでしょう。
場所を問わずに、営業担当や取引先とやり取りが行えるようになることもメリットです。
【関連記事】経理業務のテレワークは難しい? 導入するメリットや方法とは
4.納品書の保管や管理がしやすくなる
電子化を行うことで、紙の納品書を保管していたスペースが必要なくなります。データとして保存することができるので、過去からの膨大な数でも管理しやすくなるでしょう。
また確認のために過去の納品書が必要になった場合も、検索すればすぐにアクセスできるようになるので便利です。
【関連記事】納品書の保管期間を解説!作業効率が格段にあがる電子保管方法も紹介
5.働き方改革やDXの成果になる
ここまで紹介してきたように、納品書を電子化することで業務の効率化はもちろん、経費の削減等多くの面でメリットが出てくるでしょう。それまで社内でしか行えたなかった仕事がテレワークで行えるようになり、社員の満足度もアップするかもしれません。
働き方改革やDXを推進していることを外部にアピールすることが可能になるので、企業のブランド力向上にも繋がります。
【関連記事】経理のDX化で得られる5つのメリットと進め方
指定納品書の廃止・電子化により生じるデメリット
次に指定納品書を廃止、電子化すると生じるであろうデメリットを紹介します。自社への影響の大きさをメリットと比較し、今後の対応を考えていきましょう。
1.システムの導入・運用によりコストが発生する
電子化するにはシステムの導入が欠かせないので、初期費用がどうしても必要になるのはデメリットかもしれません。また、それまでとは全く異なることを行っていくため、スムーズに運用されるまでに多くの時間や人的コストが発生してしまいます。
導入後は慣れるまで社内だけではなく取引先とのやり取りも増えるので、ある程度の期間は要することを想定しておく必要があるでしょう。
2.取引先によっては紙の納品書と併用が必要な場合も
数多くある取引先の中には、電子化にすぐ対応できないところも出てくるかもしれません。
その場合は「電子化された納品書」と「紙の納品書」の両方で運用していく必要があります。その分、対応できる人員の配置が必要になりますし、作業の効率も落ちてしまう可能性が出てきます。
指定納品書を廃止して電子化するポイント
指定納品書を廃止して電子化を行うことを決めた際に、考えておくべきポイントを紹介します。納品書の保存方法は税法で定められているので遵守すること、そして実際に移行する場合の社内での進め方が重要になってくるでしょう。
納品書の保存は税務の証憑書類・電子帳簿保存法に則る必要がある
納品書は納税額を正しく計算するために必要な書類のひとつとして、税法で証憑書類として定められています。よって、7年間は保存しておかなくてはなりません。
電子化直後は紙の納品書とあわせて保存する必要があるので、誤って廃棄しないように注意が必要です。
また電子帳簿保存法に則り、データの保存が必要になります。猶予期間終了後、2024年1月1日からはデータでの保存が求められるので注意が必要です。
それまでに紙で保存している納品書については、スキャンしていきましょう。
請求書の保管期間について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>証憑とは?証憑書類の種類や保存期間・保存方法について解説します
大がかりな変更は社員の負担に・できるところから変革を
電子化するにはシステムの導入に始まり、社内だけではなく取引先を含めた外部の関係者との調整等、行わなければいけないことが多く出てくるでしょう。
既存の仕事で手一杯なところに大きな変更が重なると、特に担当する社員に相当な負担をかけることになります。
電子化することを決断しても、一気に変革しないようにしましょう。事前に準備できること、導入後に行うべきことをまとめ、まずはできるところから変えていくことが大切です。
順を追って進めていくことで、次第に社内に変革が浸透していくようになります。
納品書や請求書の電子化は「oneplat」の得意分野
納品書の電子化には、自社でのシステム開発、OCR技術の活用、外部システムの導入の三つの主要な方法が存在します。これらの中で、コストパフォーマンスが高く、運用への移行が容易なのは外部システムの導入とされています。
>>受け取る納品書・請求書の電子化方法について詳しくはこちら
もし、これから外部システムの導入を検討するのであれば、納品書だけでなく請求書の電子化にも対応している「oneplat(ワンプラット)」をおすすめします。
取引先ごとに納品書や請求書が異なっていても、全く問題ありません。すべてoneplat(ワンプラット)が同一のフォーマットで一元管理をします。尚、oneplat(ワンプラット)に取り込んだデータについては、現在お使いの会計システムをはじめとした様々なシステムに連携できるのも特徴です。
また、他社サービスでは、導入サポートが高額であったり、サポート時間の制限があったりと、導入してもシステムに慣れるまで時間がかかったり、取引先からのお問い合わせが殺到したりと、実務担当者への不可は壮大です。
しかし、oneplat(ワンプラット)なら導入サポートが完全無料。実務担当者への操作説明から、取引先へのご案内・お問い合わせ対応も、運用にのるまでしっかりとサポートがされますので、実務担当者の負担を最小限に抑えられます。
【まとめ】納品書の一元管理をされたいなら、指定納品書より、電子化がおすすめ
指定納品書の必要性からメリット・デメリット、電子化を行う際のポイント等についてお伝えしてきました。
世界の潮流としてはもちろんですが、法整備をはじめとして国内の流れも確実に電子化・ペーパーレス化へと向かっています。そして電子化は導入後は大変かもしれませんが、総合的に見るとメリットが大きいのではないでしょうか。
今から指定納品書の廃止について検討し、電子化を行うのであればシステムの選定等できるところから進めていくことが肝心です。