帳簿(会計帳簿)とは? |必要な理由・種類・作成手段と流れ

経理業務を行う上で必要不可欠な「帳簿」ですが、帳簿そのものが何であるのかを考えたことがある方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、下記について紹介していきます。

  • そもそも「帳簿」とは何か? なぜ必要なのか?
  • 押さえておくべき帳簿の種類
  • 帳簿作成の手順と注意点
  • 日々の帳簿記録から決算までを効率化するオススメの方法

本記事を参考に帳簿についての理解を深め、正しく作成・管理できるようにしましょう。

目次

経理業務に必須の「帳簿」とは何か? 必要な理由をわかりやすく解説

帳簿(会計帳簿)とは、お金や取引の流れを記録する書類

帳簿とは、日々の経営活動で行われた取引や、お金の出入り等が記録されている書類のことです。企業は毎期決算を行わなければいけませんが、損益計算書等の決算書は帳簿を元にして作成されます。また、帳簿には後述の通り様々な種類がありますが、それらを総称して「帳簿」と呼んでいる側面もあります。
なお、帳簿は一定期間、紙またはデータで保管しておかなければいけません。

帳簿が必要な理由には「義務」と「経営状況の把握」の2つがある

帳簿が必要な理由は、大きく2つあります。

  • 義務
    会社法と商法の両方で「会計帳簿の作成義務」が定められています。また、作成だけではなく保管義務もあり、守らないと税金の支払い等の罰を受ける可能性が生じるでしょう。
  • 経営状況の把握
    帳簿に取引やお金の出入りを記録しておくことで、日々のお金の流れはもちろん、月々の動きを把握することが可能になります。経営を行っていけば、「なぜ今月はこんなに利益が出ているのだろう」「売上があるのに支払いが厳しく感じるのはなぜなのか」等の疑問や課題が出てくるでしょう。しかし、帳簿を作成しておくことで過去の取引を見返すことができ、課題に対する解決や過去の分析にも活かすことができます。このように帳簿の作成は、経営状況を正確に把握すること、そして今後の経営を見通していくためにも必要なのです。

帳簿の保存期間は法律で定められている

作成した帳簿は、その期の決算が完了したら廃棄していい訳ではありません。作成後も一定期間保存しておくように、法律で定められています。
次の章で紹介しますが、帳簿には「総勘定元帳」「現金出納帳」等いくつも種類がありますが、「法人」と「青色申告を行っている個人事業主」の保存期間は7年間です。

なお、白色申告を行っている個人事業主は5年と定められている書類も中にはありますが、すべて7年間保管しておけば間違いはありません。

帳簿には「主要簿」と「補助簿」の2種類がある

「主要簿」と「補助簿」|役割の違いをおさえよう

帳簿には2種類あり、それぞれの役割は以下の通りです。

  • 主要簿
    どの会社でも作成が必要な書類で、ひとつひとつの取引に対して記入しなければいけません。主要簿を元にして毎月の試算表が作成され、決算書は試算表を用いて作成されます。言い換えれば、主要簿がなければ決算業務を行うことができないのです。
  • 補助簿
    主要簿の内容を補助するために必要な書類です。主要簿はすべての取引が記載されていますが、補助簿は必要な種類ごとに分類されています。試算表を作成する際にも役立つでしょう。

「主要簿」に該当する書類・2種類とその特徴を解説

主要簿に該当する書類は、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2種類です。ともに会社法976条で作成を義務付けられているものであり、作成を怠ると100万円以下の罰金を命じられてしまう可能性があるので注意しましょう。
それぞれの特徴について確認していきます。

1.仕訳帳|毎日生じる取引のすべてを日付順に記録する

仕訳帳とは日々の経営活動で生じる取引について、日付順に仕訳を行っていく書類です。取引ごとに「借方」「貸方」に分けて、勘定科目と金額を記入していきます。借方と貸方の金額は必ず一致しなければいけません。

なお、この後に紹介する「総勘定元帳」は、仕訳帳がないと作成できないことを覚えておきましょう。

2.総勘定元帳|仕訳帳に記載した取引を勘定科目ごとに分けて転記する

総勘定元帳は、仕訳帳に記載された仕訳を「勘定科目ごとに分けて」転記して作成する書類です。これにより勘定科目ごとの残高や、お金の動き等を把握できるようになるでしょう。

期の最後に決算書の作成を行いますが、総勘定元帳を基にして損益計算書等の必要書類を作成していきます。
個人事業主の方で青色申告の65万円控除を受けるためには、必ず作成しなくてはいけません。

「補助簿」に該当する主な書類・7種類とその特徴を解説

補助簿は、主要簿だけでは足りない情報を補うために作成します。詳しい内容を調べるのに役立ちますし、それぞれの科目について正確な情報を把握することもできるでしょう。
7つの代表的な補助簿を、ひとつずつ紹介していきます。

1.現金出納帳|現金の出入りと残高を記録する

現金による取引が行われた時に、その出入りについて日付順に記録をしておく書類です。現金出納帳を作成することで、お金の流れが見えてきます。

「どんなことに現金払いをしているのか」「なぜ現金で入金があったのか」等を把握できるようになるでしょう。また、現金の残高チェックにも使えるので、社内の不正防止に役立つかもしれません。

2.預金出納帳|預金の入出金を金融機関の口座毎に記録する

金融機関の口座ごとに、預金の入出金を記録する書類です。通帳やネットバンキングもありますが、日付や金額等の限られた情報しか記載されていません。

預金出納帳を作成することで「なぜ入出金があったのか」を把握することができるでしょう。複数の口座をひとつにまとめて作成することはできません。口座の数だけ、作成が必要です。

3.売掛帳(得意先元帳)|入金がこれからある予定の売掛金の状況を記録する

まだ回収していない売掛金について、取引先ごとに記載してあるのが売掛帳です。よって、得意先元帳と呼ばれることもあります。

未回収の売掛金がないか確認できるので、確実に回収していくために役立つでしょう。売上があがった時に「日付」と「金額」を記録し、入金の際も計上していきます。金額ミスは取引先への信用にも関わってくるので、注意が必要です。

4.買掛帳(仕入先元帳)|支払いがこれからある予定の買掛金の状況を記録する

今後支払う予定がある買掛金について、仕入先ごとに記載してあるのが買掛帳です。よって、仕入先元帳と呼ばれることもあります。

仕入先に払い忘れているお金はないか、確認する際に役立つでしょう。仕入先への支払遅延は、信用低下はもちろん取引停止に繋がってしまうかもしれません。掛取引を行っている場合は、必須となる書類です。

5.固定資産台帳|建物や備品を管理・証明するために記録する

固定資産台帳は、建物や車両等の固定資産を保有している企業が作成する書類です。取得した日付、購入金額、耐用年数、償却方法等を記載します。作成することで、下記3つが確認できるでしょう。

  • 固定資産はどこにあり、どのように利用されているか
  • 減価償却費が正しく処理されているか
  • 事業への投資として必要があったのか

6.受取手形記入帳|受取手形による取引を記録する

受取手形を用いた取引があった際に、記録しておく書類です。一般的には「受取手形の受領日」「手形の種類」「手形番号」等を記載します。作成しておくことで、受取手形の支払人や振出人、手形決済の完了有無等を管理できるようになるでしょう。

7.支払手形記入帳|支払手形による取引を記録する

支払手形を用いた取引があった際に、記録しておく書類です。一般的には「支払手形で支払った日」「手形の種類」「手形番号」等を記載します。作成しておくことで、支払手形の支払人や振出人、手形決済の完了有無等を管理できます。不渡手形を出さないように活用していきましょう。

帳簿を作成する手段には「手書き」「エクセル」「会計システム」がある

ここまで帳簿の必要性や種類について、紹介してきました。
実際に作成するには、主に3つの方法があるので確認していきましょう。

  • 手書き
    パソコンが苦手な方に取り組みやすい方法です。手書きすることでお金の入出金や流れを把握でき、経営に対して実感が持てるようになるかもしれません。一方、簿記の知識が必要になりますし、取引量が多いと記入するのに相当な時間を要するでしょう。また、人的ミスが起こりやすくなってしまいます。
  • エクセル
    計算式を組み込む等、自分の好きなようにカスタマイズ可能ですし、自動計算によって人的ミスを減らせるでしょう。バックアップの取り忘れや、パソコンの突然の故障によりデータを失ってしまう可能性はあります。
  • 会計システム
    購入費用は掛かってしまいますが、一度慣れてしまえば帳簿の作成時間を大幅に削減できるでしょう。また法改正等も、システム会社が対応してくれるので安心です。

帳簿を作成する流れをおさえよう

帳簿を作成する一般的な手順は、下記の通りです。

  1. 仕訳帳に日々行われる取引を記入する
  2. 仕訳帳から、総勘定元帳や必要な補助簿に転記する
    • 売上の現金入金・現金支払については現金出納帳、銀行口座の入金・支払は預金出納帳に記入
    • 売上で掛取引があった場合は、売掛帳へ記入
    • 仕入で掛取引があった場合は、買掛弔へ記入
  3. 月締めを行い、その月の売上や売掛金の集計、支払い、請求書作成・送付等を行う
  4. 決算業務として、決算書の作成を行う

期の最後には決算書の作成を行いますが、すべては日々の取引を記入する「仕訳帳」が元になっていることがわかるのではないでしょうか。

帳簿を作成する際に気をつけたいポイント・注意点

帳簿の記帳はこまめに行う

取引は毎日発生するので、日々仕訳帳に記入していくことが重要です。「後でまとめて行う」というのは業務量を増やしてしまう要因ですし、ミスも起こしやすくなるので注意しましょう。また、本来は覚えておくべきことを忘れてしまう原因にもなってしまいます。

帳簿のミスを早期発見するための確認作業をする

人的ミスは起きてしまうものとして考え、定期的に見直す時間を作ることもポイントです。特に手書きの場合は記入漏れがないか、計算ミスがないかを確認しましょう。エクセルでも入力ミスの可能性がありますし、そもそも計算式が間違っている可能性も考えられます。
数字の根拠となる伝票との突き合わせや、二重チェックを行う体制を整えることが重要です。

日々の帳簿記録から決算書の作成までを会計システムで効率化しよう

効率的に日々の経理作業を行いたいのであれば、会計システムの導入が一番のオススメです。会計システム利用のメリットは、下記になります。

  • 仕訳を入力するだけで、総勘定元帳等の様々な帳簿作成ができてしまう
  • 会計ソフトにミスを防ぐ機能が備わっているので、手書きやエクセルと比較してチェック作業が楽になる
  • 決算書作成までを会計システム内ですべて行える
  • 法改正があった場合でも、システムに自動で反映してもらえる

帳簿記録には、スピードと正確性の両方が求められます。今回を機に、会計システムの導入を検討してみるのも良いかもしれません。

oneplatは会計システムと連携して納品書や請求書の受け取りを電子化できる

会計システムと連携して納品書や請求書の受け取り業務を効率化できる、oneplatというサービスをご存じでしょうか。
oneplatの特徴は、以下の通りです。

  • 納品書・請求書をデータでやり取りできる
  • 使用している販売管理システム・会計システムとの連携が可能なので、手入力を行う必要がなくなる
  • 請求データの確認や承認がどこでも行えるため経理スタッフも在宅ワークができる
  • インボイス制度・電子帳簿保存法対応済み
  • 納品状況をリアルタイムで確認できる

など…

企業の多くは月末・月初に請求書の作成や発送作業が集中し、その他の経理業務が滞ってしまうことも珍しくありません。
会計システム、そしてoneplatを導入することで、より付加価値の高い業務に時間を当てることができるようになるでしょう。

またoneplatではクライアントやパートナー企業への説明代行も行っています。事前に導入の承諾を得たり、説明したりするのは煩わしいものですが、そういった手間もoneplatが引き受けるため導入までスムーズでしょう。

まとめ

経営とは正にお金の流れを管理することですし、流れを把握するためにも帳簿作成は欠かすことのできない重要な業務です。帳簿作成全体の流れを知るために、最初は手作業で行ってみるのも良いかもしれません。しかし、限られた時間を有効に使うため、そして経理作業の効率化を図るためにシステム導入を検討してみることをオススメします。

この記事を読んだ方で「受け取る」納品書や請求書を「電子化」することに興味がある方はいませんか?

oneplatは、納品書や請求書をデータで受け取れるサービスです。

会社組織の財務・経理部門や、支店・店舗・工場などの、 管理業務における下記の課題解決にoneplatは大きく貢献できます。

  • 会計/販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要に
  • 取りまとめたデータを自動で取り込み
  • 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力

導入後は複雑なデータ入力業務に時間を奪われることなく、本来の業務へ時間とコストを割くことが可能です。

このウェブサイトでは、他にもコスト削減・業務効率化に役立つ資料を無料で配布しておりますので、 是非、この機会に一度資料ダウンロードしてみてください。

oneplus編集部

この記事の執筆者

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