外注費と内製業務どちらをカットする? 判断基準と外注費の削減方法

社内業務を行うにおいて外注に出すか、それとも社内スタッフで内製すべきか判断に迫られることは多いのではないでしょうか。

今回の記事では、どのような基準で外注もしくは内製の判断をすべきか、その判断基準も交えながら紹介していきます。それぞれのメリット・デメリットも理解した上で、効果的に選択していきましょう。

外注費と内製業務・削減するならどちらか? 判断基準6つ

行わなければいけない業務が発生した場合、外注するべきか、それとも自社内で行うべきか経営判断が必要になる場合があるでしょう。この章では、判断基準として使える6つの考え方を紹介していきます。

1.外注した場合の「購入費」と内製した場合の変動費を比較

今回の判断基準では、製造業の企業を例に用います。

製造業では業務の一部を外部に委託することが多いため、委託する場合と自社で行う場合(=内製)を比較するケースで考えてみましょう。

外注した場合には「購入費」と「内製した場合の変動費」を比較して判断するのですが、この時にポイントとなるのが「製造固定費」です。

固定費なので外注しても内製した場合でも、どちらでも変わらずかかります。

ということは、判断基準とするべきなのは固定費ではなく「外注購入費」と「内製した場合の変動費」のみになるでしょう。

よくある誤ったパターンとして、固定費も含めた合計金額で内製した場合の費用を考えてしまうことが挙げられます。

  • 内製した場合の原価=700円=変動費(500円)+固定費(200円)
  • 外注購入費=600円

例えば上記の場合、外注の方が金額が安いと判断してしまいがちです。しかし、固定費の200円は外注した場合でも変わらずかかる費用なので、それを含めると外注にした方が合計金額は多くなってしまいます。

2.内製する場合に必要な作業環境整備も考慮する

内製を行う場合は、給与等の人件費以外にもかかってくるコストがあります。例えば机やパソコンをはじめとした備品類、関わる社員の選定や配置換え等が該当するでしょう。

こうした内製するための環境を整えるコストも考慮した上で、判断しなくてはいけません。

3.本業の本質にかかわる業務か否か

もし内製する判断をして、その業務に携わることで本業のコア業務が疎かになってしまっては意味がありません。コスト削減を求めて内製したのに、ノンコア業務の負担が増加し、利益減少や別のコスト増加に繋がってしまう危険性も出てきてしまいます。

本業に負の影響を及ぼす可能性があるのであれば、外注する判断も検討しましょう。

4.業務の緊急性と自社の受け入れ状況はどうか

業務の緊急性を考えることは、判断基準のひとつとして重要です。緊急性が高いのであれば、外注することを優先に考えた方がいいでしょう。

また内製で行う場合でも、業務を受け入れられる状況が整ってなければいけません。受け入れ状況が整っていないのであれば、外注を使う判断をする必要が出てきます。

5.自社の現状のノウハウで充分対応可能か

自社で保有している現状のノウハウで対応が可能であれば、内製することを考えてみていいのではないでしょうか。内製することで、さらなるノウハウの蓄積ができるようになるかもしれません。

6.その業務のノウハウを自社に持ちたいか否か

外注するということは、その業務に関するノウハウが自社には蓄積されないことを意味します。一方、内製すれば時間はかかるかもしれませんが、経験したことすべてをノウハウとして自社にためていくことができるでしょう。

その業務をノウハウとして持ちたいかどうか、検討が必要です。

外注と内製・それぞれのメリットとデメリットも踏まえよう

外注にするか内製にするか判断する上で、それぞれのメリットとデメリットを理解しておくことはとても重要です。自社の経営にとってどちらを選択するべきなのか、金額も含めて総合的な判断をしていきましょう。

外注することで自社が得られるメリット

外注のメリットは、大きく3つあります。

  • 人員不足を補える

    社員数が限られている場合、任せるべきは会社にとって重要なコア業務になるのではないでしょうか。誰でもできるような業務については外注することで、人員が不足していても問題なく経営を行っていくことが可能になります。

  • 固定費の節約

    どうしても必要な時だけ依頼することができるので、毎月発生してしまう固定費の削減に貢献するでしょう。

  • 外部の専門スキルを活用できる

    自社に知識や経験等がなくても、外注することで専門的なスキルを活用することが可能になります。新分野に取り組む場合でも、スムーズに入っていけるのではないでしょうか。専門知識を有した人材を育成しなくていいこともメリットでしょう。

外注することで自社に生じるデメリット

外注することのデメリットは3つです。

  • 費用がかかってしまう

    内製の場合でも給与等の費用はもちろんかかりますが、外注を使う時というのは、自社にはない専門的なスキルやノウハウを活用したい場面が多いのではないでしょうか。専門性の高い業務を外注するには、それなりのコストがかかる場合が多いです。

  • 自社に知識や経験の蓄積ができない

    業務を外注した場合、自社の社員が行うことはないので、知識や経験等のノウハウを蓄積することができません。またノウハウがたまらないということは、その業務を行わないといけない時は常に外注に頼らざるを得なくなってしまいます。

  • 自社の理念やビジョンの共有が難しい

    会社経営で大切な理念やビジョン等を、外注先にも共有して浸透させるのは難しいでしょう。「これだけは抑えて業務を行って欲しい」というポイントをまとめておく必要があるかもしれません。

内製することで自社が得られるメリット

内製することのメリットは、主に3つあります。

  • 知識や経験等のノウハウが蓄積されていく

    内製を行っていくことで、失敗体験も含めて自社にしかないノウハウを蓄積していくことができるでしょう。それが会社としての強みになっていきますし、他社に販売することができるようになるかもしれません。

  • 機密情報が外部に漏れるリスクが減る

    外注する取引先の数が多いほど、やり取りする情報量が増えるので社内の重要な機密情報が漏れ出してしまう危険性が高まってしまいます。内製することで、そのリスクを下げることができるでしょう。

  • コスト低減につながる

    自社に専門性の高い業務を行える人材がいるのであれば、内製した方がコスト低減につながる場合も出てくるでしょう。

内製することで自社に生じるデメリット

内製することで生じるであろうデメリットは2つです。

  • 体制が整うまで時間がかかる

    例えば新しいことを始める時に内製で進める場合、ノウハウがないので最初から業務を効率よく進めることはできないでしょう。社員の成長を待ち、業務を滞りなく行えるようになるまでには時間を要するはずです。

  • 専門知識を持った人材の育成が必須

    外注してきた専門性の高い業務を内製するには、それ相応のノウハウを所有した人材が必要になるでしょう。社内で育成するための教育コストや時間がかかります。

外注する前に~内製の効率化で対応できないか検討しよう~

外注する判断を行う前に、内製を効率化しながら対応できないか検討してみるのはいかがでしょうか。この章では、検討時のプロセスについて紹介していきます。

外注を検討する業務のフローを洗い出す

まずは外注を検討している業務の川上から川下まで、フローをすべて洗い出してみます。この作業を行うことで、通常はあまり意識していないような細かい点が業務に含まれていることに気づくでしょう。

この時点で、そもそも会社の利益に繋がっているのかどうか見えづらい作業が出てくるかもしれません。

フローの中で排除できる作業を検討する

すべて洗い出しが完了したら、次に業務フローの中で不要な作業はないか確認していきましょう。中には昔から行ってきている慣習がそのまま残っているような、行う必要がない作業が見つかるはずです。他の作業に影響がなければ、思い切って削除できないか検討してみることをおすすめします。

業務を効率化できる方法を検討する

最後にここまでのプロセスで残った作業について、さらに効率化できる方法はないか、ひとつずつ検討していきましょう。

ポイントは、部署をまたいで行う作業です。「部署ごとに異なった方法で作業を行っていないか」「部署をまたぐことなく、ひとつの部署で完了できないか」等を検討していきます。

詳しくはこちらをご参照ください。

外注するなら~外注費を削減する方法~

外注する業務の依頼内容とその線引きを明確にする

まずは「外注する業務」と「外注しない業務」をはっきりと区別しましょう。また依頼する業務においても、内容について無駄なやりとりを行わないように指示を出すことも大切です。業務内容を理解するのに時間を要してしまうと、外注コストがその分増加してしまいますし、お互いに余計な手間がかかってしまうからです。

相見積もりをとりコストとサービス内容に納得のいく事業者に依頼する

外注に出すべき業務内容が決まったら、次は複数の事業者に相見積もりを取ります。

この時に「業務に対するコストがいくらか」はもちろん大切なのですが、それ以外に「自社で事前に準備しておくべきこと」「指定した業務に対して、どの範囲まで行ってもらえるのか」についても聞いておくといいかもしれません。

相見積もりした中で「コスト」「サービス内容」ともに納得のいく事業者に出会えたら、是非依頼してみましょう。

人員数と工期の調整を試みる

外注に出したい業務について、必要な人員数と工期を見直してみることも経費削減に繋がります。

例えば人員については、社内で対応できそうなところは自社対応することで、外注の人員を減らすことができるかもしれません。また工期を見直して短くできれば、その分についても削減できます。

工期と人員を上手に配分することで削減できないか、調整を試みてみましょう。

業務を依頼したら目的の不明瞭な指示をしない

一度業務を依頼したら、業務が停滞しない限りなるべく追加で指示を出さない方がいいでしょう。特に目的が不明瞭な指示を行ってしまうと、外注先がその指示を理解するのに時間を使ってしまい、余計なコストがかかってしまいます。

依頼する前に指示内容をはっきりさせておくこと、そして依頼後は外注先から求められない限りは指示を出さずに、外注費削減を目指しましょう。

外注の際は税務調査で「給与」と見なされないように注意

外注を依頼する場合に要注意なのが、もし税務調査が行われた時に「外注費」ではなく「給与」として指摘されないようにすることです。もし給与であると判断されると「源泉所得税」「消費税」「延滞税」等の税金を支払わなければいけなくなります。そうならないためにも、事前にしっかり対応していきましょう。

なお、給与として見なされてしまいやすいパターンと、そうでないパターンをいくつか紹介します。

  • 時間的拘束の有無 → あると給与と見なされる可能性が高い
  • 外注先が担当者に時間単位で給与を渡している→ 給与と見なされる可能性が高い
  • 作業に必要な道具は外注先で準備している → 給与として見なされる可能性は低い

詳しくはこちらをご参照ください。

まとめ

外注と内製のどちらにするか、その判断基準やメリット・デメリット等について紹介してきました。

外注依頼を出すか悩んでいる業務が出てきたら、まずは業務フローについて洗い出しを行ってみるのはいかがでしょうか。不要な作業があれば削除する等の見直しを行うことで、内製するにしろ外注依頼を出すにしろ、より効率的なフローに変貌しているはずです。

自社で対応できない業務は外注をうまく活用し、コストを削減しつつ業績を上げていけるようにしていきましょう。

この記事を読んだ方で「受け取る」納品書や請求書を「電子化」することに興味がある方はいませんか?

oneplatは、納品書や請求書をデータで受け取れるサービスです。

会社組織の財務・経理部門や、支店・店舗・工場などの、 管理業務における下記の課題解決にoneplatは大きく貢献できます。

  • 会計/販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要に
  • 取りまとめたデータを自動で取り込み
  • 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力

導入後は複雑なデータ入力業務に時間を奪われることなく、本来の業務へ時間とコストを割くことが可能です。

このウェブサイトでは、他にもコスト削減・業務効率化に役立つ資料を無料で配布しておりますので、 是非、この機会に一度資料ダウンロードしてみてください。

oneplus編集部

この記事の執筆者

最短5分

財務・経理部門における
DXのお問い合わせやご相談についてはこちら

お役立ち資料はこちら