売上管理から何がわかる? 重視したい項目や活用できるツールを紹介

売上管理は、売上を安定させ向上させるために欠かせない業務です。売上管理を徹底することで、売上目標の達成を妨げている原因や問題を明確にすることができます。
重要な業務だとは言え、具体的にどのようなことをするのかをイメージできる方は少ないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、売上管理の概要や目的、正しい分析を行うためのポイントや売上管理に有用なツールについて解説します。是非最後までお付き合いください。

売上管理とは何か|仕事内容や英語表記・目的を紹介

「売上管理」とは企業の売上を記録・分析する業務

売上管理(sales management)とは、売上目標を達成するために行う記録・分析業務です。

一般的に、企業は期初に年度計画(予算・売上目標等)を作成します。年度計画を作成したら、定期的に実績が売上目標に達しているかどうかを確認します。もし実績が売上目標に到達していない場合は、原因を分析して軌道修正を図らなければなりません。

分析するためには、日々の売上を適切に記録しておくことが必要です。そのためには、売上管理表等に売上の情報を整理しておきましょう。

売上の情報は、月間・四半期・半年・年間等のスパンで集計して売上目標に対する達成率を測ったり、過去の情報と比較したりします。また、企業によって部門別・担当者別・商品別・地域別等の単位で売上の集計をすることもあります。

売上管理は、以下のような手順で行うのが一般的です。

  1. 売上の情報を記録
  2. データを集計
  3. 分析
  4. 考察
  5. 改善策の策定・実行
  6. 改善結果のフィードバック

日々の売上を適切に記録し、それを基に分析を行い、「売上が好調な理由」・「売上が不調な理由」を考察します。そして、考察を基に改善策を策定・実行し、その結果に応じて次の施策を考えていくのが一連の流れです。この手順を繰り返すことで、会社の売上を安定・向上させます。

【最終的な目的】企業の売上目標を達成すること

売上管理の最終的な目的は、売上の情報を分析することで売上を安定・向上させ、売上目標を成し遂げることです。

売上目標に対する達成率や売上の推移等をチェックし、売上目標に届いていなかったり、前月や前年同月と比較して売上が下落していたりする等の問題があれば、その要因を分析します。そして、分析を将来の売上目標の達成や売上の回復といった対策に活かし、問題を解決することが重要です。

著しく達成率が低い場合は、売上目標の数値が妥当ではない可能性もあります。その場合は、必要に応じて計画の見直しをしましょう。

売上が不調なときだけでなく好調なときでも、その原因がどのようなことに起因しているか分析しておくことが大切です。また、その原因が持続的なものなのか、一過性のものなのかも把握しておきましょう。それにより、企業が講じる対策が変わる可能性があります。

売上管理は、売上目標を達成するために問題点を洗い出し、解決するために必要な業務です。計画と実績のギャップを把握し、それを埋めるために必要な業務だと言えます。

企業間の取引は、掛取引で行うのが一般的です。掛取引は後払いのため、買掛金は管理をしていないと代金を未払いのまま放置してしまいかねません。そうなれば、取引先に迷惑がかかってしまうので注意が必要です。そのような事態を防ぐためにも、買掛金についても管理をすることが重要となります。

買掛金管理についても詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>買掛金とはどのような勘定科目? 売掛金との違いや仕訳例も紹介

売上管理の分析に重要な5つの項目をチェックしよう

1. 「売上高」の詳細

売上の総額が「売上高」です。商品等の提供によって得た代金の総額を指します。売上の取引については、「日時・取引先・品目」等を記録しておきましょう。

売上高から売上原価等の費用を差し引いたものが利益です。「売上高=利益」ではありませんので、注意しましょう。

2. 「売上目標」の達成割合

売上目標(計画)に対して実際の売上(実績)がどの程度なのかを数値として可視化します。達成率が芳しくなければ、それを高めるための対策を講じなければなりません。

前述したように、達成率が著しく悪ければ、設定した売上目標が適当ではない可能性があります。

3. 「前月や前年同月の売上高」との比較

前月や前年同月と比較して、売上の金額に大きな変動がないかを確認します。過去の数値と比較することで、現在実施している施策が有効なものかどうかを知ることが可能です。売上高の比較は、戦略の妥当性を判断する指標になります。

もし、売上の金額が大きく減少していたり右肩下がりになっていたりすれば、直ちに原因を分析して対策を講じましょう。
特に施策を講じていないのに売上が増減している場合は、未だ可視化されていない要因があると考えられます。

4. 「原価」の状況

原価とは、商品等の製造・販売するために支出した費用です。原価がわかれば、売上高からこれを差し引くことで粗利益を把握できます。

売上と共に売上管理表等に記録しておいたり、記録時に原価が不明な場合は社内ルール(前年度の原価率を使う等)で決めたものを使ったりして原価を把握しましょう。

原価は、政治的要因や天候等の外的要因によって変動することがあります。

5. 「経費(予算)」の消化率

経費とは、事業のために支出した費用です。売上管理表等に経費を併せて記載し、予算の消化状況を認識しておくことで、売上の金額に対する経費の金額が妥当かどうかを判断できます。

もし予算の消化率が高いのにもかかわらず、売上が伴っていないのであれば、早めに対策を取ることが必要です。

売上管理のデータから多角的な分析が可能

売上管理では、売上を記録して集計した上で、集計したデータを基に分析を行い対策を打ち出していきます。分析には、以下のようなものがあります。

  • 時間軸:
    過去の実績と現在の実績を比較します。月・季節ごとの変動を把握することが目的です。過去に比べて変動が大きければその要因を分析し、顧客ニーズの変化や季節ごとのニーズの変化等を掴みましょう。
  • 部門別:
    部門ごとに設定された売上目標の達成状況を認識します。売上目標に対して進捗が悪い場合は、事前に対策を講じることが可能です。
  • 担当者別:
    個人がどの程度の売上を上げているかを把握します。個々人の売上目標の達成状況が明確化することが可能です。進捗の悪い個人に対して、個別にアドバイスや指示をすることで売上改善に繋げます。
  • 商品・製品・サービス別:
    商品・製品・サービスごとの売上を把握します。売れ筋のものとそうではないものを明確にすることが可能です。結果を踏まえて、商品等を入れ替えたり改善・改良を行ったり、新しいものを取り入れたりします。
  • 顧客別:
    どの顧客にどのような商品がどのくらい売れているのかを把握します。取引の多い・増加している顧客には、アフターフォロー等を行って顧客生涯価値を高めます。取引の少ない・減少している顧客には、再営業や囲い込み等の戦略を立てることが必要です。
  • クロス分析:
    ここまで紹介してきた分析を組み合わせることで、より深く自社の状況を把握します。

売上管理に活用できるツールとは? それぞれの特徴

①Excel(エクセル)

売上管理のために、手軽で安価な方法で売掛管理表を作成するならExcel(エクセル)が良いでしょう。Excelは、Microsoft社が提供する表計算ソフトです。
システムを導入する必要がないため、初期費用を抑えた上ですぐに利用を開始できます。また、Excelならフォーマットを自由に設定できるため、自社に合わせたものを作成できるのがメリットです。

Excelの機能を活かせば、売上管理表として十分に機能します。しかし、関数に対する知識やスキルが必要だったり、入力ミスや関数の上書き等のヒューマンエラーが起りやすかったりするのがデメリットです。

②スプレッドシート

Excelの代わりとして、Google社が提供するスプレッドシートという表計算ソフトを利用して売掛管理表を作成しても良いでしょう。メリット・デメリットはExcelと同じです。

Excelはソフトウェアをパソコンにインストールして使用しますが、スプレッドシートはインターネットを介して利用するクラウドサービスのため、ダウンロードやインストールの必要がありません。関数の名称等は異なるものの、Excelと同等の機能を持っています。

利用に必要なものは「Googleアカウント」のみで、誰でも無料で利用が可能です。ひとつのファイルを複数人で共有し、リアルタイムで同時編集することもできます。

③会計ソフト

日々の売上の情報を記録するためのソフトが会計ソフトです。そのため売上管理にも適しています。

会計ソフト上で、前月や前年同月との比較をしたり、商品ごとの売上動向を追ったりすることが可能です。会計ソフトのデータを出力し、エクセル等に取り込んで活用する方法もあります。

④売上管理システム

売上管理を行うために、必ずしも専用のシステム等が必須というわけではありません。しかし、専用のシステムであれば、業務の効率化・業務負担の低減がしやすく、売上管理・データの有効活用も容易です。

膨大な売上情報を記録するには工数がかかりますが、専用のシステムを利用すればデータを自動で取り込んで集計したり、集計結果を見やすいように簡単に加工したりできます。

売上管理システムは、インストール型だけではなくクラウド型のものやスマートフォンのアプリもあります。

⑤販売管理システム

商品等の販売から代金の回収までを管理できるシステムも、売上管理に役立ちます。売上に関わる情報がシステムに蓄積されているため、売上管理の分析に必要な数値を容易に確認することが可能です。

ただし、一元管理システムには出荷管理や在庫管理といった売上管理には直接必要のない情報も含まれるため、データを分析する際は情報を選定する必要があります。

⑥売上分析ツール(SFA・CRM)

営業支援システムのSFA、や顧客管理システムのCRMといったシステムも売上管理に利用されるシステムです。
SFAは、セールス・フォース・オートメーションの略でCRMはカスタマー・リレーション・マネジメントの略で、売上管理や分析に特化しているものではありませんが、これらには売上分析機能があります。これらのシステムには取引ごとの顧客や担当者の情報が記録されているため、その情報をより深い分析に活かすことも可能です。また、「売上目標」「達成率」等を表化できる機能が備わっているものもあります。

SFA・CRMから売上管理に必要な情報を抜き出しつつ、原価等の不足している情報を補って分析を行いましょう。

売上管理から正しい分析・経営判断をするためのコツ

管理する項目を統一する(テンプレートの用意)

売上管理で把握したい項目をまとめ、それに準じた入力用のテンプレートを用意しましょう。一般的に、日々の売上の記録は複数人で行います。よって、誰がデータの入力作業をしても一定のクオリティになるようにしなければなりません。

テンプレートがあれば入力されたデータが統一されるため、集計や分析の作業も容易になります。加えて、入力のルールを設けておくと、よりデータが均一になるでしょう。

データの分析の結果をまとめる際にもテンプレートがあれば、分析結果の比較をしやすくなります。

数値の振り返りを習慣的に行う

売上の情報は、定期的に振り返る必要があります。なぜなら、売上管理とは数値を管理することで問題点を洗い出し、解決するために行うものだからです。
コンスタントに数値を振り返ることで売上の変動に早く気づくことができ、その原因を突き止めやすくなるでしょう。

売上管理の業務を効率化する

売上の記録が間違っていると、正しい集計や分析ができません。正しい考察ができずに戦略の判断を誤ったり、修正作業が必要になることで判断が遅れたりするでしょう。

手計算が多いほど、計算ミスや入力ミスといったヒューマンエラーが起こりがちです。ですから、なるべく業務を自動化して効率化することが必要となります。

具体的には、専用のシステムを導入したり、既にあるデータを引き込んで入力作業を自動化したり、表計算ソフトの関数で計算を自動化したりすること等が考えられます。

まとめ

売上管理は売上目標を達成するために行う分析的アプローチであり、多くの企業において重要な業務です。売上を安定・向上できないことには、十分な利益を確保したり、安定した経営をしたりすることは難しいと言えるでしょう。

売上管理は、定期的な記録を必要とするものの、売上を安定させたり売上を伸ばしたりするための課題を分析するのに役立ちます。システムを導入する以外にもExcel等を利用することで管理を行う方法がありますので、自社に適した方法で売上管理を行いましょう。

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oneplus編集部

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