問い合わせの対応に多くの時間をかけており、そのほかの業務時間が圧迫されていませんか?
本記事では問い合わせ対応を自動化することにより、人的ミスをなくし業務を効率化する方法を解説します。
問い合わせ業務には2種類ある
企業における問い合わせ業務は「社内問い合わせ」と「社外問い合わせ」の2つに大別されます。本項では、2種類の問い合わせ業務の内容と特徴について解説します。
社外問い合わせ
お客様や取引先等、社外から送られてくる問い合わせを「社外問い合わせ」と呼びます。
社外問い合わせに対応するのは、一般的にコールセンターやカスタマーサポート等の呼称で知られる部署です。
商品に関するクレームや技術的問題、サービスに関する質問等、問い合わせ内容は多岐にわたります。
社内問い合わせ
企業内で各部署の連携をスムーズに行うために交わされるのが「社内問い合わせ」です。
システム・セキュリティに関する問い合わせや、人事・経理に関する質問、また「どの部署に問い合わせれば良いのか」といった質問等が挙げられます。企業内でも様々な問い合わせ対応が必要になります。
問い合わせ業務における課題
問い合わせ業務における課題とはどのようなものでしょうか。主な課題は「リソース不足」「クオリティのばらつき」であると考えられます。
本項では問い合わせ業務における課題を、さらに掘り下げて解説します。
件数が多い
問い合わせ業務の課題として真っ先に浮かぶのが「問い合わせの件数が多すぎる」問題です。
簡単な質問内容であれば、「よくある質問」等を確認することで解決できますが「まずは問い合わせてみよう」という人が多い現状があります。また、専門性の高い話題や時事を反映する話題等についても、問い合わせの件数が増える傾向にあります。
担当者によって対応が変わる
問い合わせの担当者によって対応が異なることで、顧客の満足度に差が生じる点も解決すべき課題のひとつです。
部署の責任者が、すべての問い合わせに対応することは不可能です。そのため、パート・アルバイトが問い合わせ対応するケースが多く、対応のクオリティに個人差が生じます。
企業側としては問い合わせ対応のクオリティを一定に保ちたいところです。しかし、人材の流動性が高いことや教育体制の不備等の理由から、なかなか思うようにいかない場合もあるでしょう。
社内問い合わせの場合は担当部署の負担が増える
社内問い合わせは、総務や経理・人事といったバックオフィスや情報システム関連の部署に集中する傾向があります。
上記の部署は問い合わせ専門の部署ではなく、本来の業務を行いながら社内問い合わせに応じているケースが大半です。
社内問い合わせが多く寄せられる部署では、本来の業務時間を問い合わせ対応に奪われてしまうことが少なくありません。そのため、社内問い合わせに割く時間を可能な限り減らし、本来の業務に投じる時間を増やすことが課題です。
問い合わせ業務を自動化する方法は?
問い合わせ業務の課題を解決する有効な手段となるのが「問い合わせ業務の自動化」です。問い合わせの対応を自動化することにより、業務の大幅な効率化が図れます。
①チャットボット
「ボット(bot)」と略されることもあるチャットボットは、その名の通り「チャットするロボット」を指します。
チャットボットは入力した質問に対して、フローチャートやAIの判断に基づく回答をしたり関連度の高い情報を提示したりします。
チャットボットの特徴
定型化された質問やよくある質問(FAQ)に対する回答等であれば、かなりの部分をチャットボットで自動化することが可能です。回答にかかる時間が短く、対応の均質性も保たれているため、ユーザーの満足度を高められるメリットがあります。
すでに回答が用意された質問への対応をチャットボットに任せることで、複雑かつ柔軟な対応を求められる問い合わせにリソースを集中的に割り当てられるでしょう。
チャットボットの現状と課題
現在のチャットボットは大きく「シナリオ型チャットボット」と「AI型チャットボット」の2つに分けられます。
シナリオ型のチャットボットは、質問者が選んだ選択肢に対してルールに従った回答を提示します。対してAI型のチャットボットは、ユーザーが入力した質問中のキーワードとデータを照らし合わせて回答します。
どちらのタイプのチャットボットでも、現状ではすべての問い合わせに対応できるということはありません。今後も複雑な問い合わせには人が対応し、単純で頻度の高い問い合わせにはチャットボットで対応するのが有効な活用法となるでしょう。
②RPA
RPA(Robotic Process Automation)とは、定型的な事務作業や反復作業を自動化・代行するツールの総称です。
問い合わせ対応だけでなく、メール送受信や情報の入力作業等、さまざまな作業を効率化できます。
RPAの特徴
反復作業はRPAに最適です。また決まった流れに沿って行うルーティンワークにも、最大の能力を発揮します。RPAは人が行う場合と違い、大量の作業を行ったとしてもミスをすることがない点も大きなメリットです。
WEB上から価格や在庫数といったデータを収集し、一覧にしたり比較表を作成したりと、情報整理の作業にも向いています。単純作業をRPAに任せることで、難しい業務に充てるリソースを大きく増加することに繋がります。
RPAの現状と課題
労働力人口の減少が進みつつある現在、日本の各自治体もRPA導入を積極的に行っています。情報の入力や転記、決算書類や請求書の作成等、多くの作業をRPAにより効率化し、職員の負担軽減に取り組んでいます。
現状の課題として挙げられるのは、RPAを導入・運用するための人材が不足していることです。また、RPAの運用担当者が退職する際には、新たな人材の確保・育成が必要になります。しかし、自社の業務に適したRPAツールを見つけるのが難しく「導入前に諦めてしまった」というケースもあります。
③IVRや音声認識システム
IVR(Interactive Voice Response)は音声自動応答装置のことを指します。多くのコールセンターでは、IVRやほかの音声認識システムを活用することにより業務効率化を実現しています。
IVRや音声認識システムの特徴
IVRや音声認識システムを導入することで、問い合わせ対応の人員を削減できるほか、24時間体制での問い合わせ対応が可能になるメリットがあります。
定型的な対応は自動応答に任せることができるため、そのほかの個別対応が必要な問い合わせにリソースを集中できることも利点です。電話による問い合わせが多い業務の効率化に向いているため、コールセンターや予約受付等の業務はIVRや音声認識システムとの相性が良いでしょう。
IVRや音声認識システムの現状と課題
コールセンターやカスタマーサポートだけでなく、公共サービス業をはじめとする多くの業界で、問い合わせ対応に音声自動応答が活用されています。
しかしユーザー側の不満点として「音声ガイダンスのわかりにくさや操作時間の長さ」等を指摘されることがあります。
IVRを導入する場合は再生される音声内容をよく吟味し、利用する側のストレスを極力軽減する工夫が必要となるでしょう。また自動音声だけでは対応できない場合に、迅速にオペレーターと通話できるシステムを構築しておくことも重要です。
例外:問い合わせ業務のアウトソーシング
ツールを利用した自動化と並行して、問い合わせ業務を外部企業に委託する、いわゆるアウトソーシングも検討してみてはいかがでしょうか。
問い合わせ業務を外注するメリットとして、従業員の負担軽減や設備投資にかかる費用の削減等があります。信頼できる企業に委託することにより、顧客満足度の向上も見込めるでしょう。
ただし外注に頼ることで、問い合わせ対応のノウハウが自社に定着しないというリスクもあります。メリットとデメリットをよく理解した上で利用するのが望ましいでしょう。
まとめ:問い合わせを自動化して業務効率化を目指そう
様々なツールの発達により、簡単な作業は人間が行う必要がない時代になりました。労力やコストの負担を減らすために問い合わせの自動化を活用し、業務の大幅効率化を目指してはいかがでしょうか。