受発注業務の業務フローはここ数年で大きく様変わりし、受発注システムの導入が加速しています。現在、受発注システムの市場規模はどの程度まで大きくなっているのでしょうか。今回は、受発注システム導入拡大の背景とこれからの課題について解説していきます。
結論:受発注システムの規模は年々拡大する
結論から入ってしまうと、受発注システムの規模は今後年々拡大することが予想されています。業種によっては、受発注システムを導入していないと取引先とのやり取りに支障が出てきてしまうことも考えられます。
なぜ、受発注システムの規模が今以上に拡大していくのか、ポイントを絞ってみていきましょう。
BtoBの市場規模はBtoCの市場規模よりもはるかに大きい
受発注システムはBtoB、BtoCどちらの市場でも活用されていますが、BtoBでの市場規模はBtoCと比較してはるかに大きくなっています。
2018年に経済産業省が発表した「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoCの市場規模が約18兆円であるのに対し、BtoBの市場規模は約344兆円となっています。
2017年からの成長率は8.1%で、今後もさらに拡大していくと予想されています。
受発注システムの市場拡大が続く3つの理由
受発注システムの市場拡大が続く理由は以下の3つです。
①働き方改革による「効率化」の普及
②WEB上での取引需要の高まり
③デバイスの増加により誰もがシステムを活用できるように
それぞれについて、より詳しくみていきましょう。
①働き方改革による「効率化」の普及
ひとつめの理由は働き方改革が進んだことで、業務の「効率化」が普及したことです。
2019年、働き方改革関連法案が施行されたことで、大企業だけでなくこれまで対応が曖昧になっていた中小企業にとっても従業員の働き方が明確に経営課題となりました。また、新型コロナウィルスの流行によって、働く場所や時間も大きく見直される事となり、働き方改革はより認知が広まっています。
働き方改革で重視されているのは、業務の効率化です。受発注を従来の紙ベースでの管理や手作業で入力するのではなく、システムで一括管理することで効率化を図ることで、働き方改革の推進を内外に示すことができます。
②WEB上での取引需要の高まり
2つめの理由は、WEB上での取引需要が高まったことです。
これまで、企業間の取引を行うと請求書や納品書をFAXで送ったり、電話で取引日時を調整する必要がありました。しかし、FAXや電話を必要とする取引は双方に大きな負担が発生してしまいます。
受発注システムを導入することで、受注側・発注側ともに営業時間を気にする必要がなくなります。24時間WEB上ですべての手続きが自動で完了するため、人件費の削減にも繋がります。
様々な業務が一気にスリムになるため、受発注システムの導入が広まっているのです。
③デバイスの増加により誰もがシステムを活用できるように
3つめの理由は、デバイスの増加によりいつどこにいても誰でもシステムを活用できるようになったことです。
受発注システムはインターネット環境さえあれば、どこからでも使うことができます。発注側からすると、自社のオフィスに居なくても手持ちのデバイスがあるだけで好きなタイミングで発注ができるのは大変利便性の高いサービスと言えます。受注側も注文をリアルタイムで把握することが可能になるため、発注漏れを防ぐことに繋がります。
パソコンを必要とせずに業務が進んでいくことは、受発注システムの大きな強みです。
【導入を検討するなら】受発注システムを導入するメリットは?
企業が受発注システムを導入するメリットは主に以下の3点です。
①煩雑な業者とのやり取りや作業の手間を削減
②受発注タイミングを選べる
③データ管理が容易かつ正確に行える
受発注システムの導入を検討する際は、この3点を意識しながら進めてみてください。
①煩雑な業者とのやり取りや作業の手間を削減
ひとつめのメリットは、万が一煩雑な業者から受注があったとしても、受発注システムを介すことで、面倒なやり取りや作業の手間を削減できる点です。
従来の受発注業務には、受注側と発注側が直接やり取りをしなければいけない場面が多々あります。お互いの時間が合わなかったり、どちらかが作業を雑に行ってしまうと、ひとつの受発注作業に多くの手間と時間をかけてしまうことになります。
受発注システムを導入し、業務を自動化することで無駄になっていた労力や時間の削減が可能です。
②受発注タイミングを選べる
2つめのメリットは、受発注のタイミングを選べるようになる点です。
特に発注の受付を電話等の窓口対応のみにしている場合は、窓口が開いている時間にしか問い合わせ受付ができません。受発注システムを導入することによって、発注は24時間どのタイミングでも行うことができるようになります。
また、受注も従来通りの場合は、書類処理に時間を取られ注文が多いほど出荷までに時間がかかってしまいました。また、電話での受付には伝達ミスの恐れもあります。システムで受注処理を自動化することで、作業時間短縮とミス防止に繋がります。
③データ管理が容易かつ正確に行える
3つめのメリットはデータ管理が容易かつ正確に行えることです。
受発注システムは注文履歴をリアルタイムで記録していくため、常に最新の情報を確認することができます。毎日の注文・発注履歴が自動的に更新されていくため、月毎の報告や年度末の総まとめにも役立ちます。手入力や手作業で起こる可能性のある入力ミスの心配がないので、正確な数字を報告することに繋がります。
アナログ受発注を続けると懸念される3つの課題
最後にアナログ受発注を続けることで懸念される3つの課題をご紹介します。
①他社から不満を抱かれる可能性
②売上拡大のチャンスを逃す
③従業員の不満が蓄積
既に社内で課題として上がっている場合は、受発注システムの導入を検討しましょう。
①他社から不満を抱かれる可能性
ひとつめの課題は、他社から不満を抱かれる可能性があることです。
受発注システムを導入するひとつの目的は、受発注業務を効率化していくことです。受発注システムを導入していないということは、外からいまだに非効率的な流れで業務を行っていると見られる可能性があります。
時代から遅れていると他社から判断され、不満が募ることを防ぐためにも受発注システムの導入を検討しましょう。
②売上拡大のチャンスを逃す
2つめの課題は、売上拡大のチャンスを逃すことです。
今後受発注システムの導入はますます広がり、受発注システムありきでの取引となっていく可能性があります。新規の取引先となり得る企業が、複数の会社を比較し受発注システムが導入されていない、従来のやり取りを煩わしく思ってしまい他社に流れていくこともあるかもしてません。
結果として新規の売上拡大や取引継続のチャンスを逃してしまうことになります。
③従業員の不満が蓄積
3つめの課題は従業員の不満が蓄積していくことです。
受発注業務を従来のやり方で進めていくことは、非効率的な業務になります。本来であればほかの業務やプライベートの充実に充てることのできた時間も受発注業務に取られてしまうと、従業員には不満が溜まっていきます。
最悪の場合人材の流失がに繋がり、会社にとって大きな損失にもなりかねません。
まとめ:受発注システムの市場はますます拡大する!自社への導入は積極的に
受発注システムの市場は今後ますます拡大するであろうと、国を始め多くの組織が予測を立てています。今後、BtoB間での取引は受発注システムの有無が大きな決め手のひとつになるでしょう。
受発注システムは社内外に大きなメリットももたらすものなので、自社への導入は積極的に行っていくことをおすすめします。