みなさん「財務管理」と聞いて具体的にどのような業務を行うか想像できますか?財務は企業のお金に関わる大切な業務です。この記事では、財務の業務内容や手法、そして混同しやすい財務と経理の違いについても併せて解説していきます。
財務の主な業務内容について
財務管理は企業を経営していくうえで必要不可欠な業務です。主に予算や資金管理、資金調達、余剰資金の運用等について財務戦略を立て、実行していく役割があります。
企業を経営していく中で、予測できないトラブルが起こることもあるでしょう。そのようなまとまったお金が必要となる事態に備えて、計画を立てる役割が財務管理にはあります。
予算や資金管理
企業に必要な資金をどのように調達していくか、そしてどのように運用していくか、その計画を立てていくためにも予算や資金の管理は必要不可欠です。財務管理における予算の管理方法は主に4つに分けられます。
売上予算:過去の売上データから今後を予測して、経営陣の目標とする数値を加味して売上の予算を立てていきます。
原価予算:売上に対する売上原価の予算を設定していきます。
経費予算:家賃や給料等固定費の予算計画を立てます。
利益予算:売上から原価と固定費を差し引いた利益に関する予算を予測します。将来の経営計画に関係する予算であり、財務管理で最も重要な予算となります。
銀行融資や株式発行等による資金調達
資金調達が必要となる主なタイミングは、新規事業を立ち上げる時です。設備の導入のために資金が必要となります。資金調達には主に2つの方法があります。
出資:出資は返済を必要としません。しかし、経営権を出資者に渡すことになりますので経営活動に制限がかかることも。また配当金として還元が必要になることもあります。
融資:融資は返済の必要があります。大手銀行からの借り入れは、利用しやすい反面、金利の負担が発生しますので注意しましょう。知人や親戚等個人から借り入れするケースは、返済ができなくなった時、信用を失うリスクがあります。
リスクを抑えた資金調達の方法として、国や自治体の補助金や助成金を利用するという方法もあります。こちらは手続きが非常に複雑であったり条件があったりするため、税理士や中小企業診断士等に相談してみるのも良いでしょう。
投資やM&A等による余剰資金の運用
財務管理では企業が保有する資産を運用することも、大切な業務のひとつです。運用には運転資金にあたらない余剰資金を利用します。余剰資金の運用は、企業価値を高めるだけでなく、新たな挑戦がしやすくなる等、企業の更なる利益にも繋がるでしょう。
財務分析の主な手法3つ
財務が予算や資金の管理・調達・運用を行っていく上で重要となるのが、財務分析です。財務分析では、企業の経営状態について様々な視点から分析を行います。ここでは代表的な3つの手法について紹介していきます。
1.利益の生み出し方を見る収益性分析
収益性分析では、企業がどれくらいの収益を上げているかを知ることができます。一般的に次のような比較や分析を行っています。
・前年度比、前年同月比、比較損益計算書等自社の過去の業績と比較
・他社を含めた業界の平均値と比較
・自社で立てた目標や予想と実績の比較
過去の業績や業界全体の平均値と比較することで、自社がどのくらい効率よく利益を上げているかを知ることもできます。
2.倒産のリスクを計測する安全性分析
企業が最も避けなければいけないことの一つ「倒産」。安全性分析では、企業にどのくらいの返済能力があるかを分析します。企業が財務的に安定しているのか、つまり倒産のリスクがないのかを測るのが安全性分析です。
主に賃貸対照表を使い、短期の支払い能力、長期の支払い能力、財務体質等を分析していきます。この安全性分析は、自社だけでなく他社の経営状況を把握することにも役立ちます。
3.効率の良い生産方法を探る生産性分析
人や設備、資金等の経営資源から、どのくらいの付加価値を生み出せたかを分析するのが生産性分析です。少ない投資で売上や利益を大きく上げていれば、生産性はあがります。
生産性分析の主な指標は、物的生産性と付加価値生産性の2つです。物的生産性では生産したもの量を分析し、付加価値生産性では人員が生み出した付加価値を分析します。
財務諸表の見方を解説
財務諸表とは、経営活動による企業の財務状態を関係者へ報告するための書類です。「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の3つはとくに重要な書類で、財務三表とよばれています。
これら財務諸表は、経営者が自社の財務状況を把握し、今後の経営方針の判断を下すための重要な資料です。また、他社の経営状態を把握できる重要な資料でもあります。
財務諸表の入手方法
他社の財務諸表は、企業のホームページ内にあるIR情報から閲覧することができます。また、財務諸表を閲覧したい他社が上場企業であれば、金融庁が運営している「EDINET」というデータベースを利用してみましょう。
企業が公開している情報の閲覧やダウンロードが無料で行えます。複数の企業の比較を行いたいときは「EDINET」を利用した方が効率よく検索できますね。
損益計算書から営業成績を読み取る
損益計算書は、企業の収益と費用の状態を表した書類です。決算年度における営業成績を記載しているため、「どのようにして、どのくらい稼いだか」が読み取れます。損益計算書で重要なのは主に次の6つの項目です。
売上高・売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益
貸借対照表から企業の安定性がわかる
貸借対照表は、企業の財政状態を資産・負債・純資産の3つのカテゴリで表した書類です。「どのように資金調達して、どのように運用しているか」が読み取れます。貸借対照表で重要なのは主に次の5つの項目です。
流動資産・固定資産・流動負債・固定負債・純資産
お金の流れをキャッシュフロー計算書で見る
キャッシュフロー計算書は、一定期間における企業の資金の流れを表した書類です。
「営業活動・投資活動・財務活動」の3つの項目から企業の経営状態や倒産のリスク等を読み取ることができます。
この資金の流れを把握していないと、時に経営が困難になる可能性もあります。それぞれの活動のキャッシュフローを把握し、資金のやりくりの改善に活用することが大切です。
財務と経理の違いとは?
財務と経理はどちらも企業のお金を管理する重要な仕事です。そのため業務内容が混同されがちですが、実際には明確な違いがあります。ここでは財務と経理の業務の違いについて見ていきましょう。
経理はこれまでの会計、財務はこれからの会計
経理の主な業務内容は、企業の活動によって生じたお金の流れを記録し、管理することです。つまり、財務は将来企業が利用するためのお金を管理するのに対し、経理は過去に企業が使用したお金の管理をおこないます。
経理はこれまでのお金を管理する点から、バックオフィスとしての業務が中心ですが、財務はこれから利用するお金の計画を立てる必要があるため、企画や経営に近い業務も担っています。
経理は会計業務の一部
会計は、企業のお金だけではなく、建物や機械等の物品も含めた企業の全資産を管理する業務です。日々の売上や支払から備品の管理まで幅広く管理しているため、複数の部署が共同で担当することもあります。
会計が企業の全資産を管理しているのに対して、経理は日々のお金の流れを管理する業務であるため、「経理は会計業務の一部」ともいえますね。
まとめ:財務は経理との違いを理解して特徴をつかもう
この記事では、財務管理の内容から経理との違いまで紹介してきました。経理業務をもとに財務は将来の資金計画を立てることから、バックオフィスとしての業務だけではなく、企画や経営に近い業務も担っています。
これからの企業の経営活動を、資金の面からサポートする財務の業務内容をしっかり把握しておきましょう。
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