経営を行っていく中で、何ひとつ問題を起こさないというのは理想ですが、現実的にはなかなか難しいのではないでしょうか。
原因が社内であれ外部であれ、日々課題解決に追われている経営者は多いでしょう。
今回の記事では、中小企業経営者が抱える主な4つの悩み「売上(=お金)」「人材」「業務効率」「会社の将来」についてや、それぞれの悩みを解決する方法などを解説していきます。
中小企業経営者の調査でわかる悩み事上位は「売上」と「人材不足」
中小企業経営者にとって、安心した経営を行っていくため、まず「売上」をどう上げていくか悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
売上を上げて利益の出る経営体質にしていけば、赤字倒産することはないからです。
しかし、売上拡大のために必要な「人」について、人材不足を経営課題に挙げている経営者が多い傾向にあります。
日本全体の問題でもある人口減少はすなわち労働人口の減少を意味し、少ない人材を企業同士で争っていかなければなりません。
「売上」と「人材不足」をどのように解決していくべきかは経営者の悩みでもあり、腕の見せ所にもなってくるでしょう。
中小企業経営者の4つの「悩みの種」を解説
この章では経営者が抱える4つの「悩みの種」について、それぞれ具体的にどのような項目があるのか見ていきましょう。
もしかしたら自社にとって重要な項目でありながら、気付いていなかった点が見つかるかもしれません。
1.「売上」や「お金」についての悩み
売上の減少、または売上が伸ばせないこと
お金に直結する売上について、減少していること、または維持できているが伸ばせない悩みを抱えている経営者もいるでしょう。
「売上」に関する問題の多くは、下記2つのどちらかが要因であることがほとんどです。
- 営業活動をしっかりと数値で管理していない
「コンタクトした企業数」「提案まで行った数」「先方に見積書を提出した数」「受注数」「平均売上」等を数値化することで、どの部分に課題があるのか見えてきます。 - マーケティングをうまく行えていない
例えば、ホームページは作っただけでは集客できません。インターネットマーケティングを活用し、集客に繋げていく必要があります。
資金繰り・資金調達がうまくいかないこと
資金繰りは、厳しくなってから急に行うのではタイミングが遅すぎます。そして、経営が傾いてからの資金調達は、金融機関が渋る可能性が高いのでうまくいきません。どちらも経営や売上が順調な時から、もしもの場合に備えて考えておくようにしましょう。
特に大切なのが、売掛金の回収です。回収までに時間を要していて、その間に大きな支払いが発生してしまった場合は、黒字倒産になってしまう可能性も出てきます。未回収がないかを、社内でしっかり管理していく体制を整えていきましょう。
事業にかかるコスト削減が進まないこと
コストは、むやみに削減して良いものではありません。売上に直結するコストを削減することで、経営にダメージを与えてしまう可能性もあるからです。
「コストは削減したいが、どこから手をつければ良いのか判断が難しい」「コスト削減が売上の減少に繋がってしまうのが恐ろしい」と考え、なかなか踏み切ることができない経営者は少なくありません。
2.「社員」の現状や教育についての悩み
経営幹部のマネジメント能力に不満があること
経営幹部の能力不足に頭を悩ませている経営者は多いのではないでしょうか。
解決するためには、大きく「育てる」「新規採用する」のどちらかです。
前者は、社長自ら育て上げるには「時間」が問題になります。ただでさえ忙しいのに、幹部育成まで手が回る社長は少ないでしょう。
後者は、すぐに見つかるケースは少ないので、地道に行動していくしかありません。気になった人がいたら自社の理念を話してみたり、人材会社への相談も考えてみましょう。
社員になかなか成長が見られないこと
社員の成長不足をなげいている経営者は多いですが、特に下記2つに頭を悩ませている方が多いのではないでしょうか。
- 自ら率先して仕事をすることがなく、受け身なままである
- やるべきことをしていないのに、会社への不平不満ばかり言っている
もちろん社員個々の能力に依存している部分もありますが、社員に教育する立場である上司の力不足も考えられます。
それはまた、先ほどの経営幹部の能力不足に繋がってくるかもしれません。
社員定着率が低いこと
「数年で辞めてしまう社員が多い」「お金をかけて教育したのに転職してしまった」といった経験をしている経営者は多いでしょう。
社員定着率が低い要因として考えられる理由を、下記に挙げます。
- 社内の人間関係
- 給与が低い
- 残業が多い等の労働環境
- 業務量が多すぎる、逆に少なすぎる
正直に話をしてくれる可能性は低いかもしれませんが、退職者が出た時に理由を聞いてみるのはひとつの手です。また、定期的に面談を行う等、既存社員とのコミュニケーションを図ることも重要でしょう。
新たな人材確保がうまくいかないこと
少子化が叫ばれている中、企業間での人材確保の競争は年々激しくなっています。求人募集はしているものの、費用ばかりが積み重なってしまうケースも多いのではないでしょうか。
採用に代わる方法として、例えばアウトソーシングの導入等を考えていく必要があるかもしれません。ひとつのやり方に固執せず、柔軟な発想を持って課題解決に取り組みましょう。
3.「職場全体の業務状況」についての悩み
知見や技術が継承できず属人化していること
大企業と比較して、中小企業ではどうしても社員ひとりが行う業務範囲は広くなってしまいがちです。それはすなわち、社員ひとりひとりの能力が経営に及ぼす影響が大きいことも意味しています。
本来であればチームで行いたい仕事を、単独で行わなければいけないケースもあるのではないでしょうか。
こうした背景により、知見や技術がノウハウ化されず、属人化してしまうことが多いです。結果その人が辞めてしまうと、社内にノウハウが何も残らないという事態が起きてしまうことも珍しくありません。
業務の効率が悪い・高まらないこと
先ほどの属人化している事とも繋がりますが、業務について仕組み化されていないと業務効率を上げることは難しいです。
特に日常の業務が当たり前になっている場合は、「どこに問題があるか」「改善できるところはないか」を考えることさえしないのではないでしょうか。「こうすることが当然だ」と思われている業務の効率化を図っていくのは、抵抗感を持たれてしまうかもしれません。
4.会社の「これから」についての悩み
新規事業の立ち上げができない・うまくいかないこと
社員の数や資金面で余裕がない中小企業は、新規事業を立ち上げてもうまく進めることができなかったり、そもそも立ち上げることができないことも多いです。
現状のビジネスだけでは頭打ちになってしまうことが予想できても、それを打破するような新規ビジネスに思い切って投資することは難しいでしょう。
金融機関にとっても、移り変わりの激しい現代では新規事業立ち上げのためとは言え、多額の融資を積極的にすることは厳しいかもしれません。
事業承継がうまくいかないこと
中小企業の場合は、子供等の親族や従業員から後継者を選ぶことが一般的です。
しかし、事業承継を是非ともしたいと立候補する人物が出てこないということも少なくありません。また、事業を引き継ぐことを望んでいる後継者候補がいても、能力的に選ぶことが難しいケースもあるでしょう。
能力不足な後継者を選んでしまうと、従業員はもちろん、その家族にまで迷惑をかけてしまうかもしれません。慎重になり過ぎて進めることができないことも考えられます。
「悩みの種」を解決する方法・ヒント
1.事業のあり方を検証し改善に向けて検討する
現在行っている事業について、一度客観的に見直してみることは大切です。
自社の強みを活かすことはできているのか、課題は何であるのか等、改善に向けてどんなことを行っていくべきなのかを検討してみましょう。
場合によっては、思い切ってビジネスモデルの転換を行ってみるのも良いかもしれません。
2.コストの内情を把握する
コストの削減は利益の増加に直結するため、現状何にいくらコストがかかっているのかを分析してみましょう。分析する際の視点として、「削減しても売上には影響が少ないもの」と「売上に直結するので削減は難しいもの」で分けて考えてみるのがおすすめです。
その後、前者を「売上や経営に影響の少ないもの」で優先順位をつけ、まずはそこからコスト削減を進めてみるのが良いでしょう。
3.従業員満足度を調査し、率直な意見交換をする
社員の離職率や成長度に問題がある場合は、授業員満足度を調査してみます。
例えば、下記のような質問項目を入れてみましょう。
- 社内の雰囲気について
- 上司のマネジメントについて
- 給与や待遇面について
満足度が高い面は、自社の強みとして活かすことを考えます。一方、低かった項目は、どのように改善していくべきか検討する必要があるでしょう。
調査を行うだけでなく、結果を元に意見交換の場を設けることも大切です。その際、忖度なく率直な意見を話してもらえるような環境を作らなくてはいけません。
4.経営者が集うコミュニティに参加する
経営者が集うコミュニティに参加してみるのも、悩みを解決する有益な方法になるでしょう。
参加するメリットを挙げると、下記になります。
- 抱えている悩みを相談できる
- 生のビジネス情報を仕入れることができる
- 異業種や年代、性別の異なる経営者との人脈を作ることができる
- その結果、新規の見込み客を紹介してもらえる可能性もある
経営者は、社内に相談できる相手がいることは少なく、とても孤独な立場です。
コミュニティに参加することで、ひとりで悩むことなく、解決の糸口を見つけることができるようになるかもしれません。
5.DXへの取り組みを検討してみる
現在抱えている悩みのいくつかは、もしかしたらDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することで解決できるかもしれません。
DXを推進することのメリットは、下記の通りです。
- 業務効率化を進めることができる
例えば書類の電子化を進めることで、オンライン上で完結させることができ、従業員の作業効率化や手間を省くことが可能になるでしょう。 - コスト削減に繋がる
書類の電子化は、紙やインク代の節約はもちろん、紙資料の保管スペース削減にも繋がります。 - 高品質のサービス提供が可能になる
自社で過去から積み上げてきたデータを分析・活用し、お客様のニーズに応えた質の高いサービス提供が可能になります。 - 市場拡大に繋がる
DXを推進することで社会の動向やニーズを掴みやすくなり、既存市場はもちろん、新規市場の情報収集がしやすくなります。
経理部門のDXをクラウドで|oneplatなら費用対効果の高い効率化が可能
業務効率化を進めるのであれば、定形的な業務の多い経理部門から入っていくことをおすすめします。クラウド型のツール導入であればコストも低いため、取り入れやすいのではないでしょうか。
特におすすめなサービスがoneplatです。主な特徴を下記でご紹介しますので是非ご検討ください。
- 取引先が納品データをoneplat上で入力するので、手入力作業が不要
- 受け取った納品データは承認したものだけをoneplatで変換して請求書を発行するので、請求書の突合作業が不要
- 請求書の承認(複数設定可)をoneplat上で行うので、承認フローの効率化が可能
- ペーパーレス化が可能になり、紙の整理や保存が不要
- 会計システムへの仕訳入力は、データ取り込みで自動化できるので、手入力作業が不要
この機会に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
中小企業経営者が抱えている悩み、そしてその解決方法についてお伝えしてきました。
- 「売上とお金」「人材」「業務」「会社の将来」の4つを悩みとして抱えている経営者が多い。
- 「事業の見直し」「コスト分析」「従業員とのコミュニケーション」「コミュに参加」が解決のヒントになる。
- まずは定形業務の多い経理部門にDXを推進し、業務効率化を図ることがおすすめ。
すべてを同時に行うことはできないので、できるところから一歩ずつ前進してみましょう。