近年、導入する企業が増加しているツールに「マーケティングオートメーション(MA) 」があります。マーケティングや営業部門の作業を自動化できるMAは、業務の効率化に大きな効果をもたらします。
本記事では、MAについてその概要から具体的な機能まで解説します。需要が高まるMAを導入し、生産性向上を目指しましょう。
マーケティングの自動化(マーケティングオートメーション)とは
導入する企業が増加するMAですが、その具体的な機能について把握しきれていない方も多いですよね。
MAは、マーケティング活動の一部を自動化し、営業活動に携わる人の業務を効率化するために開発されたツールを指します。具体的には、見込み顧客の獲得に向けたリストの一元管理や、獲得に向けたアプローチ(一斉メール送信等)があります。
多くの企業は人件費等のコスト削減を目指しながら、常に成長を求められます。そのような難しい環境で、ますますMAは普及するでしょう。次からは、MAが求められる時代背景を掘り下げることで、重要性を確認していきましょう。
なぜマーケティングの自動化が求められるのか
ここではMAが重要視される背景を見ていきましょう。
ネットの普及や、ニーズの多様性等、様々な時代背景が関連しています。
インターネットが普及し、顧客接点が拡大した
2000年代以降はインターネットが普及したことにより、顧客が企業のサービスや商品に触れる機会が増加しました。
それまでは、テレビや雑誌、新聞等の媒体のみで企業を認識する程度でしたが、近年はネット環境で積極的に情報を収集できます。また、ネット広告等を活用すれば、潜在顧客にアプローチすることも可能です。
このように、顧客の目に触れる機会の増加は、スピーティーな分析やアプローチが必要となるため、MAの重要性を高める要因となります。
顧客のニーズが変化している
ネットの普及により、顧客は膨大な情報を手軽に入手できるようになりました。そのため、現状のサービスや商品だけでは満足できず「もっと自分にあったものはないか」と求めるようになっています。そのため、ニーズも細分化され多様化しています。
多様化したニーズは、分析やリサーチに多大な労力を費やします。しかし、MAツールを活用することで、効率化を図れます。
新たな技術で顧客のニーズに対応する必要が高まった
顧客は企業やサービスに特別な対応を求めます。「自分の気持ちに寄り添ったDMが届く」「自分が興味のある商品の新着情報を教えてくれる」等、「あなただけ」を感じられる対応は顧客の満足度を高め、優良顧客に結びつきます。
しかし、顧客ごとの対応は手間暇がかかり、決して効率的とは言えません。ですが、MAを活用することで、自動的に顧客ごとの傾向を分析し、適切な対応が可能になります。そのため、MAの活用は多くの顧客に対してきめ細かなサービスを提供でき、非常に効率的です。
マーケティングの自動化でできること
顧客ニーズの変化や時代背景の変化により、MAが重要視されていることがわかりました。さらにここでは、MAツールができる5つの業務を解説します。
見込み客を獲得する
MAは見込み客を獲得する前から活用できます。具体的には、CMSと呼ばれるWebサイトでイベントの案内や、セミナー開催の案内をして見込み客にアプローチすることが挙げられます。
見込み客を管理する
見込み客の一元管理もMAで行えます。例えば、企業がイベントや展示会を開催し、来場客の情報を入手した場合は、それらの情報を一括でインポートできます。
さらに、情報の重複を自動修正することも可能です。
見込み客の購買意欲を高める
見込み客の情報を管理しながら、自社サービスや商品の購入に結びつけるアクションもMAは可能です。
具体的には、メールアドレスを登録した人に対して自動的にステップメールの送信や、キャンペーンメールの送信が挙げられます。
適切なタイミングで見込み客にアプローチすることで、自社を印象付けたり購買に向かわせる効果があります。しかしBtoBの場合は、別途商談が必要なため、信用を得るためにも期間を長く設けてアプローチすることが求められます。
見込み客を絞り込む
MAには、見込み客ごとのWeb上の行動履歴を取得する機能があります。そのため、自社の優良顧客になり得る見込み客を選別することが可能です。
また、トラッキング情報を元に、客の興味のあるものや関心のあるものを分析し、見込み客ごとのアプローチに繋げることができます。
マーケティングを自動化する(マーケティングオートメーション)
MAは、これまで紹介した段階をすべて自動化することが可能です。
見込み客との接触機会の設定から、情報収集、また客ごとの分析および最適なアプローチ法による顧客化まで一連の流れを行えます。
そのため、これまで人力で時間をかけて行っていた作業をMAが担当し、人は商談の入念な下準備や契約後のアフターケア等、付加価値を生み出すことに時間を割けます。
マーケティングの自動化でできない事
見込み顧客の獲得から管理まで幅広い業務を担うMAですが、中にはできない業務もあります。最後に、ここではMAができない業務を紹介します。
MAは「ゼロから作り上げる仕事」は不適切な特徴があります。
目標や目的の設定
企業が達成したい目標や目的の設定は自動化できません。
MAはあくまで「目標を達成する過程で発生する業務を自動化すること」に適しています。そのため、企業の目標は事前に人が決定する必要があります。
目標は自動化するのではなく、人が意思や熱意を持って決定しましょう。
シナリオ設計
マーケティングにおいてシナリオ設計は「誰に・いつ・なにを・どうなって」を決めることを指しますが、これらはMAでは不可能です。
MA顧客の分析や条件に基づいたアクションを取ることができますが、自身でシナリオの設計はできません。目標と同様にシナリオは人が設定しましょう。
分析に基づく仮説立て
マーケティングにおいては、仮説を立てて実践する過程が何度も訪れます。しかし、仮説立てもMAには行えない作業です。
MAツールは顧客の分析をし、ある程度の傾向までは見ることができます。しかし、仮説を立てるのは人の力が必要です。
クリエイティブなこと
MAは与えられた情報や条件を元に、あらかじめ組み込まれたアクションを取ることができます。そのため、人力でできない膨大な顧客情報の分析や管理をスピーディーに行えます。
しかし、ゼロから目標を立てたり、問題に対して解決法を発想することは不可能です。
まとめ:マーケティングの自動化は便利だが、できないこともある
今回はマーケティングの自動化ができるツールについて解説しました。
ネットの普及やニーズの多様化により、MAの需要は年々高まっています。見込み客の獲得や管理の効率化に役立つMAですが、業務内容によっては不可能なものもあると確認しました。そのため、MAは可能範囲を事前に認識して導入すると、効果的に使いこなせます。
本記事を参考に、自社でMAツールの導入を検討してみましょう。