企業の社会的責任や環境保全における取り組みのひとつに、ペーパーレス化が挙げられます。
とは言えども「具体的にどのように取り組みを推進していけばよいかわからない」という方も多いはずです。
そのため、今回はペーパーレス化のメリットから、具体的な取り組み方までをご紹介します。
ペーパーレスとは
ペーパーレスとは紙による媒体を減らしデータを電子化することです。
企業では、様々な書類が発生します。請求書やプレゼン用の資料等、どの部署でも必ず紙媒体の書類を使用しています。しかし、それらの書類を電子化し、紙媒体を削減する動きのことを指します。
ネットツールの発達や、環境問題が叫ばれるなかでペーパーレスの動きが高まっています。
ペーパーレスやペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、企業であれば、社内文書や決裁書類・請求書等を電子化し紙媒体を削減することを指します。
ペーパーレスは様々な分野で普及してきています。例えばコンビニで支払う際に現金ではなく電子決済を使ったり、アーティストのファンクラブでもチケットや郵便物を電子化したりする動きもあります。
ペーパーレス化が推進される背景
ペーパーレス化が推進される背景としては、業務効率向上や環境保全が挙げられます。
特に、紙の原料となる森林を伐採することでCO2を吸収する森林破壊に繋がります。
また紙を廃棄する際に焼却することでもCO2を排出します。
近年のCSRやSDGsの流れもあり、ペーパーレス化が注目されています。
現状:2020年ペーパーレス化を推進した企業は75.7%!
ペーパーロジック株式会社が行った調査によると、2020年にペーパーレス化を推進した企業は約75.7%にもなるという結果が出ています。
2020年は新型コロナウイルスの蔓延等、多くの企業がリモートワーク等を実施し始めたタイミングでもあります。
そのため、リモートでの快適な就業環境を構築するには、ペーパーレス化は必須とも言えます。
ペーパーレスがビジネスにもたらすメリットとは
ペーパーレス化を導入することで、ジネスにもたらすメリットとはいったいなんでしょうか。下記で主なメリットを5つご紹介します。
コスト削減やオフィスの省スペース化
ペーパーレス化を行うことで、コスト削減やオフィスの省スペース化に繋がります。
具体的には、紙代やインク等の印刷に関わるコスト・保管コストや紙の廃棄代等が削減できます。
また、紙の文書が減れば保管スペースも減らすことができ、必要なオフィススペースが少なくて済みます。
以前よりもスペースが必要なければオフィスの縮小移転等も検討でき、結果的に賃料の節約にも繋がります。
業務効率化
ペーパーレスを推進することで、業務効率を上げることに繋がります。
情報を電子化することで、外出先や在宅でも情報共有が行えるため効率的です。
社内における稟議書等も複数人の役職者の捺印が必要で、該当者が在宅勤務していたりすると一向に承認が進まないという状況がありました。
しかし印鑑による捺印を廃止し、電子化することでよりスピーディーに決済や承認を行うことができます。
在宅勤務の推進
在宅勤務の推進には、ペーパーレス化は不可欠です。大量の紙媒体を自宅へ持ち帰ることは現実的ではないですし、情報の持ち出しとなるため禁止されている企業も多いからです。
紙媒体による運用が減らない限り、見積り書や請求書の作成・社内依頼書の作成等どうしても出社する必要性が生じます。
また出社とリモートを併用している場合は、リモート勤務時に紙書類を確認できない等効率が非常に悪くなります。
セキュリティの強化
ペーパーレス化を推進することで情報のセキュリティ強化にも繋がります。
紙の文書であれば鍵付きキャビネットに保管する等、コストや手間がかかります。
さらに周囲に人がいない状況で、キャビネットから持ち出すこともできるかもしれません。また紙文書を紛失する可能性もあります。
しかし、データで管理すればパスワードを設定する等の対策ができます。またログの管理により閲覧者や外部への送信履歴等も確認可能です。
CSR/SDGsへの対応とそれに伴う企業価値の向上
現代では企業は利益追求や株主への還元・顧客満足度の追求を行うだけでは不十分です。
CSRやSDGs等をはじめとした、企業の社会的責任やサステナブルな取り組みを求める声がいっそう強くなっています。
そのため、ペーパーレス化を推進することで、環境への先進的な取り組みを社内外にアピールすることができます。
また、ペーパーレス化により、環境への配慮に加え業務の効率化や働きやすい環境整備も同時に行えるため企業価値の向上に繋がります。
ペーパーレス化の妨げとなるデメリットとは
これまで見てきたとおり、ペーパーレス化にはいくつものメリットがあります。
しかしペーパーレス化の推進を妨げるデメリットもあります。
下記で主なデメリットを3つご紹介します。
ドキュメントの一覧性は紙に劣る
紙の文書とデータを比較した場合は、ドキュメントの一覧性はどうしても紙媒体に軍配が上がります。データの場合は、PC等のディスプレイの大きさによるとはいえスクロールする等の手間はかかってしまいます。
紙媒体のほうが、よりスピーディーに大量の情報を読み取ることに適しています。
システム整備に係るコスト
すぐにペーパーレス化を行おうと思っても、いきなりできるものではありません。
従来、紙で行っていたものをデータへ移行するには、システム整備や機器の導入等環境構築にコストがかかります。
そのため、会社の規模がある程度大きかったり、全国に支社や支店がある場合は、導入コストはどうしても懸念点になります。
従業員にITリテラシーを要する
ペーパーレス化を進める上では、自社の従業員にも一定のITリテラシーが必要となります。例えば、社外にメール送信するファイルにはパスワード設定をしたりダウンロード方式にする等、まずは従業員が適切かつスムーズに取り扱いできるための社内への充分な周知が必要となります。
場合によっては研修や導入セミナーを開く等の工夫も必要です。
ペーパーレス化を推進するポイントとは
ここまでペーパーレス化のメリットとデメリットを見てきました。
ここからは、ペーパーレス化をスムーズに推進するポイントを4つご紹介します。
経営陣のマインドをアップデートする
まずは経営陣を含めた企業の上層部のマインドアップデートが必要です。
いくら担当者がペーパーレス化の推進を行おうとしても、経営陣が紙文書にこだわっていては一向にペーパーレスが定着しないからです。
まずは経営陣にしっかりと説明を行い充分な理解を得られた上で全社的な施策に踏み切ることが重要です。
段階的にペーパーレス化を進める
ペーパーレス化を導入する際に注意したいのが、いきなり完全切り替えを行わないことです。ある日から急にペーパーレス化を実施しても従業員の混乱を招き業務オペレーションに支障をきたす恐れがあるからです。
まずは段階的にペーパーレス化を行い、従業員が慣れてきた段階で徐々に拡大していくことがポイントです。
ファイルの管理方法を定める
ペーパーレス化によって従業員の生産性や効率性を高めるためには、ファイルの管理方法を事前に定めておくことが大事です。
当然、これまでよりも保存するファイルやデータの数等が増大します。
「必要なデータがどこにあるかわからない」という状況にならないように、事前に保管場所やアクセス権限・ファイル管理ルール等をきちんと制定しておきましょう。
社員の使いやすさを意識したツールの導入
社員の業務効率向上を意識したツールの導入もおすすめです。
ペーパーレス化を推し進めた結果、紙文書のときよりも業務がやりづらくなっては元も子もないからです。
例えば、社内承認手続きの電子印鑑化やFAXデータの送受信ツール・チャット等の情報共有ツール等自社の業務に応じたツールを検討してみましょう。
まとめ:ペーパーレスを進め業務効率化・コスト削減を叶えよう
今回はペーパーレス化についてその必要性からメリット・デメリットまでをご紹介しました。昨今のCSRやSDGsの流れを見ても、今後ペーパーレス化はより一般的なものとなっていくと思われます。
大事なのは従業員の理解を得ながら、段階的にペーパーレスを浸透させていくことです。
業務効率化とコスト削減を進めるためにも、ペーパーレス化の導入を検討してみてはいかがでしょうか。