コロナ禍を機にリモートワークが普及し、それに伴ってペーパーレス化が進んだと感じていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
ペーパーレスとは、紙の利用を減らし文書を電子化して活用することです。ペーパーレスは業務の効率化になるだけではなく、企業の生存戦略に重要な役割を果たします。
この記事では、ペーパーレスをどのように企業活動に取り入れていけばよいかを実際の導入事例を基に解説します。是非、最後までお付き合いください。
- 1 時流は「ペーパーレス導入」日本や世界の動向
- 2 東京に本社がある企業のペーパーレス導入率は72.3%との調査も
- 3 ペーパーレスツール導入事例1:チャットツール
- 4 ペーパーレスツール導入事例2:スキャナー・OCR
- 5 ペーパーレスツール導入事例3:オンラインストレージサービス
- 6 ペーパーレスツール導入事例4:ワークフローシステム
- 7 ペーパーレスツール導入事例5:クラウド勤怠システム
- 8 ペーパーレスツール導入事例6:請求書クラウドシステム
- 9 自社にペーパーレスを導入する流れ
- 10 自社でペーパーレスを導入しやすい書類から始めよう
- 11 「oneplat」なら月額11,000円で請求書と納品書のペーパーレスを実現できる
- 12 【まとめ】導入事例を参考にペーパーレス化を実現しよう
時流は「ペーパーレス導入」日本や世界の動向
日本に限らず世界では、ペーパーレス導入に注目が集まっています。なぜなら、ペーパーレス化は、環境に配慮したSDGs(持続可能な開発目標)への取り組み・DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩になるからです。
SDGsを軽視すれば、消費者からネガティブな印象を持たれかねません。また、DXを蔑ろにすれば、企業競争力が保てません。そうなれば、企業が利益を上げることが難しくなるでしょう。
ペーパーレス化は、紙資源の消費抑制やゴミの削減、ひいては森林破壊の抑制や地球温暖化の防止となりSDGsに寄与します。そして、ペーパーレス化により文書が電子化されることは、DXの代表的な例として挙げられる業務自動化等の足掛かりです。
今や、企業の生存戦略として、ペーパーレス化は避けられないものになりつつあります。
東京に本社がある企業のペーパーレス導入率は72.3%との調査も
ペーパーロジック株式会社の「ペーパーレス化に伴う2022年度予算」に関する調査によると、都内で2021年にペーパーレスを推進した企業は72.3%におよびます。そのうち、翌年もペーパーレス化システム導入のための予算配分を予定・検討している企業は75%です。
実に4社に3社がペーパーレスを推進し、その3/4が継続してペーパーレスに注力していることがわかります。
ペーパーレス化システムの中で各社の関心が最も高かったのが、電子ワークフロー(稟議書・申請書等)です。次いで、勤怠管理システムです。
この2つを含めて、ペーパーレス導入事例について見ていきましょう。
ペーパーレスツール導入事例1:チャットツール
チャットツールとは、パソコンやスマートフォンを使ってリアルタイムでやり取りができるコミュニケーションツールです。ビジネス用のものは、ビジネスチャットと呼ばれます。
ビジネスチャットの利点は、下記の通りです。
- メッセージを確実に届けられる
- スピーディーに連絡がとれる
- グループチャットができる
- ファイルの管理が容易
- タスク管理が容易
電話・FAX・メールをチャットツールに置き換え
電話・FAX・メールをビジネスチャットに置き換えれば、双方にとって負担の少ないコミュニケーションが可能です。一方で、情報が流れやすいというデメリットがあります。
電話は基本的に記録が残らず、相手の都合を無視してしまいます。FAXやメールは、やり取りに時間と手間がかかります。それ等の欠点を廃し、簡便かつスピーディーにコミュニケーションがとれるのがビジネスチャットの強みです。
一方で、メッセージのやり取りが多くなると、情報を遡ることが難しいという問題があります。
また、ビジネスチャットはペーパーレス化にも役立ちます。情報を共有したい時に、紙媒体の文書を回覧させたり配布したりせずともよいからです。
例えば、ネット記事の内容を情報共有したい場合は、グループチャットに一言添えてURLを添付しましょう。これで完了です。手間と資源が節約できます。
チャットツールによるペーパーレスの導入費用
ビジネスチャットの月額利用料金は、以下の通りです。
- InCircle:1ユーザー180円~
- ChatLuck:クラウド版・1ユーザー300円
- Chatwork:ビジネスプラン・1ユーザー600円(年契約の場合は、月額500円)
- Slack:プロプラン・1ユーザー960円(年契約の場合は、月額850円)
- direct:プレミアムプラン(ユーザー数50名まで)・27,500円
1ユーザーあたり、300~600円程度の料金が相場のようですね。
ペーパーレスツール導入事例2:スキャナー・OCR
ペーパーレス化には、紙の文書を画像としてスキャニングしたり、OCR技術で文字として電子化したりすることも含まれます。紙の文書を電子化することで、事務処理の効率化や保存場所を減らすことが可能です。
紙の保存文書を電子化して処理の短縮化と保存場所の縮小
紙の文書を電子化した際は、下記の工夫をしておきましょう。データの検索が容易になり、業務の短縮化が可能です。
- 規則をつくり、それに則ったファイルに格納する
- 規則をつくり、それに則ったタイトルをつける
- PDFファイルにしおりを追加する
- PDFファイルをOCR技術で文字として電子化する
それに加えて、文書を電子化すれば保存場所を縮小することもできます。電子化しておけば、残しておきたい紙の文書以外は廃棄できます。
紙の文書は物理的にスペースが必要です。それを減らせるということは、保管スペース・保管コストに悩んでいる企業にとってメリットがあります。
デメリットがあるとすれば、システム障害等により文書を保存しているサーバーにアクセスできなければデータの閲覧ができないという点です。
スキャナーによるペーパーレスの導入費用
スキャナーによるペーパーレス導入費用は、自社でスキャナーを用意する場合と代行業者にアウトソーシングする場合とで異なります。
自社の場合は、電子化用スキャナーを用意することになるでしょう。ScanSnapiX1600の場合は、値段は52,800円です。また、自社の複合機がOCRソフトに対応しているなら、インストールしてそれを活用することも方法のひとつです。
代行業者に委託する場合はどうでしょうか。大塚商会のスキャニングサービスの場合は、文書1枚あたり5円。最小ロットは、合計金額40,000円(税別)からです。
ペーパーレスツール導入事例3:オンラインストレージサービス
電子化した文書の保存先は、自社のサーバーに限りません。電子化によって増えたおびただしいPDFファイルを、自社内で保存するにはサーバーの増設やセキュリティの強化が必要になります。
そんな時は、オンラインストレージサービスの活用も視野にいれましょう。
オンラインストレージとは、レンタルしたサーバー上にファイルをアップロードし、保存や共有ができるサービスです。どこからでもアクセスでき、サーバーの管理が不要。必要に応じて、サーバーの容量を拡張することもできます。
ペーパーレスにより電子化した文書の保存にも・災害等にも安心
オンラインストレージは、先述した電子化した文書の保存先として有用であると同時に、災害の対策にも役立ちます。
企業にとって危惧するのが業務データの消滅です。システム障害等のトラブルに備えて、外付けHDD等に定期的にデータをバックアップしている企業は少なくありません。
しかし、万が一被災してしまえば、そのHDD等も被害を受けてしまいかねません。大事なデータを自社内のみに保管しておくのは危険です。
そこで活用したいのが、オンラインストレージです。オンラインストレージではデータをネット上に保管しています。そのデータもクラウド化され、各地に分散して保管されているので、災害発生時のデータ消失につながる可能性が低く、リスクヘッジになります。
オンラインストレージサービスによるペーパーレスの導入費用
オンラインストレージサービスの月額利用料金は、下記の通りです。
オンラインストレージサービス | 月額利用料金 | ストレージ容量 |
---|---|---|
Drop Box | スタンダード・1ユーザー1,800円(年契約の場合は、月額1,500円)。 ユーザー3人以上。 | 5,000 GB |
Google Drive | ビジネススタンダード・1ユーザー1,360円。 | 2TB |
セキュアSAMBA | ビジネスプラン・35,000円。初期費用35,000円。 | 500GB |
KDDI ファイルストレージ | 100GBプラン・198,000円。 | 100GB《88,000円/100GBで容量追加(上限1TB)》。 |
ペーパーレスツール導入事例4:ワークフローシステム
ペーパーレスシステムの中でも関心が高いのが、ワークフローシステムです。ワークフローシステムとは、業務についての一連のやりとりを自動化するシステムのことです。代表的なのが、稟議書・申請書の手続きシステムです。
社内で発生する手続きを置き換えて社員とのやりとりをスムーズに
ワークフローシステムがあると、どんなメリットがあるのでしょうか。申請書を例に、考えてみましょう。
- 申請書のフォーマットを探す必要がない
- 承認者・決裁者が誰か確認する必要がない
- 承認者・決裁者に書類を回覧する手間がない
- 捺印が不要
- 進捗が確認できる
- 外出先でも利用できる
- ペーパーレスでコスト削減
- 人為的ミスの抑制(回覧先・入力内容等)
- 申請書の保管が必要ない(システム上に保管される)
意思決定のスピードアップや人為的ミスの抑制、業務の効率化が図れることがわかります。
ワークフローシステムによるペーパーレスの導入費用
ワークフローシステムの月額利用料金は以下の通りです。
- 承認Time:1ユーザー300円(10ID単位で契約のため、最低料金は3,000円)
- X-point Cloud:1ユーザー500円(年契約の場合は、月額475円)
- Create!Webフロー:クラウド版・1ユーザー500円(月払)or5,500円(年払)
月額料金の相場は、1ユーザーあたり300円~500円ほどのものが多いようです。
ペーパーレスツール導入事例5:クラウド勤怠システム
ペーパーレスシステムの中でもワークフローシステムに次いで関心が高かったのが、勤怠システムです。
特にクラウドシステムの場合は、下記点が優れています。
- 法改正に対応しやすい
- 複数拠点の勤怠管理が容易
- 打刻・申請がどこからでも行える
勤怠管理をクラウドシステムにして処理を時短
クラウド勤怠システムを導入すると、下記点から業務を短縮することができます。
法改正に対応しすい
クラウド勤怠システムは、改正法施行のタイミングでシステムの更新が行われます。ですので、法改正情報をチェック・理解し、勤怠システムを変更する必要がありません。
複数拠点の勤怠管理が容易
クラウド勤怠システムなら、各所の打刻データをシステム上でリアルタイムに一元管理できます。拠点ごとにデータを集計・確認し、フォーマットに入力して報告する業務が不要です。
クラウド勤怠システムで収集したデータは、給与計算システム等に連動させ、反映させやすいものもあります。そうなれば、一層の負担軽減・業務の効率化が実現できるでしょう。
クラウド勤怠システムによるペーパーレスの導入費用
クラウド勤怠システムの料金表は以下の通りです。
クラウド勤怠システム | 利用料金 |
---|---|
マネーフォワード | ビジネス・基本料金59,760円/年(従業員50名以下) 従量課金(6名以上)300円/名 |
楽々勤怠 | 30,000円~/月(初期費用有、利用ユーザー数に応じて料金が変動) |
奉公勤怠管理クラウド | 基本機能132,000円/年。 従業員1名あたり350円/月。担当者1名あたり4,000円/月。 (従業員21名以上・担当者2名以上の場合は、料金が変動) |
ペーパーレスツール導入事例6:請求書クラウドシステム
請求書クラウドシステムとは、クラウド技術を活かし、請求書の作成から送信まですべての作業をネットワーク上で行えるサービスです。
紙媒体で請求書を印刷したり、控えを保管したりする必要がないのでペーパーレス化に役立ちます。また、請求書業務の効率化に繋がります。
請求書のやりとりにクラウドシステムを導入して効率化も
請求書業務にクラウドシステムを取り入れると、下記のようなメリットがあります。
- サーバー等の設備やシステムを自ら構築する必要がない
- 自社で保守・運用・アップデートする必要がない
- どこからでもデータを確認できる
- データを一元管理できる
- 口座データと紐づければ入金管理が容易になる
そのほかにも請求書システムを使うことにより、このようなメリットがあります。
- 紙代・印刷代・郵送代のコストが減少する
- 封入封緘作業が不要になる
- 電子帳簿保存法に対応しやすい
請求書の受け手にも、次のような利点があります。
- 電子帳簿保存法に対応しやすい
- 請求書をすぐ受領できる
- サービスによって、クレジットカード決済が利用できる
請求書クラウドシステムによるペーパーレスの導入費用
請求書クラウドシステムの利用料金は、以下の通りです。
請求書クラウドシステム | 利用料金 |
---|---|
マネーフォワード | ビジネス・基本料金59,760円/年 従量課金(4名以上)300円/名 |
楽楽明細 | 24,000円~/月。初期費用100,000円~。 (月額費用は、帳票発行件数による従量課金) |
奉公請求管理電子化クラウド | 288,000円~/年。 (帳票発行件数が2,400を越える場合や管理者ライセンスを追加する場合は、料金が変動) |
自社にペーパーレスを導入する流れ
ペーパーレス化は、企業の生存戦略のためにも、コスト削減と業務効率化のためにも重要です。しかし、性急にペーパーレス化を推進すると、社員の反発を受けたり思った効果に繋がらなかったりします。
ペーパーレス化を成功させるには、能力に見合ったものから検討し、周知・理解を求め、マニュアルを整備することが必要です。
社員のIT能力に見合ったものから段階的に検討する
いきなりすべてをペーパーレス化させてはいけません。できるところから段階的に進めていきましょう。人は脳の特性により、大きな変化を受け入れるのが難しい生き物です。しかし、小さな変化なら受け入れられます。
まずは、稟議書や申請書をシステム化したり、タイムカードや勤怠表を電子化したりすることから始めてみましょう。ミーティングの資料を個人の端末で確認してもらうのもよいでしょう。
少しでもペーパーレス化を進めることで、課題や改善点が見つかるでしょう。それを基に会社としての方針やルールづくりをすれば、整合性の取れたペーパーレス改革ができます。
事前にペーパーレス化の意義やメリットを周知し理解を求める
いくらペーパーレス化が企業にとってよい施策だとしても、今までやってきたことが根底からひっくり返れば、社員は戸惑い、反発することでしょう。
施策を成功させるには、相手に受け入れてもらわければなりません。ですから、社員にはペーパーレス化にどのような意義があるかを理解させる必要があります。
- ペーパーレス化のメリット(コスト減・効率化・業務短縮)
- ペーパーレス化の必要性(SDGs・DX・電子帳簿保存法への対応)
- 社員声を取り入れたルールや運用をする旨
これらのことを中心に、「なぜペーパーレス化をするのか」を周知し理解を求めましょう。
ツールの導入を行いマニュアルを整備する
ペーパーレス化という新しい施策を行うからには、目的に合ったツールを導入し、現場が混乱しないよう環境やマニュアルを整えることが重要です。
そのためには、自社の業務フローを把握し、形式化しやすく取り入れやすい業務が何であるかを知る必要があります。加えて、ツールの社内責任者の設置や運用ルール、操作マニュアルを用意します。
実態に即したツールを導入し、社員がルールを理解した上で、マニュアルや社内責任者を頼りながら、ツールを上手く運用できるよう環境を整備しましょう。
自社でペーパーレスを導入しやすい書類から始めよう
ペーパーレス導入をどこから始めるかに、正解はありません。企業によって、業務も取り扱う書類も様々だからです。導入しやすいところから始めるのが一番です。
とは言え、どの企業にも共通しやすい業務はあります。稟議書等の申請業務・勤怠管理・請求書業務等です。電子帳簿保存法への対応も、どの企業にも共通して必要なことでしょう。
ペーパーレスをどこから導入してよいか迷った時には、これ等の中から始めてみましょう。どの企業にも必要だということは需要の分だけサービスも多く、選択肢がありますので、自社に合ったツールを探しやすくなります。
「oneplat」なら月額11,000円で請求書と納品書のペーパーレスを実現できる
「oneplat」はモノ・サービスの購入者が、月額11,000円で請求書・納品書をデータとして受け取れるクラウドサービスです。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しています。
oneplatの利便性は、以下の通りです。
- 販売者から納品書・請求書をデータで受け取れる
- データはoneplat上でいつでも確認・ダウンロードが可能
- 納品書・請求書の承認もoneplat上で可能
- 会計仕訳はデータ取り込みで自動入力
- 立替え払いサービスを利用すれば、支払いを一元管理
oneplatでは、納品書・請求書をデータとして受け取り、取りまとめをすることができます。会計業務が簡素化されることで、コア業務に注力することができます。
【まとめ】導入事例を参考にペーパーレス化を実現しよう
企業の生存戦略としてSDGsやDXへの対応が求められ、リモートワークが一般的になったことで、ペーパーレス化は避けられないものになりつつあります。
本記事では、ペーパーレス導入事例を6つ紹介しました。
- チャットツール
- スキャナー・OCR
- オンラインストレージサービス
- ワークフローシステム
- クラウド勤怠システム
- 請求書クラウドシステム
ペーパーレス化を成功させるには、自社の業務フローを把握した上で、ツールを段階的に導入していくことが重要です。
それだけでなく、会社としてルールを決め、社員に周知して合意を得て、ツールは社員のIT能力に見合うものを選びましょう。