急速なIT化により、会計分野でもクラウドサービスを活用する機会が増加しています。そのため、煩雑な確定申告処理もクラウド会計ソフトの活用が推進されています。
本記事では、クラウド会計ソフトを使って確定申告を行う方法や、必要となる情報を網羅して解説します。一見難しいと感じる導入ですが、メリットとデメリットを把握してうまく取り入れましょう。
クラウド会計ソフトで確定申告をしよう
確定申告は税務署に足を運んだり、郵送手続きを行ったりと煩雑なものです。そのため時期が近づいてくると「嫌だな」と感じる経理担当者は多くいます。
しかし、確定申告にクラウド会計ソフトを活用すると煩雑な手続きを簡略化できます。ここからはクラウド会計ソフトの魅力について解説します。
クラウド会計ソフトとは?
はじめに、クラウド会計ソフトについて理解を深めましょう。
クラウド会計ソフトは、インターネット上に情報を保存できるソフトを指します。
登録時に発行されるIDとパスワードを入力するだけで、会計にまつわる作業がネット上で行えます。そのため、IDとパスワードを知っている担当者がどのパソコンからでもアクセスできる利点があります。
インストール型との違いは?
クラウドソフトと比較されるものに、インストール型のソフトがあります。インストール型のソフトは、利用者がそれぞれのパソコンにインストールして利用する仕組みです。
そのため、経理や会計担当者のパソコンにインストールする手間がかかります。しかし、「利用料金がかからない」「システム障害に強い」等の強みもあります。
クラウド会計ソフトで確定申告をするのに必要な基礎知識は?
ここからは、クラウド会計ソフトを使って確定申告する際に知っておきたい情報を紹介します。確定申告シーズンになるとよく耳にする「青色申告」「白色申告」を把握しておきましょう。
青色申告
青色申告は確定申告の提出書類の一種で、税控除のメリットが特徴です。
1年間の所得や経費の細かな申告は必要ですが、事前申請と条件を満たすことで最大65万円の控除を受けられます。
なお、帳簿には「単式帳簿」「複式帳簿」がありますが、青色申告の場合は複式帳簿を採用します。
白色申告との違いは?
白色申告は、節税効果は期待できないものの、申告方法が簡単な特徴を持ちます。しかし、2014年以降からは申請が複雑になってきたため、メリットが薄れつつあります。
クラウド会計ソフトを導入する3つのメリット
クラウド会計ソフトと確定申告について理解が深まりました。次にここからは、確定申告においてクラウド会計ソフトを導入するメリットを解説します。
「簡単」「効率化」が叶うため、是非活用を検討しましょう。
①簡単に確定申告書の作成ができる
クラウド会計ソフトは、従来の確定申告作業の負担を軽減します。複雑な仕訳の処理を自動仕訳する機能があったり、クラウド型のPOSレジであれば情報を反映させられるため、ミスなく効率的に申告書の作成が可能です。
②データ入力などの手間を省ける
申告書に記載する項目は1年分のため、かなりのボリュームがあります。取引ごとに記載すれば問題ありませんが、溜め込んでしまうとかなりの時間を要します。
しかし、クラウド会計ソフトを使えば、クレジットカードや銀行口座と連携できるため、支払情報は自動的に入力されます。
③税理士に相談する際にもメリットがある!?
各企業には専任の税理士がついています。担当の税理士に経営にまつわる相談をしたい時にも、クラウド会計ソフトは役立ちます。
出先で相談したい時、クラウド会計であればスマホでもデータを確認できます。また、税理士のパソコンからもアクセス可能なため、スピーディーに対応してもらえます。
クラウド会計ソフト導入でデメリットはあるの?
クラウド会計ソフトのメリットを解説しましたが「デメリットもあるのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。そのため、ここではクラウド会計ソフトを導入時に起こるデメリットを解説します。
①業種によって向き不向きがある
クラウド会計ソフトは、業種により「必要ない」と感じるケースもあります。特に古くからの店舗の場合はネット環境が整っておらず、サービスを活用することすら難しい可能性があります。
また、昔から手作業で経理業務を担う方の場合は、新しいクラウドサービスの導入を煩わしく感じる可能性があります。
②月額費用がかかってしまう
インストール型に比べると、月額費用がかかる点はデメリットとして挙げられます。クラウド会計ソフトの月額相場は、小規模のもので「月980円」程度からはじめられます。しかし年額換算では1万円を超えるため、費用に見合った利用頻度か見定める必要があります。
クラウド会計ソフトの選び方
最後に、クラウド会計ソフト選定基準を解説します。便利なクラウド会計ソフトですが、種類は様々で選定に迷ってしまいます。
悩んだ際は「選ぶ基準」「費用のシミュレーション」「サポート体制」に注目してみましょう。
欲しい機能は明確にしておく
どのクラウド会計ソフトも、基本的な機能は大きく変わりません。しかし、企業によっては「電子申告に対応したものが良い」とこだわりがあるところもあるでしょう。そのため、システムの導入前には、関係者で「欲しい機能はどれか」を話し合い、明確にしておきましょう。
かかる費用は確認しておく
一口にクラウド会計ソフトと言っても、費用は様々です。また、安価だと思って登録しても必要な機能がオプションで結局高価になる可能性もあります。
そのため、クラウド会計ソフトに登録する際には事前に費用を確認しましょう。基本料金だけでなく、オプション料金や更新にかかる手数料等も考慮する必要があります。
サポートの手厚さも考慮に入れる
クラウド会計ソフトは手軽に登録できる分、サポート体制も確認が必要です。
「登録は簡単だったけど、使い方で聞きたいことがある」となった際や、トラブル時に迅速に対応してもらえるかを事前に確認しましょう。
サービスによっては、税理士等の有資格者に相談できるものがあります。費用や機能だけでなく、アフターサービスにも目を向けましょう。
無料トライアル期間などを利用して比較する
各ソフトは無料のお試し期間を設けています。そのため、迷った際はトライアルを活用して使用感を確かめましょう。
また「ここにする」と決定し、トライアルから始めたとしても、「思ったよりも使いにくい」と感じることもあります。そのため、導入の際は極力、無料のトライアルからはじめることをおすすめします。
まとめ:クラウド会計ソフトを活用して確定申告の手間を省こう
今回はクラウド会計ソフトについて、その概要からメリット・デメリットまで解説しました。
近年急速に普及しているクラウド会計ソフトは、どこからでもアクセスできるため作業効率が向上します。しかし、費用やサポート面など、事前に把握しなければならないポイントもあります。
クラウド会計ソフトは手軽かつ効率化に最適です。是非導入を検討しましょう。