企業の経営状態を把握できる材料に「決算書」があります。この決算書の話題になると必ず出てくる「BS」「PL」という言葉。しかし、会計初心者の場合は「よくわからない」と感じる方もいますよね。
そこで本記事では、会計初心者向けにBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)についてわかりやすく解説します。また、後半では併せて使用される「CF」について補足説明します。
BSやPLは単体で把握するのではなく、それぞれの関連性を考慮して読み解くと経営状態を把握できます。基本を押さえ、実際に業務で知識の活用を目指しましょう。
会計で必須のBSとPLとは?
先述した通り、BS(貸借対照表)とPL(貸借対照表)は会計担当者が必ず触れる資料です。しかし、年次や月次のルーティンワークとして淡々と処理するだけで「実は目的や意味を知らない」という担当者もいるでしょう。
BSとPLにはそれぞれ大切な役割があります。より業務を円滑に進めるためには役割まで理解することが大切です。そのため、ここではまずBSの大枠と役割を把握していきましょう。
どちらも広義は「会社の財政状況を表すもの」
BSもPLも企業の財政状況を表した資料です。しかしBSは「資産」「負債」「自己資産」のバランスを比較したものです。そのため、BSを見れば「企業の資金繰りが健全か」を把握できます。
一方でPLは「利益」「損失」を表す資料です。そのため該当する年度の営業成績を確認する際に役立ちます。
では、次からはBSとPL、それぞれを詳しく解説していきます。
BS(貸借対照表)とは?
BS(貸借対照表)はバランスシートとも呼ばれ、「決算日に企業内にどれくらいの資産がどのような形で存在するか」を表したものです。
バランスシートの項目は「資産」「負債」「自己資産(純資産)」の3つから構成されています。この負債と自己資産のバランスによって、経営が健全か否かを判断できます。
BS(貸借対照表)の役割
BSは「企業が健全な資金運用をしているか」を判断できる材料です。資産の中でも負債の占める割合が高ければ、財政状況が不安定となるでしょう。一方で自己資産の割合が高ければ、借入金等による影響が少ないため、健全な経営状況と言えます。
PL(損益計算書)とは?
次にPLについて解説を進めます。PLはProfit and Loss Statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)の略で、企業が出した利益と損失を表す書類です。
通常、BSの場合は決算日までの数字を元に作成します。しかしPLの場合は「年度」単位での数値を元に作成します。
また、PLにも様々な項目がありますが、確実に覚えておきたい項目は下記の3つです。
①売上高(収益)
②経費(費用)
③利益(売上高から経費を引いたもの)
PLは企業の利益を一目で確認できるため、特に重要視される資料です。
PLには5つの項目がある
PLについて概要を説明しましたが、さらに理解を深めていきましょう。
先程、大まかにPLの項目を3つ紹介しましたが、項目は細かく分類すると5つになります。
ここでは5つの項目について解説します。
①売上総利益
最初に売上総利益は、企業が年度を通じ、商品やサービス等で得られた利益の合計を指します。具体的な金額は「売上高-売上原価」で算出できます。
②営業利益
次に営業利益は、先程の売上総利益から「人件費」「営業活動費」を差し引き、純粋に得られた利益のことを指します。
③経常利益
3つ目の経常利益は配当や支払利息等、営業外の損益も考慮し、本来の業務以外の利益も足したものを指します。
参考までに「経常」とは、「常に一定の」という意味があります。つまり「イレギュラーが起こらない限り得られる一定の利益」ということになります。
④税引前当期利益
4つ目に税引前当期利益は、経常利益に資産売却等に関わる特別損益を加味した上で、法人税や法人住民税、法人事業税等の各種税金が引かれる前の利益を表します。
⑤当期利益
最後に当期利益は「企業が最終的に生み出した利益」を指します。場合によっては「最終利益」「純利益」と呼ばれることもあります。
個人規模でわかりやすく例えると、会社員の給与形態が近いものとして挙げられます。
会社員の場合で考えると、給料から所得税や年金を引いた「手取り額」と考えるといいでしょう。
PLの役割は?
PLの役割は「総資本利益率」「自己資本利益率」の割合がわかることです。会社の資産には、自己資産だけでなく、負債も含まれます。しかし、自己資産で運営する割合が高いほうが、健全な経営と判断できます。
PLを確認することで、負債等マイナス要素を差し引いた純粋な数を見ることができます。そのため、会社の現状を確認するためには欠かせない資料と言えます。
【参考】CF(キャッシュフロー計算書)とは?
最後に、ここではBSやPLと並び使用頻度が高いCFについて紹介します。
CFはキャッシュフロー計算書の略で「実際に動いた資金の流れを記載したもの」と定義されます。
CFは家庭単位で言うならば「家計簿」のようなものです。企業がどんなことにどれくらい資金を使ったかを確認するためには、CFが必要となります。
具体的な内容を確認していきましょう。
実際のお金の動きを記録したもの
CFは「企業の家計簿」と表現できます。
企業が1年間に「どれくらいの資産のうちから、どのような事業にいくら使用したか」をリアルタイムで確認できます。
資金の流れを一目で確認できる
CFを見ると、それまでの企業活動における資金の流れをすぐに確認できます。
キャッシュフローを作成する目的は「時間差で起きる利益や現金等の誤差を把握すること」です。BSの場合は、決算日が起点となるためまだ入金が済んでいない取り引きもあり、現実と誤差が生じます。
しかしキャッシュフローを作成すると、リアルタイムでの数値が記載されているため確実な数字を確認できます。
そのためCFの活用は、効率的に現金を増やしたり、資金ショートを防止する効果があります。また、具体的な資金繰りを予測できるため、金融機関からの資金調達が容易になるメリットも併せ持っています。
まとめ:BSとPLは会計処理に必須
本記事ではBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)について、会計初心者向けにわかりやすく解説しました。
BSは「企業の資産内訳」を表すもの。またPLは「企業の利益と損失の内訳」を表すものと整理して理解できたかと思います。また、それぞれの役割を把握したことで、業務上でも実用できるようになってきました。
簿記や会計知識がある場合は、基本的な要素として把握できますが、まったく知らない場合は「どんな意味を持つのか」と業務所で不安を感じます。
しかし、今回は基本的な概要を確認したため、業務で取り扱うことになっても落ち着いて対応できるでしょう。
会計業務に関わる方にとって、BSとPLは必ず取り扱う書類です。そのため、知識を確実に身に着けて、実践で読み取れるよう備えましょう。